Juice=Juice 5人時代の最高到達点として 『銀色のテレパシー』

銀テレ、ギンテレ、ぎんてれ・・・。

もうすっかり耳馴染みの言葉ですよね。正式な楽曲名はご存じ、「銀色のテレパシー」。作詞家 児玉雨子×宮本佳林 の黄金タッグのコピンク*的世界観をそのままJuice=Juice全体に移植したような人気曲である。ライブでしか聞くことのできなかったこの曲の愛称は、ファン間では当然のようにすっかり定着しているようだ。そんなファン間の事情はもとより、本人の意向が色濃く反映されるバースデーイベントにおいても、宮崎由加・宮本佳林の両氏がチョイスしていることから、メンバー内での人気も窺い知れる。今やファン、そしてJuice=Juiceメンバーの両方から愛される、不動の人気曲なのだ。さて、この楽曲が、初パフォーマンスから約一年半の歳月を経て、待望の音源化が決定された。(当サイトでも紹介されたとおりJuice=Juiceの2ndアルバムに収録

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初披露の日は、2017年2月2日。2017年の冬から春にかけて行われたJuice=Juiceツアー、「LIVE AROUND 2017~NEXT ONE~」の初日・新宿ReNY公演だった。初の単独武道館公演を成功裏に終えて以来、彼女たちの単独ライブを初めて見るひとが大多数。達成した目標(=初の単独武道館)が大きく素晴らしかった分、“そのあと”のむずかしさが付きまとう。こういのって、ある種の逆境だ。それでも、Juice=Juiceが未来へ続いて行くために。Juice=Juiceの“次の一手”に注目が集まるのは必然と言えた。

リーダーの宮崎由加は、アンコール曲に配置されたこの楽曲を“ライブ新曲”と表現した。直接的な表現にすれば、CDはしばらく出ないから聴きたきゃライブに来い、というリーダーの真意は推して知るべし。実際のところ2018年8月1日の2ndアルバム発売日まで、この曲はシングルカットはおろか音源化もなく、直後の2017年の夏のハロコンと同時並行で行われる夏のツアーでもセットリストには取り入れられていなかったのだから。今思えばまさか、こんなステキな曲に、こんな長いトンネルが待っていたのね。

そんな前口上に、何とか都合をつけてライブへ足を運ぶ回数を増やそうと決心するなか(わたしがね。でも恐らくみなさんもね。)、5人はお互いの顔が見えるよう、真ん中にキュッと位置取った。「まさか、マライア・キャリーか?武道館後は洋楽カバー路線なのか!?それはそれで・・・アリ!」。心の中で呟いた。イントロで、そうではないとすぐに察した。(※直前のクリスマスイベントでJuice=Juiceがコーラスを含め見事に再現しきった「恋人たちのクリスマス/Mariah Carey」の初期動作が似ていて、感動がふと蘇ったのだった。)

なんにせよ、新曲が始まるワクワク感が心の底から込み上げてくる。アイコンタクトで通じあう5人の研ぎ澄まされた集中の数秒間、薄暗い青にくるまれたステージが、ちょっぴり異空間に感じられる。そこから浮かび上がる和音は、観客を不思議な浮遊感の中へ誘ったかと思えば、いつの間にか、同じメロディーの繰り返しを倍のピッチで突き進むドラムのリードが、加速するような感覚を与える。無重力状態のような浮遊感と、流麗なストリングスの心地よい疾走感を伴って、どこか懐かしい旋律を歌い上げる。サビには、彼女たちらしい美しく厚みのあるユニゾンが。ユニゾンでもひとりひとりの声がわかるからすばらしい。細かい振り付けまでかわいらしくて、とにかく、「武道館で単独ライブやったひとたち」のエッセンスが濃縮されているんだ。そんなあっという間の四分間は"Juice=Juiceファンクラブツアー in 宇宙空間” とでも言うべきか。

“ライブ新曲”はJuice=Juiceの意思表示だった。ひたむきで手堅い“次の一手”を差した。ライブには、相変わらずパフォーマンスを通して感動が生まれる瞬間があると。初の武道館公演を終えた、“そのあと”でもそれは変わらないと。“銀テレ”を通じて彼女たちのメッセージを受け取った客席からの歓声は、そんな彼女たちのアイデンティティの再確立に送られたものだっただろう。

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先日、稲場愛香のJuice=Juiceへの電撃加入三度目の日本武道館公演が発表された。ハロプロ屈指の豪華陣容を誇ることになった新体制で迎え撃つ武道館公演には期待が高まる。いまや当然のように変化を楽しむグループとなった。

そんな今だからこそ改めて振り返りたい。みんなの待ち焦がれた“銀テレ”は、今日のグループのアイデンティティを再確立した一つの画期として記憶しておきたい楽曲である。そして5人時代のJuice=Juiceの到達した最高到達点の一峰として異論は無かろう。

(※敬称略)

あとがき

細かい振り付け、ピックアップしました。個人的なお気に入りポイントです。

よろしければ、どうぞ。

①かりんちゃんの口を尖らせて腰をぐるーんがすごい。

②落ちサビでオケの復帰と同時に紗友希ちゃん笑顔でバーン!

③うえむーが振り向くたびに口を「あ!」の形にでとびきりの笑顔。

④ゆかあーりーで「パッパッパ」のグループ内テレパシー。

・・・ごめんなさい、いちいち再生するの大変ですよね笑。

(文=puke)

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