宮本佳林BDイベント2017〜KARIN ‘S DREAM WORLD〜

紫のTシャツ、紫のパーカー、紫のカーディガン、紫のマフラー、紫のニット帽。暦の上では冬を迎えたこの日、思いおもいの宮本佳林(以下かりんちゃん)カラーの装いに身を包んだファンに、司会扮する道先案内人はこう告げた。

「みなさんは、光り輝く場所〜KARIN ‘S DREAM WORLD〜の歴史の証人となる」

2017年12月1日、ディファ有明にて行われた「宮本佳林バースデーイベント2017」の模様をレポートする。

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「パフォーマンスで感謝の気持ちを伝えられる人になりたい」という目標を常々口にするかりんちゃん。19歳を迎えた翌日のブログでも、延いてはこのイベント中にも、全く同じ目標を掲げた。その強いこだわりのもとで多くを本人によってプロデュースされた、パフォーマンス以外を極限まで排除したストイックなイベント構成であった。

そんな意図を汲んで、合計13曲、ほぼノンストップで50分弱にも及んだパフォーマンスを披露された順にお届けする。

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1.銀色のテレパシー

イントロのコーラスで声だけ先に登場。遅れてかりんちゃん本人がステージに登場。星空を写したスクリーンに向かい合図すると、一筋の流れ星が(本人による演出とのこと)。心地よい疾走感と浮遊感に、ほんの少しのノスタルジックなサウンドが夢の時間へといざなった。

余談だが、開演前の場内BGMは、このイベント恒例となっている松田聖子”様”(かりんちゃんの意思を反映して”様”)ではなかった。この曲が、その聖子”様”楽曲の「星空のドライブ」に何処と無く似ていると感じるのは、私だけだろうか。

2.最高視感度/コピンク*

ヒトの明るさの感じ方を表現する関数において定義される定数”Km”は、最大視感度と呼ばれる。作詞の児玉雨子先生が光に関することばを探していたところ、宮本佳林のイニシャルでもあるこのことばに出会い、曲のタイトルとして採用した経緯がある。さらに解釈を加えれば、この関数に限らず普遍的に、ドイツ語の”konstant(定数)”に意味を添えて”maximum(最大)”に由来することを考えれば、”Km”によりおおきなな意味をもたせたのかもしれない。最大のモノを生み出すための、変わらないもの。なるほど、よく考えられたものだ。

歌詞は、タイトルの由来に輪をかけて難解である。中でも、”シュモネ・エスレ”。こいつが大事そうなところに出てくるんだ。

僕たちは今 またたいてる

僕たちは今 シュモネ・エスレ

筆者の調べたところによると、どうもヘブライ語で「十八の祈祷」、ユダヤ教の祈祷の1つを指すらしい。雨子先生のアツすぎるライナーノーツ(制作秘話)には、「『生きる』という意味と『18』という意味もあるそうです」とある。直接書かれてはいないが、同ライナーノーツでは、十代の感性というキーワードが出てくることから、ここでいう「18」は年齢のことだろう。これは作詞当時の雨子先生の年齢なのだと思われる。雨子先生が十代の感性をぶつけて書いたこの歌詞を、”シュモネ・エスレ”を迎えたかりんちゃんは歌として十代の感性をぶつけたのだ。なお”シュモネ・エスレ”は現在、後世になって付け加えられ「十九の祈祷」になっていることもなんとも因縁めいている。

難しい話になってしまったが(というかレポになってなくて申し訳ない)、歌われる機会の非常に少ないコピンク楽曲に直に触れ、ディファ有明は沸いたのだった。

3.有頂天LOVE/スマイレージ

「♪ドクター ストップ↗︎」とか「♪カルチャー ショック↗︎」とか、テクニカルな跳躍が印象的であった。音程を正確に当てた上で、クルッと軽やかに裏声で飾り付けするようなあの歌い方、専門的には何というのだろう?楽曲を一気に華やかに仕立てるテクニックに、ファンはホレボレとした。

4.大きな愛でもてなして/°C-ute

ソロで歌われるこの曲といえば、いまや語り草となっている、伝説のベリキューアイランドの菅谷梨沙子ソロではなかろうか。ハイトーンでザラつく菅谷さんの切ない声の魅力を引き出したという高評価の反面、1人で歌うには声帯への負担が大きく、ハード曲なのだと考えられる。

しかし、そんな難曲をものともせず、透き通るカリンボイスは高音においても健在(原曲キーで歌ってたと思います)。長く伸ばしても、ずっと透き通っていた。音域が広いという生まれ持った才能にプラスして、本人にしかわからないところで、いろいろな引き出しを持っていて、いろいろな調節をしているのでしょうね。

5.独り占め/つばきファクトリー

つばきファクトリーの表現する世界がかりんちゃんに伝わっていること、かりんちゃんがちゃんと後輩のパフォーマンスをみていること、自分のソロイベントで歌いたいなぁ、いい曲だなぁと思ったこと、ぜんぶステキですよね。丁寧につんく♂の歌詞世界を表現しきった。

6.晴れ 雨 のち スキ/モーニング娘。さくら組

ここまで休み無しのノンストップである、念のため。4〜5曲ごとのパフォーマンスで一区切りつけることが多いバースデーイベントにあって、6曲連続でパフォーマンス。このイベント、にわかに「宮本佳林ソロライブ」の様相を呈し始めた。まさか・・・。でもそのまさかをやりかねないのがかりんちゃん。

アウトロも止まぬまま、ステージ脇に履けるかりんちゃん。そろそろ・・・、そろそろ、ま、待ちきれないから、一旦拍手させてくれ!!!といったニュアンスで、6曲分まとめて大拍手、大喝采。

7.愛の園 ~Touch My Heart!~/モーニング娘。さくら組

野生的なパーカッションのDTMダンスタイム。ダンストラックも、振付もproduced by かりん。「愛の園」の世界へつながる入り口としては、ピッタリの激しめトラックであった。

スゴイのは、すでに完成された楽曲「愛の園」からの逆算をして、その導入的な位置付けとしてピッタリのトラックを作っていることですよね。もうDTMを使いこなしちゃってるんですわ!かりんちゃん、まだまだ進化中。

8.What is LOVE?/モーニング娘。’14

イントロでは、「オイ!オイ!」と会場を煽ったかりんちゃん。かりんちゃん、まだまだ元気。「♪Is it necessary?」の発音も、オリジナルとはひと味違い、ネイティヴっぽく。

9.奇跡の香りダンス。/松浦亜弥

ここでバースデーイベント鉄板の盛り上げ曲を投下。こういう曲でもう一段階、盛り上げることができるのが、かりん選手がハロプロの文脈で言うところの「歌って踊る」ことを極めている証拠ですよね。

10.記憶の迷路/High-King

正直なところ、そろそろかりんちゃんが心配。復帰したばかりだというのに、自分にストイックすぎるかりんちゃんが心配。そんなこと考えたら、あの時みたいに「パフォーマンスを見てください」と怒られて(?)しまうだろうか。

無慈悲にも(?)照明はかりんちゃんをボワっと照らし出す。まだやるのかと、客席の半分は仰け反る。もう半分は呆れて笑っている。でもステージ上で輝くKARIN’S DREAM WORLDのプリンセスを見つめている。

「♪甘い口づけ あなたのにおい」

静かなオケからの歌い出しが滑らか。「大人の事情/Juice=Juice」の落ちサビも同じだが、聴くものを歌の世界へ引き込む引力が生まれていると言っても、大袈裟じゃないだろう。

11.Do it! Now/モーニング娘。

心配だの、スゴイだの、いろいろな感情はとっくに通り越してしまった。畏れ多い。そんな感情すら抱いてしまったファンも多かろう。

そしてイベント冒頭の、「みなさんは、光り輝く場所〜KARIN ‘S DREAM WORLD〜の歴史の証人となる」という言葉の意味を悟り始めたのだ。

切ないけど力強い、そんなハロプロの楽曲の代表格をしっとりと歌い上げた。

12.雨/森高千里

「あいててっ、アレ?うふふ、しゃべると一気にヘンタイみたいになっちゃうのやめたい笑。どう?ここまで楽しかった?それはよかったのだ。」と、この日初めてのショートMCは、まさかのバカボンのパパ風。暗転した状態でギターを担いでいたようで、巨大アンプをバックに現れた。

「今朝キウイを剥こうとしたところ、トマト用のピーラーで小指をケガしたため、Fコードを押さえるのがたいへん」とのこと。

「最後ほんとは、(コード進行が)こう、こうだったんだけど・・・(そのまま最後のワンフレーズを演奏)」、「もう一回り聴きたい人ー?じゃもう1つの歌詞の方やるね!」と、始めたてホヤホヤのギターながらも、客席との掛け合いで一曲を成立させた微笑ましかった。

13.ピンクモーメント(正式な表記は不明)/宮本佳林

「ありがとうの気持ちイイイイ!!!みたいな曲ではなく、夢に追いかける女の子の気持ち」を表現したそうだ。コピンク楽曲の続きが更新されたような印象を持った。かりんちゃんらしい曲で、ホントにいい曲。これは配信楽曲になるんだろうか。早くまた聴きたい。

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さて、セットリスト順に計13曲をレポートした。

今年のBDイベントは、本人のカラーが色濃く反映された結果、「宮本佳林ソロライブ」とでも呼ぶべきストイックなイベントとなっただけでなく、ギター、DTMによる作曲、それにあてた作詞、振付といった新たな挑戦をファンに見せてくれた。

そういえば、機能性発声障害からの復帰直後、「変わってないね、だけじゃなくて、いい意味で変わったね、と言われるように頑張りたいという趣旨の発言があったことを、書いてる途中で思い出した。

かりんちゃんは、抽象的なメッセージを発信し、パフォーマンスで納得させていく。本当の意味はすぐにはわからない。それでもファンがパフォーマンスを見て初めての理解する。パフォーマンスで伝えていくスタイル。これがかりんスタイルである。同時に、これがかりんちゃんのファンでいる醍醐味でもある。

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Happy birthday かりんちゃん!19歳で過ごす一年が良い年になるよう、願っています!

(文=puke)

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