カントリー・ガールズ、まさかの単独ライブ開催で示された矜持とは?

カントリー・ガールズの単独ライブが、2018年6月12日の火曜日、Zepp Tokyo にて開催された。題して『カントリー・ガールズ LIVE2018 ~皆好き(みなづき)!~』。

このカントリー・ガールズの単独ライブ、予告されてから実際にライブが開催されるまで、ファンの間でさまざまな反響があったことで、カントリー・ガールズのファンを越えて、広くハロプロファン全体に注目されていた。というのも、2017年以来の、いわゆる “ハロプロ新体制” にあって、カントリー・ガールズは半ば解体されたと見る向きが多かったからである。

メンバーの森戸知沙希は14期メンバーとしてモーニング娘。と兼任し、梁川奈々美は Juice=Juice と、船木結はアンジュルムと兼任することになり、兼任先でのツアーなどが重なり忙しい日々を送ることになった。一方、山木梨沙と小関舞は、それぞれに “学業優先” が宣言されることとなった。この “新体制” を受けて、カントリー・ガールズは解体しないまでも、カントリー・ガールズとしての活動はゆっくりと縮小していくのだろうと見られていた。
そんな見方が浸透しながらも、ハロコンなどでは山木梨沙と小関舞が堂々とハロプロ全体のMCとして活躍していたりして、「あれ?学業優先って、ほんとに学業を “優先” するってだけの意味なの?」とファンが戸惑ったりもしながら、それでも兼任メンバーのカントリー・ガールズ側のブログの更新が少なかったりすると、すぐに「やっぱり」といった調子で、”解体” 説、”活動縮小してフェードアウト” 説が復活していた。

そんな折りに告知されたカントリー・ガールズとしての単独ライブ。
上述の事情を背景として、この単独ライブには、ライブそのものを危ぶむ声もあり、いよいよ覚悟を決めるときが来たと身構える者ありと、告知段階から注目があつまっていた。
ライブそのものを危ぶむ声というのも、カントリーメンバーが分散してしまっていることに由来している。
このカントリー単独の日程の直前まで、モーニング娘。兼任の森戸知沙希が、兼任先での舞台に出演していたり、アンジュルム兼任の船木結が、兼任先での海外ツアーに従事していたりと、なかなかカントリー・ガールズとしてレッスンする時間が取れないでいることもファンには周知されていて、こんな調子でのライブだなんて大丈夫なのかと危ぶむ声も出てきたという次第。
そして、多くのファンは、そんな日程で単独イベントを強行することから、いよいよこのタイミングで、カントリー・ガールズの今後について、なんらかのアナウンスがあるのではないかと身構えていたというわけだ。

折しも新グループの本格始動もアナウンスされ、マネジメントのリソース不足が懸念されるタイミングでもあり、かなりの数のファンが、いよいよカントリー・ガールズについての決定的な告知が出されるだろうと覚悟していた。そんな2018年6月12日の火曜日、Zepp Tokyo にてアナウンスされたのは、次回のカントリー・ガールズ単独イベントのお知らせだった。次回のイベントは、梁川奈々美と船木結が加入して3周年記念日となる11月5日の月曜日に、やはり Zepp Tokyo で開催されるという。
“次回の単独イベント” というだけでなく、梁川、船木の加入記念日が正しく記憶され祝われようとしていることに、”すわ、カントリー解体か” と身構えていたファンは、”あれ?カントリーってば、愛されてる?” と戸惑うというよりも、予測された悲しいお知らせに対して爆発させるべく勝手に先回りして内面に準備していたモヤモヤを、どこにどう飲み込んだものか困惑しているようだ。

そんなカントリー・ガールズの単独ライブでは、もちろんカントリー・ガールズのオリジナルである鉄板曲も大々的に繰り出されたが、一方でセトリの組み方にも注目が集まっている。こぶしファクトリーや つばきファクトリーが、それぞれのイベントやライブで先輩たちの楽曲をカバーしているのと同様に、過去のハロプロの楽曲遺産がカントリー・ガールズによっても、正しくカバーされた。
梁川と船木のペアでは、モーニング辻・加護をカバーして『あぁ いいな』(W)が、森戸と小関のペアでは『アンブレラ』(タンポポ#)が披露され、山木に至っては、たった一人で ℃-ute の『悲しき雨降り』を熱唱した。

このように先輩たちの楽曲をカントリー・ガールズが今に引き継いだだけではない。
なんと兼任先のグループの楽曲をカントリー・ガールズの単独ライブの場に引き込んで、カントリー・ガールズとしてカバーするという趣向も見られた。
船木が兼任するアンジュルムからは『乙女の逆襲』が、森戸が兼任するモーニング娘。からは『AS FOR ONE DAY』が、そして梁川が兼任するJuice=Juiceからは『如雨露』が、カントリー・ガールズの5人によって披露された。

それは、あたかも兼任先の個性も濃厚な楽曲を、カントリー・ガールズのものとして飲み込んで披露しているかのようであったともいう。
メンバーが各グループに兼任となって、むしろ兼任先のグループのメンバーとして認められて行くにつれて、個々の兼任メンバーを追っていたファンも、やがて “カントリー・ガールズとしての色が薄くなった” ことを、ことさら言挙げしなくなっていくような傾向も感じられて、こうしてカントリー・ガールズはゆっくりとフェードアウトしていくのかと、そう多くのファンが半ば予測していたところ、そうした観察される傾向とは真逆に、兼任先から色濃い特徴をしっかりと “持ってきて”、そのエッセンスを、ちゃっかりカントリー・ガールズに還元させていただいたといったところ。
先のハロプロ楽曲遺産の披露と併せて、兼任したからこそ、現在のハロプロ各ユニットの味わいが、カントリー・ガールズという杯の中で、濃厚なままに丁寧にブレンドされたかのようである、とも。

その上で、次回のカントリー・ガールズ単独イベントがお知らせされた、というわけで、いろいろと身構えていたファンの、「あれ?」という戸惑いも、いまや “嬉しいお知らせ” に味を添えるエピソードとして微笑ましいものとなったようだ。

この、”ちゃっかりいただいた” というか “してやられた感” には、みなさん、どこかで覚えがあるのではないだろうか。…と、謎かけだけしておいて、最後に、アンコール1曲目が、Buono! の『みんなだいすき』であったことを記して、このコラムを終えたい。

もちろん、『みんなだいすき』は、Buono! の、従って嗣永桃子の楽曲である。
カントリー・ガールズの2018年6月12日の単独ライブ、アンコール1曲目は、ももち先輩が歌った楽曲、『みんなだいすき』だった。

(文=椿道茂高)

 

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