モーニング娘’15新曲「One and Only」楽曲レビュー つんく♂がニューヨークから持ち帰ってきたもの

モーニング娘’15の新曲「One and Only」が早くも話題沸騰中だ。作詞作曲はつんく♂で、何とその歌詞はモーニング娘。史上初の全編英語だというから驚きだ。つんく♂らしいノリの良い曲調が心地よく、フワッと聴き流してしまいそうな英語の歌詞に注目してみると、二つの論点が浮かび上がる。この曲に込められたメッセージは何か、それは誰から誰に向けられたものなのか?

男の子目線のラブソング?

男の子から女の子へ、愛をエネルギッシュに歌ったラブソングだ。いうなればつんく♂のハロプロ楽曲の恋愛ソングの持つ、若く情熱的なエネルギーを英語の歌詞にのっけて、世界に発信してみようという試みだ。

“You are my favorite girl,my one and only girl.”=“君は僕のお気に入りの女の子さ,君以外考えられないよ!”

“Wanna talk with you all night.”=“一晩中君とおしゃべりしていたい”

歌詞の一部の引用と、私なりの和訳である。この解釈にひとまず、明らかな矛盾が無いことを下のYouTubeの動画でも確認されたい。さて、ここで気付くのが、主人公として描かれる“僕”が男だという点だ。つんく♂作詞のハロプロ楽曲の男の主人公が採用されているケースは珍しい。女の子の主人公こそつんく♂の得意分野であり、その証拠に、女の子を主人公として描いた作品の数も圧倒的に多い。

試しに男の子の主人公の作品の例を挙げてみると、仲間を信じる気持を大切に勝利へ突き進む男の子の気持ちを歌った「流星ボーイ/Berryz工房」や、試合の応援に来てくれた“あこがれの君”に良いところを見せたい男の子の気持ちを描いた「シャイニングパワー/Berryz工房」などが代表的だが、この2曲がサッカー少年を描いたアニメのテーマ曲として書かれたものである。それほど、男の子の主人公の気持ちを綴った曲は少ないのだ。であればなおさら、ストレートでエネルギッシュに愛を歌う今回の新曲の“僕”には、「ホントにつんく♂さんから生まれてきたの?」と問い正したくなる。

プロデューサー目線の続投宣言?

あるいは、つんく♂から娘。たちへ、これからもしっかりプロデュースするぞという続投宣言ともとれる。

“You are my favorite girl,my one and only girl.”=“おまえたちの才能は本物や!プロデューサーの目に狂いはないで!(意訳)”

先の9月10日に発売された、がんとの闘いから声帯切除に至るまでを綴ったつんく♂の著書「だから、生きる。」には、ハロー!プロジェクトの総合プロデューサーの座から降りていたことが発表されていた。これは非常にショッキングなニュースであったが、モーニング娘。に関してはサウンドプロデューサーとして関わっていくことや、今でもハロプロを愛していること、そして、どうやらつんく♂の体と心は元気そうだということが本人の筆で伝えられたことは、大きな救いであった。つんく♂はもう、私たちが想像するよりずっとずっと前を向いているのだ。

“You got that cute and cool style And you like to move it wild”=“君はかわいくてクールで、自然体だね”

“君”へのリスペクトが感じられるこんな歌詞も、つんく♂が娘。に寄せる思いの表れだろう。この解釈が正しければ、曲から伝わってくるプロデューサー魂は相当だ。がんをやった人とは思えぬ復活の速さ、バイタリティに感服せざるを得ない。

世界のファン目線の娘。愛の横溢?

ん?それでもまだしっくりこない?じゃあこれはどうだ。

世界に散らばるモーニング娘。ファンからモーニング娘。たちへの、世界中からの愛の横溢だ。

昨年秋のNY公演の大成功を、当時がんの治療中だったつんく♂は現地で見届けている。「移動の飛行機内では、気圧の関係により治療箇所が気管を圧迫し、呼吸困難の危険がある」と忠告を受けながら、無理を押してでも現地NYに向かったのは、このNY公演が娘。の歴史において重要なマイルストーンとみなされることを見越していたからに他ならない。

そこでつんく♂が見たものは、世界一の大都市で見せた娘。たちの堂々たるパフォーマンス以上に、興奮のるつぼと化した客席だろう。日本のファンさながらにモーニング娘。への愛を爆発させるNYのファンを見たつんく♂は、「伝わった。」そう確信したに違いない。モーニング娘。が好きという気持ちが国境を越えた瞬間だった。

この世界中から娘。たちに愛が降り注がれるような光景にインスピレーションを受けたつんく♂が、日本に帰り、「きっとNYのファンはこういう気持ちなんやろな~」と、英語の歌詞にした。この曲はきっと、もっともっと多くの愛が世界から娘。たちに降り注ぎますように、もっともっと娘。たちが世界中に活躍の場を広げ、愛されますように、そういう願いを乗せた曲だろう。

であればこそ、今そして未来の世界で待っててくれている娘。ファンたちの愛をたっぷり受信して、そして、いつか娘たちが世界中のファンからこの言葉をかけられる日に期待を寄せて、こう正しく意訳したい。

“You are my favorite girl,my one and only girl.”=“推してます,大好きです!”

(文=puke)

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