ファン待望のJuice=Juice1stアルバム「First Squeeze!」 ショートレビュー

7月15日に、ファン待望のJuice=Juice1stアルバム、『First Squeeze!』がリリースされた。発売直後からその反響は大きく、早くも名盤との呼び声も高まっている。そこで今回は、この『First Squeeze!』をショートレビューしていく。バックグラウンドとなるべき音楽的知識の乏しさゆえ、純然たる音楽レビューではないが、ファン目線のレビュー程度のものとして読んでいただけたらうれしい。対象とする楽曲は通常盤アルバム収録曲のうち、未音源化のものとする。

<Disc.1> 『The Best Juice』

天まで登れ!

ハロプロ研修生のオープニングアクトでおなじみのこの曲を聴けば、誰もが楽しいライブが始まる直前の高揚感を掻き立られる。このアルバムでは、珠玉の名曲たちの始まりを告げる曲だ。こういったアルバムならではの演出がニクい。

<Disc.2> 『The Brand-New Juice』

CHOICE&CHANCE

ハロ!ステ#124にてライブ映像がすでに公開されているが、Juice=Juiceの楽曲史上、最も攻撃的なスタイルが似合う曲だ。髪を振りみだして激しく踊り力強く声を響かせて、ファンを巻き込んで会場ごとボルテージを上げていく様は℃-uteの「Midnight Temptation」に相通ずるものを感じる。

愛・愛・傘

しっとりと歌い上げるポップ調の一曲。すーっと伸びる五人の歌声とファルセットが心地よく、比較しながら聞いてみるとそれぞれの歌声に味があって趣深い。ライブでのスタンドマイクを使ったパフォーマンス、相合傘という切り口の設定、金澤朋子を筆頭に大人びた歌唱、などなど、どことなくかつての“タンポポ”を想起させる。作詞・作曲は中島卓偉。

生まれたてのBaby Love

Berryz工房の菅谷梨沙子さんがすごかったのは、どんな短いパートでも、独特のゆらぎで声に深みを持たせる卓越した技術だった(他にもたくさんあるけど)。一般的にビブラートってある程度長い時間延ばす音に対してかけられる技術じゃないのかと、私は思いがちだ。しかしこの曲のJuice=Juiceはどうだろう?曲中、高木紗友希、金澤朋子、宮本佳林はそれを平然とやってのけているじゃないか。そしてそのゆらぎを、曲の温かみのある雰囲気へとつなげている。このグループ、末恐ろしい。

選ばれし私達

作詞・作曲はつんく♂。ギターがラウドなロックに仕上がっている。Aメロにガイドボーカルが導入され、ライブでは掛け合いで盛り上がること間違いナシ。歌詞はJuice=Juiceのタイトルからもわかるように5人のセルフボーストと解釈できるが、彼女たちのパフォーマンスの向上とともに説得力が増した。とはいえ、さすがつんく♂の書いた歌詞だけあってなかなか難しいことも言っていて、解釈も一筋縄にはいかない。考察し甲斐があるなぁ。

GIRLS BE AMBITIOUS

ハロプロ楽曲によくみられる、フレーズごとに歌うメンバーがくるくると入れ変わる手法がとられている。この曲ではそれぞれのフレーズが、歌うメンバーに対応したちょっとしたエピソードになっている。やはりこの手の“自己紹介”ソングは楽しい。一番の歌詞より、「言われ続けてるあざかわを返上!」と歌うも直後の「カモォン!」が「あざかわ」になってしまっている宮崎さんがかわいすぎる!これも作詞・作曲は中島卓偉。

愛のダイビング

作詞・作曲は星部ショウ。植村あかりもブログで「『勇敢な愛のダイビング』っていう歌詞があるんですが。『You can a 愛のダイビング』ってかけてるのかな??と思うので!そこを意識して歌っています!」と指摘しているように、英語と日本語のどちらにも聴こえるような言葉遊びの要素が取り入れられた一曲。あれ、このライムのフック多めの歌詞ってもしかして・・・、と思い「臥薪嘗胆/アンジュルム」のクレジットを急いで参照すると、作詞こそgridoorだったが、作曲は星部ショウであった。分かりそうでわからない。一体誰なんだ、星部ショウ!

チクタク 私の旬

Juice=Juiceには珍しいポップでアニメっぽい曲調。ハープやストリングス、ピアノ、電子音をていねいにあしらった、おもちゃ箱のようなサウンド。ライブでは歌詞に合わせて変化する表情や細かいしぐさにも注目だ。彼女たちの演じられる曲調の振り幅の大きさを、改めて感じさせる。

未来へ、さあ走り出せ!

歌詞の中にユニット名“Juice=Juice”が登場する新たなアンセム。未来志向のポジティブな歌詞を力強く歌いあげる一曲。最新のJuiceは最高のJuice(どこかで聞いたことがあるのは置いといて)とはまさに言い得て妙。このニューアルバムも一曲一曲が最高の一杯になっている。であればこそ、進境著しい彼女たちの最新形からは常に目を離すことができないのだ。

続いていくSTORY

等身大の“Juice=Juice”がまっすぐなメッセージを歌いあげるスローバラード。MVでは高木紗友希がこみ上げる感情こらえきれず涙しているシーンも。5/2の初の中野サンプラザ単独公演では宮本佳林が涙を見せたのもこの曲。彼女たちは自分たちのことについてあまり多くを語る方ではないが、これからもファンには秘められた悩み、迷い、決意、喜び、悲しみの結晶として、大切に歌い育ててゆくことだろう。

<Disc.3> 『The Cover Juice』

Magic of Love(J=J 2015Ver.)

太陽とシスコムーンのカバー。トラックがupdate済み。この曲については今更多くを語る必要もあるまい。つんく♂もこう言っていた、「唄に説得力さえあれば、他は何も気にすることなんてないんだから。」

香水(J=J 2015Ver.)

メロン記念日の名曲のカバー。トラックは現在のハロプロEDM風にupdateされたが、つんく♂コーラスもしっかり残っているのがうれしい。ところで、曲中のラップ部分はだれだろう?どなたかわかる方、教えてください。

鳴り始めた恋のBELL

音楽ガッタスの代表曲のカバー。原曲と聴き比べると、ハロプロらしい癖のある歌いまわしがそっくりそのまま再現されている。肝心なところをしっかり抑えてくれているなぁ。ハロプロのファンのニーズを、こうやって理解して継承していってくれるのは本当にありがたい。

スクランブル

後藤真希のソロでの7枚目のシングルのカバー。つんく♂の青春っぽい歌詞の世界観と、みずみずしい歌声がマッチし、さわやかな印象の一曲となっている。「Ah 恵比寿駅 雨の日も 恵比寿駅」という自由律俳句のような歌詞はいつ聴いてもクセになる。宮本佳林の歌う「恵比寿駅」は、雨の音にも癒されルンルンで歩く「恵比寿駅」だ。

BABY!恋にKNOCK OUT!≪宮崎由加&金澤朋子&植村あかり≫

この曲といえば独特すぎる世界観が今なおファンの間で語り草となっているあのMV、もはや伝説と言って差し支えない衝撃映像だ。目をつぶって聴けば、ちゃんと宮崎・金澤・植村の3人がチューリップの根元のあたりから姿を現す光景が頭に浮かぶ。ライブでの熱いパフォーマンスに盛り上がりは必至だ。ぜひ早くライブで聴きたい一曲。

ラストキッス≪高木紗友希&宮本佳林≫

タンポポのカバー。この曲がカバーとして収録されることが発表され「こんな大人っぽい曲を!?」と思ってしまったが、そんな心配は無用であった。原曲に忠実なカバーという真っ向勝負を挑んでなお、今回のカバーが聴き劣りしないのは、高木紗友希そして宮本佳林の表現力が小手先のテクニックではないことを証明する。特に高木紗友希は、かなり意図的に歌い方を似せた上で原曲が好きなファンの評価を仰いでいるのではないか、なんて妄想をして聴いてみるのも面白い。

あとがき

揃いもそろってお前もか!、と言われるかもしれませんが、このアルバムは正真正銘の名盤ですね!おまけに本記事でレビューした以外のシングル曲で構成される強力な楽曲群も収録されているんだから、ファンとしては至れり尽くせりです。ところでレビューでも触れた「Magic of Love」ですが、やっと今回のアルバムに収録されたことで宙ぶらりんな状態から解放された気分です。一体いつ、どんな事情で、音源化がされなくなるかホントにわからないですもんね。あぁ、今年のひなフェスでハロプロメンバー総出演で歌われた「桜ナイトフィーバー」の音源化はまだかなぁ・・・。

余談ですがこの「桜ナイトフィーバー」は、もともとKANさんの楽曲だったわけですが、KANさんのホームページで“逆段階的試聴”なる実験的試みがされています。どういうことかというと、楽曲を構成する音色を一旦ばらばらにし、それらを段階ごとに重ね合わせた音源を順に聞いていくことで、楽曲ができるまでを追いかけることができるのです。解説も丁寧で興味深く聴くことができるので、興味のある方は是非。

First Squeeze!(初回生産限定盤B)(2CD+DVD付)

(文=puke)

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