つながってゆくストーリー ハロプロ研修生2017春の公開実力診断テストにみる明日のハロプロ

ゴールデンウィークも真っ直中の5月5日「ハロプロ研修生2017春の公開実力診断テスト」が実施された。

ハロプロ研修生公開実力診断テストは、2013年より実施されている研修生の実力診断テストであり、全員が自分が歌いたいと希望して選択したハロプロの楽曲で実力診断されることや、お客さんを入れて公開の形を取るだけでなく、参加してくれたファンも投票権を持っていることなどが特徴で、例年(ルックスやキャラ的に)人気のある研修生に得票が集まるわけではなく、それこそ「ガチ」で、実力がある、今後の伸び代が期待できると思われるメンバーに得票が集まるところが、いろんな意味で評価されてきた公演でもある。
この2017年も、先に創設されたハロプロ研修生北海道も巻き込んで(発表披露の順番抽選は、つばきファクトリーが代行)、大々的に、聖地中野サンプラザにて開催されたという次第。

しかるに、この2017年の「ハロプロ研修生 春の公開実力診断テスト」は、いろんな意味で、明日のハロプロを展望するような契機に満ちていたと言えるだろう。

第一に、研修生たちに明るい明日への展望が示されたことによって。
まずは、今回の実力診断テストの結果は、次の通りの評価が下っている。

ベストパフォーマンス賞 段原瑠々
審査員特別賞ダンス部門 堀江葵月、前田こころ
審査員特別賞歌唱部門 井上ひかる、山崎夢羽
審査員特別賞キャラクター部門 橋迫鈴
ベストパフォーマンス賞次点 川村文乃

この他にも、自分が歌いたいと希望するハロプロの楽曲を選択したということで、一人で披露するには余りに難しい曲を選ぶ者がいたりと(記事末にセトリ参照)、必ずしも「賞」の栄誉に輝かずとも、その気合いと攻めの姿勢は、これからを楽しみにさせてくれるものであったと言えるだろう。
そんな全般的な姿勢が、公開実力診断テストの本番前からスタッフ側には響いていたものか、上に示した例年の「賞」以外に、研修生たちに驚きのお知らせがもたらされることになる。

研修生リーダー指名 井上ひかる
ハロプロデビュー決定 一岡伶奈、段原瑠々、川村文乃
新部門デビュー決定 高瀬くるみ、清野桃々姫

これまでになかった「研修生リーダー」という立場が準備されたこと、正式なデビューが告知されたこと、従来の枠の外側で新しい形でのデビューが約束されたこと、これらは、これまでになかったという以上に、自分たちの去就について自分でも不安を払拭しきれない研修生たちにとって、実に嬉しい、安心できるお知らせとなったのではないだろうか。

ひなフェスのシャッフルやソロ抽選動画に仕切り役として登場した研修生はデビュー決定とのジンクスが継続中であることはともかく(こぶしファクトリーの浜浦彩乃がハマちゃん大佐として登場していたところ、2017年は清野桃々姫が登場していた)、先に研修生として長い経歴を誇った加賀楓がモーニング娘。13期メンバーに抜擢されていったように、経歴の長いメンバーが軒並み報われた形だ。

デビュー決定のお知らせが、登場してきた事務所代表の口から告げられるや、一岡伶奈は思わずしゃがみ込んでしまい、その背後にいた こぶしメンバーが飛び上がって喜んだと、現場からは報告されている。

そう、第二に、つい先日までは「研修生内ユニット」との冠がついていた、こぶしファクトリーと、つばきファクトリーが、研修生の実力診断テストにゲストとして参加して【自分たちの持ち歌】を披露したことによって。

もちろん「公開」実力診断テストであるからには、イベントとして成立させるために、集客のためのフックとして「客を釣る」ということは工夫されて然るべきところだ。しかし、そうした集客フックとして以上に、研修生たちにとって、そして研修生を卒業したばかりの若いハロプロメンバーにとっても、明日の自分と、今日の自分を省みる重要な契機になっていることは想像に難くない。おそらく、客席からファンが見ている以上に、ステージ上では錯綜した複雑な視線と覚悟の応報が繰り広げられていたのではないだろうか。そして、その覚悟の応報は、研修生たちにとってだけでなく、こぶしファクトリーと、つばきファクトリーにとっても、明日への強いモチベーションをもたらしてくれるものなのではないだろうか。

そして第三に、熊井友理奈、矢島舞美、中島早貴が特別審査員として参加していたことによって。

活動停止中の Berryz工房メンバーである熊井友理奈は、メジャーな地上波キー局のレギュラーを射止めたり、世界的なブライダルショーのランウェイモデルを勤めたりと、ハロプロから一番に遠いところで華やかにタレント活動を繰り広げているようでいながら、一方で、研修生の実力診断テストにゲストとして登場するのは例年のことであり、Berryz工房が活動停止してからも、年末年始のカウントダウンライブにMCとして2年連続で登壇したり、同期の℃-uteのDマガに登場したりと、ハロプロに一番に近いところでもファンに顔を見せ続けてくれているメンバーでもある。
そんな熊井と、この6月で解散する℃-ute の矢島と中島が同席したことは(それが℃-ute の他のメンバーではなかったということも含め)ファンの間に様々に憶測を呼んでいる。矢島と中島も、6月以降も、それぞれにソロとしてのタレント活動の傍ら、ハロプロの後輩とファンに関わり続けてくれるのではないか、と。

このように、研修生にとって嬉しい告知があったこと、研修生にとって直近の目標ともいえる先輩ユニットがゲストで参加したことが、双方にとって有意義な影響を与え合っていること、そしてハロプロを歩み去って行く大先輩たちが、その先の活動に含みを保たせてくれたこと…総じて、この2017年の「ハロプロ研修生 春の公開実力診断テスト」は、デビュー前からハロプロ卒業後まで、その大きな流れを介して、明日のハロプロを心強く展望するような契機に満ちていたと言えるのではないだろうか。

*****

記事末に、研修生たちが自分たちで選んだという披露曲の一覧を掲載するが、一見して目を惹くのは、その℃-ute 人気。
特別審査員として中野サンプラザに臨席していた矢島と中島は、自分たちの楽曲が、かくも研修生たちに選ばれていることについて、どのような感慨を抱いたのだろうか。

(文=椿道茂高)

01.ハロプロ研修生・ハロプロ研修生北海道/青春Beatは16
02.つばきファクトリー/独り占め
03.こぶしファクトリー/桜ナイトフィーバー
04.石栗奏美(北海道)/Only you (モーニング)
05.山﨑愛生(北海道)/チュッ!夏パ〜ティ(三人祭)
06.島倉りか/Be Alive (モーニング)
07.日比麻里那/ガラスのパンプス(後藤真希)
08.川村文乃/夢幻クライマックス(℃-ute)
09.工藤由愛(北海道)/チョット愚直に!猪突猛進(こぶしファクトリー)
10.北川亮(北海道)/Danceでバコーン!(℃-ute)
11.松永里愛/SONGS (モーニング)
12.江口紗耶/What is LOVE? (モーニング)
13.土居麗菜/今すぐ飛び込む勇気 (モーニング)
14.山﨑夢羽/Magic of Love (J=J 2015Ver.) (Juice=Juice)
15.井上ひかる/My alright sky(Buono!)
16.米村姫良々/都会っ子 純情(℃-ute)
17.西田汐里/Take off is now! (モーニング)
18.山田苺/MY BOY(Buono!)
19.前田こころ/好きすぎて バカみたい(DEF.DIVA)
20.児玉咲子/ロッタラ ロッタラ(Buono!)
21.佐藤光(北海道)/One・Two・Three (モーニング)
22.金津美月/アレコレしたい!(Juice=Juice)
23.清野桃々姫/Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~ (モーニング)
24.河野みのり(北海道)/Oh my wish! (モーニング)
25.高瀬くるみ/BABY! 恋にKNOCK OUT!(プッチモニ)
26.堀江葵月/忘れてあげる(アンジュルム)
27.小野琴己/赤い日記帳(あか組4)
28.橋迫鈴/まっさらブルージーンズ(℃-ute)
29.岡村美波/トロピカ~ル恋して~る(松浦亜弥)
30.中山夏月姫/愛する人の名前を日記に(Berryz工房)
31.野口胡桃/Take off is now! (モーニング)
32.太田遥香(北海道)/ちょこっとLOVE(プッチモニ)
33.一岡伶奈/ひとり占めしたかっただけなのに(℃-ute)
34.段原瑠々/Give me 愛 (モーニング)
35.つばきファクトリー/初恋サンライズ
36.こぶしファクトリー/闇に抜け駆け
37.ハロプロ研修生北海道/リアル☆リトル☆ガール
38.ハロプロ研修生/Say! Hello!
39.ハロプロ研修生・ハロプロ研修生北海道/女の園
40.ハロプロ研修生・ハロプロ研修生北海道/Hello!まっさらの自分
41.全員/彼女になりたいっ!!!

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