「長すぎ?」「マンネリ?」ハロコン二大論点への反論

「ハロコン」とは、夏と冬の年2回、ハロー!プロジェクトが行うコンサートの略称である。ハロプロ所属の全グループ・メンバーが集い、新曲やシャッフルユニットの披露などで楽しませてくれる。1998年から続いているが、現在のような形になったのは2010年から。歴史の長いイベントだけに、ネット上では批判的意見も散見される。それらについて、ゲストライターのプウク人間劇場氏が検証した。

ハロコンに対するファンの“本音”

お正月と夏の年に2回に行われるハロコン。最大の特徴はHello! Projectの全ユニットが一堂に会しライブを行うという点にあり、意外なメンバーの組み合わせや、ご無沙汰していた懐かしの名曲で、私たちファンを楽しませてくれる。今やハロプロを愛するファンにとっては、その季節には無くてはならない風物詩のようなものになっている。

ところが近年このハロコンについて、ファンの“本音”がツイッターなどに投稿されているのを目にする機会が多くなった気がする。それもどうやら私だけではないらしい。筆者の周辺では「新曲披露に時間を割きすぎている」、「公演期間が長すぎる」、「自分のそこまで知らないグループの出ている時間が多すぎる」,「ルーティン化しすぎている」などといった意見がよく聞かれている。なるほど、どれも正鵠を射ている。

正論であるだけに筆者も同調する部分は多いが、自分であれこれと考えずに「そうだそうだ!」と言うのもイヤだ。一部のファンはちょっとだけ我慢を強いられるが、頭を冷やして考えてみたら周りまわってハロプロ全体のためになってるんじゃないの?なんていうのもよくある話。というわけで、本記事では二つの話題をピックアップしてハロコンについて考えてみた。

ルーティン化しすぎ問題

ハロコンの変遷を知る

昔をよく知るベテランのファンの方ならご存知だろうが、2009年前後では“ハロコン”という言葉の指す中身が違う。2009年以降では、今の私たちのよく知っている、2パターンあって、だいたい2時間弱で、大ホールクラスの会場で行われるハロコンである。一方2009年以前のハロコンは、公演数は多くなく、公演時間は長く、横浜アリーナや代々木体育館と行った一万人規模の会場で催されていた。どちらかといえば今春の“Berryz工房祭り”や“ひなフェス”に近かったようだ。

現在の形になったのは、“Hello! Project 2010 WINTER 歌超風月 ~モベキマス!~/~シャッフルデート~”で、これがハロプロメンバー全員が出演し、セットリストが2パターンあるスタイルを採用した初めてのライブであった。これ以降のライブの公演期間、公演数、開催都市を書きだしてみた。いろいろと気付くところもあるものだ。

2015冬 1/2~2/15 全22公演(東京、大阪、愛知、広島、福岡、宮城、北海道)
2014夏 7/12~9/6 全20公演(東京、大阪、愛知、広島、福岡、宮城、北海道)
2014冬 1/2~2/16 全20公演(東京、大阪、愛知、広島、福岡、宮城、北海道)
2013夏 7/27~8/31 全22公演(東京、大阪、愛知、広島、福岡、宮城、北海道)
2013冬 1/2~2/3 全24公演(東京、大阪、愛知、福岡)
2012夏 7/21~8/19 全18公演(東京、大阪、愛知)
2012冬 1/2~1/22 全18公演(東京、兵庫、愛知)
2011夏 7/16~8/14 全16公演(東京、大阪、愛知)
2011冬 1/2~1/23 全20公演(東京、兵庫、愛知)
2010夏 7/24~8/8 全14公演 (東京、兵庫、愛知)
2010冬 1/2~1~24 全22公演(東京、大阪、愛知)

(筆者調べ)

公演期間を見てみると2012年夏あたりから伸び始め、一か月を超え始めている。ここ最近秋口に差し掛かって、「え!まだやってたの?」という私たちの感覚はあながち間違っていないようだ。2013年の夏に開催都市が一気に増えたことで、公演期間も長くなった。公演回数は最近であれば20~22が平均的といったところか。ここでまめ知識。2010年の冬のハロコンでは、1/2~1/10まで9日間連続の中野サンプラザ公演があった。当時はハロメンの体力を気づかう声や、お客さんが集まるのか心配する声も多かったようだ。

「ルーティン化している」はホントか?

さて、私たちの知っているハロコンのルーツが少しずつ浮かび上がってきたところで、「ルーティン化している」と言われるハロコンの中身についても触れたい。“ルーティン”=“お決まり”が生まれて定番化していく良さは確かにあるが、“お決まり”のハロコンもすでに通算11公演。ひょっとすると、悪さのほうが目立ってくる転換点に差し掛かっているのだろうか。

まずもっともよく指摘されるルーティン化は、新曲披露コーナーにあるようだ。友人の意見や、現場で偶然隣り合わせた見知らぬファンの人の会話でも、これが最も多い。一方で選曲のルーティン化を指摘する声も少なくない。以下に、去年行われた「Hello! Project 2014 SUMMER 〜KOREZO!〜」のセトリに対し寄せられた2ちゃんねるの投稿をまとめてみた。(KOREZOはシャッフルなしバージョン)

・ちょっとマンネリ化してきた
・地方住みだけど聴いたことある曲が多い
・定番曲が多くてうれしい
・演出より選曲が大事
・単独コン参加していない人は楽しめる
・メンバーの負担とスケジュール的な問題でこのセットリストが妥当

「ルーティン化」の評価は人それぞれで、肯定的な意見を書いている人も一定数いることがわかる。一方で否定的な意見をもっている人も確かに居るのだ。毎年同じものをやっているわけでもないのに、上述の指摘になぜか共感してしまうもどかしさはどこから来るのか?

そう、鋭い読者はもう気づいているかもしれない。否定的な意見をもつ多くの人は、“中身のルーティン化”と“形式のルーティン化”の二つが整理できずにいるのだ。結果的に、“中身のルーティン化”も頻繁にあったことのように自己暗示に陥ってしまっている。その主張するところをメタ的な視点でまとめると“形式のルーティン化が新しい変化の足枷になっている”となりそうだ。一度した思い込みはなかなか消えず、根深い。何とも人間らしく贅沢な悩みだ。

実際のセットリストを並べてみれば古参のファンも満足できるような往年の名曲も含まれているし(多いとは言えないが)、特に近年ではメンバー出入りも激しく、ハロプロの様変わりしていく様子も「ルーティン化」とは無縁である。にもかかわらず、何かモヤモヤとしたものを感じてしまうのは、“形式に飽きる”というの人間の性からくるものなのかもしれない。

しかしながら毎年、今までやってなかった新しいことも随所に散りばめられてはいる。アクロバットに挑戦したり(見てるこちらはヒヤヒヤするが)、“ハロプロ全員スキちゃん”という試みもされたりした。加えて、古い楽曲がブラッシュアップされる瞬間に立ち会える機会も増えた。例えば今年のハロコンにて、ハロメン全員で歌う「I know/松浦亜弥」(リリースは2002年9月19日!)がこんなに楽しいと誰が知っていただろう。(個人的にブラッシュアップしてほしい曲はたくさんある。宮本佳林さんに「私と私と私/松浦亜弥」、金澤朋子さんに赤いメガネをかけて「パープルウインド/モーニング娘。」を歌ってほしい。オネガイシマスオネガイシマスオネガイシマス!)

ひとまずのまとめ

ありきたりな結論になってしまうが、これも様々なファンの要求を平等に叶えるために必要なバランスの問題としか言えない。新曲を聴きたいファンもいれば、懐かしのあの名曲を聴きたいファンもいる。まことさんとハロメンが当たり障りのない感じで繰り広げる“事務所トーク”が見たいファンもいれば、団体ゲームでわちゃわちゃしているところを見ていたいファンだっているのだ。小見出しに“「ルーティン化している」はホントか?”などと勢い任せに書いておいて、歯切れの悪い結論となってしまったことをお詫びしたい。そして最後にネタばらしをすれば、この類の話は音楽やエンターテインメントにおいて半永久的な課題なのだと思う。真正面から触れるべきか、触れざるべきか。正直迷ったが、あと一歩のところでそれを抜け出しそうなハロプロのこれからに期待し、触れた。

ただ、“ひなフェス”が恒例化しつつあったり、今年は特別だが“Berryz工房祭り”が行われたりと、ハロメンの総出演するイベントが多くなってきている今、ハロコンの何らかの変化に期待するのも当然なのかもしれない。また、ハロコンの申し込みの時点では、そもそも2パターンになるのか、なるとしたらどういった日程になるのかが未判明であることが、今回取り上げたようなファンの“本音”を助長しているのかもしれない。

公演期間が長すぎる問題

ハロコンは全国を巡る

「公演期間が長すぎる問題」についてはちょっとした意見がある。結論から言えば、私はこの長さでちょうどいいと考えている。北から札幌、仙台、東京、愛知、大阪、神戸、広島、福岡を年に少なくとも一度訪れるため、2か月弱かかってしまうのは仕方がない。いや、正確にいえば、2カ月弱しっかりかけないといけないのだ

「ハロコンを1カ月で終わらせて、その分各グループの春ツアーに充てるべき!」という指摘もあるが、残念ながら、行って、やって、帰るだけのハロコンでは意味がない。極論ではあるが、“時間をじっくりかける”ことにこそ意味がある。根拠を以下に述べるが、ズバリ、キーワードは“やってきた感”だ。

ヒントはプロ野球にあり?

プロ野球のキャンプのように、おらが町にハロプロが“やってきた感”を出すのが有効なのではないかと考えている。首都圏に比べ、とにかく地方には娯楽がそう多くない。新宿や横浜といった大都市が当たり前のようにある環境で育った人にはわかりにくい感覚かもしれないが、アーティストやミュージシャンがライブをすること自体が生活の波なのだ。かくいう自分も地方の出身で、この“やってきた感”の威力は身をもって知っているつもりだ。さて、ここからちょっと野球の話を挟んでしまうが、ちゃんとハロプロの話に着地するのでご安心を。

ちょうどプロ野球の球団がキャンプを行っている3月ごろの沖縄に行くと、町全体が歓迎ムード一色だ。選手、球団関係者、ファンを歓迎するポスターをいたるところで目にし、地元の人々にも活気を感じる。タクシーの運転手さんに聞いても、「昨日は監督の○○さんを乗せたんだよ、本物はでかいんだねぇ」とうれしそうに教えてくれる。ファンであろうと無かろうと、キャンプ先で出会う人々を大切にしているのであろう。

規模や認知度を考えれば、プロ野球のように長期間にわたる大きな効果は生み出せないのは百も承知であるが、我が軍だって同じように“やってきた感”を出すのは可能だし、実際にちょっとずつだがそんな感じが出ている。野球のキャンプがざっくり3週間ほど滞在するのに対し、我が軍は長くても一週間。短い期間になってしまうので、もっと露骨に、大胆に、打って出ていいのかもしれない。

おらが町を“ハロプロジャック”だ!

hellocon

今冬のハロコンの札幌公演では、公演の約一週間前から札幌駅前通地下広場(通称 チ・カ・ホ)に写真のような巨大広告が掲出され、話題となった。これが、私の知っている言葉の限りを尽くして何とか伝えようとしている“やってきた感”を表す画像だ。“ハロプロジャック”ともいわれたこの光景は、普段の町で観ることのない非日常的空間を演出する装置になる。ローカルの路線バスに中吊り広告をだしたり、地元のテレビ局に出演させてもらったりしてもいいかもしれない(もちろん忙しいハロメンが忙しすぎてタイヘンにならない程度に)。裏返して言えば、地方では本当に“ハロプロ”を日常で感じる機会が少ないともいえるのだ。

土日のライブを控えた一週間だけでいい。自分の町の駅や、ラジオで触れる“ハロプロ”が非日常を演出する装置として機能し、期待感、ワクワク感を増幅する。週末のライブというクライマックスに向かって、気持ちが高まる。そんな一週間には、ハロプロが“やってきた感”があるハロコンが不可欠なのである。これが地方民代表気取りの意見である。

そろそろ・・・

今年の夏のハロコンも気がつけばそろそろスタート。私の町にもハロプロがやってくる!どうかイレギュラーな予定が入りませんようにと願い、日々更新されるスケジュール帳の8月のページとにらめっこせねば。

(文=puke)

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コメント一覧

1 : avatarアライブ名無しさん:2015/07/06(月)15:22:26

結局批判が多く出るのはDDが絶滅危惧種になったからじゃないでしょうか。
接触イベが増えて複数の箱を推すことが金銭的に難しくなり、箱増えすぎ問題で誰が誰だかわからずついていけない人が増え、ゴリ推し代もスタッフ数も足りていない為あちらを推せばこちらは推されずという状態で推しグループ以外は全部敵!みたいな人も増えましたし。
そういう人にとっては推しグループの出番が少ないハロコンは時間の無駄にしか思えないのでしょう。
単独のチケはそんなことないのにハロコンは初日以外はとんでもなく安くオクに出ていますしね。

2 : avatarアライブ名無しさん:2015/07/07(火)00:25:25

>推しグループ以外は全部敵
昔の狼じゃあるまいし
寧ろハロコンで家族連れや女性が増えてる現状からして
DDが減ったとか批判が多いとか何処見て言ってんだか
そういう新規に近い人が増えていかなければ未来は暗い
文句ばっか言って自分の推し以外は見向きもしないようなヤツの何処がハロヲタなの?
ハロコンの楽しさが感じられないようならヲタ止めちまえ

3 : avatarアライブ名無しさん:2015/07/07(火)10:02:07

ハロコンに興味あるけどチケット高いから行けない

4 : avatarしいのき:2015/07/09(木)23:22:40

チケット代=満足になってる人が少ないかもしれません、最近は新参の方が少し増える傾向でありがたいのですが今一つ拡大できないのは高額なチケット代がネックになってるはずです、当然今の高等なパフォーマンスという点では決して高くはないはずですが新参の方にもわかりやすい形で満足を与えられればいいのですが。2パターンに分けるのであれば1つは常連向け、もう一つは初級者向けとかならわかりやすいと思います。

あとせっかくの夏なので今まで鎖国状態だったハロが℃-uteを筆頭にフェスなどのイベントに出てるので一度でいいので積極的にそういった外向きの活動にあてるべきです、せっかく多少いろんな地方にまで広がったハロコンはそのままでいいので少しでいいので外へ目を向けないと新しい顧客獲得を得られないと思うのです。℃-uteだったらTMつながりでイナズマロック、湘南乃風つながりでフリーダム青空とかいくらでも潜り込めるチャンスはあるはずです。事務所が今のままでいいと思うならしょうがないですが、そういったことを軽んじると横アリや代々木第一へは帰れないと思います。

5 : avatarアライブ名無しさん:2015/07/19(日)00:47:04

ハロコンの対極といえば、メンバーのバースデーイベントだと思いますが、このイベントがあまりに感情を動かされるのに対して、ハロコンがさほど感情を揺さぶられないのではないかという危惧はあります。

 そもそもハロコンとはハロープロジェクトの総力を結集したコンサートなはずなわけですが、メンバー個人に対する愛着が強まるほど、その推しメンの扱いがハロコンではその程度かという嘆きもあるので、感情移入しにくい。要するに一冊の本を熟読するか、でかい図書館で拾い読みするかの違いぐらいあるわけです。

楽しみ方の違いということであって、若干残念なのがもう少し広告、大箱などでテコ入れすれば、ハロコンがお祭りのように楽しめるのではないでしょうか。

ただ今年は福田さんの最後のハロコンなので、他グループのファンもみんなで見守ってあげたいですね。福田さんの愛したハロプロ。スマイレージ、Berryz工房のおもいで。何よりも彼女の歌はすばらしい。

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