モーニング娘。’18 小田さくらと佐藤優樹に見出す”プラチナ期”の2人

モーニング娘。’18の春ツアーは、3月17日の八王子公演よりスタートし、つづく豊橋、松戸での公演を順調に消化している。ツアータイトルは「モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2018春~We are MORNING MUSUME。~」。年度と季節の表記が変わったことを除けば、昨年の秋ツアーと全く同じタイトルであるが、そのタイトルの連続性とツアーの内容は、今のところ無関係のようで、全く新しいツアーが始まったと捉えてよかろう。

この2つのツアーの間には、二枚のアルバムのリリースもあった(正確には『⑮ Thank you, too』は2017秋ツアーの終了前のリリース)。

この二枚のアルバムには、つんく♂作詞作曲の、いわゆる”スルメ曲”も多く収録されている。”スルメ曲”の音源化はホントに大事だ。自分のペースで好きなだけスルメを噛める。「CHO DAI」なんかは、けっこう噛んだ。けっこう噛んだだけあって、旨みはすごい。

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3月24日、松戸夜公演。

ちょうどいい感じに旨みの出てきた”スルメ曲”たちを、ナマで聞いてやるんだ!と息巻いて、松戸森のホール21へ向かった。迂闊だったのは、文字通り”向かった”だけだったこと。最寄駅は松戸駅では無かったのだ。

最寄駅はJRだと、新八柱駅で、新京成線を使うと、八柱駅。あとで調べたのだが、新八柱駅は、”しんやはしらえき”で、八柱駅は、”やばしらえき”とのこと。駅名の読みがわからないのと、開演に間に合わないかもしれない不安とで、焦った。焦って、焦って、走った(つばきファクトリー風)。結局、開演に間に合ったから良かったものの、初めての会場は時間に余裕を持っていくべきだなぁ。

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ライブは最高だった。旨みの出てきた”スルメ曲”を堪能した。でも実は、もう一つ、テーマを持って観ていた。

「去年ごろから、小田さくらが高橋愛に、佐藤優樹が田中れいなに、重なって見えてしょうがない。それは、一体なぜだろうか?」

この感覚を説明するための、説得力ある根拠が欲しかった。

思い返せば、去年は連戦連敗だった。同意を示してくれる人が、ほとんどいないのだ。「あぁ。」と生返事をされたこともあれば、「たすき、つないでるんやね」と軽くあしらわれた(?)こともあった。良くて「小田ちゃんはちょっとわかるけど、まーちゃんは・・・」という程度。自分でも感覚的な説明しかできないもどかしさはあった。

それでも今日もきっちり、小田さくらは高橋愛に、佐藤優樹は田中れいなに、重なって見えた。

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高橋愛は、潔さを感じさせる人だった。例えば、こんな有名なエピソードがある。

卒業公演を終えた直後の高橋愛のもとへ向かったつんく♂が、記念撮影をしようと提案した時のことである。彼女がスッピンだったことにつんく♂が気を使ったところ、「スッピンですけど、別にいいですよ!てか、一緒に撮ってくださいよ!」と応じたという。のちにブログで「根性あるねぇ、ほんものの美人は違うな。」と彼女のことを評している。ステージの上ではもちろん、それ以外でも自分を表現するその仕方がさっぱりとしている人だ。

小田さくらにも、これに通じるものを感じるのだ。デビュー以来、継続的にみられるデコ出しスタイルは、その象徴といえよう。何一つ隠すことなく自分の素顔をさらけ出し、細かな表情筋の動きも、彼女の表現手法へと昇華する。「スッピン歌姫」オーディション最終合格者の名は伊達じゃない。

ステージの上での役回りも二人は似通っている・・・なんて今更言うまでもないか。テクニカルな面でムズかしそうな歌唱パートは、その多くが小田さくらに任されている。誰もが舌を捲く仕事っぷりでも、小田さくらはへっちゃらな顔している。難しいこともできるから余裕があるんだ。余裕があるから、任されるんだ。任されるから、小田さくらなんだ。小田さくらに求められる仕事は、「役割・小田さくら」なんだ。こんな代替不能な役回りって、高橋愛そのものじゃないですか?

そして佐藤優樹。

今やモーニング娘。’18の歌には不可欠なのは、誰もが認めるところ。となれば当然、ライブでは歌割の多いメンバーである。佐藤優樹はかつての田中れいながそうであったように、この歌割の多いメンバーにのみ与えられた、いわば”特権的”なパフォーマンスが洗練されてきた。例えば、自分の歌割りであえてカメラからナチュラルに目線を外す所作。ダンスパフォーマンスを披露する”本体”からしれっと抜け出して、自分の歌割りを終えると、しれっと”本体”に合流する。そんなちょっとした過程にも、田中れいなみたく貫禄が出てきて、独特の雰囲気があるんだ。

そして、見た目の面でも。春ツアーに突入して、まーちゃんなんか、まゆ毛の感じが変わったように見える。モニターに抜かれるとわかる、あの薄く、鋭く、角度のついたまゆ毛は、ますます田中れいなそのものじゃないか。

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てなわけで、小田さくら、佐藤優樹の現役モーニング娘。の二人は、いわゆるプラチナ期のコアとしてモーニング娘。を支えた高橋愛、田中れいなの二枚看板になぞらえるのが相応しい。ちゃんと説明したから、コレ堂々と主張していいよね。

さて、この主張に対する賛否はともかく、形を変えつつも存在し続けるモーニング娘。というグループに、かつてのOGの輝きを見出す。これこそがモーニング娘。の醍醐味ではないか。

(敬称略)

(文=puke)

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