Juice=Juiceが長いミッションの果てに手に入れたもの【レポ】Juice=Juice LIVE MISSION FINAL at 日本武道館

2016年11月7日、Juice=Juiceにとって初の日本武道館公演となる「Juice=Juice LIVE MISSION FINAL at 日本武道館」が行われた。

そもそもJuice=Juiceは全国各地でライブを220公演を行うことをミッションとし、2015年6月21日の横浜公演を1公演目として、2016年10月29日の沖縄公演(225公演目)をもって全行程を終了。496日にして目標を達成した。あくまで参考記録ではあるが、ハロー!プロジェクトの先輩であるBerryz工房が2004年3月3日のデビューから、2012年の浦安市文化会館での春ツアーで200公演を迎えた日数2943日と比較すると(キャプテン清水佐紀も当時ブログで報告した)、このペースがいかに驚異的であるかが明白である。

本稿では、そのミッションのゴールであり、クライマックスにも位置づけられる日本武道館公演の模様をレポートする。

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Juice=Juiceにとって初の武道館公演ということもあり、どこかそわそわとしたファンの雰囲気を和らげたのは、当のJuice=Juiceメンバーだった。スマホ用アプリでギリギリまで配信されていた生中継の様子がステージ上のスクリーンに映されたのだ。五人そろって円陣を組むと金澤朋子と宮本佳林はスタンバイのため移動し、カメラは暗幕の向こうへと向かうまでを見届けると、ここで配信は終了。会場が暗転し、サイレン風のSEがかかると依然注目の集まる中央の巨大スクリーンに照射されたレーザービームは、Juice=Juiceメンバーのシルエットをなぞる。今度は「ARE YOU READY?」の文字が投射。同時にスクリーンの向こう側にスポットライトを浴びた5人が現れ、1曲目は「選ばれし私達」でライブがスタートし、オープニングでは「ロマンスの途中」を含む4曲を披露した。

ここで自己紹介MCをサクッと挟むと、息つく暇もなくテンポよく次の曲へ。たとえここが武道館であろうと、伝えたいことはパフォーマンスで伝えるのが、Juice=Juiceが220公演で培ってきたライブの流儀である。5曲目はJuice=Juice随一のキラーチューン、「イジワルしないで抱きしめてよ」。ところで先の10月10日(Juice=Juiceの日)の川口公演では「イジワルしないで抱きしめてよ」および「ロマンスの途中」は封印されており、聴きたきゃ武道館に来い、というメッセージを暗に送っていた。匂い立つような音楽的エッセンスを込めて披露されたその2曲の完成度は、もはや完熟の域に達したと言えよう。

この「イジワルしないで抱きしめてよ」から、途中にダンスパフォーマンスをはさんでの11曲連続でのパフォーマンスを披露した。休憩は一切ナシで56分の長丁場であったが、疲労を一つとして感じさせない安定感は踏んできた場数の多さの賜物だろう。

そしてライブは後半戦へ。Juice=Juiceの自己紹介ソング「GIRLS BE AMBITIOUS」では、宮本佳林の「♪何気に“伸びちゃった”ショートカット でもこっちの方がかわいいよねえへへっ♡」というアドリブに、脊髄反射とも言うべき早さで歓声が。なるほど宮本佳林のかわいさに本能が反応しているのか・・・と感心している間もなく、「私が言う前に抱きしめなきゃね」、「Magic of Love」と初期からJuice=Juiceの輪郭をかたどってきた楽曲が続き、本編最後は「KEEP ON 上昇志向!!」で終了した。

アンコールでは、「五月雨美女がさ乱れる」、「続いていくSTORY」の2曲を披露。さらにダブルアンコールにも応え、「Wonderful World」で、長い225公演の旅路を終えた。

さて、計25曲、2時間半を超えた、どこを切り取ってもアツいライブから、ベストアクトを三つほどピックアップして。

『大人の事情』

静寂に包まれた武道館は、ときに宇宙空間のように冷たく張りつめた表情を見せる。「大人の事情」の大サビ直前、張り詰めた空気の中で、1万人の成す八角形の中心に立つ宮本佳林はブラックホールのごとき引力で1万人の耳目を、集中をひきつける。そこから放たれる一筋の細く繊細な歌声を、幼なじみに抱く恋心と、大好きな歌って踊るということの二者択一を迫られ、葛藤する悲哀がつたってゆく。そう、誰もがドラマ「武道館」の世界に引きずり込まれた瞬間であった。引きずり込んだのは、他でもない、宮本佳林の「パフォーマンス」であった。

『Magic of Love』

太陽とシスコムーンによる原曲を、アレンジを一新してJuice=Juiceが引き継いだこの曲は、武道館でも規格外の感動を巻き起こした。曲自体が持つ威力と、歌う人が持つ威力が、ガッチリと噛み合って聴く者の心を打つ。泣く子も黙る「Magic of Love」、いや、いっそのこと「泣く子も黙る Magic of Love」という曲名でJuice=Juiceの歌だったことにしたいとすら思う。

ハイライトは1番と2番の間奏で、「♪Magic of Love」とシャウトした宮本佳林は、既に移動しているメンバーを追いかけ、ステージ上手から下手へと猛然とダッシュ。2番の歌いだしに間に合うの、佳林ちゃん!?なんて心配は無用。走りながら、まるで走っていないかのように安定して歌ったのだ。しかもこれ、曲順で言えばライブ本編の最後から2番目だというのに。武道館の上手から下手へと推定距離50メートルのミヤモトダッシュ、伝説として語り継がれてゆくことは疑うべくもない。そしてもう一つ。「♪どうしよう どこにいるの?」と歌詞に合わせてキョロキョロと周りを見渡すおとぼけゆかにゃのすぐそばで親指を立てて自分を指し、口パクで「ここよ〜」と金澤朋子。口パクで「いたよ〜!」と宮崎由加。歌っていない時でも楽しませてくれる二人のミニコントにも拍手!

『Wonderful World』

「この世界は スバラしいよね なんて大きな愛に包まれているの!?」

ちょっぴりストレートすぎて照れくさいこの曲の歌いだしも、今日の幸せな武道館のライブには、むしろ丁度いいくらいであった。Juice=Juiceがこの日、最高のライブという形でファンにくれた大きな愛。ファンが声援でJuice=Juiceに送った大きな愛。ダブルアンコールで「歌ってー!」と客席にマイクが向けられると、オケが消え、Juice=Juice ファミリーの大合唱だけが武道館に響いた。「この世界は スバラしい」と本気でうたえるこの夢のような時間が1秒でも長く続くようにと、惜しむかのような歌声は響いた。

(*ここまで敬称略)

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宮崎由加

ふにゃふにゃとしゃべるMCは今日も平常運転。ゆかにゃのあざかわここに極まれり、といったところで、「いまちょっと噛んでなかった?笑」とツッコむのも今では忘れるほどだ。知らず知らずのうちにわたしたちファンは、あざかわの許容範囲をじりじりと広げられているかもしれない。さて、225公演の道のりをひとりも欠けることなくゴールを迎えられたのは、いつも困り眉で優しく微笑むゆかにゃの懐の深さゆえに違いない。こんな時こそ改めて言いたい。あなたがリーダーでよかった、ありがとうゆかにゃ。

金澤朋子

病気のことを発表して、Juice=Juiceとしての活動を続ける道を選んでくれてありがとう。MC中にも「心配をかけた」「迷惑をかけた」と、かなともが口にするたびに、ファンは「そんなこと気にしないで。続けてくれてありがとう!」とは思っていながらも、直接それを伝える時間も機会もなかなか無いわけで。かといって、言葉でそのまま伝えるのも何となく粋じゃないわけで。であれば、やっと、この武道館公演で見た景色で、そんなファンの思い伝わっただろうか。辛いことを乗り越えたその分、人に優しくなったように感じる金澤朋子は、何があろうとJuice=Juiceに必要不可欠だ。

高木紗友希

声を出す所作が洗練されていて、完全にシンガーのそれである。おそらく技術的には、マイクを口元に近づけたり、離したりして、マイクに伝わる声をコンロトールしていると思われる。時にはほとんど目をつぶった状態でフェイクを入れるのがサマになりすぎていた。「アタシの歌声 いけてるでしょ?」と言わんばかりの渋い表情のあとに浮かべるの笑顔には、DVDmagazineで見せる、おふざけ大好きさゆべぇも健在。このギャップが最高だ。かねてより目標に掲げていた「筆づかいのような声」も達成した。多彩な表情の声色をときに繊細に、ときに大胆に使い分け、武道館という最高のキャンバスに歌声の虹をかけた。

宮本佳林

Juice=Juice ファミリーの心配はそっちのけでペース配分無視のパフォーマンスを完遂した。「感謝の気持ちパフォーマンスで返していきたい。」「パフォーマンスで信頼関係を築いていきたい」「またライブに来たいと思ってくれることが最高のレスポンス。」という宮本佳林三ヶ条を常々口にする彼女。そのパフォーマンスは、体力やスタミナ云々だけでは語るには失礼だろう。宮本佳林を突き動かす原動力は、熱い気持ちなのだ。

「Wonderful World」では、アカペラで合唱するファンが繰り返しの有無で戸惑ったのを見て、歌い続けるよう促した。客席の反応をみて臨機応変の対応をした佳林ちゃんは頼もしかった。

植村あかり

ジム通いやランニングで、数少ないオフも返上で肉体改造を行っていることをさらっとブログ等で逐次報告していた。クールに見られがちでもハートは熱いのだ。自分の決めたことは、自分の納得いくまでやる植村あかりさんは、普段はあんなに自由奔放なのに、じつは相当な頑固(ですよね?)。4年前のどこか不安げなまなざしを観客席にやるあかりちゃんはどこへやら、華やかなオーラを全身に纏い堂々たるパフォーマンスで観客を圧倒する姿はカッコいいですよね。

本編ラストMCでは「そうですねぇ、もうほぉんとに~~~ですしぃ、・・・・そうですねぇ、いやぁ~~~・・・」と植村節全開で、上手い着地点の見つからないトークに自分で苦笑い。プレッシャーのかかる武道館ライブも終わりが見えてきた安心感からか、いつものあの感じのうえむーが戻ってきてファンもうれしい苦笑い。パフォーマーとして見違えるほどの成長を遂げた一方で、数年前と変わらないいつものあの感じのうえむーの一面も残っていてホッコリしたファンも多かったに違いない。

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難易度:高、報酬:不明。”日本全国で220公演を行う”というミッションを掲げた当時は、その数字の大きさに、ミッションを達成した向こう側に何を得るのかを知るはずもない。ゆえに不安も少なくなかったであろう。ところが、目指すべき方向は、思いのほか早く定まった。よりよい歌を届けること、よりよいダンスをみせること、ライブの完成度を高めること・・・。これらに真摯に取り組んだ結果として、今のJuice=Juice、ないしは武道館公演のパフォーマンスが形作られたと言っても、言いすぎではなかろう。Juice=Juiceは長いミッションの報酬として既に、自信に充ち溢れたパフォーマンスを、Juice=Juiceの生み出す音楽を愛するJuice=Juice ファミリーを、手中に収めている。

Congratulations for the mission complete!!!

(文=puke)

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