モーニング娘。’18、『FNSうたの夏まつり』で DA PUMP とのコラボが示した真の実力とは?

2018年7月25日に放送されたフジテレビ系『FNSうたの夏まつり』にて、”DA PUMP” と “モーニング娘。’18” のコラボレーションが実現して話題を呼んでいる。

“DA PUMP” とコラボレーションが実現したこと、このコラボが繰り広げられた『FNSうたの夏まつり』がスマッシュヒットともされる高視聴率をマークしたこと、いわゆる “外の仕事” で、モーニング娘。’18 が非常に好意的に扱われたことなど、ファンが喜ぶ要素も多い今回のコラボ劇だが、それ以上に、画期的なことがいくつも重なって、このコラボ劇は、今後のハロプロの戦い方、外への押し出し方を示唆するものとなったのではないだろうか。

U.S.A. FNSスペシャルver. by DA PUMP × モーニング娘。’18

DA PUMP にとって約3年半ぶりのシングルとなる『U.S.A.』、すでにその紹介VTRの段階で “ハロヲタ” のコールについて説明されてからの披露となった。
DA PUMP によるパフォーマンスが一段落するタイミングで、本来の『U.S.A.』にはないはずのモーニング娘。のフリ付を ISSA以下のメンバーたちが軽くコピーしてくれて、モーニング娘。’18 が呼び込まれる。

そのまま、DA PUMP と モーニング娘。’18 によって『U.S.A.』がパフォーマンスされ、あの特徴的なダンスを画面一杯に繰り広げ、ISSAの「さいこー!」とのコールでキメのポーズを全員で。
と、ISSAの少し斜め後ろに位置取っていた牧野真莉愛へカメラのフォーカスが移動して、モーニング娘。’18 の新曲『Are you Happy?』へと連続し、さらに『ザ☆ピ〜ス!(updated)』のダイジェストが続けて披露された。

モーニング娘。’18 としても、DA PUMP とのコラボだけでなく、最新の新曲から、かつての鉄板曲を現役のメンバーで披露する機会を大きな舞台で与えられたこと、さらにはその経緯を説明するVTRでの紹介も非常に好意的な取り上げられ方であったこと、こうしたことから、このコラボ劇にファンが喜んでいる。

DA PUMP とのコラボが実現するまで

しかし、このコラボ劇については、単に “外のビッグネーム” と友好的に共演できたというだけでは終わらない。

DA PUMP は、ライジングプロダクション所属の、男性ボーカル&ダンスグループで、一流のパフォーマーとして、それこそハロプロに匹敵する歴史を誇る。どころか、バックダンサー時代を考慮するなら、その歴史は、今年20周年を迎えるハロプロを凌駕する。その長い活動歴にあって、メンバーの入れ替わりや一時活動停止などの激動を経て、新しいメンバーを迎え、個々のメンバーがそれぞれにダンサーとしても活躍しながら、グループのイコンとしてのリーダーISSAのもと、根強い人気と実力を示し続けている。

この DA PUMP が、約3年半ぶりとなる『U.S.A.』のリリースにあって、その曲調(『U.S.A.』という曲名でありながらのユーロビート/いわゆる “ダサカッコ良い” 感じ)が、ハロプロの楽曲に良く似ていると一部のハロプロのファンが SNS を中心に盛り上がることになった。曲調がハロプロに似ている、ハロプロのコールがマッチしそうだなど、こうしたことでファンが盛り上がるだけでも珍しいが、その盛り上がりは、これだけで終わらなかった。

実際に、DA PUMP 『U.S.A.』に “ハロヲタコール Ver.” を作ってしまうファンが現われただけでなく、このことが DA PUMP 側のファンにも好意的に受け取られ、挙句には、なんと DA PUMP メンバー本人たちも SNS などで、このことを取り上げ、嬉しげにコメントするに及んで、事態はネットを飛び出して現実に浸透してゆく。

この『U.S.A.』を引っさげて各地を巡回する DA PUMP のリリースイベントの現場で、実際にコールを入れるファンが現れ始めたのである。それどころか、現場でのコールをめぐって、ハロプロと DA PUMP の、双方のファンがネット上で交流して、コールがアップデートされてゆく始末。

そんな中、DA PUMP のリリースイベントは、6月6日、池袋サンシャインの噴水広場での日程を迎えることになる。
サンシャイン噴水広場といえば、ハロプロのリリイベの聖地であり、ハロプロのファンにとっても、ある意味のホームである。それだけではなく、この時期、モーニング娘。’18 は、池袋サンシャイン劇場で舞台公演中(演劇女子部「ファラオの墓〜蛇王・スネフェル〜」)であり、多くのファンがそのまま噴水広場に向うことが可能であるという好条件に恵まれていた。さらには、なんと、舞台の合間にモーニング娘。’18 メンバーもまた噴水広場のリリイベを見学に訪れ、DA PUMP、ハロプロ双方のファンだけでなく当のメンバーたちがリアルに交流してしまうという、なんとも微笑ましくも前代未聞の場面が展開されることになる。

この噴水広場でのリリイベにあっては、ハロプロのファンが入れるコールについて、リーダーのISSAが「コールが小さい」として一旦音を止めるという一幕もあり、後に、ISSA自身、この日のイベントについて期待していた旨、語ってもいる。(「コールが始まった瞬間に、これは絶対1回止めてやろう!と(笑)」(ISSA)

こうした経緯があった上で実現した『FNSうたの夏まつり』でのコラボレーションであったというわけで、この経緯には、いくつもの画期的なポイントが指摘できる。
これまでならば、”外” のアーティストと絡むことについて、ファンは必ずしも好意的な反応を見せていたわけでもなかった(それはハロプロと絡む”外”のアーティスト側のファンも同様だった)が、今回のコラボ劇には、双方のファンが積極的に関与していることも、その交流経緯の最初から最後まで、好意的で友好的に進捗したことも、大きく銘記しておくべきことだろう。

ISSAの左にいる子の体幹は、どうなってるんだ!?

そして、このコラボレーションの実現によって、おそらくは、双方にとって良い影響が及ぶことになるだろう。

事実、すでに『FNSうたの夏まつり』の放送によって、これまでモーニング娘。’18 を知らなかった視聴者にも、強烈な印象を残すことに成功している。

10期メンバー石田亜佑美について、”いったい、あの子の体幹はどうなってるんだ!?” との感嘆の声も確認できる。”ISSAさんの左側でイイネダンスしてるモー娘のメンバー、メチャクチャ上手い“、 “ダンスすごいな、ビックルするくらいのキレ“、 “ISSAさんの左でダンスしてる子、誰よりも全力!” など、多くのファンがライブの現場で感じていることが、ついに広く世間に周知されてしまった。

ダンサーであるだけでなく指導者の一面も持つ DA PUMP メンバーの率直な評価を聴いてみたいとする声もあるほど。

ある種の韜晦ではあれども、従来であれば “見つかってしまった” という形で、自分たちだけが理解していたつもりのハロプロの実力、それが広く世間に知れ渡ることについても、必ずしも肯定的には受け止めてこなかったハロプロのファンだが、この点でも、先の好意的で積極的なファン交流と同様、”だろ?“、 “びっくりしたろ?“、 “これはCMが来てしまうかもしれんな” と、嬉しげな反応が大多数を占めているようだ。

ハロー!プロジェクトの真の実力

こうして実現したコラボレーションで、モーニング娘。’18 の実力が広く知らしめられ、少なくとも『Are you Happy?』へ切り替わるときにアップで抜かれた牧野真莉愛の愛らしさも広範囲に伝わることになっただろう。
注意深い視聴者であれば、森戸知沙希の美少女ぶり、生田衣梨奈の美女ぶり、小田さくらのインベーダーフォーメーションのガチさ、飯窪春菜のJOJOっぷり、佐藤優樹の堂々としたステージ巧者ぶり…などに目を留めた者もいたかもしれない。

しかし、先日の “関ジャニ∞” との共演となったTV 朝日『関ジャム』での20周年を取り扱った放送回のことも併せ考えるならば、ハロプロにあって印象深いのは、実力のある一流のエンターテイナーたちにリスペクトされるところ、現場に熱心なファンが多いことが際立つということだ。
ハロー!プロジェクトの真の実力は、ダンスでも歌唱でもステージングでも、身体的なスキルでもなく、それこそ現場でプロの仕事に徹している一流の仕事人たちからこそ愛されること、このことではないだろうか。

今回の経緯をひとつの経験として、20周年を越えて展開していくハロー!プロジェクトの実力の響く先を、今後も注視していきたい。

(文=椿道茂高)

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