BEYOOOOONDSの新曲『こんなハズジャナカッター』がアイドル史に残る革命曲である理由

BEYOOOOONDSの新曲『こんなハズジャナカッター』は、アイドル史において革命的な歌として残るだろう。それほどの名曲である。なぜか。

その説明のためにはまず小泉今日子の「なんてったってアイドル」に触れなければならない。この曲がアイドル史の中で革命というのは最早定説であろう。何故革命なのか? それは、アイドル自身がアイドルで在る事をぶっちゃけた歌だったからだ。

「恋をするにはするけど スキャンダルならノーサンキュー
イメージが大切よ
清く 正しく 美しく」

アイドルというのは、理想像に近づけた偶像でなければならないのに、アイドル自身が心の深層をこうまで暴露した歌というのはかつて無かった。だから革命だったのだ。
それからのアイドル史、なんでもありの楽曲が細く長く続いていくが、小泉今日子の『なんてったってアイドル』を超える革命的な歌というのはなかったように思う。

アイドルには所詮ぶっちゃける術がない。壊し方が難しいからだ。何が革命なのかも分からない。
しかしビヨーンズの新曲『こんなハズジャナカッター』は あれから36年もの時が過ぎ、アイドルがとうとう革命的な歌を更新した。一聴してこれはとんでもない事になったと思った。

なんでもありが増えたアイドル史と言ったが、中でもビヨーンズはそれが突出していた。なんせ、デビュー曲から寸劇である。奇天烈奇怪なところがあった。そしてそれを「こんなはずじゃなかった」と歌うのである。「普通の曲 歌わせて下さい」と歌うのである。なんでもありが過ぎて道なき道を進んでる八方塞がり、こんなアイドルは嫌だと自身を否定している。

私は「革命の更新とはこれだったんだ」と感嘆した。つまり、アイドルがこんな歌は歌いたくない!普通になりたい!こんなアイドルは嫌だ!と否定する事が、『なんてったってアイドル』以降にアイドルがしなければならない革命だったのだ。

実際こうまで全否定したアイドルソングはかつてない。この革命更新の偉業だけでも聴いてて泣けるんだが、この歌のさらに凄いところは最後はそんな自分達を肯定してるところだ。

「道は探すものではない 作るものなのだ」

カワイイって言われたいだけのアイドルになれないかも知れないけど、変な歌唄いまくろうと、唯一無二で突っ走る、それが自分らのアイドル道だと宣戦布告してる。
道なき道でも道を作るんだと。
革命でありながら泣けて仕様がない、大・名曲である。

どの世界でも革命的なものなんて簡単に出来るものではない。アイドル史においてもそれが36年ぶりにようやく誕生した。私の心は今、そんな感動で溢れている。

(文=フシアナ)

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