Juice=Juice 植村あかり バースデーイベント 2019 〜ロングがかわいいうえむーの仕掛けた秘密工作〜

物事には”表”と”裏”がある。”表”で繰り広げられることは、時に単純で、それ自体が完結性を有していることも多いが、”裏”を知らなければ、物事の本質を捉え損なうこともある。

Hello!project 2020 winter 1月25日 大阪昼公演。

「Juice=Juiceの植村あかり~。今日は皆に聞いて欲しい事があるの~!(なーにー?) こんなに髪切ったのに何で気付かへんの!もう帰り!」

ハロプロメンバー総出演でパフォーマンスされる「ニッポンノD・N・A!/BEYOOOOONDS」の間奏のセリフパートで、回替わりのセリフ担当を任されたのが植村あかりさん(以下、うえむー)だった。

こちらのハロコンでの出来事を”表”とすれば、”裏”に当たるのが、前日の24日に開催された、植村あかりバースデーイベント in 大阪 の、ある一幕であると言えよう。バッサリ髪を切り、ボブになったうえむーを写したポラロイド写真の進呈にあたり、本人より直々に箝口令が敷かれたのだ。「ポラロイド写真は物的証拠になるので、TwitterとかSNSにはあげないで。インスタでイベントのコメントしてくれるのはいいよ(非公開のメッセージが送れるため)。ブログのコメントではロングかわいかったよって書いておいて!」とのこと。ただ、その場では、その理由には一切触れなかったため、不自然さを感じた参加者たちは、翌日のハロコンの出来事に触れ、膝を打った。

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植村あかりバースデーイベント(代々木)、そして、植村あかりバースデーイベント in 大阪 に行ってきたので、そのご報告をさせてください。代々木のほうは、司会を務めてくれた上々軍団の鈴木啓太さんが自身のブログでレポを、かなり詳しめに、綴ってくれているので、イベントの内容についてはこちらを参照とさせてもらい、本投稿では、イベントに関係あることも、ないことも、とりとめもなく書いてみる。同じく大阪でも司会を務めてくれた啓太さんの詳細な大阪レポに戦々恐々としつつ・・・。と、書いていた矢先に大阪レポも公開されましたね。こちら

さて、唐突だが、うえむーのバースデーイベントは、個人的に、やや特殊だと思っていて。Juice=Juiceのメンバーが全員集合してのコメント収録だったり、ライブのMCでしゃべったりする時には、リーダーの金澤朋子さんが中心となって仕切る姿を横目に、どことなく見つからないように大人しくしている、もしくは、時に気配を消しているよう(?笑)にすら見えるうえむーは、自分のバースデーイベントとなると、怒涛のようにおしゃべりをしてくれる。Juice=Juiceが集合したオフィシャルな場面の姿からは想像できないぐらい、ハイテンションで大笑いして、叫んで、しゃべり倒す。普段はスンとしたうえむーの、こういう一面が見られるのは、バースデーイベントだけじゃないかと思う。単独でのラジオ出演が増えているのもあるだろうけども、今年は特にひとりしゃべりが軽妙で、客席からの反応を伺いつつ、ウエムラ漫談で会場を沸かせるシーンが多々あった。

そんなウエムラ漫談の一節を、代々木編からおすそわけ。お題をつけるとすれば:「二曲歌い終えて小休止」。

「う゛わぁ~~~~~っ!やばい緊張した~~~~!憧れ My STAR の『恋愛しちゃったってU&I ぴったり相思相愛』って歌詞あるじゃないですか。あたし、さしすせそ がほぉんと苦手なんですよ。相思相愛ってさしすせその塊じゃないですかぁ?ホントさっきリハーサルでは、恋愛しちゃフっフンフンン~ソソアイッア~いって恥ずかしかったのよ~~。あたし口がカタかったわ~ごめんね~、あたし口カタかったよねちょっと緩めるわ~~~(客席に向かって口をモゴモゴ)。ごめんね~。口堅かったよね~あたし。ごめんねぇ~もっちょっと柔らかい感じで歌えばよかったよね。まあ後悔してもしょうがなくって、まぁまぁ、2曲で終わりなんですけどぉ~。・・・もちょっと、「え~~~~」って言ってくれる笑?(客席から『え~~~』)うそうそ、うそです。二曲で終わりってことはないんですけど、でもねぇ、二回(同じ公演をやる)ってのは、あたしの中で結構挑戦なのよ~。一回公演だったらやり切ったもん勝ちじゃないですか。だからみなさんのオイオイ!で(応援してね)。さっき(客席参加型のゲーム)のほうがみなさん声出てた?オイオイはみなさんの宝ですよ?一緒にオイオイしましょう。みなさんがオイオイしてくれると、あたしも頑張れそうです。あたしがオイオイってやってなくてもオイオイしてください。あたし、がんばるね?頑張るから、ちょっとやさしい目してくれる~?(観客がやさしい目をする)ね~?わかった~頑張るよ~頑張るから~!よかった~やってみるよ~。とゆうわけで次の曲、行きたいと、・・・思いましょう?(自分で失笑?)、どうぞ。」

という具合に、これ、全部うえむーが畳み掛けるようにしゃべった内容なのだ。「ほぉんとにほんとに」と込めたい思いの分だけ強調して、やっぱり一人称は「あたし」を貫いて、自分の言葉で、感情をこめてしゃべってくれた。信じられない人もいらっしゃるのでは?一応、背景を補足しておくと、うえむーの緊張する仕事の代表格が二つ、「楽曲レコーディング」と「バースデーイベント」で、それも「人格が変わっちゃう」ほど緊張するらしいんだが、それゆえに彼女なりに緊張を緩和する方法を客席とのやりとりで試行錯誤しつつ、素敵な歌を聴かせてくれるための準備をしている時間、という位置づけである。

振り返れば、うえむーがこんなに喋ってくれるようになったのも、ここ2、3年のバースデーイベントでのこと。近年、のびのびとイベントをお届けしてくれるようになったのが、ハロプロでのキャリアを重ねて、安心を感じながら、自分のバースデーイベントをホームと捉えてくれているからなのであれば、ファンからすると嬉しい限り。投稿者の個人的な意見では、うえむーが、のびのびとすればその分だけ、うえむーの自由さからくる魅力が滲み出ると思うので、そういう意味でも、うえむーにとってのバースデーイベントは、「緊張と緩和」によって引き出された個人の魅力にフォーカスできるという点で、バースデーイベントの趣旨に沿う、良い機会となっていると思う。

年をまたいでは、生まれ育った地元である大阪でのイベントでも無論、のびのび感は健在で、地元のお友達も来てくれてたみたいだし、アットホームな雰囲気を「もうみんな自分の席にいなくていいから、自由な場所で見てていいから」と表現してくれたし、本番前に食べすぎてしまった「わなかのたこ焼き」と「豚まん」のせいで、しきりに「苦しい〜〜〜!」と言っていたうえむーからは、「なんとか、たこ焼きと豚まんも出ることがなく、終えることができました」という、くいだおれ人形もびっくりの前代未聞のエンディングのコメントが飛び出したし、それぐらい、うえむーは自然体でいてくれて、アットホームな雰囲気を感じていたみたいなんだけれども、それでも、自発的な大阪弁がついぞ出ることは無かったので、ファンがうえむーの自然な大阪弁を耳にすることは一生ないんだろうと思わせるイベントだったこともお伝えしておく。

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代々木のイベントは、誕生日を迎える前の開催だったが、大阪では、誕生日を迎えたあとの開催だったので、大阪では誕生日当日の話題に。一番最初におめでとうメールをくれたのは、親友のむろ(アンジュルムの室田瑞希)だったそうで。

きましたよ、むろの話題。この大阪イベント開催時点(1月24日夜)では、うえむーは親友むろの卒業発表についてブログなどでは、触れていない。気脈を通じる2人の間柄を知るファンであれば、急すぎたむろの卒業についての経緯をうえむーが知らないはずはなく、それを話せとは言わないまでも、何か気の利いた一言でもあればと、うえむーに期待せざるを得なかった参加者も多かったことだろう。

ところが、残念なことにその期待は、裏切られてしまった。誕生日お祝いメールの話の流れからは、卒業の話題は聴けず。その後も、「写真のおかしなところに、ベタなツッコミをする」ゲームのコーナー(啓太さんのブログ参照)で、桃太郎御一行のイラストに混ざる違和感ありありの「むろ」にも、「卒業も発表されましたしね」とサラッと触れたのみ。むろの卒業について、特別なメンションはなかった。

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「うえむら(むろのうえむーの呼び方)」の良さを増幅してファンに理解させてくれるパートナー・むろの卒業は、どうしたって悲しい。ハロプロメンバー同士の関係においては、お互いが、お互いに「語られる」ことで、新たな「見方」を提示してくれる。たとえば、Juice=Juiceの宮本佳林さんは、二年前の年末ぐらい(?)のラジオ番組のNGテイク集を蔵出しする企画で、「うえむーは少しでも怪しかったら、原稿を読むのを中断して『あーっごめんなさい!』とすぐに謝る。私はカツゼツが怪しくても、噛んでない風を装い、NGが出されるまで読むのをやめない」。だから、うえむーは「すなおで、かわいい」という。

少し昔の動画にはなるがtiny tinyで、むろがうえむらについて語る放送回がある。ここから、むろの『うえむら評』を援用すると、うえむらのいいところは「誰と話すときも、100点の回答、そして100点の反応」で返すところだという(埋め込み動画:13分5秒~)。そんな視点でイベント・動画を見れば、まさしくおっしゃる通り。親友むろの説得力は圧倒的だ。

常に近くでうえむらを見ているむろの言葉は見事に的を得ている

こちらでは同じ放送回から、うえむーの100点のリアクションを厳選してご紹介。

ハタチになって自炊ができるようになりたいと宣言しながらも、「フルコースは無理です~」と謙虚さ100点でコメントに乗っかるうえむー(埋め込み動画:34分0秒~)。彼女の謙虚さに、まことさんも思わずニッコリ。

会話の中で生まれるリアクションは自然だが印象に残る

お次は、漢字書き出し対決でまことさんに勝利し、教科書通りの100点のドヤ顔を決めるうえむー(埋め込み動画:36分30秒~)。そのオーソドックスなドヤ顔は、明らかにまことさんに向けてやっているうえむー。

漢字書き出し対決にはめっぽう強い

最後に代々木のイベントの方からはテキストで、かわいい100点のリアクションをご紹介。司会の啓太さんが「次の曲にむけてスタンバイ・・・」と、うえむーに衣装チェンジを促すと、「あー!言っちゃったな?❤️」と一言残しツカツカと小走りでステージ袖にはけていった。うえむー的には、次の曲がまだ残っていることは内緒にしたかったみたいだ(理由は不明だが)。

素直な性格と、だれにでも返す100点の反応。これこそ、うえむーが、60名以上のメンバーを擁するハロー!プロジェクトの中で、「社交の鬼」の称号を恣にしている理由だろう。

ちなみに、大阪イベントでは、代々木で付けていたピアスの片方を東京に置き忘れてきてしまい、替わりに、井上玲音さんから誕生日プレゼントでもらったものをつけてきたことも教えてくれたのだが、これも意外な交友関係の発覚となった。「あたしはあたしひとりじゃないということで、やらせてもらってます」と語ったこのエピソードも、「社交の鬼」の面目躍如といったところか。

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宮﨑由加さんの卒業のセレモニーの時でさえ、宮崎さんのことが「好き」とは、目を見て言わなかったうえむーは、基本的にウェットなやりとりが嫌いとみえる。そのスタンスは、人間関係においてだけじゃなく、パフォーマンスに対しても同じで、いろんな積み重ねがあるんだろうに、多くは語らず「パフォーマンスで伝える」派の宮本佳林イズムと同じ系統である。もしくは、単純に照れ臭いのがイヤなだけという説もある。ただ、パフォーマンスへのこだわりについては、たまにヒントを出してくれたりもする。

大阪の最後には、そのパフォーマンスについて、ステキな話を聞かせてくれた。

曰く、このイベントには、二つの試練があったと。

一つは、ヒールが°C-ute先輩並みに高かったこと。衣装を見せてもらったとき、そのヒールの高さに、不安を覚えた。練習用のVTRの°C-ute先輩は、高いヒールを余裕綽々で履きこなしていた。本人はそう言って謙遜するけれども、客席から見るうえむーは、立派にヒールを履きこなしていた。

もう一つは、髪形を変えたことで、従来のパフォーマンスで使えていた髪の可動域が制限されたこと。ロングの髪形をパフォーマンスの型として確立した°C-ute先輩の背中を間近で見て、その影響を受けて、同じロングの髪形をしていた自分も自然と先輩の表現を取り入れ、ついには°C-ute先輩に褒められたという。そんな背景もあり、髪を切るまでには、自分の確立したスタイルを、一旦リセットすることへの葛藤があり、切ってから少し後悔も残ったとのこと。そんなロングをバッサリ切ってボブにしたうえむーは、自身のパフォーマンスのさらなる幅出しという新しい挑戦へと踏み入れる決意なのだろう。


かつてハロプロ随一のパフォーマンス集団として鳴らした°C-uteの薫陶を受けた植村あかりは、自らのパフォーマンスのスタイルの再構築へ。バースデーイベントの文脈を踏まえれば、そのような決意を、うえむーの髪形の変化に読み解くこともできるといえる。

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セットリスト(代々木)

  1. ★憧れ My STAR★/°C-ute
  2. 青春のカスタード/音楽ガッタス(吉澤ひとみ、里田まい)
  3. 記憶の迷路/High-King (抱きしめて 抱きしめて/Berryz工房(2回目)
  4. SEXY SEXY/Juice=Juice
  5. 大好きだから絶対許さない/鞘師里保 & 小田さくら
  6. Danceでバコーン!/°C-ute
  7. アレコレしたい!/Juice=Juice

セットリスト(大阪)

  1. 大阪 恋の歌/モーニング娘。
  2. SEXY SEXY/Juice=Juice
  3. 記憶の迷路/High-King
  4. ★憧れ My STAR★/°C-ute
  5. アレコレしたい!/Juice=Juice
  6. スクランブル/後藤真希 植村あかりアカペラVer.(※2回目のみ)

(文=puke)

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