℃-ute 女子落語 BS-TBS開局15周年特別企画 クールジャパン~道(DOU)~@9/6 レポ 伝統の創成に立ち会えた池袋サンシャイン

知人の℃-ute箱推し舞ちゃん派の方がエンタメアライブを読んでくれているらしく、先日投稿して公開いただいたハロコンのレポについて「℃-ute について薄すぎるのは、どうしたことだ!」とご立腹でして、ご叱責をいただいてしまいました。というのも、今年下半期の現場スケジュール的に、℃-ute が続く可能性が濃厚なので、ハロコンのレポでは℃-ute について自重した次第。
というわけで、池袋のサンシャイン劇場で開催されている、BS-TBS開局15周年特別企画 クールジャパン~道(DOU)~から、9月6日の、℃-ute 女子落語に参加してきました。

ずっと曇天だったけど、公演がスタートする頃、正しく雨が降ってきました
矢島舞美さん、さすがです。

昼公演も夜公演も参加してきましたが、女子落語ということで着席での観覧。かえって腰回りがしんどいです。ライブのスタンディングで、あちこち身体を動かしながらの方がむしろ疲れないということが本日の学びということで(それは一定の年齢以上のおっさんだけだとの可能性は最初から拒否)。

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クールジャパン~道(DOU)~とは

ハロプロのメンバーが、日本の伝統的な芸能だったりエクササイズだったり、かつての超有名番組のパロディーだったりと、様々な出し物に挑む連続企画(詳細は記事末に)。
主催はBS-TBSで、今般の「クールジャパン~道(DOU)~」は開局15周年記念と銘打っていますが、BS-TBSは昨年も℃-ute をさかんに推してくれており(※1)、ありがたすぎて赤坂方面には足を向けて寝られない昨今です。

  1. 2014年には、℃-ute がBS-TBSのキャンペーンアイドルに選ばれています。58643fb0
    その際のキャンペーンの模様は、次のDVDに収められており、ダンスでダイエットに挑戦する中島早貴さんであったり、商店街で物販する℃-ute の様子だったりと、ファンにはリピート必須の仕様となっております。
    こちらの第4回 「日本の伝統文化・落語に挑戦」にて、すでに女子落語にはチャレンジ済で、DVDには、鈴木愛理さんの熱演が収められています。

今回の女子落語 イベントの構成

上記の注記にもあるように、すでに恒例の演目化して、後述するように「伝統」の趣を醸してすらいる女子落語。今回のイベントの組み立ては、次のような感じ。

最初に立川志ら乃さんが登場して、軽く前説めいたトークをしてから(※1)、℃-ute メンバーを呼び込みます。着物の鈴乃屋さんご提供の和服に身を包んだ(黙っていれば)美しすぎる5人が登場して、志ら乃さんと軽くトークを。この段階ですでに萩原舞さんが「今日はあんまり頑張らなくても良いから」とか、いつものように、しなくて良いぶっちゃけを放り込むなど、いつも思うんですが、客前でステージに立っているというのに、(ファンが求めるものであるとはいえ)かくも「素」っぽい雰囲気をまとう様子には、歓喜すると同時に、感嘆しますよね。
きっと無意識なんだろうと思うんですが、空気というか間合いを図る絶妙さこそ、無形文化財レベルです。

  1. 生たまごSHOWや研修生ネタなどを盛り込み、後述するように、正しく伝統芸能の鑑賞スタイルに則ったトークやネタふりである点、さすがです。

志ら乃さんが一席落語を披露して、℃-uteメンバーによる大喜利(リレー作文)の後、矢島舞美さんと中島早貴さんが、がっつり落語を演じます。

志ら乃さんは、さすがというべきか、公演によって披露する演目を変えてきます。
最初は、落語内の筋立てと登場人物に℃-ute をあしらった創作(?)落語を。愛理さんに模された人物の滑舌であったり、雨とともに登場するお奉行ヤジさんなど、なかなかに見どころ満載です。なにより、萩太郎の造形が秀逸でした。演目前に「決して舞ちゃんを馬鹿にしてるわけじゃないからね」 「じゃあ、なるべくイラつかないようにしてます」 「あ、イラつく前提なんだ」といったくすぐりも快調な様子。
二回目の公演では、「長短」という演目に託して、きっと志ら乃さんからのエールが、メンバーへ届けられたものかと。これまでの来し方を踏まえた、℃-ute メンバーのデコボコだからこその、仲の良い様子に対するエールが。

志ら乃さんの出し物だけでなく、それを舞台の横で客席と一緒に聴いている℃-uteメンバーの細かいリアクションもまた(演目の都合上、顔芸風に誇張して演じる場面で、志ら乃さんと同じように表情を歪めているメンバーとか)得がたい一幕でした。

大喜利は、最終的な到達点を最初に定めたうえでのリレー作文。
メンバーの順番を決めるくじ引きにあたって、舞ちゃん曰く「ちょっとした事件」が起こったり(後述)舞美ちゃんに対して「大喜利でもクラッシャーか」という端的な評価が下ったりと、実に楽しい一幕でした。「クラッシャーか!」とか言われてるのに、舞美ちゃんは終始、嬉しそうに、楽しそうにニッコニコしてましたけども。

そして舞美ちゃんが、ハロプロのネタを盛り込んだ創作(?脚色)落語を。
真打は、なっきぃ が、マジでしっかりした演目を、きっちり演じます。
落語を演じる際の屋号(?)は、舞美ちゃんが「雨降り亭福筋」、なっきぃ が「一期家不動(いちごやぶどう)」。なっきぃ が秩父アンバサダーに就任した故の屋号ですが、登壇早々に「みなさん読めました?」と不安げな中島さんでした

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MCのイジりに身を委ねる技量

さすが客席に集まったファンに劣らぬヲタでもある志ら乃さん、メンバーへのイジりも上手で、見事にメンバーの魅力に適切に触れながら、場を回していきます。
先日おめでたい話題が出た上々軍団のさわやか五郎さんなど、メンバーのことをよく知っているMCによる、メンバーの魅力を引き出す愛あるイジり方は、それはそれで、ハロプロのイベントの大きな見所のひとつではあります。

でも、今般、思ったことは、そうしたMCの場を回す仕切りに身を委ねるメンバーたちの様子こそ刮目だということ。
上記に、「メンバーの魅力を引き出す愛あるイジり」とか書きましたが、このやり取りが成立するためには、メンバーの側も、ちゃんとイジらせてあげているという部分が大きい。
ときに恥ずかしがったり、「失礼!」とご立腹だったりしながら、イジりに適切に反応するというだけではなく、イジられている当のメンバー以外のメンバーが、いきなり楽屋ノリで勝手な私語を始めたり、MCのイジりに乗っかったり乗っからなかったり。客席とMCの技量を信頼することを前提に、ときに積極的に拾い上げ、ときに軽やかに無視し、MCによるメンバーイジりを、自分が利用できるステージ上のギミックのひとつと見なして、自分がパフォーマンスするための背景のひとつとして、自在に取捨しているのは、むしろメンバーの方なんですね。

いや、改めて思いますが、基本は無意識のものだとも思うのですが、ハロメンの10年選手のステージ技量って、直接の楽曲パフォーマンス以外のところでも、もの凄いものがあるなと思います。
志ら乃さんらMCも含め、メンバーの愛らしさや美しさといったものを度外視してすら、舞台上で繰り広げられる当意即妙は、それだけで芸能として見応えがあります。

麗しすぎる着物姿の5人の可愛らしすぎる立ち居振る舞い

さて、℃-ute の5人は、鈴乃屋さんご提供の着物に身を包んでいます。
これが、みんな背筋もピッとして、立ち姿だけで美しい
どうしたって可愛い萩原舞さんも、キリリとしたイケメン化が激しい岡井千聖さんも、そして言うまでもなく美しさの化身である矢島舞美さんも、とても美しくて、その和服姿だけで眼福なわけですが、中島早貴さんと鈴木愛理さんのお着物姿には、おどろきでした。

あどけない末っ子感一本で世界と戦える 萩原舞

舞ちゃん、大喜利のリレー作文では、きちんと話を落とさなければならない最後のトリの位置に。番号が書かれたボールをボックスから引く抽選方式でリレー作文の順番を決めていくのですが、昼公演では2回大喜利のお題が出るなか、2回とも舞ちゃんが5番を引きます(その場でのトークによれば、なんでもリハーサルでも舞ちゃんがトリだったとか)。夜公演でも、5番を引いてしまって、当の舞ちゃん曰く「ちょっとした事件」だと。

しかも、自分が引いた番号を発表する前に、引いた瞬間に、隣の愛理さんの肩に顔をうずめたりして「あ、舞ちゃんが5番を引いたな」と即座にわかってしまうリアクション。
そのコロコロ、ピヨピヨした声質とも相俟って、舞台上での、わずかな表情の弾みから、ちょっとした立ち居振る舞いまでが、可愛らしくて可愛らしくて。
毎度、大喜利のために座布団に座って、大喜利を終えて舞台が次の進行に向かうため、立ち上がる…その一連の所作の中で、きちんと着付けられたお着物を必ず乱してしまって、「ねえ、なんで舞ばっかり、いつも、こんなんなるの?」とか言ってます。
可愛いっすよ、舞ちゃん。

そのコロコロ、ピヨピヨした声質で、舞台上の進行とは無関係に「なんて言ったの?」とかいった私語が激しく、その様子もまた可愛くて、これら舞ちゃんの発言の可愛らしい雰囲気を文字列に表現することは、とっくに諦めているとはいえ、世の中の「あどけなさ」を固めて人の形にしたら萩原舞になるよね、きっと、とか思うわけです。

そして、そんな舞ちゃんを、舞美ちゃんはずっとニッコニコして眺めています。

あなたがいてくれるだけで 岡井千聖

上に述べた「当意即妙のイジられ」は、岡井さんの存在によって加速され、爆発度も高まります。
メンバーへの絡みも、MCのイジりへのリアクションも、流れに身を委ねる点で全ハロメン中でも 群を抜いている岡井ちゃんですが(※1)なにより岡井ちゃん本人がおもしろすぎる。
演目の合間のくすぐりトークでも、岡井家ネタは飛び出し、ケンちゃん(岡井パパ)が雅ちゃん推しってことで、親子で雅ちゃんを取り合ってるんだねといった話題が飛び出ていましたが(※2)今般の女子落語では、誰よりも大きな笑いをさらって、美味しいところを全部かっさらう一幕がありました。

なっきぃ が演じる落語の冒頭は、登場人物の親分さんの「おめぇら、また博打なんざやってやがんのか!」というセリフから幕開けします。これを空き時間にずっと なっきぃ は練習していたとのことで、その練習の様子を見ていた岡井さんが(あるいは音源を聴かせてもらったんだっけな?)「千聖も、できる!」と言い出したとか。真似して述べた冒頭のセリフ岡井さんバージョンが以下。

おめぇら、またパクチーなんざ食ってやがんのか」と。

いや、どんなシチュエーションかと。
これで会場は大爆笑で、真打である志ら乃さんすら、即座には上手に返せないほど。

しかも、当の岡井さん自身が、可笑しくてたまらないと言わんばかりに自分で大爆笑。
いや、ほんとに、℃-ute メンバーがブログなどで岡井さんを評して曰く「岡井ちゃんは、ほんとに周りを明るくしてくれる」とは、まことにおっしゃるとおり。
単に周囲を明るくしてくれるに留まらず、イベントの進行や場の爆発力は、やっぱり岡井千聖さんがいてくれてこそ。舞ちゃんの甘えんぼも、愛理さんの挙動不審も、なっきぃ の軽く輪から離れた座敷童子感も、舞美ちゃんのニッコニコも、岡井さんこそが、あるいは引き金を引き、あるいは効果を増幅しているというのは、非常に見やすいところ。
さすが、岡井さん。

自分で巻き起こした爆笑に自分で嬉しそうに笑ってる、そんな岡井さんも、いつのまにか、ほんとに美しくなりました。ステージでスクリーンに抜かれる横顔がイケメンすぎるだけではなく、とても美しいです。
ほんとうに、いてくれて、ありがとう。

そんな岡井さんを、舞美ちゃんは、もちろんニッコニコして眺めています。

  1. ここは意見の別れるところかもしれませんが、道重さゆみさん、嗣永桃子さん、福田花音さんらは、流れに身を委ねる技量も卓越している以上に、自らが流れを創る技に長けていた点で別格としたいところ。
  2. ケンちゃんは Berryz では雅ちゃんと梨沙子さん推し、℃-ute では、舞美ちゃんと なっきぃ が好きとのこと。かつては石川さん推しだったというのも、ファンには馴染んだ話題かと。

完全無欠のアイドルの皮をかぶったカッパ 鈴木愛理

先般のハロコンレポでは割愛した点をすこし。
8月22日の公演で、アンジュルムの室田瑞希さんと一緒にMCに登場した愛理さん。フェチ魂を炸裂させる企画で「首筋から鎖骨のライン」を挙げて、舞ちゃんのラインの美しさを滔々と語る愛理さんでしたが、その語りの際、ガニ股で謎の身振りを加えながら説明する様が、とっくに封印したというカッパの愛理そのものだったわけですけども、むしろそれ以上に、自分が語る順番が来る前の段階で、一生懸命嬉しそうに自分のフェチを語る室田瑞希さんの後ろで、室たんのトークの抑揚に逐一反応して微かにカッパカッパしてる愛理さんこそ見所だったわけですけれども。

そんな謎の身振り手振りは、今般の女子落語でも健在。
演目合間のくすぐりトークにあたっても、次の演目に舞台をゆずって袖にはけていくときも、ときには隣の舞ちゃんとおどけて、ときには一人でフラダンスとも盆踊りともつかぬ謎のフリつけで音楽に乗っかって、常にフラフラと手先を細かく揺らしている愛理さんです。

意外な細面な横顔が、着物に合わせてアップにした髪型とも相俟って、恐ろしいほどの艶やかさの愛理さんです。銀座に出たら、あっというまにナンバー1間違いなしとも思える艶やかな着物姿の出で立ちながら、終始おどけ続ける愛理さんです。
かつては、そのおどける様が、ときには無理やりな感じになる場合もあり、あるいはメンバーの乗っかりを誘いそこねてスベった感じになる場合もあった愛理さんですが、このところ(「℃-uteの本音」ツアー前後と観測しています)良い具合に馴染んでいて、メンバーを誘いそこねた場合でもスベった感じにならずに、空振り愛理それ自体が、ちゃんとおふざけになっています。それに、昔から可愛かったとはいえ、このところ急速に艶やかさを増し始めた(改めて「℃-uteの本音」ツアー前後と観測しています)ルックスと正しいフィードバックループを形作っていて、艶やかであればそれだけ、謎の身振りも映えるし、謎のおどけを繰り出せばそれだけ、美しさも際立つという、良い循環の中で魅力を倍増している鈴木愛理さんでした。

もちろん、そんな愛理さんの謎の身振りをマネする舞美ちゃんはニッコニコで。

愛らしすぎる得がたいバランサー 中島早貴

がっつり演目をこなした中島さん。
昼公演では登場時のトークもままならぬほど緊張しまくって、その緊張をメンバーはおろか志ら乃さんにまで突っ込まれている なっきぃ です。そして、昼公演を終えて緊張がほぐれたものか、夜公演の出し物では、昼公演にはなかった一幕を入れ込むなど(※1)やりきった感満載の中島さんです。
まじめに落語を演じきった頑張りや、夜公演での様子を志ら乃さん自身が「すばらしかった」と褒め称える点など、なっきぃ 頑張ったね、すごいね、すばらしかったよ…という場面は多々あるわけですが、投稿者が特筆したいのは、夜公演で自身の演目を終えたときの なっきぃ の様子。
演目を語り終えてお辞儀して、そのお辞儀から直って、肩を軽くひょこっと上下させて、その上下する肩の上にストンと丸い頭が乗っかってニコっと微笑むところ
中島早貴さん、ほんとうに可愛かった。

なるほどダンスが映えるだけあるなと妙に納得した なっきぃ の着物姿。ちっちゃいけれど、上半身と下半身のバランスだったり、身長に比した手足の長さのバランスだったりが絶妙なのだなと改めて納得させられる着物姿です。そうしたバランスの絶妙さからも、肩のラインに首がちょこんと乗っかっている なっきぃ の可愛らしさが、着物姿では、こんなにも前に出るのかと。

その絶妙さは、自身の可愛らしさと美しさに留まりません。
先に述べた岡井さんの大爆笑は、なっきぃ が話題をフッたことがきっかけとなっています。そして大爆笑後、それまでは「なっきぃ おつかれさま。よく頑張ったね」という空気だった会場が、全部、岡井さんにかっさらわれてしまったわけですが、それで「岡井ちゃんに持って行かれたねえ」と話をフられても、むしろ嬉しそうに「だって早貴も、この話、みんなにしたかったもん」とか言ってる なっきぃ です。

鈴木愛理さんに顕著だったように、空気を読みすぎるからこそ、かえって空気を読めていない場面が多かった℃-ute です。カメラを前に、レンズの向こうを意識して演じたり語ったりせねばならぬ場面で、同じようにカメラのこちら側にいるメンバーのことを真っ先に配慮してしまって、結果として企画をグダグダにしかねないこともあった℃-ute 。その危うい「優しさ」や、読み過ぎるが故の「空気の読めなさ」を、ギリギリですくい取っていたのは、なっきぃ でした。ずっと。
絶妙のバランス。その℃-ute の味を支える優れたバランサーこそ、中島早貴さんなのかもしれません。

「お足元の悪い中」という定番のフォロートークを強いるリーダーは、そんな なっきぃ に常にニッコニコしてちょっかいを出し続けるわけですが。

  1. 昼公演では緊張でトバしちゃったのか、夜公演でのアドリブなのかは、不明です。

矢島舞美 ハロプロネタから伝統へ

矢島舞美さんは、どんどん美しくなっている上に着物姿の端正さが加わって、この世のものとも思えぬ美しさかと思えば(いや、事実、とにかく美しいんですわ)、上述のように終始ニッコニコで、メンバーが何かやるたび、何か話すたびに、細かく手をひらひらさせて何かしらリアクションしていて、めちゃくちゃ可愛かったわけで、もう手に負えませんよね。
世の中の真・善・美をギュっと固めて人の形にしたら、矢島舞美になります。それも、よほど質の良い真・善・美を集めてきたものと思しく

大喜利クラッシャーとの新たな異名をもらっただけではなく、演目つなぎのくすぐりトークでも、メンバーから「なっきぃ をイジめてる」と揶揄されるリーダー(当然、ニッコニコで受ける舞美ちゃん)。最近の話題としては、「金魚を見ると なっきぃ を思い出す」そうですよ。

さて、そんな舞美ちゃんはオリジナル(?)の創作落語を。
「化ける」をトピックに、恩返しにやってきた子狸がお札に化けて借金を返すというお話。
これが、お話の中にハロプロ関連の小ネタを詰め込んだもので、ももち先輩の小指ネタだったり、鞘師ちゃんの定番フレーズだったり、りなぷーだったり(※1)、熊井ちゃんの身長ネタだったり、お尻をさわる茉麻ネタだったりが、落語の小気味いい登場人物の軽妙なやりとりに乗せて、次々と繰り出されていきます。
なにより、藤井ちゃんネタが秀逸で、「家、バレてるじゃん!」「引っ越さなきゃ!」など、次々と畳み込まれるフレーズに、声を出して笑ってしまいました。
こうしたハロプロネタを、喜々として口に出してる舞美ちゃんという図もなかなかにレアで、「176 だなんて、ぜってー嘘だろ!」と言ってる舞美ちゃんや、2回目となる夜公演ではタヌキとカラスを間違えて、演目中に「まちがえちゃった!ふふっ!」というラジオでもお馴染みの、いきなりなコメントを指し挟む舞美ちゃんなど、もう、それだけで録音してリピートしたい欲求に駆られます。
舞美ちゃんの落語、楽しかったし、面白かったし、なにより演目の脚色を担当した立川志ら乃さん G J ! と思ったのは、その演目を通じて、やっぱり舞美ちゃんの魅力が全開であったこと。

  1. りなぷーネタに絡んで、舞美ちゃんの口から「おなら」という発言が飛び出たことは画期的かと。ええ、変態との謗りは甘受すべきところです。

そして、今回のイベントの他のあらゆる事柄を捨て置いて、この舞美ちゃんのハロプロネタ満載の演目には刮目したいところです。まさしく、「BS-TBS開局15周年特別企画 クールジャパン~道(DOU)~」の趣旨に照らして。

伝統は今この場で創られる

さて、そんな具合にハロプロのネタをブチ込むところ、藤井ちゃんネタなどについても、それがネタになる詳細な背景情報は、演目の中では説明されません。当然、客席に集まってきた全員が知っている前提で、ネタが選ばれている。
これが、あたりまえとしてスルーするには、凄すぎることだと私は思うのです。

伝統芸能を正しく堪能するためには、目の前の演目以外の来歴だとか歴史的な背景情報をきちんと踏まえなければならないとは、よく言われることです。今となっては辞書の中にしかないような知識を踏まえなければ、伝統芸能は正しく鑑賞できないのだ、と。事実、立川志ら乃さんが演じた落語においても、「火除地」といった単語が飛び出し、演目中に上手にその言葉の説明が指し込まれていました。
江戸の庶民生活についての(必ずしも歴史的な事実とは限らない)背景知識があって始めて、演目の筋立てやオチの意味が十全に読み取れるという次第。

まったく同様に、ハロプロについての、メンバー相互の関係性についての、℃-ute の来歴のあれこれが、詳しく説明されたりフォローされることなく、ステージのトークや演目に、ネタとして盛り込まれていくこと。すでに十分、共有されていることが前提で、集まってるファンが、あたりまえの事として、すでに知っていることが前提で。
もはや、すでにしてハロプロは、正しく伝統を構成しつつあると言えるのではないでしょうか。

一方で、伝統とは創られるものである(※1)とする認識も、あったりします。
私たちが伝統だと思っていることが、実はそれほど深い歴史を持っているわけではないことや、場合によっては特定の個人によって意図的に創出(捏造?)されたものが定着して、その起源が忘れられ、いつのまにか伝統だと思い込まれたりしている例も多いこと、こうしたことがお固い学術方面では、ある意味、常識になっているのだとか。
また、語られる伝統というものが、その語られる対象としての伝統それ自体よりも、語ることの熱によって、聴く側で形作られていくといった機微についても、なにやら難しい議論があるようです。

「伝統?なんだそりゃ? そんなものより、今現在の臨場感ある体験に勝るものはない!」
このように考える方も多いでしょう。
この投稿者自身、かつて長年在宅として過ごした時期は、ライブのDVDだったりラジオやWeb配信されるコンテンツを享受して、それなりにハロプロのイメージを頭の中で造り上げて、”わざわざ時間と金を使って現場に行くまでもない” などと無自覚に思っていたところがあり、現場の空気の振動と、デジタルに置換されないリアルなメンバーの臨在感と、それらによる自身の気持ちの動きに大衝撃を受けた転向者でもあるため、とてもよくわかります。

それでも、この舞美ちゃんの演目を前に、やっぱり伝統に思いを馳せないわけにはいかないところです。
正しく伝統芸能の鑑賞スタイルを踏襲しているという以上に、客席が全員知っている前提で盛り込まれたネタについて知らない人がいたとしても、後から誰かに説明されたりネットで調べたりして、「ああ、そういうことだったんだ」となっていくことで、演目を鑑賞する側の能動的な振る舞いを通じて、観る者の側で伝統が構成されていくことすらも、ここに実演されているわけです。これらすべてのプロセスを通じて、まさに今現在生成されつつある伝統としてのハロプロ、というわけで。

上記、女子落語に託して、舞美ちゃんの演目に託して、ハロプロのイベントやステージが伝統となっていくプロセスのごく一端を述べてみましたが、言うまでもなく、これは、ももち先輩のトークにおいても、モーニング娘における先輩後輩関係においても、そして新しいユニットが、先行する先輩ユニットとの比較を(観る側も当事者も)念頭においている点でも、ハロプロのすべてに該当することかと思うのです。
私たちは、どうにも形容しようのない可愛らしい女の子たちの振る舞いに魅了されつつ、まさに生成されつつある伝統に立ち会っていると言えるでしょう。

そうした数多の(芸能に限定されない)伝統こそが、私たちの日常の基礎の一部になっていることを思えば、ハロプロを介して、私たちはとても貴重な体験をさせてもらっているのかも知れません。
さすが、いつもながら、ハロプロには大事なことを教えてもらってばっかりです

  1. このトピックについての無数の文献から、代表的なところで、『創られた伝統 (文化人類学叢書)』なんぞを挙げてみるテスト

*****

そんな世の中の成り立ちに思いを馳せるだけではなく、馳せた思いの対象を体験させてもくれるような今般の女子落語。レポを仕舞うにあたって、それらしく考察めいた一文を差し込もうとしてスベった感はありますが、℃-ute の5人が、いかにも可愛く、その可愛らしさに接することができただけで得がたい貴重なイベントでしたよ。

上記の諸々込みで、是非とも将来、DVDにして販売していただきたいと懇願して、レポを終えます。
どうかひとつ、お願いいたします。

(文=kogonil)

【クールジャパン~道(DOU)~】演目一覧

8/26(水)「ベストフィフティーン」/モーニング娘。’15
「ザ・○○○テン」をモーニング娘。’15バージョンで完全パロディ

8/27(木)「ロングブレス講座」/モーニング娘。’15
美木良介さん指導によるエクササイズ

8/27(木)「殺陣道」/モーニング娘。’15
アクションエンタテインメント集団「30-DELUX」指導による殺陣
鞘師ちゃんがモーニング卒業後に誘われたほどの技を見せる

8/28(金)「おんな日舞」(アイドル日本流)/アンジュルム
日本舞踊にアンジュルムが挑戦
指導は日舞の巨匠・村尚也さん

8/30(日)「居合道」/℃-ute
殺陣と同じく「30-DELUX」の指導による居合
℃-uteが合気道に挑むのは、昔、ハロー!チャンネルの企画であったけれど、それ以来の武道着姿

8/30(日)「朗読道」/℃-ute
朗読劇で刑事ドラマを
この朗読劇での小道具は、「女子落語」で抽選でプレゼントされた

8/31(月)・9/1(火)「演劇女子部ミュージカル『LILIUM』感謝祭」/モーニング娘。’15、アンジュルム
ミュージカル「LILIUM」の同窓会イベント

9/2(水)「演劇女子部ミュージカル『TRIANGLE』感謝祭」/モーニング娘。’15、須藤茉麻、他
ミュージカル「TRIANGLE」の同窓会イベント

9/3(木)「演劇女子部ミュージカル『恋するハローキティ』感謝祭」/Juice=Juice
ミュージカル「恋するハローキティ」の同窓会イベント

9/4(金)「13人の刺客」/チーム・負けん気(チャオ ベッラ チンクエッティ、吉川友、アップアップガールズ(仮))

9/5(土)「ベストフィフティーン」/カントリー・ガールズ、こぶしファクトリー、つばきファクトリー
「ザ・○○○テン」をハロプロバージョンで完全パロディ
須藤茉麻さんが、なにかと喜んでいる様子は、茉麻のブログに(笑)

9/6(日)「女子落語」/℃-ute、立川志ら乃
当レポに詳述

 

エンタメアライブでは、皆様からの投稿を募集しています。
詳しくはこちらを御覧ください『寄稿について

コメント一覧

1 : avatarアライブ名無しさん:2015/09/10(木)16:44:26

メンとヲタとの共創で伝統芸能の境地、ね。なるほど。

直接的には関係ないけど、「伝統」について語るこのテキストと、つんく♂が総合Pを降りていたことが明らかになったというのを同じ日に目にするというこの事態こそが、なんか、趣深い偶然だね。後者は、創始者が最前線を退いても続ける(“伝統化させますよ、ええ、してみせますっちゅうねん”)という決意表明だもんね。

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