℃-ute『Cutie Circuit 2015 ~9月10日は℃-uteの日~』@9/10 Zepp DiverCity 東京 レポ 研ぎ澄まされた技と心のその先へ

応援している側が「あまり無理しないで」と言いたくなるほどの、そんな研ぎ澄まされたパフォーマンス。℃-ute の5人は、磨きに磨かれたパフォーマンスのその先に、さらなる伸びしろを、底知れぬポテンシャルを予感させた。

Zepp DiverCity東京にて2015年9月10日に開催されたのは「℃-ute Cutie Circuit 2015 ~9月10日は℃-uteの日~」。
2013年より武道館にその舞台を移し、その技の冴えを見せつけていた℃-ute は、2年ぶりにライブハウスに凱旋する形で、公式にも認められた記念日のライブを行った。木曜日という平日にも関わらず、東京テレポート周辺には2,000人弱のファンが駆けつけ、ステージから伝わるメンバーたちの技と心に酔いしれた。

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いやー。
なんだか普段ののほほんとした調子ではなく、体言止めを多用して不要な修辞を切り落としたシャープな文体こそ、℃-ute には相応しいような気がしたもので、ニュース原稿風に書き出してみましたけれども(それが成功しているかどうかは不問の方向でよろしく)。

そういうわけで、9月10日の℃-uteの日、Zepp DiverCity東京に行ってきましたよ。
定時退社を微妙にフライングしたことは秘密です。
2013年の単独武道館 2Days 以来、ニュース部も報じていた通り、久しぶりにライブハウスに戻ってきた℃-uteです。そんくらいの秘密は勘弁してもらいたいところ。

入場までと物販など

投稿者の元に届いたチケットに記された整理番号は一千番台の超後半。
スタンディングのライブハウスでこの番号では、ステージもメンバーもろくに見えないと、チケットお届けの段階で早々に泣きが入る投稿者です。
予想通り、ライブハウスへの入場はチケットの整理番号順の呼び込み。
自分の番号が呼ばれるまで、若干小康状態を保ちながらも、時折、思い出したように降り出す雨に打たれながら、周辺で待機です。

そうした天候に配慮したものか、物販は、ライブハウスの場内のみ。
それでも、順次みなさん呼び込まれた順番で物販を済ませたものか、物販列が(一般のハローの現場と比較して)非常にスムーズです。これは、ちょっと今後のために準拠して欲しい仕組みかも。

さて、そんな物販には、ハロプロ・アドバイザーの徳永千奈美さんが出没したとか。
一部には「物販スタッフ」として報じられた例もあったようですが、諸々のソースや目撃証言などを総合するに、Green Room のロケとして、ガチャの販促に駆けつけたアドバイザーという図だったようです。千奈美ちゃんが煽ったガチャの売れ行きは、過去に類を見ないほどだったようですね。
千奈美ちゃんが物販近辺に滞在していたのは30分前後の短い時間であったようで、上述のとおり恵まれない整理番号であった投稿者が入場した段階では、すでに跡形もありません。
帰宅後、ネット経由の情報で千奈美ちゃん物販降臨を知るにおよび、頭を抱えて転げ回り、気持ちが8割ほど荒んだことをお知らせしてみます。

そんな物販では、私は最新のDマガを購入。
ナンバリングはVol.56。先だって6月11日に横浜アリーナで幕を閉じた℃-ute 2015年春ツアーに密着したバックステージ系です。(横アリのレポはこちら
90分を超える長尺で、ステージ前後のメンバーたちの愛らしさが活写されたファン必携のものとなっております。(※1、2、3)

  1. そんな長尺とはいえ、各公演でのMCトークの網羅度が薄いことや、公演ごとのメンバー真剣勝負企画が「反復横跳び」しか収録されていないことなどから、この秋ツアーで物販されるDマガで、追加がある可能性は非常に濃厚。
    「トレジャーボックス」ツアーを追った、Vol.35、37 と同じレベルで続編の発売を期待したいところです。
  2. 横アリ終演後のコメント収録前、バックステージの通路で、全ハロメンから祝福されて℃-ute が凱旋する場面。
    ℃-ute メンバーを迎えるハロメンの列から一歩進み出て写メを取る夏焼雅さんや、その後ろで控えめに手を振る熊井友理奈さん、須藤茉麻さんの姿が確認できます。おそらくは℃-uteメンバーによる「まーさ!」の声も。
    ベリキューの絆を己が人生の一部として摂取していたファンには、たまらぬ、ほんとうにたまらぬ一場面となっております。
  3. 毎度、思うことながら、そこに切り取られるメンバーたちのあまりにも愛らしい姿に、撮影・編集するスタッフ側の愛情を感じないわけにはいきません。同時に、芸能一般における労働条件のあれこれなどを想起するに、そうしたスタッフ側の愛情を喚起しないではいなかった(スタッフ側としては、愛情を掻き立てられずにはいられなかった)メンバーたちの研鑽と素直さ、汗と涙と笑顔とピュアさに、併せて想いを馳せないわけにはいかない幸せの風景です。
    この点は、別途、独立した項目として投稿したいぐらいで。

さて、いよいよ開演待ちです。

入場こそ整理番号順での呼び込みですが、スタンディングで全席自由ですから、そこは培われた経験と見切りによって、少しでも良い位置を取りにいきたいところ…って、そうは言っても、全員が全員そう思っているわけで、遅い入場に加えて、悠長に物販を済ませてから入場したところで、会場に足を踏み入れた場所から、ほぼ動けません。
その位置からは、当初の予定通り、まずステージもメンバーも望めません。
いやー、困った。はっはっは。

よって以下のレポは、ほとんど team ℃-ute のみなさんの後頭部越しに、わずかに(文字通り)垣間見えたものに依拠していることをご了承ください。

なき子さんの走馬灯(?)

オープニングはいきなり中禅寺なき子劇場です。
team ℃-ute のみなさんの後頭部で舞台はほとんど見えません(※1)。

中島早貴ブログ(9/13)より

中島早貴ブログ(9/13)より

いきなりの中禅寺なき子劇場は、2012年に初登場となった中尊寺ちさこ(岡井千聖)を始め、ノースリープスからキューティーガールズどころか、VTR による映像出演とはいえ、なんとDJマイマイまで、これまで登場したキャラが総登場となっており、なにやら中禅寺なき子さんの走馬灯のよう。
原因不明の意識不明状態に陥っているなき子さんの病床にて、憎まれ口を叩きつつ、その憎まれ口がいつの間にか、回復の兆しすら見せないなき子さんへの激励調に変化していく矢島マネージャーや(※2)、「笑いの方向性の違い」から「撤収」して普通の女の子をやっているキューティーガールズたちが、そうなるきっかけをくれたなき子さんのお見舞いに現れるなど、いくつかの登場人物を織り交ぜながら、2009年からのなき子さんの人生を振り返るような構成でお送りされるなき子さん劇場です。

その時々の振り返りは、当時の劇中のセリフや舞台回しを忠実に再現する方式で(※3)。
この忠実に再現というのが、後述するライブにも及ぶ、今般の℃-ute の日の全体的なコンセプトのようでした。

さて、何やら不穏な空気も流れる意識不明のなき子さんなんですが、なんと事態はなんの展開も見せずに幕を閉じます。なき子さんがこの先どうなってしまうのか、まったくわからず、病室でカテーテルを挿入されベットに横たわったまま、寸劇は終了し、ステージはライブへと移行します。
この寸劇パートまるごとを伏線(だよね?)とするかのような大胆な作劇。イベント後半で続きがあるのかと思うも、何もないまま、そのまんま終了します。私たちは、なき子さんの病状を心配したまま、来年の℃-ute の日を待たねばならぬようです(※4)。

どうなる中禅寺なき子! どうなっちゃうの?なっきぃ!!

  1. だっちゅうのに、寸劇中、劇の展開に応じたものとして、矢島舞美さんも中島早貴さんも、しゃがんだりするんだ、これが。
    途中からは、なっきぃ はずっとベッドに横たわってるし。
  2. このあたり、舞美ちゃんの演技には、先般の女子落語での舞美ちゃんとも併せ、実に刮目です。
    いや、ちょっぴり泣きそうになりました。
  3. 走馬灯的に過去の再現に入る前、前口上的になき子さんが孤軍奮闘する場面が置かれていて、この場面で、なっきぃ は非常な長ゼリフを演じてみせます。
    この長セリフは、様々なハロプロネタを盛り込んだものとなっているのですが、芸能活動における生き残りのあれこれに言及する中で、島村嬉唄さんイジりがありました。実に微妙です。会場も大いにザワついていました。
    投稿者としては、せめて、せめて、タブー化されていないことを朗報として受け止めるのが、このセリフを担当することになった中島早貴さんも含め、一番傷つく人が少ないのかなと思うのがギリギリのところです。うーん…
  4. あるいは、秋ツアーなりで、なんらかの伏線回収があるのかしら?

見えないからこそ溢れ出るライブ感

さて、そんな中禅寺なき子劇場も、後段のライブについても、前述のように位置取りの不適切さから、まー、ほとんど見えなかったわけですが、これが思ったよりも捨てたもんじゃなかったりします。
いや、決して負け惜しみで言ってるわけじゃないんですよ。

客席に居並ぶ後頭部の隙間からチラっと見えるメンバーの姿は、近い位置でずっとメンバーを見続けている場合とはまた違った趣があります。いや、ほんまに。
知覚とは、元来はコントラストに基づくものであるということが、改めて腑に落ちるくらいに、チラチラと垣間見えるメンバーの姿は、見えにくい分、それだけ明るく、眩しいです。
加えて、手前に居並ぶ参加者の後頭部は、ライブの展開にあわせて、思い思いに動きます。元来バラバラであるはずの、その客席の動きとステージ上の動きが、ステージの動きを追うからこその客席の動きでもある道理で、参加者の後頭部の動きにも一定のリズムめいたものが産み出されています。そうした誰も意図せぬ客席のリズムに、客席からのコールやフリコピ的な動きも加味されて、会場内には独特のグルーブが。そうしたリズムに乗りながら、その合間、合間に、チラっと見通せる眩しいメンバーの姿というものは、これまた特有の趣があります。(※1)

今は亡き横浜BLITZや、近年では赤坂BLITZにて開催されていた Berryz工房の七夕ライブなどでも強く思ったことではありますが、その楽曲に「ストレートに恋愛を歌ったものが意外にも少ない」ことも併せ、ああ、アップフロントは、アイドル事務所なのではなくて、音楽事務所なんだなと、改めて納得するところです。
ライブハウスならではの、独特なリズム。ホールやアリーナや武道館とはまた違った良さがあります。(※2)

  1. それでも、いよいよ開演となった暗転直後、一部の不心得者による看過し得ぬ危険な逸脱行為がありました。
    が、こうしたことに絡む諸注意は、いずれ機会があれば別件にて。
  2. だから負け惜しみじゃないってば!

始まったよ! ℃-uteの日

放り投げられたかのように、やりっぱなしの中善寺なき子さん劇場を終え、舞台は暗転し、いよいよライブがスタートします。

やっぱり℃-uteはライブでこそ

やっぱり℃-uteはライブでこそ

メンバーが登場してくるや、いきなりの『JUMP』です。
アップテンポで軽快な曲調に、ポジティブに前向きな歌詞ながらも、途中転調して落ち着いたテンポの間奏部分で「みなさんも一緒に歌ってください」がお約束のこの曲は、盛り上がりに盛り上がったライブ後半で、テンションもあがりまくったところでのダメ押しの一曲として、℃-ute のライブでは、大団円へ向けた定番の一曲でありました。
それが、いきなりのオープニング。

その『JUMP』を終えてのMCで、メンバー曰く、「みなさん、びっくりしましたか?」と。

なんと今般の℃-ute の日では、℃-ute にとって、初の単独ライブとなった2007年2月の「℃-uteデビュー単独コンサート2007春 〜始まったよ!キューティーショー〜」のセトリを忠実に再現したものであるとのこと。
道理で、先般、なっきぃ のラジオにゲスト出演した愛理さんが「なつかしい気持ちになるんじゃないかな」とか言っていたわけです。

というわけで、遅れましたが、ここらでセットリストをご紹介。

1. JUMP
–MC「びっくりしましたか?」–
2. EVERYDAY!片想い
3. As ONE
4. ENDLESS LOVE~I Love You More~
5. 即抱きしめて
6. YES!しあわせ
7. SHALL WE LOVE?/舞美ちゃん、なっきぃ デュオ
8. 会えない長い日曜日/岡井さん、舞ちゃん デュオ
9. サヨナラのLOVE SONG/愛理ソロ
10. キューティーメドレー:グランプリン!
11. キューティーメドレー:ちょこっとLOVE
12. キューティーメドレー:乙女 パスタに感動
13. わっきゃない (Z)
14. タイムカプセル
15. 桜チラリ
16. 大きな愛でもてなして
17. まっさらブルージーンズ
18. ありがとう~無限のエール~:アンコール 新曲初披露
19. 嵐を起こすんだ Exciting Fight!:アンコール 新曲初披露

やっぱり響く名曲たち

初単独を再現ということで、その後、℃-ute のステージに彩を添えることになった数々の鉄板曲たちは、今回はスルー。『最高ミュージック』や『キャンパスライフ』など個人的に好きすぎる名曲がセトリにないことはともかくとしても、『Kiss Me 愛してる』も『Midnight temptation』も『トレジャーボックス』も『悲しきヘブン』も、℃-ute のライブの鉄板中の鉄板は、残らずおあずけということに。
だから残念かといえば、そんなことはカケラもありえないのが10年選手の凄みです。

なつかしいあの曲、というだけではありません。『桜チラリ』(※1)の落ち着いた曲調と歌詞にも関わらずの、あの胸に迫る旋律は何なんでしょうね。「さくらちらり」のブリッジからの「なーみだなど」という愛理さんのボーカルは、ほんとうにすばらしいし、客席に向かって側面を向いて足踏みするような、あの振り付けは天才の技と思います。

そしてインディーズデビュー曲である『まっさらブルージーンズ』。ステージの中央で、背中合わせに輪になってイントロに合わせて胸部を上下させながら、輪を回転させて、「まっさらブルージーンズ!」との掛け声とともに大きく展開する場面。ベースの響きも重く鋭いイントロに乗せて胸部を上下させる際の舞美ちゃんの「さあ、行くわよ」とでも言わんばかりの表情は、もちろん舞美ちゃんの胸中はうかがい知れずとも、こちらの胸にも熱いものが湧いてきます。ほんまに、すばらしい。

なにより『わっきゃない (Z)』、これこそイントロだけで危うい一曲です(※2)。
コミカルなようでいながら、この曲調、アレンジ、メロディ、すべて最高です。

  1. ほんとうは『雪がチラリ』という原題だったとか。
    ソースは、「ハロ!ステ アーカイブ 清水佐紀×矢島舞美 対談」DVD
  2. インディーズの最初の曲になる予定だったとか。
    村上愛さんがグループから抜けるにあたって、最後に、レッスンルームに待機していたメンバーたちと一緒に踊りたいと希望した曲であり、8名で踊った最後の曲となる。
    ソースは、やはり「ハロ!ステ アーカイブ 清水佐紀×矢島舞美 対談」DVD

個々の曲がそれぞれに、なつかしい、すばらしい、曲自体が良い…といった以上に、その楽曲を奏でるステージ上のメンバーたちの楽しそうなことといったら!
かつて幼い頃に演じていた楽曲を、10年を経て技も磨いた、最高に育ち上がったメンバーが改めて演じることで、メンバーがこの10年、技を磨きに磨いてきたことも認識できることに加え、楽曲本来が持っていた楽しさや質の高さも、改めてわかります。かつては引き出せなかった楽曲それ自体のポテンシャルが十全に展開されることから、改めてメンバーの10年の道のりにも思いが届くという次第。
はたしてこの事情を指してメンバーがようやく楽曲に追いついたと言ったものかどうか

それほどの楽曲でもあり、ただフリをつけて歌詞を歌っただけではない、まさしく「パフォーマンス」というレベルで、エンタメが提供されていることが強い主張をもって知らされる場面です。
繰り返し、なるほど、アップフロントは、アイドル事務所なのではなくて、音楽事務所なんだなと。

あるいは、今のメンバーならば、なにを演じようが、高いパフォーマンスレベルを達成できるということかも。

みなさん、びっくりしましたか?

演じられる楽曲がすばらしいだけではありません。
初単独のセトリを改めて記念日のライブで再現しようという趣向それ自体が、℃-ute が、自分たちの歩んできた道のりを(途中、辛いことも多かったということまで含めて)誇りを持って自分たちのものとしていることを示しているわけですが、さらに加えて。

MCでは、冒頭いきなり『JUMP』を演じたことに対して、「みなさん、びっくりしましたか?」と可笑しそうに、嬉しそうに、メンバーたちは客席に語りかけました。
つまり、℃-ute のライブにやってくるファンのみなさんが、℃-ute のステージについての予断というか、一定の了解を持って会場に足を運んでいること、そうした共有される一定の了解において、『JUMP』という楽曲がどのような位置を占めているのかということ、こうしたことについて、℃-ute 側にある程度の理解があることは明らかです。

MCでは、最近の話題もちょこちょこ挟みながらも、当時の初単独時の、覚えた内容をそのまま話していただけの、たどたどしくも初々しい様子まで含めて、完全再現。
わざと幼い口調を再現してる自分たちに自分たちで笑ってしまいそうになるのをようやく抑えているかのように、メンバーたちの嬉しそうな表情が、実に印象深い再現劇です。

自分たちの歩んできた道のりをしっかり自分のものとしていること、応援してくれるファンの間に一定の了解が共有されていること、ファンの側の了解をメンバーも理解していること、そうしたすべてを踏まえて、様々な趣向を凝らし、ファンのみなさんを驚かせようと、嬉しそうに、楽しそうにしているメンバー。
いや、いったい、私たちは何を見せられているのかと、ほんとに思います。
すばらしい。

流した涙も軽やかに

この「℃-ute の日」の前後、メンバーたちが準備しなければならないイベントやライブは、かなりの過密スケジュールで予定されています。

少し前までは夏のハロコンが続き、8月30日には居合いと朗読劇に挑み、9月6日には女子落語に挑んだ℃-ute。9月19日には初となるメキシコ遠征を控え、その間隙を縫うように、鈴木愛理さんと萩原舞さんは北海道でのFCバスツアーを2泊3日で勤め、来月には秋ツアーも始まります。かと思えば、今年の下期に向けて、ナルチカも決まりました。
(いや、46都道府県制覇したんとちゃうんかい!:岡井さん風に)

同じセトリでこなしていくツアーの日程が続くだけでも大変だろうに、それぞれ全然別の演目を準備しなければならないスケジュールです。メキシコのライブも、バスツアーでのライブも、それぞれ別々のセトリが組まれたことでしょう。
そんな中で、ファンのみなさんはびっくりするかなあ?とクスクス笑いながら相談したのか(勝手な想像です)2007年の初単独を完コピするというセトリ。

おそらく、当人たちも自分たちがどれだけ大変なことをこなしているか意識していないのではないかと思うのですが、あくまで軽やかにこなしているかのようにしか見えない彼女たちの「お仕事」ですが、こうして立ち止まって考えるに、いかにも厳しいタスクであることかと。現にステージ上で楽しげにしているように、それが軽やかにこなされているかのように見えるまでには、いったいどこまでの研鑽があったものかと。

そして、上述のとおり、自分たちの歩んできた道のりをあえて振り返る彼女たちは、その研鑽の中で流した汗と涙すらも、軽やかに乗り越えていくかのようです。

さらなる伸びしろとポテンシャル

アンコールでは、10月28日に発売される新曲初お披露目。
最後の最後に、舞美ちゃんがタイトル言い忘れるなど、もうほんとに舞美ちゃんらしい一幕も添えてお披露目された新曲は、いずれも日本レスリング協会公認ソング。『ありがとう~無限のエール~』は選手団讃歌、『嵐を起こすんだ Exciting Fight!』は応援ソングという位置づけとのこと。
「℃-uteの日」を越えて迎えた週末のラジオ放送にて、すでに全国にお届けされているように、この新曲は主メロがアップテンポながらも実に落ち着いた、深く響く曲となっています。

その楽曲そのものの評価の他に、投稿者が思ったのは次のということ。
いや、押すなあ」と。
現時点で最新シングルである『我武者LIFE』も含め、上記初お披露目の公認ソングたちは、歌詞の中で、解釈の幅がないというか、ストレートに「泣かせ」にかかる部分が目立ちます。かつての楽曲たちのように、何度も何度もライブで奏でられ、メンバーたちの成長とともに楽曲が育っていった結果、その来し方にずっと併走してきたファンが、改めて「泣ける」ような曲に仕上がったわけではなくて、最初から、そうなることを意図して、リリースの段階で「泣かせ」にきます。
それが成り立つのは、その楽曲を奏でる他ならぬ ℃-ute メンバーたちのこれまでの苦難の道のりがあったからこそであり、今の℃-ute が、その苦難を立派に乗り越えていることが明らかだからこそ。だからこそ、「あからさま」とも言える「泣かせ」が成立している。
で、そうした「℃-ute のこれまで」も含めて、余韻もなく、解釈の余地もなく、ストレートに泣かせに来る楽曲が続いていることを、私は「いや、押すなあ」と思ったのでした。

なんか誤解されてそうですけど、初お披露目の新曲は、アップテンポながらも落ち着いた感じで、ちゃんと響く良い曲です。

さて、℃-ute には、『ベーグルにハム&チーズ』といった、こちらもまた別方向にド直球な、可愛いばっかりの幸せな楽曲も豊富です。あるいは『悲しきヘブン』や『地球からの三重奏』のように、複雑な歌唱を聴かせる路線の楽曲も豊富です。
上述のような『たどり着いた女戦士』路線の『我武者LIFE』から新曲まで、℃-ute の体育会系的な泣かせの路線を押せば押すほど、この先のどこかのタイミングでリリースする将来の新曲において、路線が切り替わった時の衝撃も大きなものになるでしょう。泣かせで押すかと思えば、どこかの段階で、あるいは可愛い路線だったり、はたまた音楽性が追求された路線だったりと、手持ちの数々の引き出しを渡り歩いて、その都度、新しく打ち出されてくるコンセプトに、℃-ute メンバーがどんな彩を添えてくれることか、想像するだに楽しみなことです。

きっと、そのたびに、「みなさん、びっくりしましたか?」と言われることになるのでしょうね。そのたびに、ファンのみなさんは驚くかなあ?とか、クスクス笑って、メンバーはあれこれ相談しているのかも知れません。
それこそ、数多の辛酸を乗り越えて研鑽を積み、なつかしの楽曲であれ新曲であれ、どんなテイストであれ楽しげに嬉しげに奏でるだけの心と技を携えて、ファンとの信頼関係を培ってきた℃-ute ですから

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なつかしいセトリを再現してくれた「℃-uteの日」は、そうした趣向それ自体を通じて、℃-ute の研鑽と、磨きぬかれた心と技のその先を展望できる、すばらしいライブでしたよ。
ただ、なき子さんの先行きだけが不安ですけども。

…わあん。今回こそ、短くレポしようと思ったのに。

(文=kogonil)

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