はじめに すべての始まりは道重さゆみさんだった
2025年の8月14日、Zepp DiverCity にて芸能活動のすべてに終止符を打った道重さゆみさんの、そのライブレポを始めるにあたって、やっぱり、すべての始まりは道重さんだったと記しておきたいのです。
それは、レポを書いてる報告者にとって、道重さゆみさんが特別なアイドルであったという意味ではありません(いや、そういう意味【でも】ありますけれども)。個人としての報告者が道重さゆみさんに想い入れていることを度外視しても、今の2025年現在のハロプロは、道重さんなしにはなかったと思います。
多くのメンバーはブログやインスタなど SNS を介して、公式の告知を補足するかのように(きちんとマネージャーの縛りはあるとはいえ)ファンに向けて自分の生の声を届けてくれていますが、これ、道重さんのファンなら、道重さんが最初にブログの開設に踏み切るまでに、ずいぶん事務所とバトルしていたことを覚えているのではないでしょうか。
メンバーが自分の裁量で(繰り返しマネージャーの縛りはあるとはいえ)ファンに自分の気持ちを届ける手段、それは、モーニング娘。6期メンバーの道重さゆみさんが開拓したという側面が(ハロプロ史には)確実にあります。でも、そうした、制度的な側面でのハロプロのあれこれが道重さんに始まっている… というだけではなく。
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唐突ですが。
みなさん、今般の夏のハロコンのグッズである『Hello! Project DVD MAGAZINE Vol.88』は入手済でしょうか?(Hello! Project DVD MAGAZINE Vol.88 CM)
これは2025年の ひなフェス(→「春の祭典『ひなフェス2025』 で再認識したハロプロの魅力とは?」)全4公演のバックステージ映像をまとめたDマガとなっております。
現在発売中のDマガにつき、ネタバレを防ぐために、あんまり詳しく紹介できませんが、シャッフルでソロを歌うことになったロージークロニクルの上村麗菜ちゃんが、歌い終わってステージ裏に戻ってきた際の様子は、思わず、こっちも震えてしまいそうになりませんでしたか?
さらには「でもね、リハーサルより、上手に出来た♪」って(泣きながら)仲間たちに告げている上村さん、健気で愛らしくて、ひっくり返りそうになりますよね(DISC2 前半)。
他にも、いろんなグループの、いろんなメンバーの、ステージ上のパフォーマンスとは異なった、愛らしいと言うべきなのか、胸が苦しくなると言うべきなのか、いかにも、夢見たステージに挑む中で、少しだけ漏れ出てくる自然な姿のあれこれがファンに刺さる場面だらけとなっております。(バックステージに関しては、こちらも是非 →「私たちが愛したハロプロ:何やってんの舞美ちゃん!(元℃-ute 矢島舞美)」そして「私たちが愛するハロプロ:全方位外交 瑠乃ちゃん(つばきファクトリー豫風瑠乃)」)。
そうです。
そんなもん、ファンの皆さんにお届けできるところだけを、スタッフ側の検閲と編集を経てリリースされているに決まってますね。メンバーが機嫌悪くなっていたり、互いに険悪になっていたり、スタッフにマジの叱責を喰らっていたりするような場面は、その他、写っちゃいけないアレコレが写り込んでしまったような場面は、注意深く排除されているのは言うまでもありません。
余談の余談ですが、そういえば、今般のファイナルツアーで、衣装自慢の流れで、うっかり衣装の下の着衣を客席に見せてしまって、「今回だけだからね!」って笑っていたのも、道重さんでしたね。閑話の閑話休題。
それでも、様々な素材の中から、スタッフ側が、メンバーが魅力的だと思える場面を編集してくれているのは、メンバーへの愛情がバックボーンにあること、そして観る側であるファンも、何気ない場面の細部から、メンバーたちの魅力を敏感にかぎ分けて、食い入るようにしてバックステージ映像を観ている、そのリテラシーが涵養されていること… この意味で、今般の夏のハロコンのグッズである『Hello! Project DVD MAGAZINE Vol.88』は、実に珠玉だと強く主張しておきたい次第です。
が、それも、これも、すべては道重さゆみさんが、その始まりだったと思うのです。
スタッフ側の愛ある編集も、スタッフ側のファンへの信頼も、そしてファン側のリテラシーというか観る精密度も、これらが界隈に培われたのは、すべて道重さゆみさんのおかげだと思うのです。
ちゃんと調べれば具体的に出せると思うけど、あえて記憶で書きますが、道重さんは、モーニング娘。時代に担当していたソロラジオ(「今夜もうさちゃんピース」)で、何回か、気持ちがあふれてしまって、泣いてしまって、放送まるごと “泣いてる道重さんが何を言っているのかわからない” という放送回がありました。
それも、ファンへの想いが先走ってしまって… という内容ではなく、モーニング娘。が出演した舞台で満足な役をもらえなかったとか、ブログに夢中になって同期の亀井絵里さんとケンカしたとか、そういう、あくまで道重さゆみ当人の感情がメインの内容で。
上記の道重さんのソロラジオは、生放送ではなく、録音です。
ということは、もう言うまでもないですが、スタッフ側の検閲と編集が入っているわけです。こんな、パーソナリティが泣いてしまって、まともに話せなくなっているような素材を、なんでまた、そのまんま放送したんだろう?って思いませんか。
でもね。
そんな道重さんの、そのまんまの語りが(いや、涙で語れなくなっているところが)多くのファンの胸を打ち、今日の “謎のピンクの集団” につながっています。
スタッフは、泣いてしまって何を言ってるかわからない道重さゆみこそ魅力的であるし愛らしいと理解していたし、聴いてくれているファンは、それを理解するだろうと信頼してくれたし、そして事実、多くのファンは、そのまんまの道重さゆみを愛しました。
そう、繰り返し、スタッフ側の愛ある編集も、スタッフ側のファンへの信頼も、そしてファン側のリテラシーというか “何を愛するのかという選択眼” も、これらが界隈に培われたのは、すべて道重さゆみさんが始まりです。
言うまでもありません。
その気になれば、外のメディア環境でいくらでもタレントとして活躍できるのに、ずっと愛し続けてきたファンにこそ寄り添ってくれたこと。ハロプロが、タレントとして芸能人として活躍するその筆頭に、ファンを大切にしてくれることは、みなさんご承知でしょうけど、それもこれも、わたくしは、すべては道重さんから始まったと、そう思うのです。繰り返し言うまでもなく、そんなファンとの関係に甘えず真剣にステージ上でのパフォーマンスにこそ心血を注ぐことも。
その最後のステージとなった2025年8月14日の Zepp DiverCity で読み上げてくれたお手紙は、道重さんがブログで全文を公開してくれています(「私を愛してくれた全てのみなさんへ」)。なんと12枚もあったんですね。レポのためにと思って懸命にメモしてきたのが、すっかり無駄になりましたけど、道重さんの直筆の(字体まで可愛い)お手紙は、一行ごとにあまりにも真摯で胸に迫ります。
そんな(ファンを大切にしてくれることは言うまでもなく)ハロプロを愛するファンがハロプロに感じるすべては、すべては、道重さゆみさんがもたらしてくれたものだったと、そう私は思うのです。
そんな道重さゆみさんは、2025年8月14日の Zepp DiverCity で、自らの芸能活動のすべてに終止符を打ちました。
Zepp DiverCity 最悪だ!!(反語)
ついにこの日が来てしまいましたね。
2025年8月14日、お台場の Zepp DiverCity TOKYO で、道重さゆみさんのラストツアー、その最終公演が開催されました。
当日はお昼を超えたくらいの時間から、周辺を含めて “謎のピンクの集団” であふれかえります。そして、グッズ列の過酷さは、11年前の横浜アリーナに匹敵するレベルだったとも。

この2025年8月14日、お台場の Zepp DiverCity TOKYO で、道重さんはファンの前から姿を消すことになります。
レジェンド中の大レジェンドである道重さんのファイナルならば、横アリか、せめて武道館を… という声もありましたけど、道重さんが何度もブログやインスタに上げてくれた画像にも明らかなように、あくまで最前の数列だけとはいえ、客席との距離の近さと、道重さんのテンションとの呼応具合という意味で、この準ライブハウスとしての Zepp DiverCity は、かなり最適に近かったのではないかと。
もちろん、ファン側としては、最前から数列だけが恩恵にあずかることができるわけですけれど、そしてファンクラブの抽選で当然のように落選していた報告者も、悲しい整理番号であるからには、ぶっちゃけ埋もれ席で、ほとんどスクリーンを介さないと道重さんが見えなかったという切ないステージ体験ではあったわけですけど、しかし、まさに当の道重さんのためにこそ、最前の客席と近くて、いろいろと呼応レスポンスが素早い、この会場は、良いファイナルの会場になったのかな、と思います。
それに、いろんな会場に比べて、周辺に時間を潰すフードコートだったり、ぶらぶらと佇む場所に事欠かない優しい会場でもあります。この点は、グッズ購入に余裕を持たせるために開演までに時間があるタイミングでやってきたファンには見逃せませんね。
さらに、私のように(非常に残念な整理番号であるだけでなく)どうしても都合がつかず、泣きながら(なかばグッズは諦めて後日の通販にすることを前提に)遅れて現地に向かうファンにとっても、東京テレポート駅から近いうえに迷うことない立地である点も(多くのライブハウスと比較して)たいへんに、ありがたい会場です。
だけど。
だけど、この会場で、道重さゆみさんは、ファンへ向けた最後のメッセージを、「ありがとうの前にごめんね」と述べることになります。この一点だけで、個人的で申し訳ないけれど、Zepp DiverCity は、私にとって切ない場所になりました。勝手なことで、ほんまに申し訳ない。
この Zepp DiverCity で朗読してくれたお手紙でも明らかなように、道重さんは、ファンを道重さんと対等であるかのように語ってくれます。… でもこれが、ファンから少し距離を取った、ファンとは立場を異にするタレントという地位に居直っていたなら、結果は違ったのかなとも思ったりして、いろんなことが脳内をよぎったので… ごめんなさい、やっぱり今の時点で “Zepp DiverCity 最悪だ!” ってフレーズが脳内をかき乱します。
まったく論理的でなくて、非常に申し訳ない。
論理的でなくて申し訳ないというなら、この日のラストライブに先立つ数日間、頻繁なSNS更新、超長時間のインスタライブと、道重さんがファンのために SNS での露出を高めてくれていたことまで含めて、非常に切なくて。
繰り返し、道重さんはファンと対等であることを強調してくれていたけれど…。でも、ファンと立場が違うんだってことに居直るタレントであってくれたなら、結果は違ったのかなと、どうしても思ってしまいますね。
そして、そう思ってしまうことを前提にして…
それでも、この結果につながるファンとの関係を強調してくれる道重さゆみさんだからこそ、多くのファンは道重さんを愛したんだとも思うのです。
ああ、もう、ほんまに Zepp DiverCity 最悪だ!!
道重さゆみ LIVE TOUR 2025 SAYUMINGLANDOLL~SAMSALA~(ファイナル東京公演)
そんな、道重さんのファイナルとなったのは、繰り返し2025年8月14日の木曜日、お台場の Zepp DiverCity TOKYO でありました。
開演19:00ながら、終演は21時を大きく回って、もうすぐ22時じゃん!ってあたり。
ツアーの他の公演が25曲のセトリで行われていたのに対して、このファイナルは(道重さん本人も「曲をねじ込んだ♪」とおっしゃるように)28曲編成でお送りされます。
そんなラスト公演のセトリと概要も、次のページで掲載することにして、いっかいページを切り替えますね。
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