切り取られた断片に刻まれた人生の記録 その3 ~ハロプロ DVD 作品のご紹介:抹茶ーず編~

ハロー!プロジェクトは、所属メンバーたちによる直接のパフォーマンスであるライブやコンサート、さまざまなイベント以外にも、豊富な物販グッズという形で、多くのファンにたくさんの選択肢を提供している。このうち、あくまで瞥見の範囲で、あれこれと取り沙汰される日替わり写真や、毎度手を変え品を変えて提供されるTシャツなどと比べると、微妙に影が薄いのが DVD Magazine に代表される映像作品だ。
「あんまり売れへんからな」と製造がストップしてしまっては一大事であるため(個人的に)、未だDマガに手を出すことに躊躇している潜在的な同志を勧誘すべく、3つのコラムに分けて、DVD 作品をご紹介してみる試み。

今回はそのラスト。熊井友理奈さんと鈴木愛理さんによる「抹茶ーず」DVDからもらった所感で締め(文=kogonil)

抹茶ーず in 宇治・白川 里山の旅(DVD)

 熊井友理奈さんと鈴木愛理さんによる、「抹茶ーず」によるDVD。これを新ユニットとしても良いもんか悩みつつも、宇治茶生産現場や、その宇治茶を使ったスイーツ、あるいは郷土料理なんかを紹介したり、自作してみたりする白川訪問の SATOYAMA テイストな前半部分(大部分)と、商工会議所の招きによる宇治市でのイベント参加を追った後半部(ちょっとだけ)で構成された、楽しいDVD。

すっかりお姉さんになった熊井ちゃんと愛理さんが、真面目にしっかり白川のみなさんのお話しに耳を傾けたりしていながら、撮影が進行するに従って、だんだんお互いに「いつもの」ノリだったり、二人の間だけで通じる「おふざけ」を始めてしまったりと、真面目にやろうとする大人になった2人と同時に、それでも一緒にいると、あの頃に戻る感じとを、同時に一本のDVDのなかで見せてくれる、すばらしい仕様となっております。
スイーツ作りだったり白川のショップに訪れたりと、その場に第三者的な専門家的なゲスト的立ち位置の方がいる場面と、熊井ちゃんと愛理さんの二人だけになったときの、二人のテイストのギャップが激しくて、それでいて、ゲスト的立ち位置の方に対しても、ぞんざいだとか台本で決まってるからといったような様子はもちろん皆無で、外の方に対して「きちんとまじめに応接する」姿もまた、その真面目さや誠実さ、さらにはメタなレベルで、そうした真面目さや誠実さが飾らずに自然と前に出ている様子などが際立ちます。

そして一瞬だけとはいえ、宇治商工会議所のイベントで宇治茶マスコットキャラクターのテーマソングを歌う二人。そのステージの上で楽しげにしている姿は、なんというのか、語るべき言葉がありません。
楽しげにしているってだけじゃなくて、その「楽しげ」な様子こそ、ある意味では意図的に、ある意味では無意識に、13年にわたって磨き上げられた、それこそ貴重な貴重な技の結晶であると同時に、熊井ちゃんや愛理さんの人柄そのものであることまで含めて。
磨かれたプロの技が、ある面では、当人の人柄そのものとなっているという、その彼女たちの13年の歩みを含めて。

いやDマガってことで言えば、投稿者の手元には、Berryz工房と℃-ute のDマガは(℃-ute の場合はDVDパンフレット)Vol.1 からそろっておりまして。その、まだまだ幼かった頃の熊井ちゃんや愛理さんの様子は、いつだって液晶の中で再生できるわけです。
問いかけられていることに対してもそもそとしか応じられず、◇ の形の口をして、ニコニコしてるのが精一杯だった熊井ちゃんも、懸命に「演者」として振る舞おうとしている「懸命さ」ばかりが印象づけられる愛理さんも。
そう思って見れば、二人とも、ほんとに大人になったし、なによりも美しくなりました。ほんとに。

このDVDで、真面目にしっかり「お仕事」しながら、あの頃のままな「わちゃわちゃ」する姿も見せてくれる二人は、思えば、13年以上の長きにわたって、その笑顔も、汗も、涙も、失敗も、その喜怒哀楽の全部を、ファンに見せてくれたわけだし、刻一刻と成長するその過程のすべてを見せてくれたわけですもんね。

*****

最後に熊井友理奈さんと鈴木愛理さんのDVDを紹介したことによって、彼女たちの来し方に想いを馳せることで、むしろ一層鮮明になるのは、新しくDマガの刊行がスタートしたカントリー・ガールズと こぶしファクトリーなど、若いグループの行く先が楽しみすぎるということ。

熊井ちゃんと愛理さんが、Berryz工房と℃-ute が、大きく美しくなるプロセスを、すべて記録に残してファンに届けてくれたように、この先のハロプロもまた、様々なものを私たちに届けてくれるのでしょう。
心から、ほんとうに心から、楽しみなことです。

何度も言ったことですが、短いとは言えないこの人生行路において、ハロー!プロジェクトを知り得たこと、私は、まことに幸運であったと思うのでした。

遊ぶ。暮らす。育てる。SATOYAMA & SATOUMIへ行こう 2015 with 勇気の翼 秋フェス 抹茶-ず in 宇治・白川 里山の旅(DVD) | アイテム別,DVD・Blu-ray | | e-LineUP!

DVD Magazine 編集の隙間から垣間見える人生

これまで、Juice=Juice、カントリー・ガールズ、こぶしファクトリーのDVDについて、いくつか紹介してきました。
そこでは、ほんとうにその作品でしか見られないメンバーたちの愛らしい姿を通して、彼女たちが、ファンという観客を魅了するプロフェッショナルな「アイドル」へと成長していくその一端を垣間見せてくれています。

Juice=Juice は、なかなかにぎこちないながら、やがて本数を重ねるにつれて、徐々にグループ内でのお互いの立ち位置が固まっていく様子を見せてくれています。カントリー・ガールズや、つばきファクトリーは、まだまだ不定形ながら、将来爆発するであろう大きな可能性を感じさせてくれます。

一番最初に述べたように、確かに過去のハロプロの物販系映像作品には「やっつけ」としか言いようのないものが含まれていたことも事実です。しかし、それは今や、過去形。

モーニング娘。については、かの『ライバルサバイバル』を追った Vol.30 あたり(物販:2011年『9期メンを迎えて』ツアー)前後から、Berryz工房については、メンバーたちがまったりとプライベートを過ごしているような姿を見せてくれた Vol.30 あたり(物販:2013年『Berryzマンション入居者募集中』ツアー)前後から、℃-ute については過去の振り返りを意識的に企画にした Vol.27 前後、鈴木愛理先生の「ダジャレ教室」企画のある Vol.24 あたり(ツアーとしては2012年の『美しくってごめんね』くらい)から、明らかに編集も企画も、そこで切り取られるメンバーたちの姿も、見違えるようにすばらしいものになったと思っています。
その編集に、メンバーへの愛とファンへの信頼が感じられるようになったとも。

2015年12月現在、これらのDマガは、モーニング娘。については Vol.78 まで、℃-ute については Vol.59 まで販売されており、収納場所問題という新たな辛さを産み出しているのはご愛嬌。Berryz工房は、Vol.43 で打ち止めとなりましたが、Vol.42Vol.8 では、同じナンバリングで、メンバー(およびその組み合わせ)ごとにリリースされていましたから、通算で55枚のDVDがあることになります。

こうした大量の映像作品の中に、あのときのメンバーも、このときのメンバーも、そして、少しずつ成長しているメンバーも、大きく美しく育ったメンバーも、その過程が丸ごと収められています。
Berryz工房のラストとなる Vol.43 で、6人が結束して ももち先輩ひとりをターゲットにした「枕投げ大会」の前に差し込まれた、メンバーからファンへ向けてのメッセージにおいて、別れを悲しんでいるであろうファンに向けて、熊井ちゃんが「楽しかったことは、全部、こうやって残ってるから!」と語ってくれたように。

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単なる物販グッズであるはずの DVD Magazine は、ライブやコンサートとはまた違ったメンバーの魅力を伝える媒体であるはずの DVD Magazine は、制作者側が意図してのものかどうか、いつのまにか、メンバーたちの成長を通じて「受け継がれていく」ハロプロの精髄を記録した貴重なものともなっているようです。
すばらしいです。

これまで、さまざまな事情から、物販で DVD Magazine をスルーしていた方がいらっしゃるなら、投稿者は、全力で「買った方が良いよ」とお薦めしたいのでした。

…だから。
だから、つばきファクトリーの DVD Magazine をはやくリリースしてください
お、お願いします!!

(文=kogonil)

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