切り取られた断片に刻まれた人生の記録 その1 ~ハロプロ DVD 作品のご紹介:Juice=Juice編~

ハロー!プロジェクトは、所属メンバーたちによる直接のパフォーマンスであるライブやコンサート、さまざまなイベント以外にも、豊富な物販グッズという形で、多くのファンにたくさんの選択肢を提供している。このうち、あくまで瞥見の範囲で、あれこれと取り沙汰される日替わり写真や、毎度手を変え品を変えて提供されるTシャツなどと比べると、微妙に影が薄いのが DVD Magazine に代表される映像作品だ。
「あんまり売れへんからな」と製造がストップしてしまっては一大事であるため(個人的に)、未だDマガに手を出すことに躊躇している潜在的な同志を勧誘すべく、3つのコラムに分けて、DVD 作品をご紹介してみる試み。

今回はその第一弾として、前口上とJuice=Juiceについて。(文=kogonil)

DVD Magazine とは?

DVD Magazine は、ライブやイベントのグッズとして販売されているDVD。ハロプロのユニットごとに、ツアーやイベントのバックステージだったり、オリジナルの企画だったりが収められ、これでしか見れない姿が満載のグッズとなっています。

とはいえ「いやいや、アイドルのファンなんて、お目当てのアイドルが写ってれば、それでOKなんでしょ?」といった声も世の中には依然として大きく、そして事実、ハロプロのDVD Magazine(以下Dマガ)も、そうした声を反映してか、いわば「やっつけ」だったことも否定しきれないところもありました。
ええ。ありました。過去形です。

確かに、ライブツアーのバックステージとはいえ、別途商品化されるライブDVDを見ればわかるようなライブの紹介がメインで、ライブMCの紹介やバックステージ映像も「おざなり」で、なんとなく「定型」をなぞって済ませるようなものが多かったし、オリジナルの企画ものであっても、それこそ「お目当てのアイドルが写ってれば、それでOKなんでしょ?」とばかり、ファン以外にはお薦めできない、グダグダにも程があるだろうといったクオリティだったことも、一概には否定しきれないところがありました。
ええ。ありました。過去形です。

昨今のDマガは、そうした弊を脱しているどころか、文字通り「これでしか見られない」すばらしいものになっています。ホントです。
どころか、通常の表向きのイベントだったりでも、Dマガでの収録内容が文脈を提供していて、それを前提にメンバーもファンも表向きの演目を進める場面もあるくらい。

ハロプロのDVDは、一般発売されるDVD以外に、Dマガの他にも、特定のイベントのDVDだったり、「Days系」と呼ばれるDVDだったり、豊富なラインナップが準備されています。

上に、ハロプロのDVDは、見逃すにはもったいなさすぎるコンテンツですよということを述べましたが、まだ信じられないという方に向けて、順次刊行がスタートしている新しいグループのDマガをご紹介してみる試み。Dマガだけに、DDへのご招待ってことで
それぞれ、最近のものをピックアップ。

まずは、Juice=Juice から。

Juice=JuiceDVDマガジンVol.4

Juice=Juice は、DVD Magazine も4本目を数え、こうした点でも充実ぶりを見せ始めていますよね。そんな、最新のDマガでは、ツアーで訪れた広島は厳島神社を中心として、あちこち巡るロケ企画。

ロケ当日は、植村あかりさんが体調を崩していたとかで不参加ながら、予告動画でお知らせされていた「ナレーションで参加」ってのは、ほとんどフェイクすれすれで、オープニングやエンディングでのご挨拶だけじゃなく、ロケ途中でもワイプでちょこちょこ登場してくれて、かえって植村さんだけにスポットがあたる場面も多くあーりーファンにとっては逆に嬉しい編集となっているところも多いです。地元名物の穴子飯を食べるメンバーたちの映像を見ながら、ひとり別撮りで「いいな!いいな!」とじたばたする植村さんなど、変則的にロケ欠席だったからこそ見られる可愛らしい姿も満載です。

また、いろんな専門家やガイドさんが登場して薀蓄を傾けてくれる企画は、懐かしの SATOYAMA だったり、もっと懐かしい「ハロー!チャンネル」などで定番だった形ながら、その定番を踏み越える Juice=Juice ならではの場面も。
前回の Vol.3 では、国立を案内してくれるガイドさんが懸命にいろいろ説明するも、なかなか響かないメンバーたちという図で、冒頭からちょっとハラハラしてましたけど、いつの間にかガイドさん本人が、自分の孫のような年齢の可愛らしい5人に微妙にデレる様が活写されており、ほっこりしないではいられない仕様となっておりましたが、この Vol.4 では、ガイドさんたちの説明を受けるメンバーたちにスポットが多めに当たって、ハラハラに拍車がかかっております。

ストイックなまでのプロ意識に注目が集まる宮本佳林さん、こういう場面でも、ガイドさんの説明に熱心にうなずく役割をきっちり演じるかと思いきや、案外目線をあちこちに走らせていて思ったよりも自由だったり、おっとりしながらも真面目なリーダー宮崎由加さんは、そういうメンバーの自由さをちゃんとフォローして企画の枠組みを守ろうとするに違いないとか思いきや、おっとりしたまんま、一番ふらふらと話題をさまよわせていたり。ハロプロのグループには、リーダーこそが一番自由という不文律でもあるんですかね
しかも、℃-ute の中島早貴さんのような、リーダー補佐的な役割を買って出ている金澤朋子さんも、ゲスト的な方へ「失礼にならないように」という方向にするのか、メンバーや見ているファンの側を向いて「おもしろい」方向にするのか、ちゃんと方針を定め切れずにいたりして、見ていて、いろいろ「ああっ!」という場面があったりして、なにかとハラハラします。ハラハラしますよ、ほんま。

Juice=Juice LIVE MISSION 220~Special Code→J=J Day 2015~ Juice=JuiceDVDマガジンVol.4(販売終了)

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上にも述べたように、なんというか、ステージやブログといった表向きのコンテンツだけで観察していると、そのストイックなまでの克己心に我が身をふり返らずにはいられぬ佳林ちゃんが、Dマガでは案外自由で、思わぬ「はっちゃけ」ぶりを発揮していたりします。しっかり者として、ほわほわしたリーダーを支える金澤さんの「仕切り」が、案外Dマガでは空振りしたりしています。
4作目までのDマガを通覧することで、そうした様子だけでなく、そんなグループ内の位置取りが固まりつつある履歴ごと追っかけられるという次第。

Juice=Juiceは、デビューから2年を数え、2016年にはドラマの主演も決まり、つんく♂さんのプロデュースについても情報が流れ、今年のハロプロの核ともなりかねぬ躍進が期待されています。
その背景だったり前歴だったりみたいなことを、Dマガを通じて追跡できること。ハロプロは、ほんとうに重層的にファンに楽しみを提供してくれていると申せましょう。

幸いなことに、グループの歴史が浅いからこそ、その最初から現在までの様子を、それもファンへ向けてのパフォーマンスといった形だけではなく、グループ内部のお互いの牽制からスタートする関係性や役割が定まっていく過程を追えることは、貴重なことかと思います。

Juice=Juiceについては、市販DVDである『ハロー!SATOYAMAライフ』にて、まだ本当に右も左もわからずに、自己紹介すべきところで固まってしまって、ロケに同伴していた ℃-ute の矢島舞美さんや中島早貴さんに「大丈夫だよ」と励まされている場面から始まって、堂々とグループのリーダーをやるまでの、その成長の一歩一歩に随伴できるという嬉しいオプションもあります。
ハロプロ全体のDマガ最新の Vol.48 では、グループ対抗のゲームで、風船割りのタイムアタックがあって、風船が割れるのが極端に苦手なリーダー宮崎さんがゲームへの参加を拒否するといった前代未聞な場面も収められており、やっぱりハロプロのグループには、リーダーこそが一番自由という不文律があるみたいです。

Juice=Juice オプション:Juice=Juice Days 1

Juice=Juice Days 1

ライブツアーの合間に富士急ハイランドを訪れるJuice=Juiceご一行様。あれこれとアトラクションを楽しんだ(というか「楽しまされた」)挙句に、日本最大というお化け屋敷に挑戦することに。お化け屋敷に拒否反応を示しながらも、果敢にチャレンジに及ぶも、入口を一歩入っただけなのに、とんでもなく泣き叫ぶ宮本佳林さん。もしかしたら、彼女には本当に何か見えてるんじゃないかと思いかねないくらいの取り乱しっぷりな一方、そのお化け屋敷をリタイアしたことで、罰ゲームを全部やらされるハメになるも(大嫌いなセロリを食べる+誰も見てないところで一人でパフォーマンス)、そっちは喜々として楽しげにやり切る佳林ちゃんです。この謎っぷりは、元々佳林ちゃんのことを「可愛いな」と思って見ていたファンにとって、そのパーソナリティーの不可解さを垣間見せることによって、ますます「ハマリ」を深める秀逸な好対比ではないかと。

お化け屋敷で大騒ぎといえば、かつての『ハローモーニング』における、モーニング娘。の新垣里沙さんと亀井絵里さんの様子がハロプロ史上名高いものとなっていますが、別途罰ゲームをやり切ることによって、佳林ちゃん、これに匹敵する爪痕を残しております。

ギネス記録も申請中という「高飛車」なる絶叫マシンにチャレンジする植村あかりさん。最大落下角度が90度を越えていて、むしろ深くえぐりこむような形状になっており、「くびれだったら私が欲しいわ!」と叫ぶ一方、この世の終わりのような表情をして「さようなら植村あかり」と呟く植村さんなど、実に見所満載です。
絶叫マシンから降りたあと、ほんとに魂が抜けてしまったようで、もしかしたら収録だってことすら忘れているような様子の植村さんの一方で、あんだけお化け屋敷で醜態をさらすことになる佳林ちゃんは、嬉々としてはしゃいでいます。「いぇ~い」とか言って。
めっちゃ、可愛いし、面白いですよ。

と、見所満載ながら、このDVDでは、植村さんは標準語を通していましてね。
一方で、Dマガ Vol.2 の企画では、「箱の中身は何だろな」的なゲームで追い込まれ、「こっち動いとるやん!」「ほんまに?ほんまに?」と、つい関西弁を口走ってしまっている植村さんです(関西弁あーりーの可愛さたるや!なんで封印しているのか謎なレベルですよね)。そうした例と比べるなら(他にも2015年11月のハロショ千夜一夜などでも、チラッと関西弁が)、植村あかりさんにとっては、富士急ハイランドの絶叫マシンでは、まだまだ追い込みが足りなかった模様です。

https://www.youtube.com/watch?v=d7pgRCxK-Zk

(FC限定発売商品)

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DVD Magazine を初めとする、こうした映像商品は、メンバーたちの愛らしさが、ライブステージでのものとはまた違った角度で再確認できるだけではなく、ライブやイベントでの様子にも一段と深い味わいを与えてくれるものともなっております。

それでは続いて、先頃、DVD Magazine の刊行がスタートした、カントリー・ガールズと、こぶしファクトリーについて
(「切り取られた断片に刻まれた人生の記録 その2 ~ハロプロ DVD 作品のご紹介:カントリー、こぶし編~」に続く)

(文=kogonil)

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コメント一覧

1 : avatarプウク人形劇場:2016/01/14(木)10:07:03

自分もDD(DVDmagazineだいすき)なDD(だれでもだいすき)ですが、vol.48の風船割りを頑として拒否する宮﨑さんはすごかった。ちょっと怒ってましたもんね笑。他のメンバーもそれを察してか、無理矢理やらせようとしないのがまた興味深く、やっぱりコンサートでは見られないグループ内の微妙な空気感が見られるのって貴重だし魅力的ですね。

2 : avatarkogonil:2016/01/14(木)20:35:07

>自分もDD(DVDmagazineだいすき)なDD(だれでもだいすき)です

おおっ!
潜在的同志へのお誘いのつもりが、もう同志はいたんですな。

3 : avatar初心者:2016/01/15(金)20:18:59

商品管理上の都合なのかわかりませんが、このところ期間限定販売の商品が多くて、記事中で最もフィーチャーされている「Juice=Juice Dマガ Vol.4」も既に販売を終了しています。

ネット配信で単品販売とかしてくれてもいいような気がしますが、儲かる算段がつかないんでしょうね、たぶん。ファンが配信でも1本2600円を支払ってくれるなら、商売が成り立つのでしょうが、購買心理的に難しそうですよね……。

「カントリー・ガールズ Dマガ Vol.1」も既に受注〆切。「こぶしファクトリー Dマガ Vol.1」は2/29までですが、カントリー・ガールズやアンジュルムのDマガは、最後の半月くらい、ずっと品切れのまま販売終了してました。コンサート会場でも売り切れてたので、販売期限なんて有名無実。

まあ、「過去作が良かったので、新作が出たら買ってね」という記事なので、当該の作品がいま買える状態になくても、別にいいんだとは思いますが。

4 : avatarkogonil:2016/01/17(日)13:49:27

>3 初心者さま

過去にDVD作品の話題を出したときも、すでに販売が終了している通販限定のものに言及したりしていたので、現在も購入可能であるかどうかについては触れておりませんでした。すみません。

「現在は購入できない場合があります」との注意があると良かったかもしれません。
ご指摘、ありがとうございます。

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