モーニング娘。13期メンバーお披露目が暗示する2017年の新ハロプロ3つの予感とは

2016年12月12日の月曜日、モーニング娘。’16 の秋ツアー「モーニング娘。’16コンサートツアー秋~MY VISION~」の千秋楽となる武道館にて、13期メンバーが発表された。

すでにニュース部が報じているように、13期として参加することになるメンバーは、2名。
研修生26期の横山玲奈(15歳)と、そして研修生17期となる17歳の、加賀楓である。

この武道館での新メンバーお披露目が示す2017年のハロプロについて、3点ほど私見を述べておきたい。

2017年の予感その第一:余計なひねりを入れない直球勝負

モーニング娘。の新メンバーお披露目が示す第一は、余計な小技を使わない「直球勝負」ということだ。

すでに同ツアーの大阪公演において、13期メンバーが一般オーディションでは合格者が出なかったこと、新メンバーは研修生から選ばれたこと、そして、その新メンバーは千秋楽の武道館でお披露目されることは、告知されていた。

しかし、公式のアナウンスをそのまま受け止めるほど漫然と危機感のないヲタ活をしているファンは少なく、これまでのアップフロントとの長い付き合いをふり返って、年季の入ったファンほど、多くはこの千秋楽の武道館に対して警戒を強めていた。
過去の事例からの類推として、新メンバー加入という嬉しいお知らせには、何かそれとバランスするような残念なお知らせがセットになっているのではないか、と。2015年末には不世出のエースとされた9期メンバーの鞘師里保が、2016年春には、メンバー相互の切磋琢磨の摩擦感を太陽のごとき笑顔で緩和していた鈴木香音が、それぞれ卒業している。新メンバーの加入に伴って、また誰か、愛すべきモーニング娘。の欠くべからざる大事なメンバーが去って行くのではないかと。あるいは、先日、2017年春に「再生」を宣言した6期メンバーであり8代目リーダーであった道重さゆみが、その再生宣言のタイミングから、このサプライズの武道館に姿を見せるのではないか、と。
新メンバー加入そのものは大きなサプライズではあれ、それが事前にアナウンスされているからには、当日はそれだけで終わるはずがないと、多くのファンは、辛いお知らせであったり、嬉しいサプライズを、様々に予測していたのだった。

しかし、2016年12月12日、蓋を開けてみれば、事前にアナウンスされた13期メンバーのお披露目だけで、サプライズは終わった。
しかし、そのお披露目がもたらした衝撃は、ファンが事前に「それだけでは終わるまい」と予測した様々なサプライズを、なお上回るものとなった。

というのも、加賀楓については、少なくともファンが観測するところでは、常に厳しい逆風のただ中にあると見られていたからだった。
たとえば、2016年現在、先輩たちのツアーに帯同しながら、不穏な予測が界隈では流通していた。帯同していた先輩のツアーは2017年の正月に追加公演が決まっており、そのツアーの年内のラストの公演では、追加公演では帯同する研修生は変わっているかも知れないと言われて(℃-ute 矢島舞美 発言)、多くのファンは、いよいよ身の振り方を決めたかと、そうした残念な方向での諦めを先走って予測していたほどだったのだ。

そんな加賀は、ステージに呼び出されてから、先輩メンバーたちが「慌てなくて良いよ」「ゆっくり」と思わず声をかけるほど、嬉しげに、足早にステージ中央へと進む。自分から一言発するまでもなく、自分を呼び出してくれた9代目リーダー譜久村聖から声をかけられるまでもなく、最初っから目に涙を溜めていた加賀楓。
この加賀楓の涙の意味は、全国のファンに一瞬にしてその意味が理解され、そして、「当日はそれだけで終わるはずがない」と警戒していたように、素直ではなない者が多い年季の入った古参ファンも含め、その涙の意味を理解するすべての者によって祝福される涙だった。

モーニング娘。13期メンバーお披露目は、それだけでは終わるまいと警戒した多くのファンの、その警戒を軽々と吹き飛ばすほど、「それだけで」十分に濃い内容を伴った新メンバーのお披露目となった

多くのファンの「小癪な」予測を踏まえてかどうか、いろいろとサプライズを企んできたアップフロントであってみれば、ある程度その歴史に伴走してきたファンは、そうしたサプライズを生理的なレベルで警戒するのが常となっていた。
しかし、アナウンスされた通りの直球で、そうした警戒や予測を吹き飛ばすだけの地力を、いよいよ隠さなくなったということなのかもしれない。

2017年の予感その第二:あえて引き受ける「物語」

第二に、リーダー譜久村聖が、かくも「物語」を背後に含んだ新メンバーのお披露目を、きっちりとやり切ったこと。
思えば、当の譜久村自身、正式なオーディションには落選しており、バックダンサーを務めるつもりでやってきたハロコンの舞台で、サプライズとしてメンバーに加入したという経歴を持つ。自分の名前が呼ばれたことに吃驚して泣いていた愛らしい女の子は、今、リーダーとして新メンバ-の名を呼び、新メンバーとして名を呼ばれて泣いている女の子を堂々と迎えている。名ばかりではなく、譜久村聖は、実質の伴ったリーダーとして、先代まで受け継がれてきたバトンを引き受けていると言って良い。

このように、この13期メンバーのお披露目には、加賀楓の物語と、リーダー譜久村聖の物語がシンクロしている。そして、第一の予感で述べたとおり、そのことを「直球で正面からぶつける」ことに、アップフロントが躊躇しなくなっているようにも思える。

思えば、2017年には、ハロプロのガチなパフォーマンスの粋を体現し続けてきた ℃-ute が解散し、ハロプロの「アイドル」であることを引き受けてきた嗣永桃子が引退し、ファンやメディアとの関係という点で、意図的なプロデュースを超えて、ハロプロの理想を想定以上に具現化していた道重さゆみが再生する。
直球で正面からぶつけられるであろう「物語」に不足はないと言うべきところだ。

2017年の予感その第三:いよいよ面白くなった研修生シーン

第三に、研修生たちにとって、自分たちの研鑽が意味あるものだと、一層、明らかになったこと。
2014年9月30日、同じく武道館にて、当時のリーダー道重さゆみより12期メンバーがお披露目されて以降、研修生からの正規メンバーへの抜擢は、アンジュルムの新メンバーであれ、カントリー・ガールズの結成であれ、こぶしファクトリーやつばきファクトリーの結成であれ、その「抜擢」それ自体は嬉しいものであっても、どこかファンにとっても当の研修生にとっても、経緯が不透明なところで選抜されていた。
しかし、今般の抜擢は、正しく「オーディション」によって、その技と人柄を審査された結果であり、そして、その結果として「メンバー」に抜擢されたのであるから、研修生たちにとっての「研修」が、改めて本来の意味を取り戻す契機になったのではないだろうか。

研修生には、先だって地方アイドルグループより移籍してきた、そのルックスから何から即戦力とも目される川村文乃であったり、先の演劇女子部で鮮烈な印象を残した西田汐里など、依然、刮目すべきメンバーが揃っている。
今回のモーニング新メンバーお披露目を通じて、2017年の研修生の動向にも注目だ。

そして、いよいよモーニング娘。’17 に

13期として同期となる横山と加賀が、研修生としての先輩後輩の開きが大きいことや、研修生出身の12期にとって、加賀が研修生としては先輩にあたることなど、上下関係の厳しいモーニング娘。にあっては微妙な悶着の種を抱え込んだとも言えるが、Juice=Juice 宮本佳林を「佳林ちゃんさん」と呼んだように、「最年少をキープできた」と安堵する羽賀朱音や、埼玉出身であることなど新メンバーとの共通点をことさらに挙げる工藤遥、いきなり自分の印象を問いただす「恐い先輩」石田亜佑美など、新メンバーのお披露目をタダのお披露目のままでは意地でも済ませない前のめりなメンバーたちによって、また新たな呼び名も発明されることだろう。

モーニング娘。13期メンバーは、ハロプロ研修生より、横山玲奈と加賀楓が選ばれた。

(文=kogonil)

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