矢島舞美 卒業間際のご褒美企画に託したもの

2017年6月7日に配信された公式のWeb番組『ハロ!ステ#222』にて、矢島舞美が『16歳の恋なんて』を披露した。

これは番組内の「矢島舞美 ご褒美企画」コーナーとして配信されたもの。
リニューアル前の「ハロ!ステ」には、グループごとのクイズコーナーが設けられており、これは、クイズの優勝者に何をやっても良い自由なソロコーナーが(ライブなどの活動の中で)ご褒美として与えられるというもの。そこで矢島はその権利を以て、「ハロ!ステ」で『16歳の恋なんて』を歌うことにしたのだという。

この『16歳の恋なんて』は、16歳の、まだまだ恋に夢を見ている女の子と、26歳の、現実的でリアルな恋愛を知り始めた女性という2人の登場人物の掛け合いのようにして進行する楽曲で、当時、モーニング娘。初期メンバーである安倍なつみが26歳の立場を歌い、矢島は16歳の立場を歌っていた。

今回、「ハロ!ステ」での披露にあたって、ちょうど矢島と10歳分だけ年の差がある(しかも誕生日も同じ2月)カントリー・ガールズの小関舞が指名され、矢島とともに楽曲を披露した。小関は、最近になって「これまで、あんまり言ってこなかったんだけど」と、矢島の大ファンであることも公言しており、当日の「ハロ!ステ」配信に先だって、是非視聴して欲しい旨、自身のブログでもファンに訴えていた。

配信された楽曲披露の様子には、愛らしく嬉しげで、そして敬愛する矢島の相方を務める緊張感と誇らしさに溢れた小関の健気な姿にも、そして “年上のお姉さん” として、後輩を前にして、白のワイシャツと黒のタイトなパンツスタイルで登場する、本気の矢島舞美の美しさにも、多くのファンが感嘆の声を漏らしたようだ。
しかし、やはり矢島本人が、自由に何をやっても良いとされるご褒美のソロコーナーで『16歳の恋なんて』を歌いたいと望んだこと自体が多くのファンには響いたようだ。

team ℃-ute を自認するあるファンは、こう語る。

「ご挨拶のMCで別の先輩と間違えたり、「脱ぎなさい」という苦言を妙な方向に誤解したり、安倍さんからもらったプレゼントをずっと自宅のベット側の棚に陳列したまま何年も経ってから℃-ute のライブ上で開封するといった挙に及ぶなど、尊敬する大先輩である安倍さんをめぐっても、舞美ちゃんは、「らしい」エピソードに事欠きません。ライブ上で開封した安倍さんからもらったプレゼントってタオルだったんですが、何年も放置していたからか、(萩原)舞ちゃんからは「押し入れの匂いがする」とか言われる始末で。
ただ、こうしたファンが思い出すエピソードのあれこれ以上に、16歳の立場で歌った楽曲を、10年を経て、26歳の立場で、このタイミングで、歌いたいと思ってくれるその気持ちが、一番に矢島舞美「らしい」と思います。まだ25歳だって、ちょっとフライング気味であることも含めて。」

リリース時に、ずっとお姉さんだった(そして大ファンだった)安倍なつみと一緒に歌った曲を、今、26歳を目前にして、自分のことを慕ってくれる若い後輩と一緒に歌う矢島舞美は、まもなくハロプロを去って行く。

折しも、まもなく解散のラストコンサートを控え、「ハロ!ステ」にあっては、℃-ute メンバーが順番にMCを担当しており、この6月7日配信分は、そのラストとして、矢島舞美をMCに迎えていた。
℃-ute が解散し、ハロプロを去って行く、そのギリギリのタイミングで、かつて16歳の立場で歌った『16歳の恋なんて』をお姉さんの立場で披露する矢島舞美は、その間の10年間をこの楽曲にのせて、やはり大切な何かを後輩たちに託してくれたのではないだろうか。

それは、『がんばっちゃえ!』の披露にあたって、素敵な女性に成長したベリキューメンバーのボーカルに重ねて、かつてのキッズたちのコーラスが背景で響いている光景にも似て。

(文=椿道茂高)

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