配信番組『tiny tiny』休止に、アップフロント映像化商品の新戦略・新展開を展望する

ハロー!プロジェクトの YouTube 公式チャンネルの一角『tiny tiny』は、2021年7月30日の金曜日の配信(【tinytiny#177】)をもって最後となった。

今回の配信をもってtiny tinyは番組を休止させていただきます。
現状の形での配信は今回が最後になります。
今までご視聴いただきありがとうございました。またいつかお会いしましょう!

公式チャンネル 概要欄 【tinytiny#177】ゲスト:アンジュルム 松本わかな MC:みつばちまき・松原健之 メンバーコメント: 川名凜 tiny play back 稲場愛香 番組休止のお知らせ

配信チャンネル『tiny tiny』は、当初は木曜日の配信として2017年の10月にスタートした配信番組。シャ乱Qドラムスまこと加藤紀子のMCでスタートし、OGによるコーナー企画もあったが、2020年に4月よりリニューアルし、みつばちまき中島卓偉松原健之らのMC番組へと企画が変更されていた。
当初のバージョンからリニューアル後まで「小さな喜びが、いつしか大きな幸せとなって、人生を輝かせていく」をコンセプトに謳い、「あなたの毎日に、小さな喜びを届けてい」くとされた趣向は変わらず、ハロプロのメンバーを招いて突っ込んだ話を聞くスタイルに変化はなかった。

このメンバーの突っ込んだ話というのがファンには垂涎で、とりわけリニューアル後の、研修生指導に非情な厳しさを見せていたことでファンにも知られていた みつばちまき のMCは(その時期には研修生経験のあるメンバーが大多数であったこともあり)他では得難い逸話が語られることでも注目されていた。

上にMC みつばきまき の指導者としての側面がメンバーとの会話に良いアクセントを利かせていたことに触れたが、このことは歴代のMCすべてに言えて、(コロナ禍以前の)ハロコンでのMCぶりが(時に感極まって涙を流してステージ進行がままならなくなることも含め)ファンに親しまれたシャ乱Qドラムスまこと の茫洋とした会話の受け止めや、今尚ハロメンを(ファンが訝しむほどに)やさしく迎えてくれるヤンタン土曜日の、その素地を作ったともいわれる加藤紀子の、率直に「今のハロプロを知らないから」突っ込んでいる受け答えも、かえってハロプロメンバーのトークを引き出すにあたって有効だったし、ハロプロの各グループに印象的な楽曲を提供してくれる中島卓偉や、 LoVendoЯ や Bitter & Sweet のメンバーとの共演も豊富な松原健之らは、プロのパフォーマーとしての立場から、時に得難い教訓をメンバーにもたらし、時にメンバーの語る想いに意外なほど共感し支えてくれていた。

この『tiny tiny』が休止となることで、一部には、やはり再生回数が振るわなかったのかと見る向きもあるが、しかし再生回数だけなら、チャンネルごと削除されでもしない限りは、アーカイブとして、いつでも視聴できるので、それこそロングテールとして地道に着実なファン開拓を担えるだろう。この休止には、短期間での配信チャンネルの再生回数の動向よりも、あちこちに展開している各種の配信プラットフォームを整理・集約して、収録・編集にあたるマンパワーを集中的に投下しようとするアップフロントの戦略があるのではないかとの見方もあるようだ。

折しも有料配信専門のサイトも順調に動き出し、各種イベントの配信チケットも販売しているからには、今般のコロナ禍による興行形態の強制的な変更を超えて、有料配信を安定的に収益を見込める柱にしていこうという意図があるのではないか。そのためにも、定点カメラからのアングルの変化のない映像ではなく、しっかりと “有料” に相応しい編集を施すべく、スタッフの再配置が水面下で進んでいるのではないかというのだ。この『tiny tiny』の休止もその一環ではないか、と。

折しも、販売されているライブステージの映像化商品に、これまでになかった映像効果が入ったと、一部で話題だ。アップフロントは、興行形態の変動に応じた映像化商品のブラッシュアップを、様々に試しつつあるのではないだろうか。
そうであれば、今後、この『tiny tiny』の休止を受けて、新たな展開がお知らせされることになるだろう。そのお知らせを楽しみにしたい。

(文=椿道茂高)

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