つばきファクトリー 岸本ゆめの、潜在的な抜群のエンターテイナー性を爆発させたバースデーイベント2020

ほんとにまるっとお任せのフリートーク

イベントのスタートとなる『笑って』を披露してから、上々軍団の さわやか五郎 さんが登場します。台本で “ゆめのと五郎の楽しいトークを” と指定されていると言いながら、台本が2ページしかない、台本ではトークの大枠の指定すらないと、そうボヤいて、どこまで演者にお任せの台本なんだと(笑顔で)鼻息の荒い岸本さんと五郎さんです。

というわけで、一切が岸本さんと五郎さんに委ねられたオープニングは、いきなりのフリートークとなります。言うまでもありませんが、このこと自体(台本なしのフリートークとなったことも、そうであることを暴露しちゃうことも)、岸本さんの高いトーク力がスタッフから信頼されていることを物語っておりますよね。

そんなフリートークの話題は多肢に及んで、ようやくメモが追いついたところで、こんな感じです。

  • 青春しときな
    20歳になって学生への見方が変わった岸本さん。大人になったら、やりたくてもやれないことが増えるから、今のうちに「青春しときな」って思うようになったのだとか。
  • でも秋山まおぴんには…
    そんな風に、学生に対しては、どこか先輩が後輩を労るような感覚になったとお知らせしてくれる岸本さんですが、メンバーの秋山眞緒ちゃんにだけは(まだ高校生だから学生なんだけど)そんな気持ちになることはないんだそうです。
  • 器が大きなうどん屋さん
    20歳になってやりたいことを問われて、お値段の高めなうどん屋さん、器が大きなうどん屋さんに入りたいと言う岸本さん。そのうどん屋さんが「つるとんたん」であることは会場の全員に明らかでしたけれども、そのお店にどうにも踏み込めないとおっしゃいます。
    そこで五郎さんが、あのお店は3玉まで増量でお値段変更無しだよと伝えると、「1玉で帰るなんて贅沢なことは出来ません!」という名言を産み出しつつ、(「お値段お高め」が解消されたから)ダイエット中の食べて良い日には、是非、うどん屋さんに訪れたいと言う岸本さんでした。
  • 本格的なラーメンを
    自粛期間中はお家で料理にもチャレンジしていたと言う岸本さん、出てくるレパートリーが、モツ煮、チャーシュー、あさりの砂抜き…など、渋いところで、麺や出汁にも拘った本格的なラーメンを作りたいからチャーシューの技法にも通じている必要があるのだとか。
  • 夏ハロー福岡公演にて
    Cチームは17人なのに、楽屋へのアイスの差し入れが16個しかなかったとのこと。
    そこで、アンジュルムの竹内朱莉さんが場を仕切って “じゃんけん” 大会となりますが、そこに率先して参加したのが(タケちゃんが仕切り役だったから)Juice 宮本佳林さんだった…というところから、そのジャンケン大会で最後の2人にも宮本さんが残ってしまい(残ったのは佳林ちゃんと、BEYOOOOONDS の岡村美波さん)しかも最終的に宮本さんが勝ってしまうという顛末を語ってくれます。
    この顛末について、岸本さんも、さわやか五郎さんも、率先して出てきた手前、そこはネタとしても負けた方が面白かったのに、勝っちゃうんだ佳林ちゃん… といった残念さを言外に醸していたりして。
    もちろん17個めのアイスは、後からマネージャーさんが買ってきてくれたというフォローも忘れず。
  • 岡村みいみの歌の威力
    BEYOOOOONDS の岡村美波さんの話題からの展開
    夏ハローで岡村みいみが歌っていた小泉今日子さんの『あなたに会えてよかった』が(楽曲シャッフルされるから、もうネタバレじゃないよね…という岸本さん発言あり)、異様に耳に残って頭から離れなくて困った。Cチームばっかりじゃ悔しいので、つばきのAチームやBチームにも移してやろうと、事ある毎に歌ってやってるんだとか。

これだけ語っているなら、オープニングのフリートークは、十分ひとつのコーナーに値するんじゃない?と思われた方も多いかと。でも、これでも、ほんのちょっとトークしたってくらいの感じで、イベントの大部分は上掲のとおり、9曲ものライブに費やされた次第です。…って、こういう言い方が妥当かどうか微妙ながら、岸本さん、めっちゃ有能ですよね。

もしかして計算通り? あまりにも見事なイベントの流れ

ミニライブについては、構成と楽曲セレクトは上掲の通り。
それにしても℃-ute の『羨んじゃう』や、Berryz工房の『あなたなしでは生きてゆけない』など、歌割りを全部一人で引き受けるってだけじゃなく、ダンスまでコピーしてましたからね、岸本さん。

伸びやかな高音も自家薬籠中のものとしている岸本さん、いくつかのソロ曲については(あくまで個人的な感想ながら)オリジナルを凌駕したんじゃないかとすら思います。それにしても、静かな曲調のものであれ、そういった曲調の個々のテイストとは関係無しに、アウトロが消えていく辺りのタイミングで満面の笑み(← 可愛い)になる岸本さん、ミニライブ中のMCで、客席の皆さんの顔を見ながらライブ出来ることが嬉しくてしょうがない、って趣旨のことを伝えてくれます。客席としても、嬉しいですよね。

そして、Berryz工房の『CLAP!』ですよ。
現にこうして、先輩たちの遺産を “未来に残” した当の具現化そのものである岸本さんが、「♪未来にも残すべきだろ」と歌うのは、いろんなものが胸に響きますよね。研修生として2014年の Berryz工房の春ツアーに帯同していた岸本さんだからこそ、Berryz工房が大好きだって言ってくれる岸本さんだからこそ、そして Berryz工房から つばきファクトリーまで、ずっと見てきたからこそ、異様に響く楽曲披露となりました。

と、このように岸本さんは終始ニコニコと笑顔で、嬉しそうにしています。だから、恒例とも言うべき “20歳を記念したお母さんからのお手紙” も、余裕のニコニコで受け止めます。当然、そういう趣向があるってことだって、わかっていたわけですから。だから、スタッフさんの影アナによって代読されるお手紙も、岸本さんは余裕の笑顔で聴いている…と思っていたんですが。

お手紙が、”縁あって研修生になっても、みんなの半分くらいしかレッスンに通わせてあげられなかった” と続いたところで、それまでずっと笑顔だった岸本さんが急に泣き崩れます(顔を被ってうつむいてしまう)。お手紙代読を終えてからの岸本さんは、お母さんが一生懸命働いてくれたから新幹線でレッスンに通えた…という趣旨のことを話してくれます。

個人的な感想だけを急いで述べれば、お母さんからのお手紙がイベントの終盤で良かったなって思います。もし先にこのエピソードを知らされていたなら、岸本さんのパフォーマンスを、そのまま “素晴らしい” って言って見ていられなかった(余計な予断が入る)可能性があったから。だから、岸本さんの楽曲披露と、岸本さんが研修生を経て今に至る来歴とを、それぞれ別のタイミングで鑑賞できたのは良かったって、そう思っていたんですけどね。

そういったお母さんからのお手紙代読の場面を経て、最後の最後に、岸本さんは「これまで支えてくれたすべての人に、家族に、メンバーに、そしてもちろん客席から応援してくれているファンのみなさんに」との口上で、モーニング娘。の『ふるさと』を披露します。

すでに述べたとおり、今般のバースデーイベントではお見送りもありません。ですから、ラストの『ふるさと』のダメージがそのまんま緩和されることなくイベント会場から送り出されることになりました。…ズルイよね。

あんなに嬉しそうな笑顔を見せてくれて、レッスンに通うことについてのエピソードに涙する姿を見せてくれて、それで最後に『ふるさと』ときて、そのインパクトをお見送りで緩和することなくイベント終了ですよ、奥さん!
そりゃ、いろんな体液を漏らすなって方が無理ってものです。

*****

それでも最後の抵抗として、わたくし、こう思うんですよ。
ずっと述べているように、岸本ゆめのさん、楽曲披露のパフォーマンスにあっても、トークの瞬発力やギャグネタにあっても、非常にハイレベルなエンターテイナーです。このラストのお手紙から『ふるさと』から、その印象のまんまイベントを終えることまで、実はまるっと岸本ゆめのさんの計算通りだったんじゃないか、って。

ええ、一杯、いろんなものを漏らして、新宿から帰ってきましたとも。

(文=kogonil)

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