2026年4月4日の土曜日と5日の日曜日に、小片リサさんが有楽町の I’M A SHOW にて、それぞれ内容の異なるソロライブを開催しました。このうち、5日の昼公演『faith in words』と、5日の夜公演『the Quite Home』に参加が叶いましたので、ご報告させてください。
とはいえ、小片さんのライブは指定席に着席での観覧で、ペンライトなどの持ち込みも禁止なので、他のレポのように現場でメモをすることが不可能です。このため、記憶で報告させていただく分、短く、そして主観に偏りがちであること、あらかじめ申告しておきます。ごめんなさい。
そして一層重要なことに、小片さんのライブのレポにあって一番に重要な、小片リサさんの声の透徹さといったものは、文字列ではお伝え出来ないために、どうしても周辺的な空気感や印象をお知らせすることが中心になってしまって、その意味でも、どっぷり主観的なテキストになってしまい、あらかじめ、ごめんなさい。
昨年9月の『the starry city』同様、会場である有楽町の I’M A SHOW は、映画館のような段差のある会場で見やすく、地上階のエレベーター入り口にまで案内の係員を配して、なんというか、どこか上質な劇場空間を思わせる “贅沢さ” があって、そのことが、今回の小片さんの公演コンセプトを支える重要な要素でもあったように思います。
昼公演 faith in words
お昼の公演では、ピアノとベース、ドラムが生バンドとして入って、その背景を背負って、小片さんが歌います。白ソックスにやや厚底のローファーという足元が印象的で、楽曲に応じて小さくステップを踏む様子が視界に入るたび、そのソックスとローファーに眼が止まるんですけど、小さくステップを踏んでる小片さんは、やっぱり歌うことを楽しんでいるようで(この衣装は夜公演では変わってしまいますが)。
昼公演は13時開場、14時開演で、およそ実質的に1時間30分ほどの公演。『faith in words』と題して、小片さんのオリジナル楽曲が披露されます。小片さんが独立してからのリリース楽曲(『薄明』、『ラムネ』)や、この4月にリリースが予告されている新曲(『レプリカ』)や未発表曲と並んで、アップフロント時代のリリース楽曲も、丁寧に、大切に歌唱してくれます。
やや余談ですが、つばきファクトリーを離れてから、アップフロント系列から独立するまでの数年間の間に、アップフロント所属としてリリースした楽曲が、今でもこうして小片さんのステージで歌われていることは(楽曲自体が素晴らしいことも相まって)とても嬉しい事ですよね。
さて、そんな昼公演での披露曲の一式(セトリ)は下記の通りですが、小片さんのソロリリース曲に不案内の方も、いずれ小片さんの名前と曲名を検索すれば動画が見つかると思うので、是非。
| Risa Ogata Live 2026 Spring ~faith in words~
2026.04.05(日)14時開演 @有楽町 I’M A SHOW |
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01・『ワンダラー』 02・『どっち』 03・『映画の趣味が合うだけ』 04・『the starry city』 05・『薄明』 06・『Umbrella』 07・『あかとき』 08・『散歩道』 09・『ラムネ』 10・『ちいさな世界』 11・『パラレルファンタジア』 12・『ムーンナイト・シークレット』 13・『君はスターゲイザー』 14・『レプリカ』 15・『Actress』 16・『裸の “Mew”』 |
かつての薄幸の美少女は涼やかな熱量を持った歌い手へ
このソロの公演で、小片さん、実に複雑な魅力を放ちます。
小片さんは、最初につばきファクトリーが6人編成で結成された時から、どこか幸薄い感じの、苦労人な美少女… って印象がありました。報告者が驚くことには、その当時からの “薄幸の美少女” 成分が、今や、優れた歌い手としての熱量に、涼やかな印象を付け加えていることです。
しかしながら、歌うことに向き合う小片さんの姿勢には、単に熱いというだけでなく、どこか涼やかな印象が(かつての薄幸成分の波及効果として)漂います。
つばきファクトリー時代から小片さん推しを自認していた報告者が、どうしても小片さんのことを “可愛い” と思ってしまいながらも、それでも、”ああ、もう小片さんはアイドルではないんだな” と思ったのは、ソロになってからのオリジナルのリリース楽曲によるところが大きく、とりわけ『あかとき』の歌詞が大きな転機(聴いてるこっちの側の転機ってことね)だったかと。
他にも、”瞬きの重なりが止まる時” といった、一般的な恋愛を歌うわけでなく、むしろ対面する愛する人に託して “人生” と “その終焉の時” を想起させるような歌が多い印象の小片さんオリジナル曲です。
『どっち』も『映画の趣味が合うだけ』も、どこかしら切なさを感じさせるだけじゃなく、『Actress』や『裸の “Mew”』では、静かな諦念というか、悲しいわけではない覚悟みたいなもの、現状の諦念の奥にある不可逆性みたいな “人生の機微” まで感じる始末。
そんな雰囲気を纏って、歌唱に没入する小片さんは、小片リサとしての個のアーティストたることを主張するのではなく、あくまでも歌が歌として響くための器として自分を抑制し洗練しているかのようです。
小片リサさんの歌唱の、その温度は低く、声は透明で、かつて “薄幸の美少女” としてファンに感得された雰囲気が、むしろ今、歌い手としての独特の色合いに昇華しているように思います(ずっとアイドルとしての小片さんを追っていた報告者の偏見である可能性は排除できませんが)。どこか影を帯びた感性が、歌に独特の奥行きを与え、結果として “涼やかな熱量” という矛盾めいた魅力を成立させているかと。言うまでもありませんが、素晴らしい時間でした。
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ちなみに、ナイスガールトレイニーとして、ステージの上ででんぐり返しを披露していた頃から、こんなにも透き通った歌を、自分のソロの楽曲としていくつも抱えるだけのアーティストに、自分のソロのステージをプロの演奏家によって彩ってもらえるだけのアーティストになったということは、改めて思い返してみるに、そりゃ “涼やか” なんじゃなくて、相当に “熱い” のかも知れませんね、やっぱり。
さて、一転してセトリや雰囲気を変えて来た夜公演については、ページをいったん切り替えて…

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