Juice=Juice Live Around 2017 ~Seven Horizon~ in 横浜Bay Hall【レポ】 かりんちゃんらしく粋に復活

2017年8月31日、『Juice=Juice Live Around 2017 ~Seven Horizon~』横浜Bay Hall公演が行われた。「機能性発声障害」との診断を受け、7月下旬よりライブなど声を出す活動への出演を一切見送っていた宮本佳林のライブ復帰初日である。

実際に本人の口から語られたところによると、「声を出せないことがこんなに怖い、出かける時は誰かについて来てもらいたいくらい(MCより)」だったというのだから、なおさら復帰を待ちわびたファンも、そのスタンスは複雑で慎重であるべきだった。「医師、ご両親、本人と相談の上(公式アナウンス)」、「うまく歌えないとか自分でも頭を抱えたくなるような歌になってしまうこともしばしば(本人ブログ)」といった言葉の数々。ワンステージこなせたからといって、全てがOKとはいかないだろう。それとも、もし、今日のステージで再発してしまったら?いや、本人のコンディショニングは本人が一番わかるハズ。心配なんてする方が失礼かな?ともあれ、復帰を手放しで喜びたい反面、あくまで抑制的に。心のブレーキを握り締めながら、ありのままを見守ろう。

そんなJuice=Juice family の心の内側を知ってか知らずか、現状の報告も無いままに数曲歌い上げ、宮本佳林はこう言い放った。

「ライブの感想とかはもうちょっとライブが進んだら。その時まで言葉はとっておきます。・・・”パフォーマンス”を見てください!

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紫色のペンライト一色に染まった会場は、かりんコールに包まれ、開演を迎える。1曲目には「Wonderful World/Juice=Juice」で、直前の柏公演(8/24)のセットリストに変更が加えられた模様。曲が始まる。「この世界はスバラシイよね」とメンバーの斉唱。これに続くは宮本佳林のソロパート。復帰初日、1曲目、1発目のソロだ。「なんて大きな愛に包まれているの?」。声はどうだ?・・・戻っている!間違いない、正真正銘の宮本佳林の声がそのまま戻っている。

そして本来通りなら「♪あなたに 出会えたから」と歌うべきところを、「みんなに出会えたから〜!」かなり思い切ったシャウトを披露した。まだ1曲目。いきなりそれは負担が大きすぎやしないか?

それでも、心配は無用だと渾身のパフォーマンスで、かりんスマイルは止まらない。1曲目にして、心配しながら見守る者たちの心の枷を外してしまったのだ。

前述の発言が飛び出したのは、さらに数曲歌い終えたあと。ライブの時間はとにかくパフォーマンスを見て楽しんで欲しいと、パフォーマンスで伝えたのだ。そのやり方が、実に彼女らしく、実に粋である(参照:宮本佳林のパフォーマンス論について)。

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「Magic of Love ( J=J 2015Ver.)/Juice=Juice」についても少し触れたい。2番Aメロの「♪数えて見たら”あ”」「♪だけど若い子”を”」の2ヶ所から、それぞれ “あ”と”を” を本来の拍よりフライング気味にとり、前のめりに歌詞を当てていく。これがこの楽曲の隠れたキモだろう

宮本佳林がこの部分を歌うと、やっぱり、この曲の持つ細かなオシャレなニュアンスを表現しきる、しっくりくるんだよなぁ。圧倒的な声のチカラが届ける純然たる楽曲のパワーもさることながら、細かいニュアンスまで音楽的な緻密さを要求するこの曲。何より、Juice=Juiceが創り上げ、Juice=Juice family が愛するこの曲が7人で見事に復活した。その音楽の根幹にあって表現を支える大切な歌声が、全く変わらずにいてくれて良かった。本当に良かった。

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最後に、安定のかりん節も健在だったことも報告しておこう。

実はこの公演、宮本佳林の復帰初日であったというだけでなく、梁川奈々美のJuice=Juice加入後の初の凱旋公演でもあった(ファン有志によるサイリウム企画も行われた)。朝からテンションが高かったことをお姉さんメンバーに暴露された上、自らもMCでたびたび触れるウッキウキの後輩を立てて「(自分の復帰もありますけど)やなみんの初の凱旋公演だというのも、忘れちゃあならんのですよ。」と貫禄の一言。自分のことより後輩を、と努めて謙虚に独特の言い回しで表現したかりん節であった。

アンコール明けの締めくくりの挨拶では、段原瑠々が「宮本さんと長い間、一緒に過ごしたい。」とコメント。それを勝手に拡大解釈して、ファンの気持ちを代弁してくれたと捉えたファンも多かったことだろう。一方、先輩メンバーのご挨拶は、植村→宮本→高木の順で進むハズなのだが、高木紗友希がわざと宮本佳林の挨拶をスキップしようとする小ボケにも「オイオイ!」とツッコミ。お立ち台に登ろうとしたところを、身を呈してストップした。正式な順番の回ってきた高木紗友希は、「かりんが帰ってくると燃えるものがある。まだまだ頑張ろうね!」とアツく呼びかけると「うーん!ふふっ」と笑顔で返事。最後まで、かりんスマイルは止まらなかった。

 

あとがき

宮本佳林復帰に伴うセットリストの追加は、何かしらのメッセージでしょうか。無理にでもそうだと踏んで、意図を読み取ろうとしてしまうのは、ファンの性というものでしょうか。はい。最後に一句。

七色の 虹見ゆここは Wonderful World

「7人揃って、これが今のJuice=Juiceだよと言えるのが本当に嬉しい」(本日公演のJuice=Juiceリーダー 宮崎由加MCより)

(敬称略)

 

 

 

(文=puke)

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