道重さゆみ、Web配信番組アプカミで「あの日」を語る。そして…

道重さゆみさんが、あの日のことを語ってくれています。あの日、すなわち2014年11月26日、自身の卒業コンサートとなる横浜アリーナのステージでパフォーマンス中に足を痙ってしまったことを。

当事者が語ってくれた「あの日」のこと

それはWeb配信番組の「アプカミ」(アプカミ #101/29:18〜  モーニング娘。20周年企画:道重さゆみ インタビュー Vol.3)でのこと。アプカミでは『モーニング娘。20周年企画』として、歴代メンバーのインタビューを公開しています。道重さんも8代目リーダーとして登場して自身の在籍中について述べており、そんな中で、卒業当日のステージでのアクシデントについても語ってくれたというところ。

そこでは、今になって明かされる道重さんの当時の気持ちの動きが語られています。
とりわけ、次の3つのことは、当時の横浜アリーナに参加していたファンだけじゃなく、今初めてアプカミの映像と共に当時を知る者にとっても胸に迫るものがあるんじゃないでしょうか。

その1は、せっかくのラストの花道で足を痙ってしまって「泣きじゃくる」レベルで泣いたということ。
そうなんじゃないかなとは思っていたけど、やはり泣いていたんですね、道重さん。
DマガVol.69Vol71 なんかで、すべてが終わった後でバックステージに引き上げてきてから、未だ道重さんを讃える会場の歓声を聞きながら後輩たちに囲まれて泣いている道重さんの姿は映像に残っていたけれど、やはりライブの途中でもバックステージでは泣いていたのか、と。

その2は、バックステージで大泣きした後、ステージに戻って見慣れた自分のファンの顔が見えたとき「この人たちは、足が痙っていようといまいと、この私のことが好きなんだ」と思って、だったら今の道重さゆみが出来る限りのステージを精一杯勤めようと思えて、それで気持ちを立て直すことができたということ。

そして、その3には、ふり返って思えば、歌もダンスも得意じゃなかったから、よく考えたら12年間ずっと「完璧な道重さゆみ」なんていなかったんだから、これはこれで自分らしい卒業だと思えたということ。

ずっと「完璧な道重さゆみ」なんていなかったんだから、かえって自分らしい卒業になったという述懐について、2014年当時も一部のファンから「むしろ さゆ らしい」との意見が出ていたことを思い返せば、いかにも当時のファンが道重さんに深く共振していたことがわかるし、そう思えばこそ、バックステージで泣いたあとファンの顔を見て気持ちを立て直すことができたとの証言には、今になって改めて嬉しさを噛みしめるファンも多いのではないかと思います。
何より、こうした具体的な証言のひとつひとつが(ファンにとっては)貴重なものである以上に、広く知られた有名な【事件】について、当事者が「当時の回想」という形で語ってくれることそのものが、極めて希だからこそ意義の大きいことだと指摘できるかと思います。

加えて、MC担当の生田衣梨奈さんも、この道重さんの述懐を受けて生田さんの立場での当時の様子を証言してくれています。デュエットが予定されていた譜久村聖さんが、メインステージから動けないでいる道重さんの元へと駆けつけた「フクムラダッシュは有名ですね。だけど、そのために横アリ中央のステージからは道重さんに加えて譜久村さんまで欠くことになってしまったわけで、メンバーたちは、言ってみれば、より一層厳しい状況に取り残されることになります。それでもアドリブで、何事もなかったかのように、あたかもリハーサルでもこの通りだったかのように、堂々とパフォーマンスを続行していた、その模様について、その際の気持ちの揺れについて、生田さんが証言してくれています。
自ら道重さんの元に駆けつけた譜久村さんも、「どうしよう」という内心の動揺を表に出すことなくセンターステージでパフォーマンスを続けたメンバーたちも、その急場を乗り切ってみせた姿こそが、当時にあって「道重さんが卒業しちゃっても、モーニングは大丈夫だ」と多くのファンに納得させたことを思えば、この生田さんの証言は、一層、貴重なものかも知れません。

「証言が配信された」ことが意味するもの

そんな道重さんの回想は、「いつか、完全な形で、あの日のメドレーをやり直してみたい」という希望で閉じられることになります。そして、道重さんが「この曲を歌って、私はモーニング娘。になりました」という『赤いフリージア』を歌う2014年当時のシーンが重ねられて……と、この最後の点に関連して以下。

アイドルやタレントが語ったことが配信されたり放送されるには、よほどのことがない限り、収録・編集・放送に「業務」として関わっている人たちが介在します。ですから、その伝えられる「内容」の背景には、“これを伝えても大丈夫だ” という大人の判断があります。

たとえば、かつての道重さんのソロラジオ(参考:道重さゆみの伝説的ラジオ『今夜もうさちゃんピース』が一夜かぎりの「再生」!)。
そこでは、ある場合には道重さんが舞台の不満を訴えて、ある場合には自分の不甲斐なさを嘆いて、一回分の放送まるごと、ずっと道重さんが泣いてしまって、何をしゃべっているのか良くわからないという例すらあったほど。だけど、そんな具合に(ときには涙を伴いながら)心の内側を言葉にしてくれる道重さんに感じ入って、道重さゆみの、モーニング娘。の、ハロプロの魅力に気付かされたという者も多かったわけですが、そのように道重さんの魅力がリスナーに伝わるにあたっては、「仕事」としてラジオの録音・編集・放送にたずさわる「大人」たちの、たとえば感情のままに泣いている道重さんの様子を、そのまま放送することに踏み切る判断があった、ということ。

そう思って見れば、このアプカミでの回想で道重さんが「いつか、完全な形で、あの日のメドレーをやり直してみたい」と述べていること(繰り返し、述べていることそのものではなく、そう述べたことが「配信」に乗っかっていること)は注目に値するのではないかなと。

判断した大人に含まれる方

そう、繰り返し、アイドルやタレントが語ったことが配信されたり放送されるには、”これを伝えても大丈夫だ” という大人の判断が背景にあります。
というわけで、その「大人の判断」について、もひとつ余計に踏み込んでみるならば…

このアプカミの配信日(2018.1.19 金曜日)には、事務所のエライ人である西口社長は、ハロー!プロジェクト オフィシャルショップ大阪店で開催されたイベントに参加していました。このイベントで、登壇メンバー(つばきファクトリー岸本ゆめの)が観覧者からの質問に答える形でメロン記念日の『赤いフリージア』に言及するや、西口社長は「さゆーじあ、とも呼ばれてますが。なんだか、最近、どっかで見たので印象が…あっ!アプカミか!」とか発言します。
おかしいですよね。だって、西口社長がイベントに登壇していたその時間には、上記の「アプカミ #101」は、まだ配信されていないんですから。

このことからは、ある一つの推測が可能だと思っています。
すなわち、公式のWeb配信番組は、正式に世の中に配信されるに先だって、しっかりと事務所の上層部が(当然にも)目を通しているということ。
配信前の動画データに事前に目を通していたから、だから、まだ配信されていないのに『赤いフリージア』からの連想で「さゆーじあ」と関連づけるようなことを、西口社長は発言していたのだ、と。

そして、その上で、繰り返します。「アイドルやタレントが語ったことが配信されたり放送されるには、”これを伝えても大丈夫だ” という大人の判断が背景にある」と。
この点で、偶発的な事情からの推測として、道重さんのアプカミでの回想は、編集や配信を担当する現場レベルのスタッフだけでなく、ちゃんと、しっかり、エライ人フィルターも通っている(はずだ)と。

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公式の配信番組で、道重さゆみさんが自らの卒業の日のアクシデントについて証言してくれています。そして、それを踏まえて、こうも述べてくれているのです。
いつか、完全な形で、あの日のメドレーをやり直してみたい」と。

(文=kogonil)

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