さて、そんな二人のハロプロ楽曲クリエイターが腕によりをかけて制作した『今夜だけ』の魅力をまるっと引き出したのが、つばきファクトリーだった。二人のクリエイターによってふんだんに詰め込まれた魅力を、ひと夏のパフォーマンスによって、ひたむきに掘り起こしていった。ファンはパフォーマンスに触れるたびに『今夜だけ』に惹きつけられていった。勢い、この楽曲特有の、イントロに呼応する客席からのどよめきにも似たリアクションが、大きさを増していった。
つばきが、ほんの僅かながらの新人感を残していたタイミングで、この曲に出会ったのもよかった。ハロプロ楽曲の生産体制の過渡期といえる2015年に結成されたグループが、同時期に本格的にハロプロの楽曲制作に参画した新しい才能による楽曲を、ハロプロ屈指の名曲へ磨き上げた。新たなリソースを取り込んだ代謝のサイクルがはじめて一巡りし、骨や肉となっていった感じだ。
サイクルは再び巡る。ハロプロはまだまだ続くから大丈夫だ。そんな確信めいた感情を抱かせつつ、セットリストの最後までファンを焦らしつつ、『今夜だけ』は全国のライブハウスを揺らした。
かくして、『今夜だけ浮かれたかった』は、高い評価を得るに至った。
(敬称略)
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