OCHA NORMA 中山夏月姫 の事例にみるアップフロントの地域活性化企画のポテンシャル

加賀温泉郷の観光大使を(元モーニング娘。加賀楓から継承して)つとめる OCHA NORMA の中山夏月姫が、能登の復興に尽力している。

中山が観光大使をつとめる加賀温泉郷が属する石川県、2024年の年頭、その北半分の能登半島を大きな地震が襲った。被災から数か月が経過しても復興の槌音は盛んにならず、過去の大きな災害と比較しても国や自治体の動きが鈍いのではないかと、何かと取沙汰されていたところだが、そんな折、中山がボランティアとして能登半島の被災地に入ったのだ。

元々、アイドルとしてのお仕事がないときは、最終の新幹線であっても、なるべく地元に帰るようにしているとも述べる中山は、家族の仕事関係のつながりではあれ、被災した輪島市にボランティアとして倉庫の片づけに参加してきたことを報告している。

上に、少しだけ触れたように、今般の被災にあっては、なにかと釈然としない想いを抱いている者が多いと思われる中、地元でもあり、知人の被災ということもあり、中山なりに複雑な想いを持っていることは容易に想像できるところだが、実際に目の当たりにして考えることも多いと述べるにとどめ、自分なりに動いていきたいと、控えめに、適切に、誰も傷つけぬような形でその抱負を語っている。

中山が観光大使をつとめる加賀温泉郷の事例は、広く認知された地域おこしの広報としての成功事例というに留まらず、ファンとタレントと、そして地元との、3者のいずれもが、相互に配慮し合う麗しい地域活性化の成功例としても知られる。ハロー!プロジェクトは、この加賀温泉郷だけでなく、メンバー出身地の地域活性化に貢献することでも知られ(直近では、つばきファクトリー河西結心の事例など|「つばきファクトリー 河西結心「やまなし大使」就任のお知らせ」)、SATOYAMA イベントなどを通じて、地域と自然の相互共栄を企図する取り組みも豊富だ。

そうした中で、単なるイベントのパブリッシングではなく、慣例的なタレントの業務ではなく、その地域や地元を(それも一方的に地元側からの要望を受け入れるという形ではなく)しっかりメンバーの側から考え、配慮し、貢献しようとする姿勢が、OCHA NORMA 中山夏月姫の事例に如実であるとして話題になっている。

インバウンド需要だけでなく、今後の少子高齢化する日本社会にあって、大都市だけでなく、どのような形で地域のレガシーを継承し、次の世代の発展につなげていくかは、大きな課題だ。そうした背景にあって、ハロー!プロジェクトの取り組みは、一介の芸能事務所の業務多角化の事例には留まらぬ、意義深く、学ぶべき事例となるのではないだろうか。

(文=椿道茂高)

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