℃-ute 第三章の胎動 ~℃-ute 2015秋ツアー『℃an’t STOP!!』中間報告~

はじめに

「いろんなことがあって、みなさん不安に思うことも多いかもしれないけど、私たちはまだまだ走り続けます!」

2015年の横浜アリーナで千秋楽を迎えた ℃-uteの春ツアーでは、リーダーの矢島舞美さんの、この言葉があまりにも印象的すぎてそれに焦点を当てたレポまで投稿してしまう始末。この舞美ちゃんの力強くも健気な言葉の一方で、その「いろんなこと」は、一向に収まる気配を見せず、様々にファンの心を翻弄し続けています(※1)。

しかし、この投稿者自身、日々様々にお知らせされるあれこれに翻弄され続けながらも、それでも ℃-ute のステージに接するや、荒れ狂った波はなぎ、吹き荒れる暴風は止み、落ち着いた気持ちを取り戻すことができます。
なぜなら、2015年11月現在、℃-ute のステージには、すべてがあるから。

楽しさも。切なさも。愛おしさも。健気さも。力強さも。
誠実さも。美しさも。可愛さも。妖艶さも。カッコ良さも。ちょっとボケたところも。
鍛え抜かれた技も。鍛え抜かれているのに、たまに失敗するところも。
大事なところで必ず噛むところも。髪型も化粧も何もかも崩れまくっているからこそ美しいところも。達成した技へのリスペクトも。
コミカルさも。自分たちが率先して楽しんでいるところも。
お互いへの信頼も。ファンへの信頼も。

技も。心も。汗も。涙も。笑顔も。迫力も。可憐さも。歴史も。今も。
決意も。愛情も。覚悟すらも。2015年の℃-ute のステージには、ハローのすべてがあるから。

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第二章の有終の美としての ℃-ute コンサートツアー2015秋 ~℃an’t STOP!! ~

はい。というわけで、℃-ute は現在、2015年の秋ツアー『℃an’t STOP!!』の真っ最中。その名の通り、まさしく一瞬たりとも立ち止まらぬ激しいステージであって、従来のツアーにおける後半へ向けての、そのテンションと盛り上がりが、5~6回繰り返されるような感じ。
投稿者は、今のところ、座間、川口リリア、伊勢原に参戦。

ネタバレしないように、ツアーそのものの最終的なレポは千秋楽の中野公演以降ということにして、ここでは中間報告をさせてください。
というのも、℃-ute は、はっきりと新しいステージへ踏み出しているように思うから。

「℃-ute 第二章」という言葉がありましたけれども、それに倣って言うなら「℃-ute 第三章」が始まったと言って良いのではないかと投稿者は思っています。

℃-ute 第三章が、どんなものとなるのか。
それは、新曲でもある『嵐を起こすんだ Exciting Fight!』に、とっても端的に表現されていると思ったりするわけですが、それはツアー全体のレポを通して改めて後日展望するとして。

むしろ、来たるべき第三章を展望するためにも、ここでは「すべてがある℃-ute のステージ」も、かつては「すべてがある」わけではなかったことを踏まえ、その大事なものをひとつひとつ積み重ねていった「第二章」をこそ、ふり返っておきたいところです。
メンバーが5人になって、メンバーカラー変更と歌割り格差による「ショック」を経て、危機的な低迷を辛くも乗り越えてから、実力で少しずつ動員数を伸ばし、口コミでその実力が少しずつ知れ渡るようになって、ある時から気付いてみれば、℃-ute メンバーは、なんら衒うこともなく過去の低迷と辛苦を口に出すようになり、そして、いつの間にか、あまりにも自信に充ち満ちてステージに立つようになっていました。
そんな、いってみれば過去を乗り越えた時期でもある「第二章」を。

舞美ちゃんの驚異的な美しさも、なっきぃ の愛らしさも、愛理さんの艶やかさも、岡井さんのカッコ良さも、舞ちゃんのピヨピヨしたところも(※1)、詳述するのはツアー全体のレポに回すことにして、ここでは、おそらく今般の秋ツアーをもって、華々しく役割を終えて幕を閉じるであろう「第二章」をふり返りたいと思います。

  1. すべて、Dマガや配信されるWeb映像などでも、その一端は堪能できるけれど、やはりライブのステージでのそれぞれの魅力は、生で体感するメンバーの魅力は、ほんとうに圧倒的です。
    とりわけ舞美ちゃんの美しさは、液晶越しや印刷された紙上でも「美しい」のは美しいんですけど、汗まみれのリアル矢島舞美の美しさは、ほとんど神秘的。これ、誇張してるつもりは一切なしで。

来るべき第三章を展望するために、今般秋ツアーでその胎動を感じさせてくれた第三章をちゃんと迎えるために。
だって、もう一つの新曲『ありがとう~無限のエール~』では、こう歌っているのだから。

繰り返す 毎日を
積み重ねてく度に

胸の奥の不安は
やがて自信に変わってたんだよ

℃-ute 第二章をふり返る

℃-ute 第二章とは、上にも述べたとおり、相次ぐメンバーの卒業を経て、グループの打ち出し方としても迷走し(※1)、存続の危機にすら立たされていた(※2) ℃-ute が、事務所の方針の変更であったり、大きなスポンサーがバックについたりといったような転機があったわけでもなく、そうではなくて、地道な日々の積み重ねの中で、いつしか誰の目にも明らかな実力派パフォーマンス・チームへと変貌を遂げていった、その時期をさします。

  1. やはりメンバーカラーの変更および歌割り格差の『SHOCK! 』が大きいかと。
    舞美ちゃんも髪を切った時期。
  2. これは、「中島早貴のキュートな時間」第170回 2015年4月4日放送分、橋本氏がゲストで出演した回を参照のこと

いったい、その転機はどこにあったのか。
それは人によって見方が様々でもあるところでしょうが、投稿者はやはり2012年を画期として挙げたいところです。
その詳細は、こちらの横アリのレポの後半に詳述したので、ご参照希望中。

そう。当人たちも自覚の上で、いつの間にか始まっていた「℃-ute 第二章」。この期間を通じて、℃-ute は、上述の歌詞の引用通りに、自分たちを押しつぶす不安を、堂々とした自信に変えて、圧倒的と言うも愚かな迫力のステージを見せてくれるようになっていました。

2012年~2013年冬 神聖なるペンタグラム

2013年2月の追加公演である渋谷公会堂が瞬殺だった「神聖なるペンタグラム」。私も渋谷の追加公演のチケットは入手できず、池袋のライブビューイングでようやくお茶を濁した思い出が。
エルガーの『威風堂々』をバックにライブがスタートするのが印象的です。

℃-ute と言えば、こういうことはあまり言いたくないのだけれど、やはり鈴木愛理さんの圧倒的なアイドル性と矢島舞美さんの美しいルックスに牽引されてきた部分が大きかった。
けれども、ずっと℃-ute を追っかけてきた多くのファンには、あまりにも明らかだっただろうし、このツアーに先立つ『美しくってごめんね』ツアーの段階で、℃-ute メインではないハロプロDD系のファンにも、かなり共有されていただろうとは思うところですが、それらを越えて、はっきりと次のことが明らかになったツアーでもあるかと。
すなわち、中島早貴さんの、きっちりしたダンスの迫力に加えての、愛らしさと健気さが。
すなわち、岡井千聖さんの歌唱力の成長と、ドヤ顔のカッコ良さが。
そしてすなわち、萩原舞さんの折れてしまいそうな可憐さと裏腹の妖艶さが。

すなわち、このツアーにおいて、(それまでも熱心なファンには、あまりにも明らかであった)いわゆる2トップ以外のメンバーたちの固有の魅力が、ようやくメディアに対しても明らかになったかと。

℃-ute 第二章は、個人的には、この『神聖なるペンタグラム』ツアーが、その開始を威風堂々、告げていたと思っています。

2013年春 トレジャーボックス

2013年4月3日、池袋サンシャイン噴水広場のリリイべにて、初の単独武道館公演が告知された後の春ツアー。
メンバーたちの夢だった武道館を控え、2015年の今からふり返るなら、後輩ユニットにとっても、「武道館」というものを成長の物語の大きな要素として組み込むという、一つのテンプレートを℃-ute が準備したという意味でも大きな画期。

パシフィコ横浜国立大ホールを千秋楽とし、かつては埋められなかったステージが今では立錐の余地もないことに、メンバーたちが感激して涙していたことも話題になりました。

パシフィコを満員にできたことに喜び、言葉につまり、涙を流すリーダー矢島舞美さんです。そして、そんな舞美ちゃんにこそ感激して大泣きしていた岡井さんがラストのステージ・スクリーンに抜かれ、笑いを誘ったことも話題になりました。
しかし、やっぱり述べておきたいことは、岡井さんの大泣きがおもしろかったということではなくて、岡井さんが、嬉しくて泣いている舞美ちゃんの姿にこそ感激していたという、そのこと。
年下組で、叱られるばかりで、かつてはダンスレッスンをズル休みしたこともある岡井さん。Dマガなどの部分部分で、そうと推測させる断片はあっても、はっきり語られたことはないけれど、かつてはリーダーとしての重圧を上手に受け止められずに、時にはメンバーに厳しく当たったこともあったという舞美ちゃんの、そのお叱りの一番の矛先は、おそらくは岡井さんだったでしょう。
いつしか「子供」と言われる年齢ではなくなって、二人はこんなにもお互いを思いやれるメンバー同士になりました。リーダーが感激している、その機微も理解できる「メンバー」になっていました。
岡井さんの大泣きは、その意味でこそ美しい。

現在は Blu-ray が発売されている『トレジャーボックス』ツアーですが、しばらく単品のライブDVDがなかったことも述べておきたいところ。
この『トレジャーボックス』ツアーの映像は、当初、アルバム『⑧ Queen of J-POP』の初回限定特典として収められていたのでした。それぞれ別の商品として販売すれば、それなりの金額になったはずなのに、『⑧ Queen of J-POP』の初回限定特典版は、通常よりもちょっとだけお高めのお値段でライブDVDが一本まるっと付録についてくるというサービスぶり。
そして、その特典のライブ映像のエンディングには「Special Thanks to team ℃-ute」のクレジットがあったことも。

2013年秋 たどり着いた女戦士たち

言うまでもなく、夢だった単独武道館ライブからスタートしたツアー。

このツアーのセトリは、『Kiss me 愛してる』からスタート
『Kiss me 愛してる』といえば、楽曲のリリースタイミングとしても、上述の低迷期をようやく脱するかという時期のリリースでもあり、多くのライブのセトリ構成としても、これから後半戦の大盛り上がりの開始を告げる一曲でもあり、いわば ℃-ute にとって「さあ、これから!」というタイミングを知らせるきっかけの曲。
このツアーは、そんな楽曲からのスタートです。
そして、そのセトリには(この時期から)メンバーたちの意向が色濃く反映されるようになったとも伝えられるところ。
『Kiss me 愛してる』からスタートするライブは、大舞台に向けて、それでも攻め続ける気合を示して余りあるものでした(※1、2)。

  1. 9月10日の公演に参加していた投稿者は、ライブ開始早々のKiss me のイントロで、武道館がどよめいたことを強く記憶しております。
  2. ℃-ute についての記事なのに、他のユニットについて触れることにご容赦を求めつつ。
    この2013年の℃-uteの躍進が、Berryz工房に対しても大きな刺激となったことは明記しておきたい。
    Berryz工房も、同年11月29日に単独武道館を達成するが、その決意表明をキャプテン清水佐紀さんから引き出したのは、この℃-uteのステージの成功であったし、11/29 の武道館以来、2014年の春ツアー「Real Berryz Kobo」も、℃-ute との合同武道館公演も、秋ツアー「Professional」も、活動停止を視野に入れてからのBerryz工房のライブは鬼気迫るものがあった。「楽しすぎるBerryzのステージ」ではあるけれども、この時期のBerryz工房は、あまりにも出来すぎと言いたくなるほどの、圧倒的なステージを見せつけるだけ見せつけて、活動停止に入ることになった。
    見方は様々あるとは言え、当人たちは「これまでだって本気だった」とは言うものの、やはり、この時期の℃-uteが、眠れるBerryz工房のほんとの本気に火をつけたのは争えないところかと思っている。
    その後、改名前のスマイレージも武道館を経験していく。
    2013年の℃-ute が、ハロー!プロジェクトに大きな刺激となったことは明らかであるように思う。

武道館からスタートという変則的なツアーで、ツアー日程中の地方公演では「たどり着けない」部分があったりしたけれど、それを自分たちから半ば冗談に紛らせて口にする場面も多くのファンが確認しており、このあたりから℃-ute は、自分たちの弱いところも、躊躇せず、気負わず、自然にステージでファンに向かって言及できるようになっていったようです。
常にその背中を追っていた Berryz工房だったり、自分たちの過去だったりを、あっけらかんとお話するようになっていました。いつの間にか(※3)。そのためもあってか、このあたりから、MCでの岡井さんの激しいツッコミや舞ちゃんの辛辣な発言も、他のメンバーの受け止めもあって、ちゃんと笑いに変えられるようになっていったと思います。
MCでのコミカルさを支える自分たちへの自信が、誰の目にも明らかになったツアーかと。

  1. 2012年の春ツアー「美しくってごめんね」でも、タイトルの「ごめんね」をMCに組み込んだフリで、客席が嗣永桃子さんの「許してにゃん」を期待するあまり、「ごめんね」に納得しないコールが起こって舞美ちゃんが慌てる場面などがあり、こうした場面に対応する中で、中島早貴さんがふんばりを観せるシーンもあったけれど、ちゃんと自分たちがツッコまれてるところを自分たちで笑いに変えていけるようになったのは、このあたりなんじゃないかと。

2014年春 ℃-ute の本音

ポールダンスあり、イスをつかった艶めかしいパフィーマンスあり、いつにも増して露出の多い衣装ありと、「エロい!」という意味で、ファンのあいだでも賛否両論あったツアーです。だけではなく、衣装チェンジのために一旦ひっこんでからの再登場にあたって、檻に閉じ込められているような演出もあって、そのエロさと相俟って、どことなく何かしらのフェチな感じが充溢していたツアーです。
いや、それで「本音」って(※1)。

ファンの側の賛否両論はともかく、大事なことは、その賛否が、いろんなルートから、当のメンバーたちにもしっかり伝わっていたこと。ファイナルのパシフィコ横浜のラストMCで、萩原舞さんがそのことに触れ「いろいろ言われたけど、私たちは自分たちの信じるステージをがんばった」と述べながら、涙したこと。あの、一番年下なのに一番大人な意見を吐く不動の舞ちゃんが。
そして投稿者の印象に残っているのは、そんな舞ちゃんと一緒にポールダンスに挑戦していた中島早貴さんが、そのラストのMC中に、涙ながらに切々と「自分たちはがんばった」と述べる舞ちゃんを、同じように静かに涙を流しながら、落ち着いて見つめていたこと。その静かに涙する なっきぃ が、ほんとうに美しかったこと。

  1. MCで、舞ちゃんが岡井さんのことを「彼氏」と口走ってしまい、それを受けて舞美ちゃんが「ほんとの本音がバレないうちに」とか言いながら慌ててMCを店仕舞いする場面などもあり、いろいろとアレだったツアーです。

新しい挑戦は成功したんだぞと、どんな反論にもメゲずに胸を張れるかどうか。それは、いろんな意見があるところかと思います。けれども、やっぱり大事なことは、新しい挑戦に果敢に挑んだことに加え、そう述べる舞ちゃんと、そんな舞ちゃんを見つめる なっきぃ が、ほんとうに美しかったこと。新しい挑戦の有無にかかわりなく、明らかなことは、メンバーたちが美しく成長していること。

ついでに述べると、上述の通り、リーダーであることに対して肩に力が入りすぎていた様にも思える舞美ちゃんが、このあたりから、ほんとに良い感じに力が抜けて、だからこそ実に美しく可愛くなったこと。いや、もちろん、ずっと美しかったわけですけど、なっきぃが舞美ちゃんを評して曰く「20歳を過ぎてから赤ちゃん返りしてる」との発言が実に腑に落ちるほど、このあたりからの舞美ちゃんの自由さ、奔放さ、美しさは拍車がかかっているように投稿者は思っています。

さらに述べると、鈴木愛理さんの様々な空振りが、空振りのまま放置されたりすることなく、ちゃんと馴染みはじめたのも、このあたりの時期からではないかと。

2014年秋 モンスター

千秋楽を武道館で飾った2014年の秋ツアー。
かつて、あれほど憧れた武道館も、2014年だけで、このツアー千秋楽で3回目。もはや「武道館を平常運転」する℃-ute です。

年下のメンバーが成長してきたことで、良い感じにメンバーたちに頼ることを覚え、すっかり肩の力が抜けて、天然だったり、クラッシャーだったり、雨女だったり、腹筋だったりが、ちゃんとネタになって、だからこそステージ上での全力ぶりが、躍動する美しさが、ニッコニコすぎる笑顔が、一層まぶしく輝き始めたリーダー舞美ちゃん。

一時はリーダーのフォロー役として、MCだったりステージ進行だったりを一手に引受ることになって、しっかり者としてのイメージを強めに出していたけれど、そのおかげで人見知りだったり後輩が苦手だったり、いつの間にか輪から少し外れて座敷わらしっぽくなっている様子などを面白く話題にされて、泣き虫の「なかさきちゃん」がネタにできるようになった なっきぃ。岡井さんの「あれ?なっきぃ、居たの?」も定番化です。

圧倒的なセンターで歌姫でありすぎたからこそ、どこか空振りが目立ってしまっていたから、謎の身振り手振りも「カッパの愛理」も、ちゃんと受け止めてくれる相方がいなかったから。
でも、空振りも謎の「カッパ」も、舞美ちゃんが(その心根のやさしさから)フォローするだけじゃなくて、岡井さんにも舞ちゃんにも、ちゃんと突っ込んでもらえるようになりました。時にスベっていたことも、今ではすっかり℃-ute の大事な雰囲気の一部となった愛理さん。

空気を読もうとする岡井さんは、場の進行にあたってスタッフさんの気持ちを過度に深読みし、企画にゲスト出演してくれる共演者さんに過度に気を遣い、ちゃんとやらなきゃという意識が前に出すぎて、だからこそ時にメンバーのことを(スタッフさんや共演者さんの手前)叱るような発言をしてしまって、その様子が「イラついてる」かのように受け止められる場面もあったけれど。
そんな「怖い岡井さん」をオチの前フリに使うことができるまでに、メンバー同士の機微は共有されましたね。

辛辣な一言が、文脈を共有していない人には伝わらず、お姉さんたちに甘やかされている様も、いまひとつ文脈を共有していない人には理解されず、自分の色の出し方がよくわからずに迷っていたこともあったけれど。
ピヨピヨとしてコロコロした末っ子舞ちゃんの言うことならと、「舞ちゃんがそう言うんならしょうがない」と会場全体が納得するようになりました。

2013年からの躍進を受けて、℃-ute の味が、メンバーそれぞれの味が、色濃くステージの楽しさに反映されるようになっていました。いつの間にか。

2015年春 The Future Departure

そして、ついに武道館を飛び越えて、千秋楽に横浜アリーナ単独公演を大成功させた10周年を記念するツアーです。
千秋楽では10周年をフィーチャーしてセトリを大幅に変更し、自分たちの道のりを、横浜アリーナを埋め尽くす観客に向けて、なんの衒いもなく示してみせる℃-ute です。

あの横浜アリーナが、たった5人で、あえて「たった5人」と言いましたけれども、5人のメンバーであっても、少しも広いと感じさせない圧巻のステージをもって自らの10周年を高らかに宣言した℃-uteでした。

そして来るべき第三章へ

ずっと ℃-ute のツアーを創ってきてくれたスタッフさんと、メンバーたちが手を携え、二人三脚でこれまでのツアーに挑んでいたことは、多くのファンの知るところでした。「team ℃-ute」という言葉も、その最初は、ファンのみなさんが含まれるだけではなく、ずっと℃-ute を支え続けてくれたスタッフさんたちをこそ第一義的に意味していたようにも思います(たぶん愛理さん発言)。
しかるに、今般の秋ツアーからは、そうしたスタッフさんたちの多くが入れ替わり、一新されたとのこと。

「神聖なるペンタグラム」ツアー時であったかと思うのですが、その追加公演のゲネを監督に来た つんく♂プロデューサーが、結果として残した「こいつら本物や」との言葉。
それは今、スタッフが一新され、その上で℃-ute のメンバーたちが現出せしめる、このステージで、改めて確認できるところです。

これまで、℃-ute のライブでは、なんだかわからないけれど、泣けて泣けてしょうがなかった投稿者です。伝えられる「苦難の歴史」といったものに過度に感情移入していたのか、あんなに小さかったキッズのみんなが、こんなにも仰ぎ見るようなすばらしいステージを見せてくれるということに感動していたのか、それは自分でもわからないけれど。
しかし、この秋ツアー『℃an’t STOP!!』では、もう涙は流れませんでした。
どんな理由にしろ、勝手な感傷で涙を流すのは失礼。そう思えるほどの圧巻のステージであり、なんだかわからないけれど泣けてしょうがないような「情緒」が入り込む余地もなく、最初っから最後まで、ほんとうにノンストップで、めちゃくちゃ楽しいステージです。

第二章の振り返りにあったように、どこかしら「情緒」が入り込む余地があった℃-ute のツアーです。しかし、今般の、2015年の秋ツアーは、ほんとうに激しくも楽しいステージです。活動停止中の、あのグループのライブを、どこか彷彿とさせるような。

先に歌詞を引用した新曲には、こんなフレーズもあります。

背中眺め ただ羨んで
自分を 甘やかしてた

℃-ute が、その背中を追い続けたグループは、先輩たちは、もういません。モーニング娘。ですら、構成メンバーはみんな後輩になりました。今や、ハロプロにおいて、℃-ute こそが、多くの後輩たちからその背中を追われる存在になりました。

*****

秋ツアー『℃an’t  STOP!!』は、中野サンプラザでの千秋楽に向けて、まだ日程を残しています。年末に控えるカウントダウンライブでは、全メンバーが通しで参加可能な唯一のハロプロユニットともなりました。2016年になっても、ハロコンでも、開催が確定している3月のひなフェスでも、ハロプロ全体を牽引することになるであろう ℃-ute の、これまでとは違うその歩みに刮目したいと思います。
その新しい第三章の展開を。

℃-ute そのものについても、そうあってくれと祈るような気持ちも込めつつ。

そして、武道館を望んだ物語がある種のひな形となったように、この℃-ute の歩みもまた、継承されていくことを、痛切に願いつつ。

(文=kogonil)

cute20151108

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