2017年6月12日、さいたま新都心周辺には雨は降りませんでした。
いかに強力な龍神様とはいえど、さすがに緊急帰国までして駆けつけた龍神様の親友を含む伝説の晴れ女たちには敵わなかったのかもしれません。どころか、その晴れ女の呪力を継承した若き後輩たちまでがうち揃って(一名病欠)、この日ばかりはパフォーマンスに集中しろと、龍神様を封印したのかもしれませんね。
あるいは、大事な日にはいつも雨を降らせていた龍神様は、これから続いていく明日からの毎日こそが大事なのだからと、この日は雨を降らせなかったのかもしれません。
2017年6月12日、さいたまスーパーアリーナでは、ハロー!プロジェクトと私たちハロヲタが世界に誇る不世出のアイドルグループ ℃-ute が、その最後となる渾身のファイナルライブを開催しました。
それは、事前に一部で期待されたような、ベリキュー合同での楽曲披露もなく、かつてのメンバーが呼び込まれて登壇することもなく、あくまで、この15年を駆け抜けた5人による team ℃-ute のためのステージでした。
翌日13日、関東一円は、12日の余韻の中で去っていったその背中を見送るかのようなシトシトとした雨模様でしたとさ(中島早貴ブログ風)。
たどり着けない(着きたくない?) さいたまスーパーアリーナ
投稿者がさいたま新都心に到着したのはお昼前。しかし、駅前のスロープから視認できたその時点で、物販列と思しき(さすが、会場の大きさに相応しく、4列くらいで横幅も大きいまんま)長い長い列が目に入ります。
なんだか「ヤベッ!」とか思って気持ち駆け足で(さいたまスーパーアリーナの正面ゲートをスルーして)物販列の最後尾を目指しますが、これがまた、たどり着かないのなんのって!
いや、ぶっちゃけ、とんでもない人の数です。
物販を終えて入場列に向おうとしても、座席によって入場ゲートが違っていたりして、入場列の最後尾を補足するためだけに、どんだけ歩いたか。
さいたまスーパーアリーナ、どんだけ人出が凄まじかったかってお話しです。
物販事情あれこれ
℃-ute と team ℃-ute は武道館にたどり着きましたが、投稿者は物販列最後尾にたどり着きません。経験の範囲で過去最大級の物販列です。
投稿者が物販列に並んだ時間は12時を過ぎていなかったはずなのに、いろいろあって、実際に購入を終えてチケットに記載された座席には 17:20 開始予定のオープニング・アクト直前にようやく滑り込めたぐらいだったので、およそ5時間以上は余裕で並んでいたことになります。万が一を考慮して持参した文庫本を2冊読み切ったりして。
しかも、その並んでいる間にも続々と売り切れの情報が入ってきます。岡井さんや舞ちゃんの生写真なども早々に売り切れ、なんとメモリアルセットにいたっては 13:30 前後で終了。個々の写真だったりTシャツだったりが売り切れるのは、ある意味、慣れっこですけども、肝心のメモリアルセットが、こんなに早々に売り切れちゃうなんて、びっくりですよね。
オフィシャルの物販から出口にかけて、℃-ute関連書籍なども販売されていました。もちろん垂涎なんですが、上述のとおり、延々並んで、物販を終えたら入場列へとダッシュしなければならない仕様から、物販から出口にかけてお店を広げてるんじゃなくて、物販前の待機列に随伴するようにお店があれば、もっと購入に余裕もあったんじゃないかなと思います。
しかも物販会場に直結するお手洗いは全面封鎖。延々並んでいて、ようやく購入を終えて、それでも入場列へと気が急いているのに、大回りして別フロアのトイレを探しに行かなきゃいけなかったりして、試煉は続きます。
要するに、そんだけ(運営側の想定があちこちで綻ぶほど)この日の人出は凄まじかったってことで。そんだけ、℃-ute のファイナルを見届けようとした人がたくさんいたんだ、ってことで。
さて、投稿者はお目当ての最新Dマガを順当に入手します。
Dマガ Vol.75 をもってラストかと思ってたわけですが、Vol.74 のツアー密着を見る限り、中野サンプラザで終わってたりして、続きがありそうですよね。ついでに、中禅寺ナキ子さんも病院のベッドに横たわったまんまなんだから、諸々、続きを期待したいところ。
ようやく滑り込めたオープニング・アクト
物販を終えた時間は17時をまわっており、事前のお知らせで開場時間が前倒しになったということで、とっくに開場されており、入場列も順調に流れているだろうと思っていたのに、ゲートをくぐり抜けるまでに時間のかかることったら!
繰り返し、要するに、そんだけ、この日の人出は凄まじかったってことで。
しかも、さいたまスーパーアリーナの屋内に入れても、自分の座席にたどり着くまでが、また長くて。座席に着くまで、投稿者の脳内では「勘弁してくれ」の6文字だけがこだましておりましたよ。
それでも、なんとかオープニング・アクトの開始に間に合います。
オープニング・アクトのメニューは、こんな感じ。
こぶしファクトリー『残心』
カントリー・ガールズ『ピーナッツバタージェリーラブ』
Juice=Juice『Goal~明日はあっちだよ~』
アンジュルム『愛さえあればなんにもいらない』
モーニング娘。’17『愛の軍団』
ハロプロの全ユニットが勢揃いして、近年のハロプロを牽引してきた偉大な大先輩 ℃-ute を送り出すこの趣向。せっかくの機会なんだから、2015年 Berryz祭の有明コロシアムのように ℃-ute 祭にしちゃえば良いのにという意見も多く、私もそう思っていたんですけど、こうして終わってみれば、Berryz祭はBerryz祭で盛り上がったけれど、こうして他グループの出演をオープニング・アクトにまとめる形式は、メインの℃-uteを満を持して迎えるという形がより鮮明で、今回の℃-uteのステージにはぴったりだったと思います。
トップバッターを務める つばきファクトリーは、リーダーの山岸理子ちゃんが、後続の全ユニットを代表してオープニング・アクトの口上を。理子ちゃん立派でした。
私たちには窺い知れない諸事情があるのでしょうけど…それでも、いつの日にか、つばきファクトリーが、武道館を、横アリを、さいたまスーパーアリーナを満員にする日を待っています。
こぶしファクトリーは、アルバムから『残心』を。
後輩の立場から先輩に語りかける楽曲で、まさにこの日に奏でるために産み出されたような楽曲です。
その旋律のテイストから、これからの盛り上がりに向けたプレリュードといった雰囲気では(正直)ないのだけれど、しかしこの『残心』は、この日、この場面で披露されるための曲であったかと。
カントリー・ガールズは『ピーナッツバタージェリーラブ』を。
激震が走った今後の新しい活動方針のお知らせですが、その新しい今後の活動方針が何に由来するものであるにしろ、それは少なくともカントリーのパフォーマンスが他に比べて見劣りするという理由ではないことは明らかです(先の横浜アリーナも含め)。
Juice=Juice は『Goal~明日はあっちだよ~』を。
研ぎ澄まされた℃-ute の技の結晶をこそ継承するであろうとされる Juice=Juice、その目指すべき Goal として自分たちの背中を示し続けてきてくれた大先輩である ℃-ute のファイナルにあたって、これ以上ないくらい Juice=Juice の決意を示すに相応しい選曲です。
いや、それこそ私たちには窺い知れない諸事情があるのでしょうけど…こうしたメンバーたちの真摯な態度が報われるような展開を望みたいものです。
アンジュルムは新曲から『愛さえあればなんにもいらない』を。
こぶしの『残心』や、Juice の『Goal~明日はあっちだよ~』みたいに明確に意図されたものじゃなく、新曲からのお披露目なのに、それでも「一緒にいても、わかり会うことって、とても難しい」と、ちゃんと ℃-ute へ向けての語りかけが含まれているように聞えるのはハロプロの楽曲の不思議さですね。佐々木莉佳子さんがショートなのに、髪の毛がバッサバッサ振り乱されていて、凄かった。
モーニング娘。’17は『愛の軍団』を。
かつて、斜めに2列で整列しているところから、ズダンッと飛び出して来た鞘師里保さんのパートで、同じく勢いよく真っ先に飛び出してくるのは牧野真莉愛さん。受け継がれていますよね。こうした受け継がれていることを見せつけて、このオープニング・アクトにあって、この選曲であることそのものが、何かを語っているかのよう。
6/12 ℃-ute ファイナル in さいたまスーパーアリーナ
後輩たちのオープニング・アクトを終えて、いよいよ℃-ute のファイナルのステージが始まります。
矢島舞美さんは低く滑空するかのような足運びで、いつも見えない誰かと戦っているかのようなキレッキレのパフォーマンスです。が、この日は、5人が5人とも、目を見張るようなキレッキレのパフォーマンスでした。
中島早貴さんは、いつも軸がぶれずに、見惚れるほどの端正なダンスを披露してくれます。が、この日は、5人が5人とも、見惚れるほどの迫真のダンスでした。
鈴木愛理さんは嫋やかでゆるやかで、自然に眼が追うやさしいパフォーマンスに加え、全音域で空気の量のケタが違う最高のボーカルを聴かせてくれます。が、この日は、5人が5人とも、出し惜しみのない最高のパフォーマンスでした。
岡井千聖さんは、低音のボーカルが響くだけでなく、全ステージのあらゆる空気を読み切ったかのような絶妙のタイミングで繰り出されるドヤ顔が、実に男前でした。が、この日は、5人が5人とも、最高のドヤ顔を絶妙のタイミングにて。
萩原舞さんは、コロコロとした声質もさることながら、いつの頃からか、客席へ投げる視線に妖艶さを増して、自然に視線を外したかと思えば、びっくりするくらいの笑顔を突然向けてくれたりもしました。が、この日は、5人が5人とも、真摯な目線を客席に向けてくれて。
舞ちゃんについて付言すれば、(むしろボイストレーナーの菅井先生の凄さに付言することになるのかもしれませんが)高音部で声が裏返ることもなく、終始、十分に声を響かせて、このラストとなるライブで、ずっと楽しそうに歌っていたことは、やっぱり記しておきたいです。舞ちゃん、15年の疾走のファイナルを、ずっと楽しそうにしていました。
それは、多くのファンが予測したような涙で泣き濡れるようなものとなることはなく、終盤にはその瞳に涙を湛えながらも、”解散”となるラストのライブを、5人があくまで楽しげに、さいたまスーパーアリーナのステージを駆け抜けるステージとなりました。
The Curtain Rises
メジャー31枚目、そしてラストとなる『To Tomorrow/ファイナルスコール/The Curtain Rises』のトリプルA面
作詞:つんく/Rapアレンジ:U.M.E.D.Y.
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
オープニングは『The Curtain Rises』から。
ステージの「幕が上がる」どころか、壁を破壊して、やぐらに乗って登場してくる℃-uteメンバーです。
℃-ute のこのラストシングルは、どことなく「涙」を狙いすぎた感じがする一方で、℃-ute の「℃-ute らしさ」を捕捉しそこねているような印象が強く、ある時期の ℃-ute の楽曲にこそ心酔する向きには、さほど評価されない傾向もあったように思います。…が、この『The Curtain Rises』は、ほんとにラストのシングルであることが実に惜しい。オープニングに相応しすぎるアップテンポの楽曲で、これからのライブの盛り上がりを、これほど予感させてくれる楽曲もめずらしいくらい。
もう少し早い時期でリリースされていたなら、℃-ute ツアーのオープニングを飾る定番として、定着もしたろうにと思うと、ちょっと惜しいですよね。
そんな、いかにもオープニングに相応しい疾走感溢れるアップテンポな楽曲にのせて、威風堂々、℃-ute の5人はメインステージにせり出すやぐらに乗って登場です。
Kiss me 愛してる
カップリングは『二十歳前の女の子』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
やぐらから降りて、正面のメインステージに散開する5人。
そこで、やおら ℃-ute の鉄板中の鉄板が。『Kiss me 愛してる』といえば、投稿者の見るところ、℃-ute にとって「さあ、これから!」というタイミングを知らせるきっかけの曲。
オープニングの『The Curtain Rises』の疾走感から、走り抜けるかのような勢いの『Kiss me 愛してる』へと、この流れは真面目に鳥肌ものです。
それは、けっして日中の物販列でかいた汗が冷えたせいではなく。
The Middle Management〜女性中間管理職〜
メジャー27枚目、『The Middle Management〜女性中間管理職〜/我武者LIFE/次の角を曲がれ』のトリプルA面
作詞:つんく
作曲:DANIEL MERLOT / AURELIEN POUDAT / HYON D / TAKANORI TSUNODA / STEFAN BROADLEY
編曲:DANIEL MERLOT / AURELIEN POUDAT / HYON D / TAKANORI TSUNODA / STEFAN BROADLEY
イントロの一瞬落ち着いた感じの曲の出だしは、『The Curtain Rises』から『Kiss me 愛してる』の流れに比して違和感ありまくりだった一方、イントロの初発を抜けて、あの肩を左右に大きく回すようなフリの部分にまで到達すると、初発の落ち着きが急にテンポを速めてきて、改めて、こんな場面で、細かく楽曲に織り込まれた技に感じ入るところです。
この曲では、従来は、なっきぃ の足技(内股に向けて内側に蹴り上げるフリで、結果、片足だけ胡座のような形になるもの)から細かい手技(両手を入れ替えながら四角い枠を維持し続けるような)までに目が釘付けになるんですが、繰り返し、この日は、5人が5人とも、見惚れるほどの全身全霊のダンスでした。
都会っ子 純情
カップリングは『私立共学』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
この辺りで、最近の曲と、懐かしい曲を、交互に配したセトリなのかなとか思い始めます。思いませんでした?
オープニングとエンディングのセリフは、オリジナルの矢島舞美さんバージョンが、いつしか萩原舞さんに譲られた形でしたが、2015年の横アリと同様、2人が一緒にやるバージョンにて。
そのまま自己紹介なんかをしつつ衣装チェンジです。
過去最大級の衣装数だとか、メンバー側からのお知らせもあったりして。
わっきゃない(Z)
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:高橋諭一
一説には、『まっさらブルージーンズ』などを含めてレコーディングされ、これがインディーズ最初のリリースとなる予定だったとか。メンバーからも「私たちはここから始まった」とのアナウンスが。
イントロだけで上がりますよね。また、あの左右に菱形のように手を腰にして、ステップを踏むフリも、そこはずっと変わらずに、なんだか、あの頃のままな感じで。
ファンにあっては、それぞれに、これぞ℃-ute と言うべき曲を挙げられるかと思いますが、多分、今回のセトリは、そんな「これぞ℃-ute と言うべき曲」ばかりで構成されているのではないかと、この辺りで思い始めます。
桃色スパークリング
カップリングは『FARAWAY』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
一人ずつ別々のトロッコにのってセンターステージのさらに向こうの別ステージへ移動します。
2013年のひなフェスでメインステージとサブステージのあいだを行き来するにあたって、Berryz工房がトロッコに乗せてもらったのに(それは Berryz の9周年記念だったから)、自分たちは走らされたことをよほど根に持っているのか、ここ一番の大勝負にはトロッコ多用気味の ℃-ute です。
この曲は、MV撮影風景のメイキングがテレビ番組の深夜放送(『ハロプロ!Time』)でも公開されて、色取り取りのカラーボールが落下する中、楽しげにしているメンバーの姿も印象的でしたよね。
最近の曲と懐かしい曲の交互のセトリというのは大きな勘違いで、このあたりは、懐かしいと同時に ℃-ute がハロプロの末っ子として「可愛らしい」テイストを全開にしていた頃の印象が強い楽曲が並んだかのよう。(実際には、もうスマもいたけど)
大きな愛でもてなして
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:高橋諭一
センターステージの向こうの別ステージにて。
この日の さいたまスーパーアリーナは、従って、メインでパフォーマンスできる大きなステージが都合3つあることになって、後ろの席次の人にも嬉しい配慮でした。
リーダー矢島舞美さんが、その振り付けの意味を2015年になってから知ったという天然エピソードが強烈なこの曲ですが、投稿者的には、2011年のベリキューアイランドのソロ曲としてBerryz工房の菅谷梨沙子さんが何度も歌ってくれたことを懐かしく思い出します。
心の叫びを歌にしてみた
メジャー24枚目、『心の叫びを歌にしてみた/Love take it all』の両A面
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:板垣祐介
再度、トロッコにのってメインステージへ移動します。
アリーナにそって移動する間も移動途中でトロッコを止めたりサービス満点の ℃-ute なんですが、止まっていたトロッコが動き出すとき、グラついて「おっとっと」とばかりによろめいたりしてる中島さん、自分がよろめいたことを自覚して可笑しそうに笑顔になっていて、なっきぃ、ほんとうに可愛いですよね。
と、このようにトロッコの移動中は、各自それぞれ別々のトロッコに乗っているから、フォーメーションは組めないし、移動するトロッコの慣性に抗するように、足を踏ん張って手摺りに捕まっているからダンスもできない…けど、それでも楽曲のイメージが大きく変化しない選曲になっているかのようです。どうなんだろ?
メインステージに戻って、衣装チェンジ。
最初に舞美ちゃんと なっきぃ が残って、後から衣装チェンジを終えた岡井さん、愛理さん、舞ちゃんと交代です。
桜チラリ
カップリングは『JUMP』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:高橋諭一
改めて、この足踏みするような振り付けを考えた人には、心から感謝したい。
リズミカルであるだけでなく、リリカルでもあって、見ていて心も弾みますよね。
中心の愛理さんを囲んで、みんなでつくった輪を上下させるところも、曲中で舞ちゃんが「さくら、ちらり」とセリフを放ち、その後、一瞬、音楽が途切れて、愛理さんの声だけで「みぃ~あげれば」と歌い出すところなど、細かく鳥肌ものの演出が効いていて、繰り返し、ほんとに「これぞ℃-ute 」という感じがします。
キャンパスライフ〜生まれて来てよかった〜
カップリングは『立ち上がれ 乙女達』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:板垣祐介
などと『桜チラリ』を奏でられて、あああ、これぞ℃-ute とか思っていたりすると、これですよ。やられた、やられた。ある意味、℃-ute の愛らしさの象徴でもありますよね。
いろいろ候補があって悩むけれど、この『キャンパスライフ』こそ、投稿者にとっての ℃-ute ベストかも知れません。
何より「生まれてきてよかったわ」というフレーズが印象的です。
思い出すのは、2014年の『℃-ute の本音』ツアーでのソロ(だったと思う)。舞美ちゃんが登壇してきてソロを歌うんだけど、今からソロコーナーですよというアナウンスも何もないまま、その前の曲とベタに地続きでソロコーナーが始まってしまうので、客席もペンライトのカラーを切り替えるのに手間取っています。ようやく会場が「赤」一色に染まりかける頃合いで、嬉しそうに舞美ちゃんが「生まれてきてよかったわ~」と歌うというあのタイミングは見事だったと今でも思います。
℃-ute の愛らしさの象徴である以上に、℃-ute が、℃-ute であることの嬉しさを歌い、℃-ute のファンへの感謝を歌う、その意味で ℃-ute の象徴たるべき楽曲かと。
君は自転車 私は電車で帰宅
カップリングは『愛はいつもいつも』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:山崎淳
YouTube に30日連続で動画が公開されたことも記憶に新しいところですよね。武道館を望む、2013年へかけての ℃-ute の大躍進の前兆となった曲だろうと思っています。
この『君は自転車 私は電車で帰宅』のヒット祈願として企画された、舞美ちゃんの「伝説の自転車の旅」は、矢島舞美という人の(ちょっと信じがたいほどの)心根の清らかさを知らしめる文字通り「神企画」となりました。
投稿者は、今でも、たまにこのDVDを見返します(いつか、このレビューもしたいなと)。
それこそ唯一にして無二のものとして、メンバーたちの人柄も含めて、苦難の道程を笑顔で乗り越えてきたその来歴を含めて、℃-ute が、単なるアイドルグループとしてではなく、独特の ℃-ute というオリジナルな存在としてファンに愛されるようになった、その大きな切っ掛けが、この『君は自転車 私は電車で帰宅』のリリース時期だったかと思っています。(もちろん、それ以前から愛し続けていた方々も多かったことは、その通りなんですが)
Summer Wind
メジャー29枚目、『何故 人は争うんだろう?/Summer Wind/人生はSTEP!』のトリプルA面
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:AKIRA
『君は自転車 私は電車で帰宅』の静かな流れを引き継いで、ゆっくりしたテンポの曲が続きます。
気になっているクラスメート(まだ”彼氏”じゃないよね?)と、少しでも一緒にいたいから、帰りの電車を見送ったという、そんな風景を歌った後に、彼氏の押しつけがましい振る舞いに抵抗する女性を歌う ℃-ute。さすがの厚みと、そんな厚みを説得力をもって提示できるだけのその履歴に恐れ入ります。
そしてメンバーは、衣装チェンジ。
ステージでは、なつかしのVTRが『我武者LIFE』にのせて放映されます。なつかしのVTR って、ほぼほぼ DVD Magazine でしたけども。だから、コンプリートの上で何度も何度もリピートしてる者にとっては「こないだも見たな」ってものばかりでしたけれど。
でも、『我武者LIFE』にのせてダイジェストで編集されるや、やっぱり胸に響くものがあるのは不思議ですよね。
EVERYDAY YEAH!片想い 萩原舞セレクト
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:湯浅公一
舞ちゃんは『行け!元気君』ではなく『EVERYDAY YEAH!片想い』をセレクト。
舞ちゃん、最後となった飛天での℃-uteの日にも、いつだかのバースデーイベントでも、この曲をセレクトしてませんでしたっけ(やや自信なし)。
あたかも聖夜の鐘の音を思わせるようなコロコロしたイントロも印象的なこの曲ですが、「EVERYDAY YEAH」に続けての「たいせつなの」や「すきです」のフレーズが、舞ちゃんのピヨピヨとした声質と実にマッチしていて、心の敏感な部分に食い込んできますよね。
この各メンバーセレクトの5曲では、バックスクリーンに、セレクトしたメンバーの懐かしの写真がコラージュされた映像が映し出されます。と同時に、ステージでセレクトした楽曲を歌っている今現在のメンバーの姿も写し込まれて。この場面のバック映像を見るためにだけでも、後日発売される映像作品は購入必須ってことで。きっと、いろんな特典をつけた複数バージョンが発売されるだろうけど、コンプリート必須ってことで。
私立共学 中島早貴セレクト
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:高橋諭一
このセレクトパート、各自メンバーカラーをあしらったワンピースの衣装。
このミニスカートのワンピース、淡いブルーの衣装に身を包んだ なっきぃ の可愛らしさたるや、慄然とするレベル。なっきぃ、もうすっかりお姉さんなのに、昔日の「なかさきちゃん」の可愛らしさを未だに宿していて、ほんとに可愛いです。
何度も衣装チェンジした今般のファイナルライブですが、個人的には、このパートの、各々のメンバーカラーのミニのワンピースが一番好きかも。舞美ちゃんの彫刻のような凛とした美しさだったり、愛理さんの嫋やかさだったり、岡井さんの照れを含んだ男気だったり、舞ちゃんの弾けるような愛らしさといった、個々のメンバーの愛すべき内面が、はっきりとルックスにも反映されているようで。
で、バスを乗り継いでドキドキして嬉し恥ずかしな内心の様子も、この淡いブルーのワンピース衣装の中島早貴さんに如実なようで。なっきぃ、ほんとに可愛いです。
告白しますと、投稿者は、なっきぃ、大好きです。
僕らの輝き 岡井千聖セレクト
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:小倉健二
右のこぶしを握りしめて「勇ましい」と歌い出すのは、世界の誰よりも岡井千聖さんこそが相応しいし、冒頭のフレーズを終えて会場全体で叫ぶ「ちさと!」というコールも、この楽曲が一番に盛り上がりますよね。
いろんなことがあるし、いろんなことについて、いろんなことを言う奴がいるし、毎日、いろんなことで、いろいろに凹んでしまうけれど(最晩年の武者小路実篤風)、それでも、勇ましい輝きの方へ歩き続け、美しい輝きの方を見つめていなきゃダメなんだと思い知らされます。しかも、そのようにこちらの心を鼓舞するフレーズを、あんなにもドヤ顔が輝かしい岡井さんが満面の笑顔で歌ってくれているのですから。
解散した後も、今でも、私たちを勇気づけてくれているようです。
岡井さん、了解です。勇ましく、美しい輝きを目指して、明日からも頑張ります。
SHOCK! 鈴木愛理セレクト
カップリングは『生きようぜ!』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:板垣祐介
愛理さんがセレクトしたこの『SHOCK!』については、もはや説明の必要もないでしょう。
℃-ute の最も危うかった低迷期、メンバーの相次ぐ脱退に、メンバーカラーの変更もあって、ツアーを打ってもホールが半分も埋まらない日々が続いて…そんな時期を象徴するかのような楽曲です。
℃-ute 全体の低迷だけではなく、ただ一人歌割りを課せられた鈴木愛理当人にとっても乗り越えるのが難しい大きな試煉だったと、何度も言及された楽曲でもあります。
2012年も押し迫ってから発売された『℃-ute神聖なるベストアルバム』の初回限定B盤には、約67分にもおよぶメンバーの独白が特典映像として収められています。
この特典映像は、ちょっと驚くほどシリアスです。メンバーの脱退のことも、自分は℃-ute に必要なのか悩んだことも、リーダーとして肩に力が入りすぎてメンバーに必要以上に厳しくしてしまっていたことも、センターとしての重圧に苦しんだことも、学校でイジメられていたことまでも、赤裸々に℃-ute メンバーが語っている特典映像です。
(2)℃-ute神聖なるベストアルバム(初回生産限定盤B)(DVD付) CD+DVD, Limited Edition
価格: 2,849
出版社/メーカー: ZETIMA
発売日: 2012/11/21
この『SHOCK!』についても、そこで語られるわけですが…
しかし、今、解散を迎えて、鈴木愛理さんは、この曲をセレクトしました。
かつて、その歌割り格差も重荷ならば、センターとしての重圧も大きかった、決して望んで得た歌割りでもセンターでもなかったこの『SHOCK!』を、2017年6月12日、鈴木愛理さんは、4人の心から信頼するバックダンサーを背負って、堂々とセンターとして一曲まるっと歌い切りました。
ファイナルのライブを終えた後日、継続したラジオ放送で中島早貴さんは、この曲を堂々と歌える ℃-ute は無敵で誇らしかったと語っていますね。
こうした愛理さんと なっきぃ の述懐を、『℃-ute神聖なるベストアルバム』の初回限定B盤の特典映像と比べるとき、℃-ute というグループが駆け抜けてきた道の険しさと、その険しい道を切り抜けたときの成長と自信が、あまりにも明らかで、それは、それらの抽象的な言葉(「道の険しさ」「成長」「自信」)が、物理的に実態として感じられるほど。
なんだか、私たちも負けてられませんね。
まっさらブルージーンズ 矢島舞美セレクト
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:高橋諭一
そして、さらなる胸に迫るVTRにのせて矢島舞美がセレクトするのは『まっさらブルージーンズ』です。
2015年の横アリのときから思っているんですが、『まっさらブルージーンズ』って、ベースの響きが重厚なオリジナル版と、リアレンジされた2012年の神聖なるバージョンがあるじゃないですか。で、昨今の『まっさらブルージーンズ』の披露は、基本的なアレンジとして神聖なるバージョンを踏襲しつつ、ベースの重厚な響きを復活させた、いわば2015年バージョンともいうべきものになっていると、投稿者は勝手に思っているんですが、これ、どうなんでしょうね。
センターステージに駆けていく舞美ちゃんが印象的でした。ほんまに、何をしても絵になる。
インターミッションとMC そしてサプライズ
歌い終えて、全員、メインステージに戻って、衣装チェンジ。
最初に舞美ちゃんと愛理さんが残って、楽曲の思い出なんかを話します。
後から衣装チェンジを終えた なっきぃ、岡井さん、舞ちゃんと交代ですが、出てくるなり、舞美ちゃんが話していたことを指して「これ以上良い話できないですけど」と岡井さん。
当代随一のハロプロバラエティ班として、この辺りの呼吸はさすがですが、大丈夫です。岡井さんなら、ドヤ顔一発で、そこらの「良い話」を粉砕できますから。
と、そして「この先はカッコ良い曲が続きます」とばかりに、5人がライブを続けようとすると、サプライズで花束贈呈式が始まります。
こんなところでも「なに?なに?なに?」と動揺が激しい中島さん。可愛いですね。
サプライズの花束贈呈式に登壇してくれたのは、中澤裕子さん、道重さゆみさん、そしてアンジュルムの和田彩花さん。
初代ハロプロリーダーと、ハロプロ中興の祖にして、矢島舞美にリーダーの座を渡した道重さん、舞美ちゃんからリーダーの座を継承した あやちょ、という顔ぶれです。
中澤姐さん、なんか手に包帯巻いていましたが、大丈夫なんですかね。
スピーチ中に、自分で先に泣いちゃったりして、相変わらずの中澤姐さんです。
和田彩花さんも、泣いちゃって、なかなかちゃんとした言葉が出てこなかったりして。
この辺りは、きっと私たちが外から見てる以上に、当人たちにとって重い感慨があるんでしょうね。
道重さんはスピーチに先だって「まずは…お久しぶりでぇす♪」とか言い出して。
で、それを受けて、これは なっきぃ だったか「ニュースで見てました。再生、おめでとうございます」とか応じていて、この辺りのモーニング6期とキッズ(ベリキュー)の社交辞令(の形を借りた、双方からの好意と敬意の示し合い)のやり取りって、実は投稿者の大好物のひとつだったりして。
その辺りを追加でリンクしておくテスト。リンクの特典映像に注目ってことで。
数学女子学園DVD-BOX<初回限定版>
価格: ¥ 14,774
出版社/メーカー: バップ
発売日: 2012/05/29
人生はSTEP!
メジャー29枚目、『何故 人は争うんだろう?/Summer Wind/人生はSTEP!』のトリプルA面
作詞:角田崇徳
作曲:石井浩平
編曲:石井浩平
気を取り直して(?)ライブ再開。
この辺りの楽曲は、上に述べてきたような ℃-ute の ℃-ute らしい「愛らしさ」や、楽曲を越えた人柄を彷彿させるようなところこそ少ないものの、一方で、℃-ute の技の結晶が、それこそ目に見えるように考慮された楽曲が多いですよね。
この『人生はSTEP!』の間奏にあって、細かく踏むステップの複雑さたるや!
しかも、2階席からステージを遠く望んでいても、細かいステップの複雑さが明瞭であるという ℃-ute ライブの不思議さたるや。
夢幻クライマックス
メジャー30枚目、『夢幻クライマックス/愛はまるで静電気/Singing〜あの頃のように〜』のトリプルA面
作詞:大森靖子
作曲:大森靖子
編曲:大久保薫
技の結晶も加速します。この『夢幻クライマックス』にあっては、クルクルと入れ替える場位置の変化が激しく、嫋やかな振り付けの中で、急に左右に腕を突き出すダンスなど、身体所作として見所満載です。
愛理さんのボーカルも、高音域での「くらいまぁ~~~(くす)」といった震える長音と省略といった「技」が堪能できますよね。
Crazy 完全な大人
カップリングはバージョンによって複数ある
『ザ☆トレジャーボックス』、『悲しきヘブン』、『地球からの三重奏』、『私は天才』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
リリース当日、2013年4月3日、初の単独武道館とフランス公演がアナウンスされた伝説の池袋サンシャインでのリリイベは、この『Crazy 完全な大人』のリリースイベントでした。
サプライズで急に流れてきた つんく♂さんの仮歌に、恐れおののく5人ですが、同じように恐れながら、一人だけ、他の4人からちょっとだけ離れてた なっきぃ だとか(で、岡井さんに引っ張られて5人がくっつく)。舞美ちゃんとくっついていたのに、つんく♂さんの音声が「来るパシフィコ横浜の千秋楽にて…矢島舞美っ!」と続くと、そっと離れて、疑わしげに舞美ちゃんを見つめる愛理さんの表情とか。
酷といえばあまりに酷なサプライズでしたが、その後の ℃-ute の大躍進の端緒ともなったリリイベでした。当時「さゆヲタ」でしかなかったはずの投稿者も、この池袋のリリイベには何故か参加していて、メンバーと握手しながら「武道館おめでとう」と声をかけていたりして。
この『Crazy 完全な大人』は、カップリングが鉄板だらけな点でも特筆されるべきかと。『ザ☆トレジャーボックス』、『悲しきヘブン』、『地球からの三重奏』が、そろって『Crazy 完全な大人』のカップリングだったってのは恐ろしい。
この時期の ℃-ute は、まだ武道館前だとはいえ、本当に勢いが実感できたものです。
FOREVER LOVE
カップリングは『セブンティーンズVOW』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:鈴木俊介
マイ・ダーリン隊などと揶揄されたこともあったけれど、今となっては、この「マイ・ダーリン」というコーラスこそ聴き所っすよね。
サビのメロディの急な明るさと、それまでのメロディの微妙な暗さのコントラストも、いや、ほんとに 楽曲の層の厚さといったら!
涙の色
カップリングは『ダーリン I LOVE YOU』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:藤澤慶昌
元来は「ジュリエットジュリエット」という楽曲だったみたいなんですが、そちらは後年、ライブで披露されることに。個人的には「ジュリエットジュリエット」での羽をひらひらさせるような振り付けが好きだったりして。
ラテン風のイントロで、意図的に5人がリズムを乱して個々ばらばらに手拍子するようなところが数小節先でピッタリ揃うのも見所。
ってか、℃-ute の楽曲に見所ならぬ部分は一瞬もありません。
曲終わりの衣装チェンジのタイミングで、ステージに残った愛理さんと なっきぃ が会場全体にウェーブを要求。ウェーブが、さいたまスーパーアリーナを一周する間に、なんと全員が着替え終わって登場しているという、早着替えを賞賛すべきか、さいたまスーパーアリーナの巨大さに驚くべきか。
アダムとイブのジレンマ
メジャー22枚目、『悲しき雨降り/アダムとイブのジレンマ』の両A面
カップリングとして『誰にも内緒の恋しているの』、『あったかい腕で包んで』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:江上浩太郎
この曲も、イントロが響いてからの会場の歓声も、特徴的な爪で包むような振り付けも、すっかり近年の鉄板となりましたね。
若い時にちょっと背伸びしたような楽曲をもらって、美しく成長したメンバーたちが、ようやく楽曲に追いついたという具合に形容されることも多かったベリキューですが、このあたりの楽曲は、これからの ℃-ute メンバーが「楽曲に追いつく」ことになるんでしょう。
なんだか、かえって楽しみなことです。
悲しきヘブン
カップリングにもかかわらず後日MVがリリースされる
後に、2014年7月16日リリースのメジャー25枚目『The Power/悲しきヘブン』としてシングル化
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:板垣祐介
まさしく ℃-ute 10年の技の結晶とも言うべき楽曲。
過去に投稿した記事で、岡井千聖さんが、鈴木愛理さんとガチのボーカルバトルを展開できるだけの成長を示した頃から ℃-ute の躍進は加速したと書いたことがあります。その鈴木、岡井という ℃-ute が誇る2大ボーカリスト、従ってハロプロが、日本の芸能界が擁するボーカリストの双璧による真剣なボーカルバトルを堪能できる凄まじい楽曲です。
そして、この曲が ℃-ute 10年の技の結晶であるのは、鈴木、岡井のボーカルバトルだけではなく、矢島、中島、萩原の3人のバックダンスの迫力にもよります。とりわけ、最初、舞美ちゃんがダンス組のセンターに位置取っていたものが、曲の展開に合せて場位置を入れ替え、なっきぃ がセンターに出てきてからのダンスこそは、ほとんど神がかっています。
とか良いながら、さいたまスーパーアリーナでは、最初っからダンス組のセンターが中島さんで、まさしく目が離せませんでしたよね。
嵐を起こすんだ Exciting Fight!
メジャー28枚目、『ありがとう〜無限のエール〜/嵐を起こすんだ Exciting Fight!』の両A面
作詞:三浦徳子
作曲:星部ショウ
編曲:鈴木俊介
日本レスリング協会公認 応援ソングです。
すでに言及したように、℃-ute がその道程を歩んでくるには必ずしも順風ばかりではなかった。と、そんなところを、ことさら狙って強調したような楽曲ですが、これもステージでの披露を重ね熟してみれば、岡井さんのガナり立てる叫びも雄々しく響きます。
情熱エクスタシー
フィーチャリング中島早貴
作詞:中村佳紀
作曲:中村佳紀
編曲:中村佳紀
この日の さいたまスーパーアリーナには、℃-ute の節目を祝おうと、℃-ute のファイナルを眼に焼き付けようと、専任の team ℃-ute だけではなく、他ユニットのファンやDD気味のファンも、たくさん駆けつけていたものと思われます。なのに、ちゃんとペンライト2本使用の「情熱エクスタシー」ポーズが会場を埋め尽くして、なっきぃ の嬉しそうなことったら!
もっと声出せますか的な煽りを一通り入れて、いよいよライブはラストスパートへ
超WONDERFUL!
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:板垣祐介
ラストスパートのプレリュードに、まったく相応しいですね。
この辺りで、メンバーも、会場も、すっかり良い感じに熱が上がっており、「ちょうわんだふぉー」というフレーズの後のコールも、「あーいーしてるよ」とか「そんでもって」の後の会場の歓声も、最高です。
ここに至るまでのセトリでも、いわゆる鉄板曲ってものは繰り出されてきたわけですが、それらの鉄板曲は、どのライブでも鉄板である一方、あの曲の過去最高の披露は○○だとか(たとえば2013年の初単独武道館の「Kiss me」だとか、2012年の渋谷のライブハウスでの「まっさら」だとか)言われてきたわけですが、今般の2017年のさいたまスーパーアリーナで、これらの過去最高は、すべて刷新されたように思います。
その意味で、過去最高の『超WONDERFUL』でした。
そして、そんな流れで…
Danceでバコーン!
カップリングは『これ以上 嫌われたくないの』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:鈴木俊介
そんな流れでダンバコですよ。
トロッコに各自乗り込んで、センターステージを広く囲むようにアリーナ席フロアに散開して、これまた過去最高に広いスペースを占有しての『Danceでバコーン!』です。
帰りにウドンは食べてきませんでした。
ちゃんと帰りにウドンを食べたら、「終わった」ことを認めるようだから。
投稿者の中では、さいたまスーパーアリーナは、まだ続いてるってことで。
世界一HAPPYな女の子
カップリングは『偉大な力を! 』
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:宅見将典
リリースされた当時、必ずしも順風ばかりではなかったどころか、実はかなりの逆風が吹いていた時期をようやく乗り切ったかどうかというところで、世界一HAPPYな女の子とか言ってニコニコされても、「無理してるんじゃないかなあ」という印象がありました。当時ね(いや、ほんまに、すみません!)。
今、2017年のファイナルを迎えて、楽しげに歌い踊るメンバーたちは、ほんとうに「世界一HAPPYな女の子」だと思います。彼女たちのニッコニコな微笑みには、自分たちが「世界一HAPPYな女の子」だとの自信に満ちあふれているように見えます。
℃-ute こそ、自ら勝ち取ってきた「世界一HAPPYな女の子」の名に相応しく、そんな彼女たちの成長に随伴して、そのファイナルを見送れる私たちは、世界一HAPPYなファンかも知れません。
アイアンハート
作詞:SHOCK EYE
作曲:SHOCK EYE・草野将史
編曲:草野将史
トロッコに乗りメインステージへ移動しながらの『アイアンハート』。
なんだか、リリースされた当初は、それぞれのファンがそれぞれに思う ℃-ute のテイストに合わないとして、一部に評判が必ずしも良くなかったような楽曲であっても、何度も実演を繰り返すうちに、すっかり馴染ませるのは、これはひょっとして ℃-ute の力量恐るべしってことなのではないかと。
最後の「世界に一枚のフォトグラフ」も、舞ちゃんの顔を半分ほど、ちゃんと舞美ちゃんが隠しちゃったりして、矢島舞美は平常運転です。
ファイナルスコール
メジャー31枚目、そしてラストとなる『To Tomorrow/ファイナルスコール/The Curtain Rises』のトリプルA面
作詞:SHOCK EYE
作曲:SHOCK EYE
編曲:草野将史 & soundbreakers
冒頭にも記したように、℃-ute のこのラストシングルは、どことなく「涙」を狙いすぎた感じがする一方で、℃-ute の「℃-ute らしさ」を捕捉しそこねているような印象が強く、さほど評価されない傾向もあったように思います。ですが、こうしてセトリの中に含まれると、あたかも、この日のために創られた楽曲だとしか思えぬほど。
そして、こうして改めてステージで実演されると「どことなく「涙」を狙いすぎた感じがする」ってのは、いったいどこを聴いてそう思ったのかわからなくなるほど、歌詞の悲しさの一方で、旋律はアップテンポで、軽やかな疾走感で、明日の展望を明るく迎えるようなテイストに満ちていて、別れを歌う歌詞と明るくアップテンポな旋律のコントラストが一層悲しく、この日のファイナルに実に相応しかったかと。すばらしかった。
そして、歌い終えてステージを後にする5人を呼び戻す、これまた過去最高の ℃-ute コールが、さいたまスーパーアリーナに響きます。
Singing〜あの頃のように〜 アンコール
メジャー30枚目、『夢幻クライマックス/愛はまるで静電気/Singing〜あの頃のように〜』のトリプルA面
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
間奏で背景に流れてる笑い声が響きますよね。
作詞がつんく♂さんだから、つんく♂さんの個人的なメンバーへのメッセージと読むのが自然ですが、こういう流れ(ファイナルのステージの、アンコールの一発目)にあってみれば、メンバーから、ずっと見ていてくれた年季の入ったファンへのメッセージとも取れるし、逆に、つんく♂さんの立場に自分を代入する形で、ファンからメンバーへのメッセージとも取れるし、メンバーがお互いに向けたメッセージだとも取れますね。
ほんとに、ハロプロの楽曲って不思議です。
個々の楽曲が多様な解釈を許容するだけじゃなくて、やっぱりライブの現場で、セトリの緩急の中に位置づけられて聴くハロプロの楽曲は、すばらしいの一語に尽きますよね。
SHINES アンコール
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:平田祥一郎
定番過ぎる定番で、客席がみんなタオルを振り回す中、メンバーたちは、サインボールを客席に向って投げ込みます。
これなんですが、ずっと上に書いた通り、当日の物販は、いろんなものが早々に売り切れていたから、この曲で振り回すべきタオルを買えていない人も多くて、ちょっと可哀想でした。
とりわけ昨今の楽曲について、リリースの際には、ちょっと微妙なんじゃないかと思った曲であっても、現場の雰囲気に飲まれ、セトリの緩急の中に位置づけられるや、まさにそのために創られたとしか思えぬ不思議な力を発揮することに驚く……といった趣旨のことを何度か書きました。
でもって、この『SHINES』なんですが、これって、2009年のリリースですよね。従来も、いくつかのツアーで終盤へ向けての鉄板扱いが恒例化していた『SHINES』ですが、まさか、こんな日が来るとわかって(それこそ『Singing〜あの頃のように〜』の歌詞のように)創られたわけでもあるまいに、いかにもこのファイナルに相応しい胸に響く曲となっていることに、ここでも、改めて驚きます。
To Tomorrow アンコール 全ハロメンをバックに
メジャー31枚目、そしてラストとなる『To Tomorrow/ファイナルスコール/The Curtain Rises』のトリプルA面
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:鈴木俊介
Berryz工房が活動停止するとき、それに先立つラストツアーのセトリに組み込まれた『永久の歌』で十分に毎回泣いていたこともあって、ラストの怒濤の四日間、有明コロシアムでも、武道館でも、私はそんなに感情の振幅が大きくなかったんですよ。でも、最後の清水佐紀さんのご挨拶の冒頭で「わたしたち、こんなに大きくなりました」の一言を聴いた途端に涙腺が決壊してしまって、それ以降のことをよく覚えてないんです。
まったく同様に、℃-ute のファイナルだとはいえ、十分に助走期間があったこともあって、ここまで、そんなに気持ちが揺れ動くこともなかったのに。なのに、この『To Tomorrow』で、一気に涙腺と感情が大決壊することになります。
パフォーマンスされるこの『To Tomorrow』をひとつも見逃すまいと、私はセンターステージを凝視しておりました。投稿者は200レベルとかいう2階席の下手で、かなりメインステージよりの席次だったので、センターステージでパフォーマンスする5人を凝視してると、半ばメインステージに背を向けるような格好になるんですね。つまり、℃-ute の5人を凝視するあまり、センターステージ以外は視野に入ってきていなかった次第。
で、楽曲の披露が終わって、一息ついて、ふと視野を引いたところ、ようやく視野の隅にメインステージが入ってきて……全ハロメンが整列してるじゃないですかっ!
そんな次第で ℃-ute の5人を凝視するあまり、℃-ute のバックで、メインステージで、ハロメン全員がバックダンスしていた場面を見逃していた…というわけです。だからこそ、パフォーマンスの終わりに、メインステージで ℃-ute を迎えるハロメンの整列が一層鮮烈に目に飛び込んできて、これで涙腺が大決壊しちゃいました。
今はまだ十分に言葉にできませんが、全ハロメンをバックに背負う ℃-ute という構図だけじゃなく、後輩たちに見送られる ℃-ute という構図が涙腺に響いてくることそのものが、℃-ute というグループが持つに至ったグループとしての性格を物語っているようにも思います。「後輩に憧れられ、慕われる」ということの ℃-ute ならではの側面が際立つようにも思って。研修生によるチーム岡井が、岡井千聖さんの姉御肌と面倒見の良さを物語るように。
JUMP ダブル・アンコール
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:山崎淳
℃-ute としての初めてのステージのオープニングでもあった鉄板中の鉄板。
いや「この星にルールがある」だなんて、ずいぶん思い切ったフレーズを入れるもんだと思ったこともありました。でも、多くの楽曲が、℃-ute に歌われることによって改めてファンの心に届いていったように、「この星にルールがある」って、今なら、心から素直にうなずいて聴けますね。
一度、涙腺の崩壊を自分に許してしまった後の『JUMP』は、自分でも吃驚するくらいヤバかったです。特に客席がフレーズを斉唱する場面が。
たどり着いた女戦士
作詞:つんく
作曲:つんく
編曲:上杉洋史
そして、さいたまスーパーアリーナを揺るがさんばかりの大歓声が落ち着いた頃合いで、「もうひとつだけ皆さんに聴いて貰いたい歌があります」と言い出す愛理さん。
アカペラで、自分たちの音声だけで、最後に歌われたのは『たどり着いた女戦士』。
「また泣いちゃうじゃない」と言うほどの光景を眼に焼き付けて、さいたまスーパーアリーナにたどり着いた5人の女戦士は、その光景の一部に私たちを置き去りにして、次の自分たちの人生に向けて、駆け抜けていきました。
5人が駆け抜けていったのは、ほとんど夜の9:09:30 といったような時間(たぶん)。
メインステージのバックスクリーンに、クロックが表示され、カウントダウンが開始され、ちょうど「9:10」に、感動的な演出があったことは、すでに公式のWeb配信番組でも周知されたところかと。
ちょっとだけ思ったのは、おそらくは帰りの電車の時間を気にして(そもそも平日の開催だし)ダブルアンコールも待てずに会場を飛び出していかなきゃいけなかったファンの皆さんのこと。きっと、万障繰り合わせて、ようやくこの現場に参加していながら、個々の事情から、この最後の演出をリアルに目に出来なかった方も多いのではないかと。
要するに、それだけ、たくさんのファンが、平日の開催であったにもかかわらず、この ℃-ute のファイナルに居合わせようと足を運んだと、そのことを指摘したいぞと。
℃-ute のライブは、いつも幸せだった
元来が「さゆヲタ」であった投稿者が、℃-ute のライブやイベントに単発で「お邪魔します」って感じで訪問するのではなく、ちゃんと「通う」という表現を使っても許される程度に顔を出し始めたのは、ほんのつい最近のことで、それは、2012年の『美しくってごめんね』ツアーから。というかベリヲタだった投稿者が『ベリキューアイランド』で腰を抜かしたのが始まりだったりして。(さゆヲタで、ベリヲタだったんです。ええ)
年季の入った team ℃-ute の皆様からすればド新参の、うっすい、ニワカ野郎も良いところなんですけれども。申し訳ない。
なんだか通う都度、どうにも愛らしくて、キッズの、あんな小さな子だったのにという思いからか、ステージで嬉しげに立派にパフォーマンスしている姿に何故だか泣けて泣けてしょうがなかった ℃-ute のステージでしたが、それがいつしか、涙を流すことも忘れるほど、最高に楽しいライブ体験となっていくまでに、そんなに時間はかからなかったようにも思います。
通い始めてから、『神聖なるペンタグラム』~『トレジャーボックス』~『たどり着いた女戦士』~『℃-uteの本音』~『モンスター』~『The Future Departure』~『℃an’t STOP!!』~『℃ONCERTO』~『℃OMPASS』~『℃elebration』と、順調に入ってきて(解散が告げられてからの『℃OMPASS』、『℃elebration』は別にして)、いつもいつも、ひとつのツアーの中で何回入場していようとも、ほんとに楽しくて、レポも書けぬほど、「楽しかった!」だけで内容も覚えてないくらいニッコニコしながら帰ってきて、そして、いつも次のライブが、次のツアーが楽しみでした。
舞美ちゃんの、汗でキラキラと後光がさしたような美しさも。
なっきぃ の、バランス良くダイナミックなダンスも。
愛理さんの、心が欲する快感すぎるボーカルも。
岡井さんの、絶妙なドヤ顔も雄々しい低音も。
舞ちゃんの、コロコロした声質も妖艶に繰り出される目線も。
いつも、℃-ute のライブは、次のツアーが楽しみでした。
なんだか、6月12日の さいたまスーパーアリーナを終えた後も、今年の秋ツアーが楽しみな感じがしていて、ちょっとそわそわしています。
もちろん、そんなことはないって、わかっているんですよ。
舞美ちゃんの見る者を和ます天然は、ほかの4人のフォローがあったから成立していた部分もあって。
なっきぃ の真面目な健気さは、中島さんがほかの4人のフォローに出ているから際立っていた部分もあって。
愛理さんの謎の動きは、℃-ute にあってこそ、絶対のエースのわずかな隙として成立していて。
岡井さんの面倒見の良さは、℃-ute でなければ、当たりがキツイだけになりかねなくて。
舞ちゃんの甘えんぼは、お姉さんたちが甘えさせてくれたからこそのものだったりして。
だから、メンバーの愛すべき個性の大きな部分は、℃-ute というグループだったからこそ際立っていたものだったってことは、わかっているんですけど。
℃-ute が解散してからも芸能活動を継続してくれるメンバーも多く、舞美ちゃんと なっきぃ に至っては、そのまんま一週も休まずレギュラーのラジオを続けてくれてもいます。だけども、私たちが愛したあの「愛すべき5人」のあれこれは、やっぱり ℃-ute があってこそのものだと、そう頭ではわかっているんですけど。
でも、なんだか、これからも、まだまだ続くような気がして、ちょっとそわそわしていて、少し困っているのです。もう最後のライブも終わっちゃったんだって、わかってるのに。
*****
℃-ute は、矢島舞美は、中島早貴は、鈴木愛理は、岡井千聖は、萩原舞は、多くのファンの気持ちがたどり着く前に、ものすごい疾走感で、さいたまスーパーアリーナのステージを駆け抜けていきました。
ほんとうなら、そこまで私たちを楽しませてくれた5人に感謝して、5人のこれからの活躍と幸せを祈って、そして5人にならって、私も明日の自分に向って歩み出さなきゃいけないんでしょうけど。
でも、まだ、なんだか気持ちが落ち着けられずに、そわそわしていて困っています。
もう少し時間が立てば、きっと、大人として正しくメンバーに感謝し、メンバーの今後を祈り、メンバーに恥ずかしくないよう、明日に向って歩き始めるから。だから、もう少し、そわそわしていようかと思っています。もうしばらくの間だけ。
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