そして3人の歌姫は伝説に Buono! ライブ2017 ~Pienezza!~

毎度、若干お高くなっても良いから週末にしてくれないかと思いつつ、2017年5月22日の月曜日、横浜アリーナにおいて、魂から旋律を奏でる不世出の3人による奇跡のユニット、Buono! の、おそらくはラストとなるライブが開催されました。

ライブタイトルの「Pienezza」がイタリア語で「お腹一杯」という意味であるとはメンバーの談。その意味のとおり、ファンのみなさんがお腹一杯になるようなライブをお届けします、という趣旨なのだとか。一方、辞書を紐解いてみれば、そこには「円熟味」「絢爛さ」「甘美さ」「豊かさ」という言葉を拾うことができます。
2017年5月22日、平日の月曜日、横浜アリーナで開催された『Buono! ライブ2017 ~Pienezza!~』は、まさしく、円熟の技とステージングによって豊かな絢爛さに充満した、奇跡のライブだったのでした。

Buono! とは?

リードで「おそらくはラストとなる」と述べたように、「最後のライブ」だとは耳にしたような気もしますし、嗣永桃子さんが6月30日をもって芸能生活からも身を引くからには、最後となるしかないと納得してもいるわけですが、公式には解散とも活動停止とも言われていない Buono! は、ハロー!プロジェクト内のユニットです。が、それを「アイドル」ユニットだと言い切ってしまうのは躊躇するところ。

2007年に、いわゆる企画タイアップに伴って「派生ユニット」として産声を上げた Buono! は、10年継続して(メンバーいわく「途中4年ほど、ほおっておかれて」)平日の横アリを埋め尽くすほどの集客を示す圧巻の人気ユニットへと成長していたのはご存知のとおり。

当時のBerryz工房から夏焼雅さん、嗣永桃子さんが、℃-ute から鈴木愛理さんが参加して構成され、いわゆるハロプロ的なサウンドからは、結成のその最初からあえて一線を画し、生バンドをバックに背負って、独特の疾走感にあふれた楽曲を携えて、その活動の主戦場としてライブハウスツアーを行うなど、当時にあっては他のハロプロのグループとは異なる独自な路線を見せていたユニットです。
このような企画タイアップの派生ユニットは他にも挙げることはできるけれど、これほど継続し人気を博したユニットは異例でもあって、しばらく単独での活動が沈静化していた時期を通じて常にそのパフォーマンスが渇望され、所属メンバーの母体であるBerryz工房や ℃-ute の節目のライブであったり(2014年サンキューベリキュー武道館など)ハロコンやひなフェス、カウントダウンライブなどでゲストとして暫定的な復活を果たすたびに、メインとなる登壇者の影が薄くなるほど会場を沸かす圧倒的な人気を示し続けていたこともまた世界が知るところで、母体であるベリキューに先駆けてフランス公演を成功させてもいました(2012年)。

そして2017年現在、メンバーの夏焼雅さんは PINK CRES.として活動しており、嗣永桃子さんも現在はカントリー・ガールズであり、6月30日をもって芸能界から引退を表明しています。そして鈴木愛理さんも、℃-ute が6月12日で解散予定であることから、Buono! もまた、今後の活動については明確にアナウンスされてはいないけど「察してね」という状況です。そんな、2017年5月22日の月曜日、横浜アリーナで、登壇してきただけでファンの心を重心から揺るがせる3人による唯一無二のユニット、Buono! のライブが開催された次第。

最初から奇跡のユニットだったわけではなくて

奇跡とか言っちゃうのは、決して誇張ではなく。

思い出すのは、懐かしの「ハロプロTime」。℃-ute メンバーが集まって、岡井千聖さん主催で2月産まれのメンバーのお誕生日を祝う会が開催されていた中、Buono! ライブのためのリハーサルに忙殺されていて参加できなかった鈴木愛理さん。そのリハーサルの模様がガチすぎて、お互いの場位置などを確認する様子の真剣さに、実際、驚かされたものです。その場位置確認も含め、バンドメンバーも一緒になって、リハーサルスタジオの一角で頭を寄せ合って話し合いをするときの、嗣永桃子さんのリーダーシップぶりにも驚き、夏焼雅さんが「覚えられない」と弱音を吐いている様子にも驚き、したがって、Berryz工房での「ももみや」関係が、必ずしも見えている通りの「素」ではないということも改めて確認できて、だからこそ Buono! のステージでの迫力には「本番という魔法」の力も大きかったことまでも間接的に明らかになって…と、いろんなことをファンに知らせてくれていた企画でしたが、何よりも鮮明だったのは、そのようなプロフェッショナルとして不断に自らを育てていたのだということ。

今、かくも堂々とステージの上でパフォーマンスする Buono! メンバーですが、すでに当人たちもブログなどを介して明らかにしているように、それまでには、どれほどのプレッシャーを克服していることか。これが、ある程度はファンにも周知されていて、だからこそ、その圧巻の本番ステージに揺れる心の振幅も大きくなる道理です。
私のほうがずっと年上なんだけど、メンバーを、ハロプロを、本気で尊敬しちゃう所以ですよね。

何よりも、そのようにメンバーたちが自分たちを育てたという意味で「奇跡」という言葉はふさわしい(関連して後述)。

ライブスタートまで 横アリ点描

物販の待機列については、過去の横アリ(道重さん卒業ライブ℃-ute 2015年春ツアー千秋楽)や昨今の武道館と比べると、今回は、思った以上に物販の流れはスムーズでした。

ただ、想定以上に気温が高いときなど、たとえばミスト散布するとか何らかの対策を講じないと、そのうち本気の事故が起きるのではないかと(その根拠は、今回、割愛しますけど)、これは老婆心ながら懸念するところです。

投稿者はお昼ちょい前くらいに新横浜に到着して、まずは つばきファクトリーの握手券を確保した後、お昼すぎくらいに物販の待機列に並びます。お目当ては最新の DVD Magazine Vol.16。

並び始めた段階で、物販列が横アリをぐるりと巡って裏手に差し掛かるくらいだったので、つばき握手会スタート(15時)に間に合うかどうか賭けのつもりでしたが、意外とスムーズに購入できて、握手会までの間にお昼ご飯も食べることができちゃったりして(場合によっては抜くつもりだったのでした、ご飯)。
開場間際にやってきた知人など、そのままスルっと買えたとのこと。確かに開場時間近辺では、夕方くらいから、すっかり物販の待機列は解消されちゃってましたから。これは、買う人はお昼前から並んで買ってしまっていたとか、いろいろ要因はあるんでしょうけど、今回、思いのほか、待機列の流れがスムーズだったのでした。

つばきファクトリーは、個々の握手の対応だけじゃなく、握手用の特設テントが一切遮られていないで丸見えだったことや、握手会終わりにテントから駐車場の中程まで出てきてご挨拶したことなど、相変わらずサービス満点。
ずっと見ていられた特設テント内の様子も、山岸理子ちゃんと内緒話しをしてる小片リサさんの横顔だったり、谷本安美ちゃんにピッタリくっついてる新沼希空ちゃんだったり、たいへん眼福な場面多数といったところでした。つばきの握手はカメリア衣装にて、秋山さんが欠席(学校関係かも、事前に告知あり)で、年齢の若い順に、小野田さんスタートの理子ちゃん終わり。

アイドルを目指したのは、たまたま見ていたアニメで知ることになった Buono! に憧れてのことだったと、そうブログで告白していたのは、浅倉樹々ちゃん。
樹々ちゃんをアイドルのステージへと誘った先輩たちは、このステージをもって去っていく(のかも知れない)けれど、次は樹々ちゃんたちの番です。いつの日にか、つばき単独のライブで横アリを満員にする日を、おじさんは待っています。

お目当てのDマガも入手し、つばきファクトリーと握手もして、すでにホクホクのまま、あちこち彷徨う中で、知人のベリヲタ氏たちと落ち合ったりして、徒然にハロプロ・キッズのあれこれを語ったりしているうち(これはこれで投稿者的には至福の時間)、入場列が形成され始めます。
毎度、この横アリを囲むように出来上がる人の群れってのは(その群れに含まれる一部でありながら)圧倒されますよね。伝説のライバル・サバイバル然り、道重さゆみさん卒業スペシャル然り、℃-ute 2015年春ツアー千秋楽然り、圧巻の人の波に揉まれながら、ゆっくりと会場の正面玄関に近づいていくこと、このこと自体が来るべきライブの興奮を嫌が応にも高めているようです。

Buono! ライブ2017 ~Pienezza!~

横アリは、入場してからのロビー的なたまり場が広いのが良いですよね。
少しだけ空気の通りも良くて、日中から直射日光を浴び続けていた身体も一息ついているかのよう。みなさんも、ロビーのあちこちで、あるいは推しTに着替え、あるいは物販の収穫を整理し、あるいは同伴の連れが遅れているのか(だって平日の月曜の17時開場だもんね)焦って電話する者ありと、こうした喧騒もすでに私たちが愛するライブの一部ってことで。

今回のステージは、中央のステージから四方にサブステージを張り出す形。投稿者はセンター北ブロックにて、自分のチケットに記載された座席についてみたら、いきなりドラムセットを後ろから臨む形だったので、「うおー、ライブ中、ずーっと後ろ姿かーー!」と天を仰いだ次第ですが、たまたまこちら側がドラムだっただけで、バンドメンバーがセンターステージの四隅に配され、中央に向かって演奏する仕様だったので、くるくるとメンバーたちは四方に向き直ってくれて、極上のライブ体験となりました。

下図中の、センターブロックとアリーナブロックの間に通路があって、頑丈な柵が設けられ、警備スタッフも張り付いて、ライブ開演後は通路も一方通行となったので、こりゃ、もしかして降臨があるのかと思いましたが、降臨はなし。メンバーは、あくまでもセンターステージと四方のサブステージのみに登壇となって、厳重に警備された通路には、ライブビューイング向けなのか、カメラを抱えたスタッフとケーブル捌きのスタッフが駆け巡っておりました。おつかれさまです。

Buono! メンバーが、それぞれに所属する別グループもゲスト出演するとは事前に告知があったので、さてどのグループから登場してくるかなとか思っていたところ、いきなり Buono! 『恋愛♥ライダー』から。
ステージでの演目に応じて “会場が揺れる” ことは何度も経験してきましたが、まずは2017年一番の揺れってことで。ってか、とりわけ Buono! に強い思い入れがあるわけでもないはずなのに、すでに涙腺に根性を入れなければならないって、どういうことなのか自分でも不明。

鉄板の3曲を立て続けに奏でてから、Buono! は北ブロックと西ブロックに挟まれたサブステージから奥へと引っ込み、VTRが流れて、いざ、ゲストグループの登場となります。

PINK CRES.

ゲストの一発目は雅ちゃん率いる PINK CRES. 。特筆すべきは、雅ちゃんが Buono! とも Berryz工房とも、全然印象が違うこと。
過去参加した PINK CRES. のイベントでの様子などから、「アイドル」でもなく、かといって「アーティスト」としてお高く持ち上げられているわけでもなく、だからとても自由で、自由だからこそ、だからこそナチュラルに「やさしい」ということがしっかり伝わって、その魅力が鮮明だった雅ちゃん。

雅ちゃんは、案外、一緒にいるメンバーに引きずられるところがあるんじゃないかと。「引きづられる」と書きましたけれども、引きづられるような受け身な側面だけじゃなく、メンバーのバランスを考えて、あえて一部の属性だけを押し出していくような能動的な面もあって、そう思ってみれば、今後「PINK CRES. の夏焼雅」として、どんな姿を見せてくれるか、これは楽しみですよね。

そのように楽しみになってみれば、単独ライブのお知らせも嬉しい PINK CRES. は、当日先行発売もあった 1st アルバム『crescendo』より2曲を。
軽快な曲調も、雅ちゃんに負けじと妖艶さをアピールする二瓶さんも、小林さんも、たいへんに魅力的。したがって私たちは、夏焼雅という煌びやかで華やかさを絵に描いたような稀有な才能のステージを、今しばらく楽しみにすることができそうです。

カントリー・ガールズ

横アリの大舞台に、いっこも物怖じせずに堂々と挑むカントリーの若きメンバーたち。ゲスト出演であれ、O.A.であれ、こういう姿を見せられる度に思いますよね、後輩たちにも大きな舞台の機会を与えてみてはどうか、と。
それでも、やっぱり集客できないと判断されてるんでしょうかね。たとえば「こぶつば合同ライブ」みたいな企画で、そこいらへんはフォローしつつ、経験の浅いメンバーにも大きな舞台を踏ませていく(ことによってヲタに対しても、大箱でもOKだと学習させていく)ってことは、必要なんじゃないかと思うんですけどね。
と、そう思うほど、堂々と横アリでパフォーマンスするカントリー・ガールズは、経験豊富なお姉さん方と比べても、さほど遜色なかったと思います。

カントリーの演目は『ピーナッツバタージェリーラブ』から。カントリーとしては(ある意味桎梏ですらある)鉄板中の鉄板『愛おしくってごめんね』も、話題の新曲も外してきたのは意外でしたが、続く『リズムが呼んでいるぞ!』で、間奏部分のリズム取りパートで、メンバーが前後左右、四方のサブステージへ向かう通路に散って、それぞれに嗣永 “ももち先輩” の無茶ぶりに応じていて、 立派に育った後輩も、そのように後輩を育てた嗣永さんも、実に見応えがありました。
なんか、嗣永さんに思い入れがあればそれだけ、後輩たちに「ありがとう」って思いませんか?

℃-ute

℃-ute はラストシングルからと、そしてなんと『Kiss me 愛してる』で仕掛けてきました。投稿者は勝手に、℃-ute にとっての『Kiss me 愛してる』の意義を大きく解釈しているので(何より2013年の初単独武道館のセトリの一発目に持ってきた点など)、「あ、℃-ute が仕掛けてきた」とか思って、MC で 中島早貴さんが「Buono! の愛理は遠くに見える」とか言うのを、それは嘘ではないと心の何処かで納得しながら、「いやいや、何をおっしゃる」とか、勝手に悦に入っていた次第。
このようにファンをして「勝手に悦に入」らしめるフックが多数なのも ℃-ute の魅力です(と、これまた勝手に悦に入っている)。

そう、いかに PINK CRES. の今後が楽しみで、カントリーの大舞台に物怖じしない姿勢に感じ入ったとはいえ、それでも、Buono! とガチンコでタメを張れるのは、今や ℃-ute のみといったところ。

Buono! にあっても ℃-ute にあっても、鮮烈な印象を残さないではおかぬ鈴木愛理さんのエースっぷりについては後述することにして、やっぱり投稿者としては、低く滑空するかのような足運びで武道のようなキレッキレの矢島舞美さんのダンスにも、(座席の位置関係から)微かに遠望するしかない場面であっても軸がぶれてないことが明瞭な中島早貴さんのダンスにも、短い時間に爪痕を残さないではいないと言わんばかりの激しい岡井千聖さんの気合も、ここへきて艶やかさに磨きがかかってきている(だから、ほんとに惜しい)萩原舞さんも、目が奪われますよね。
…ほんとに(以下自粛)

インターミッション:VTR トラットリアボーノの店員たち

ライブ中、グループの切替や衣装チェンジのタイミングでのインターミッションには、VTRが流されます。これは、Buono! メンバーが店員に扮する「トラットリアボーノ」の映像。愛理さんがコックさんに、他の2人はギャルソン風のウェイターに扮して、お客さんをもてなしてくれるかのような、VTRを見ている私たちがお客さんになっているような目線の映像です。

お食事のメニューをめぐってマイク争奪の楽曲イントロゲームあり、DOLCEバンマス eji さんからの感動的なお手紙あり、懐かしの映像あり、そうしたコーナーごとに「ももみや」のイチャつきありと、盛りだくさんなインターミッションであるだけではなく、懐かしの映像につなげてリアルのステージが再開したり(イントロ生楽器演奏)と、非常に楽しめる映像でした。

けれども、それ以上に。
コック風の出で立ちの(微妙に謎の動きをしてる)愛理さんまで含めて、ギャルソン風の衣装がコスプレにしかならないかとばかり思っていたら、嗣永さんも夏焼さんも、実にバリっと着こなして、雅ちゃんがホスピタリティ満載で迎えてくれる笑顔も艶やかで、そういった細かい部分部分からも、ああ、ほんとに、大人になったなあ、大きくなったなあと感じてしまって、ある意味、涙腺に厳しい映像だったりして。

Buono! の嗣永桃子 ももちのキャラに頼らずに

この日の横アリ、一番に自分の涙腺に根性を入れねばならなかったのは、いつもの “ももち” を作っていない嗣永桃子さんの姿でした。そして、いつもの “ももち” を作っていないのにも拘わらず、それでも、自分の感情に流されず、しっかりとステージを進行させた(繰り返し、作っていないのに)プロフェッショナルな嗣永さんでした。

もちろん、横アリを覆い尽くすペンライトに言及して「ピンクが少ないな」とか、しっかり客席をイジってみたり、途中のバンドメンバー紹介で、まだ中盤なのに、うっかり泣けるコメントを入れ込んでくるDOLCE メンバーに「はい、それはまだダメ。最後にとっておきましょう」と、上手に空気を操作してみたりと、それこそ ”ももち” らしい場面は多々あったけれど、過度にコミカルなおふざけで場を誤魔化してしまうこともなく、雅ちゃんとのイチャつきを過度に押してみたりすることもなく、”ももち” らしく場を進行し客席をイジる部分は必要にして最小限に留められ、その上で嗣永桃子さんは本来の端正な横顔朗々とした高音のボーカルを響かせて、プロフェッショナルな歌い手としてステージに登場していました。
いつものように作り込まれた「ももち」というもう一人の自分の影に隠れることなく、嗣永桃子として、しかし自分の感情に流されずプロであること
Berryz工房と比べて、Buono! にあっては、比較的「ももち」の影に隠れることは少なかった嗣永さんですけど、この日の嗣永さんは、上述の一切の意味で、美しかった

Buono! の鈴木愛理 歴代最強 エースの中のエース

ある時期まで、℃-ute 内で微妙にメンバーに馴染めていないように見られていた愛理さんは、℃-ute でいるよりも Buono! でいる方が、伸び伸びと本来の魅力を発揮できているのではないかと言われていたこともありましたよね。懐かしいっすね。

それでも、Buono! 単独の活動が鳴りを潜め、一方で ℃-ute がハロプロを牽引するどころか戦国時代といわれたアイドル界全体の中でも明らかに抜きん出る大躍進を示した頃から、℃-ute メンバー相互の関係性も変化したものか最初っからファンの観測が間違っていたのか、末っ子として伸び伸びと自然な笑顔を見せていた Buono! における愛理さん以上の笑顔と天真爛漫さと謎のカッパの動きと微妙な滑舌を、当たり前のように℃-ute においても発揮していった愛理さんです。

だけど、そうであればこそ、一層、鈴木愛理という希代のパフォーマーの実力というか凄みもまた、Buono! において、明らかになるという次第。
もちろん℃-ute においても Buono! においても、嫋やかになめらかに上手に力を抜いたダンスの心地よさも、全音域にわたって耳が喜ぶボーカルも、まさしく「The 鈴木愛理」って感じなんですけども、アイドルという縛りから解放されたかのような Buono! にあっては、曲調に合わせて、安心して心地良いボーカルを基調としながら、菅谷梨沙子さんも驚く重低音のバイブレーションから田中れいなさんにも匹敵する透明な高音域の振動までを自在に操り、指先までしっかり意思の通ったダンスを重ねてきます

℃-ute の愛理を知っているからこそ、それに重ねて Buono! の愛理を目の当たりにして「凄え!」と唸らざるを得ない。まさしく、押しも押されもせぬ揺るぎないハロプロの歴代エースの中の大エースです。
かえすがえすも、Buono! に ℃-ute と、この2017年の中盤で、鈴木愛理という希代のパフォーマーが登壇できるステージが失われるというのは、これで最後にしますが、実に惜しい

Buono! の夏焼雅 本当はいちばん可愛い

Berryz工房の裏番長とされ、コミカルな寸劇シーンですら恐れられ気を使われていた夏焼雅さんは、どこか気難しい姉御というイメージが定着していました。
けど Buono! の雅ちゃんって、可愛いですよね
Berryz工房の雅ちゃんよりも、PINK CRES. の雅ちゃんよりも、そして Green Room や GNO で MC として後輩たちを迎えていた雅ちゃんよりも、個人的には Buono! の雅ちゃんが一番に可愛いと思っています。
それはもしかしたら嗣永桃子さんが、Berryz工房とは違って、作りこんだキャラの背後に隠れることが少ないからかも知れません。「ももみや」関係の如何によって雅ちゃんの愛らしさが変化しているとは、頼れる姉御としての雅ちゃんを仰ぎ見たいと願うファンにとっては不満なことかも知れませんが、私は Buono! の雅ちゃんが一番に可愛いと思っています。

アンコールの一発目(『Last Forever』)で、ついに泣いてしまった愛理さんの手を引いて、自分だって泣いてるのに、しっかりフォローしていた夏焼さんだったり、続く『Kiss!Kiss!Kiss!』で、歌詞に併せてステージの上で寝入ってしまったという体裁の場面で、寝言に託して、これまでの活動を総括するようなトークにあっても ももち への正直な気持ちは、やっぱり語らなかった夏焼さんだったりと(ももちへの気持ちを語ろうとするタイミングで目覚ましが鳴る)、やさしい姉御肌や、コミカルなノリなどは堅持しつつ、その上で、Buono! の雅ちゃんは、他のどの雅ちゃんよりも可愛いです。

それは、アイドルという縛りもなく、一緒にやるメンバーも気心が知れていて、Buono! にあってこそ、一番に自然な夏焼雅でいられるからなのかも知れません。そうだったら良いな。

ハロプロキッズの達成

そんな Buono! について、同期の中島早貴さんは、こう言っています。

Buono!は
ベリキューの誇りのユニットグループです!

 ℃-ute 中島早貴 オフィシャルブログ 中 Buono! より

まったくもって中島さんのおっしゃることに大賛成ですが、それは、そのロックなサウンドと、それを具現化せしめるメンバーたちの卓越した「歌とダンス」において大賛成であるだけでなく。

Berryz工房、℃-ute 、そして Buono!

従来的なハロプロサウンドとは一線を画す、とか言いながら、それでも Buono! が「独特の活動」を展開するには、Berryz工房と℃-ute は不可欠の前提でした。

上に鈴木愛理さんのエースっぷりに託して、℃-ute でのパフォーマンスを知るからこそ、Buono! でのステージも映えるという趣旨のことを書きましたけれども。

同様に、Berryz工房があったからこそ、そこにおける夏焼雅のパフォーマンスと嗣永桃子のステージングがあったればこそ、そして Berryz工房における「ももみや」の関係性があればこそ、Buono! でのパフォーマンスの独自さが際立ち、やがてお互いに信頼し合うことが「ステージの上の機能として」から「同じ戦場を一緒に戦う戦友として」を経て「人として、友として」へと発展していくプロセスが目に見えるという、その意味でこそ稀有の軌跡にして奇跡であったかと思います。
かつまた、℃-ute があったからこそ、Buono! にあって伸びやかな愛理さんの様子が際立って、(ファンの視線に対して)そうでなくては不可能だった、いくつもの新しい魅力が同時並行して開花したというわけで。

従来的なハロプロサウンドとは一線を画す、とは言いながら、Berryz工房と℃-ute があってこその、Buono! でもあり、そんな Buono! があったればこその、Berryz工房と℃-ute でもあって、何より、Berryz工房と℃-ute の、ももち と雅ちゃんと愛理さんでありながら、まったく別の顔を Buono! で見せてくれる嗣永桃子と夏焼雅と鈴木愛理でもありました

そういう意味で、Berryz工房と℃-ute を改めて照らし出すという意味でも、Berryz工房と℃-ute だけでは引き出せなかったメンバーの魅力を引き出したという意味でも、Buono! は奇跡のユニットであり、ハロプロキッズの精髄でもあったかと思います。

この記事には、いくつかの段落で、「参考」として、たくさんリンクを貼りましたけれど、そんな風にリンクを貼らないではいられなかったくらい、集大成的な意味合いを Buono! は持っているんだろうとも思うのでした。

そして3人の歌姫は伝説になった さよならの向こうに

そう思うならば「惜しい、惜しい」と言いながら、このライブが Buono! ラストとなるのも、また相応しいのかも知れません。
Berryz工房が活動を停止して2年が経ち、メンバーたちも、それぞれに独自の道を着実に歩み始めています。嗣永桃子さんが芸能界から引退すると表明して、あの「ももち」がそう言うからには、もう Berryz工房の活動再開は期待できないのでしょう。同じく ℃-ute も、この6月をもって解散します。

ということは、作り込まれたキャラに隠れることのない堂々としたロックな横顔の嗣永桃子も、最高に油が乗り切った歴代最強のエース鈴木愛理も、どこよりも自然で可愛く愛らしい夏焼雅も、もう二度と見ることができないということですね。

嗣永桃子さんは、しっかりステージを進行する配慮の行き届いた眼差しと後輩をしっかり育て上げた手腕で、新しい世界でもきっと大活躍するでしょう。けど、その姿を私たちファンが目にすることはできません。
鈴木愛理さんも、いろんな形で活躍を続けるのでしょうし、そこではまた新しい魅力を獲得した愛理さんがいるんでしょう。だけど、気心の知れた仲間と、苦難を共にしてきた仲間と、こうして嬉しげにステージを楽しんでいる鈴木愛理を見ることができるかどうか。あんまり楽観的にはなれません。
夏焼雅さんもまた、新しい活動を継続してくれる中で、いくつもの新しい雅ちゃんを見せてくれるのでしょう。それでも、嬉しそうに「ももち」をイジり、そんな「ももち」に安心して背中をあずけている、そんな自然な夏焼雅さんには、もう会えないのかもしれません。

だけど、それを切ないと惜しむよりは、キッズがハロプロを去る2017年という節目に、美しい横顔の嗣永さんを、楽しげで自信に溢れた愛理さんを、可愛らしく自然な雅ちゃんを、最高の状態で、ちゃんとステージの上から私たちの心に刻んでくれたことを感謝すべきかもしれませんね。

そう、昭和の昔に、きっちりと自分の活動にけじめをつけた国民的アイドルの、その最後の楽曲の歌詞にもあるように。

あたなたちの、すべてに、ありがとうを。

さよならの代わりに。

(文=kogonil)

【Buono! ライブ2017 ~Pienezza!~ セットリスト】
01.恋愛♥ライダー
02.Bravo☆Bravo
03.じゃなきゃもったいないっ!
インターミッション:VTR トラットリアボーノの店員たち
PINK CRES. fun fun fun 1st アルバム crescendoより
PINK CRES. キレイ・カワイ・ミライ 1st アルバム crescendoより
カントリー ピーナッツバタージェリーラブ
カントリー リズムが呼んでいるぞ!
℃-ute The Curtain Rises
℃-ute Kiss me 愛してる
トラットリアボーノの店員たち 懐かしの場面
(懐かしの場面から続けて…)
04.泣き虫少年 (…イントロ、メンバーによる生演奏)
05.JUICY HE@RT
06.ロッタラ ロッタラ
07.Cafe Buono! メドレー
08.Early Bird メドレー
09.こころのたまご メドレー
10.みんなだいすき メドレー
11.We are Buono! ~Buono!のテーマ メドレー
12.ロックの神様
バンド DOLCE メンバー紹介
13.夏ダカラ!
14.うらはら
15.Blue-Sky-Blue
トラットリアボーノの店員たち バンマス eji さんからのお手紙
16.消失点 Vanishing Point
17.OVER THE RAINBOW
18.I NEED YOU
19.Ice Mermaid
20.初恋サイダー
21.ワープ!
22.Independent Girl~独立女子であるために
23.カタオモイ。
24.DEEP MIND
25.MY BOY
26.ゴール
↓↓↓アンコール↓↓↓
27.Last Forever
28.Kiss!Kiss!Kiss!
29.ホントの自分
トラットリアボーノの店員たちのお見送りからスタッフロール

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