切り取られた断片に刻まれた人生の記録 その6 ~ハロプロ DVD Magazine ご紹介『こぶし Vol.2』&『つばき Vol.1』~

はじめに

こぶしファクトリーと つばきファクトリーです。ハロプロの未来の希望です。
ともに公式にも Berryz工房のスピリットを継承するとされる若いグループで、昨今では、「こぶつば」とも称される局面もあったりしますよね。

楽曲リリースの攻撃的な姿勢だったり、コミカルな味わいを意図的に強調して、メンバーのバラバラ感を打ち出してくることで、実践しているライブツアーのセトリだけじゃなく、まさしく Berryz工房の継承者であるイメージを強めに主張する こぶしファクトリーも、きれいに揃った透明感と、大人しく控えめなイメージで、一見すると Berryz工房のスピリットとは遠いかのようでありながら、意図せぬ自由さが際立って、その意味で正しく Berryz工房のスピリットを継承している つばきファクトリーも、結成からある程度の経験を重ね、それぞれに独自の “味” が、ゆっくりと染み出てきているようです。
たぐっち先輩こと田口夏実さんと「ほぼ同期」の小川麗奈さんとの確執などを中心に、パフォーマンスのガチ具合とは裏腹な幼さが目立つ野村みな美さんや、メンバー内での愛され属性を発揮する井上玲音さんなど、個々のメンバーのキャラが鮮明になってきている こぶしファクトリーも、そんな「こぶし」と比べると、未だに多くのキャラが「謎」のまま、その謎っぷりこそが、得難いグループの味となっている つばきファクトリーも、ベリヲタたちが「流れた」つもりでいたところ、いつのまにか、しっかりと独自の魅力に基づいてファンをがっちり捕まえていたという次第。

そんな「こぶつば」の Dマガ も、順調に刊行を続けているようです。

わちゃわちゃこそ至宝 こぶしファクトリーDマガ Vol.2

ライブツアーのタイトルにちなんで、見てくれている人を元気にするという新生活応援企画の Dマガ です。「半切れいれい(井上玲音)」だったり「半切れなこ(小川麗奈)」だったり、こぶし のみなさんは、最近、半切れが流行なんですかね。

Dマガ の公式宣伝動画では、あたかも、いろんなゲームに興じているかのような印象もあり、事実、進行のMC的な立ち位置のリーダー広瀬彩海さんからは「それでは最初のゲームは」みたいな発言もあったというのに、Dマガ 上で行われるゲームは、ツイスターゲームのみ。
そんなツイスターゲームも、”負けず嫌いすぎる たぐっち先輩” だったり、”可愛い一言を強要されて「ついてきちゃった」を披露する浜浦彩乃” だったり、”可愛いゴリラの顔芸をする井上玲音” だったりと、まったくもって見所満載ですが、一部のファンにとっては賢者モードを堅持するに多大な精神力を要する仕上がりとなっております。1回目の対戦で決勝まで残りながら負けちゃうときの浜ちゃんの地味な「悲鳴」が、めちゃくちゃ可愛いですよ。
そして、それ以外の大部分の時間を使って、ひたすらメンバーたちが “わちゃわちゃ” してる様子が収録されているという、実に正しく需要を反映した構成です。

でも、広瀬さんの「それでは最初のゲームは」みたいな発言は聞き逃せないところで、実際の収録では、他にもいろんなゲームをしていたんじゃないでしょうか、もしかして。「○○には収まらなかった□□を収録」ってパターンは、旗艦モーニングや ℃-ute 姐さんだけじゃなく、昨今では、Juice=Juice やカントリー・ガールズでも見られるパターンなので、こぶし の Dマガ も、次が楽しみだったりしますね。

そんな企画された進行の構成以上に、何よりもメンバーたちが、わちゃわちゃしているその姿こそが至宝である今般の こぶしファクトリー DVD Magazine Vol.2 。
自己紹介での「ファイヤーれなこ(小川麗奈)」だったり(これには声を出して笑ってしまったことをご報告)、そんな「ファイヤーれなこ」に思わずウけて笑っちゃってる野村みな美さんだったり。お部屋の飾り付けにあたって、風船を膨らませる加減がわからない人々だったり(風船を膨らませられない野村さんに、膨らませすぎて風船を割っちゃう和田桜子さんとか)。乾杯の挨拶が小川麗奈さんで、おそらくアドリブと思われるも、意外に流暢ながら、よく聞いてると内容皆無なスピーチだったり(意外な流暢さが笑いを産んでいます)。新生活あるある話や初対面のご挨拶シミュレーションで、さすがに「おっさん」(← 投稿者ね)とメンバーの世代のギャップが顕わになったり。ツイスターゲームの最下位決定戦ジェスチャーゲームの問題読み上げで、遅れたのは「さこのせい!」と たぐっち先輩に叱られたり、初対面のご挨拶シミュレーションで男役を無茶ぶられたりと、様々に理不尽な目にあっていながら、常にほんわか人徳者な和田桜子さんだったり。デザートのケーキ創りで、スポンジが見えていることが許せず生クリームをかけまくって「好きなのはわかったから」とたしなめられる浜浦彩乃さんだったり。終わりのご挨拶で、マイクを向けてくれる振りをしつつ、野村みな美さんのアゴをつかむ浜浦彩乃さんに、大人しくアゴをつかませている野村みな美さんだったり。
画面の一方の端で誰かが可愛らしいリアクションを(こっそり)やっているかと思ったら、もう一方の端で別のメンバーが、何かと愛らしい様子を見せていたりと、企画や構成そのものは比較的単純でも、観ている側としては画面のあちこちに注意を向けねばならぬ、たいへんに忙しい視聴となる Dマガです。
それにしても、たぐっち先輩、相変わらず「ちょろちょろ」してるけど、ほんとに可愛くなったなあ。いや、可愛いのは以前からだけど、どんどん変貌してるスピードが、恐ろしいくらいのレベルっす。

最後に投稿者が注意を促したいのは、小っちゃいながら端正な顔立ちの藤井梨央さん。さすが頭の回転が速くていろいろ細かくリアクションしている中で、ときにふと、場の進行から注意の焦点を外して、ふと気持ちを遠くに飛ばしているかのような顔をしている時があって、そんなときの藤井さんが、実に美形というか「男前」で、なるほど、これではハロプロリーダーの ℃-ute 矢島舞美さんも(以下、自粛)。

意図せぬ味わい つばきファクトリー Dマガ Vol.1

つばきファクトリーの初となる Dマガです。
しかし つばきファクトリーは、ミニアルバムも発売して早朝からの握手会を開催したり、Dマガ も発売したりしているというのに、しかしメジャー・デビューしてないという謎な状況。グループの歩みもまた「謎」であるという、つばきの味の深みに驚かされるところですね。

つばきファクトリーの初となる Dマガは、体力測定企画。
発売されて時間も経っていることだし、結果を全部書いちゃおうかしらとも思いましたが、未だ通販期間は継続中につき、ネタバレは避けつつ、見所を仄めかす方針で以下。

メインの体力測定企画以外にも、エクストラの対決だったり、その罰ゲームだったり、収録の合間の様子を収めてくれたと思しき「おまけ」なども含んで、「いやー、まったく充実した内容だったなー」と大満足で見終えて、ふとパッケージ裏の記載を確認してみると、なんと収録時間が 56分 と。昨今のハローの Dマガ では、決して長いとは言えない時間ながら、気持ち的な満足度が非常に高い仕上がりとなっております。
体力測定は、握力測定、上体起し(腹筋)、長座体前屈、反復横跳び、50メートル走、ハンドボール投げの6種目で、その総合の結果に応じてメンバーが2チームに別けられ、3 on 3 バスケットボール対決が続きます。バスケット対決とは別に、何故か「雑巾がけリレー」対決が加えられ、その勝敗による罰ゲームと、上述の、収録の合間の様子を収めてくれた「おまけ」シーンと、実に盛りだくさんです。
さらに、体力測定の6種目の切り替えのブリッジに、メンバーごとの「跳び箱」と「さかあがり」へのチャレンジが挿入されています。

ネタバレになるから細かい結果は記さないと書いたけれど、この種目の切り替えのブリッジについて、「跳び箱」が飛べて喜ぶ新沼希空ちゃんの嬉しそうな笑顔と、「さかあがり」が出来なくて笑ってる小片リサさんの、ついに本気で笑っているかもと思わせる屈託のない笑顔は必見です。

さすがの身体能力とも言うべき岸本ゆめのさんや、意外にも優秀な希空ちゃんだったり、その種目毎の結果の一々についても楽しめる仕様となっておりますが、なにより、意外なところでポンコツっぷりを発揮した小片リサさんが、どこまでも見所です。ハロプロ全体のDマガにて(Hello! Project DVD Magazine Vol.46 CM)、そのストラックアウトに挑んだ様子や、その際の「球技苦手」といった発言から、運動が苦手なのかなとは思っていたけれど、とてもそんなレベルではなかった小片さん。投稿者は、個人的な所感として、小片さんにどこか、あの道重さゆみさんに通じる印象を持っているところがあるんですが、運動面でのポンコツっぷりに、かくも通じるものがあったとは。

そして比較的ポンコツな小片さん、案外、細かいところにうるさいんですよ。「その足、ちがくない?」とか「膝、まがってる」とか競技のレギュレーションに細かいし、3 on 3 バスケットボール対決でユニフォームを重ね着するところも、なにやら画面の外のスタッフさんと段取りについて目配せしてるような場面もあって。その上で「雑巾がけリレー」対決での罰ゲームにおける勝者側の小片さんの様子などを見ていると、これまで小片さんのことを「残念な学級委員長」と見立てて来ましたけれども、しかし、その落ち着いた雰囲気と、醸し出される薄幸感も加味して、そうした細かくうるさいところから「教頭先生に言われたことを堅守しながら愚直に生徒に対峙して、いろいろとうるさがられ、結局、生徒に負けちゃって、教頭先生に叱られる新卒の中学の新任先生」って感じがします。主観に走って、すみませぬ。喩えが長いわっ!と自分で突っ込んでおきますのでお許しを。

「私、これ裸足でやったことある」と、こそっと、それこそ「ほんわか」と繰り返す山岸理子ちゃんの誰に拾われるでもない独り言めいた発言の自由さだったり、何が進行していようとも、それを心から楽しんでいるように、ほんとに嬉しそうにしている希空ちゃんだったり、微妙な結果に終わっても「前より伸びた!」とか、無理矢理ポジティブな方向へつなげる浅倉樹々ちゃんだったり、「んぐぎぎぎ」とか、マンガの中にしか出てこないと思っていた謎の擬音を発しながら競技に邁進する谷本安美さんだったり、そんなメンバーたちが自由すぎる振る舞いをするもんだから、企画の構成を守るために、しっかり進行役を務めようとするけれど、あんまり報われない岸本ゆめのさんだったり。
つばきメンバー、ゆっくりとではあれ、個々の味が出始めていることが確認できる Dマガ ともなっているようです。「個々の味」って、それぞれに、打ち出そうと意図したものではないあたりが、まさに「味」ってことで。

初の Dマガ リリースと相前後して、ファンクラブ限定ながら、イベントの DVD も発売された つばきファクトリー。こちらは 2015年の年末のクリスマスイベントの模様を収めたものとなっており、地味に控えめながら、どうにも強烈な「味」が染みだしてくる、その端緒が、いくつか味わえるものとなっていますよ。
是非、どーにか、こーにかしていただきたく。

https://youtu.be/ko1L7BduZGw

明日を継いでくれることに感謝を

冒頭に、「流れた」つもりのファンたちを、独自の魅力でしっかり捕まえていると書いた、こぶしファクトリーと つばきファクトリーですが。
なんだか、こぶし と つばき には(勝手すぎる思い入れだと自覚してるけれど)、どこか見ているだけで目頭が熱くなってくるってことはありませんか。投稿者はあります。
かなり頻繁に。

お互いに、微妙に同期のようでもあり、ライバルのようでもあり、並び称されるといえば、ハロプロにおいては、ハロプロ・キッズ 15名から立ち上げられた Berryz工房 と ℃-ute、すなわち「ベリキュー」のことを思い出さずにはいられません。「ベリキュー」から「こぶつば」へと、時の流れと事象の無常に感じ入って、人生の豊かさと奥深さに想いを馳せるべきところですね。

ベリキューは、自分たちの「人生の歩み」を通じて、ファンにその活動を見せてくれているだけではありません。その自分たちの歩みを通じて、後輩たちを守ってくれてもいます。
℃-ute の5人は、今でもアイドルとしてのステージの最前線を突っ走り続けるどころか、「アイドル」の限界値を、自分たちの達成によって押し広げようとしているかのようです。Berryz工房は、タレントに、舞台女優に、後輩育成に、ガールズ ボーカルユニットに、ファションモデルにと、「アイドル卒業後」の活躍の枠を縦横に広げてくれており、後輩たちのこの先のルートを確保してくれていたり、新しいロールモデルを広げてくれていたり、そして外延で自分たちの活躍のフィールドを広げることで後輩の「アイドル」としての活動を守ってくれていたり、まことに頼もしくも「先輩」として、それぞれの立ち位置で背中で語ってくれています。
℃-ute は、後輩たちが走っている同じ道の、そのずっと先を疾走していて、だからこそ、後輩たちが走りやすいように道を整えてくれているかのようです。Berryz工房は、後輩たちが走っている道の、その周囲に大きく広がって別のルートを後輩たちと併走し、後輩たちが走る道幅を広げてくれているかのようです。
そして、ベリキューは、芸歴も、2016年において、14年を数えるにいたり、オーディションの頃からは想像できなかったくらいに美しく成長しています。実に、美しく。

そして、同時に。
そうした先輩たちの姿を彷彿とさせ、「こぶつば」と称されることが「ベリキュー」を思い出させると述べた、そんな後輩たちが、自分たち独自の魅力をゆっくりと育て、自分たちとして活躍することを通じて、そうやって先輩たちが育った場(ハロプロ)を守っていくことで、先輩たちが活躍した場で、改めて自分たちが輝きを放つことで、その場で育ち、その場を守ってきた先輩たちの “あの頃” を、いつまでも活き活きと蘇らせてくれることも、また真実なのかな、と。

先輩たちのファンであったからこそ、だからこそ、今、先輩たちの歩んできた道を、再度、自分たちなりの歩調で辿り治してくれる後輩たちに、大きな感謝を捧げたい。先輩たちのファンだったからこそ、改めて後輩たちを愛したい。そんな想いに駆られる投稿者だったのでした。お恥ずかしい。

(文=kogonil)

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