アンジュルムにすべてを注いだ上國料萌衣が、明日からは自分の道を歩む卒業公演『桜梅桃李』ファイナル ~お先はまっキラ!~

アンジュルム 10th Anniversary tour 2025春 「桜梅桃李」上國料萌衣 FINAL ~お先はまっキラ!~〔承前〕

先に『Uraha=Lover』が、卒業ライブのセトリとして異様に響く歌詞であることや、上國料さんの落ち着いた雰囲気が、その印象を一層増幅させていたことについて触れましたが…

何故か懐かしいと思う曲など メンバーが変動しているのに

ハロプロは、やっぱりステージのエリートなのだなと思うのです。
というのも、セトリの中盤、14曲目の『ええか!?』とか、17曲目の『忘れてあげる』が披露されるや、”懐かしい” とか思っちゃいます。
いずれも5~6年前の楽曲で、ハロプロを応援してきた時間からすれば、さほど昔でもないのに、なぜか、そう思っちゃいます。自分でもそれが意外なのは、最初に上記の楽曲に接した際に披露してくれた、パフォーマンスしてくれた時とは、ガラッとメンバー構成が変化しているから。5~6年前といえば、ハロプロの歴史にあっては、そんなに以前だとは言えないけれど、ギリ、橋迫鈴ちゃんが参加していたどうか… ってくらいには昔です。

それでいて、上記の楽曲がリリースされてからグループに参加してきたメンバーたちがほとんどとなっているというのに、往時と変わらぬ… 少なくとも報告者の脳内のストレージと照合した際に、大きく変わらぬ印象を与えてくれます。メンバーが新陳代謝して変動しているのに、グループとして、しっかり楽曲のパフォーマンスが揺るがぬこと…

ハロプロは、やっぱりステージのエリートなのだなと思うのです。

ライブの進行に即して…

個別の印象的だった点を、個々に点描していたら終わらない恐れがあるので…

オープニングのVTRは幻想的な演出で、客席の期待感を一気に高める… といったところで、このオープニングは、数曲を経たタイトル VTR へと連続します。こういった流れが美しいですよね。

といったわけで客席の期待感を一気に高めたところでオープニングが『次々続々』。いきなり冒頭から上國料萌衣さんが力強く叫び、ステージの空気を一変させ、この一曲目の選曲からして「この先も怒涛の展開が続く」と予感させるにふさわしいスタートとなります。『次々続々』からのスタートって、なかなかいい感じです。

下井谷さんのセリフ「子供だね~~♪」って、デコ出しで子供みたいで可愛いっすよね。

演目は『地球は今日も愛を育む』へと展開し、このように楽曲が数曲展開することで、ようやく私たちはステージ上のメンバーの個々に眼が届きます(ライブが始まったときは「は、はじまった!」ってことで、こっちもアップアップだから)。平山さん力強く、橋迫鈴ちゃんもその力強さに追従し、松本わかなちゃんが、いつまでもわかなちゃんだなって雰囲気であるとか、後藤花ちゃんは大人になる仕方が速くね?とか思ったり… ようやく個々のメンバーに眼が届き始めます。

3曲目で『Uraha=Lover』。
この曲が、誰かを見送る卒業ライブにあって、かなり切なく響いてしまったことは前述のとおりなんですけど、3曲目という早いタイミングでこの曲が披露されていることからも、上國料さんの卒業について「私は引き留めて欲しいけれど、あなたは、ほんとは、すこしだけホッとしてるんでしょ?」って問いかけられてる感が甚だしい次第。

案外、やさぐれな雰囲気もあって楽曲ごとの落差が大きいのは4曲目の『ハデにやっちゃいな!』ですが、間奏部分で、川名ケロちゃん、上國料さん、平山さんが三角のフォーメーションで目線を合わせて、それぞれに内側に蹴り込むフリは、実に見応えありです。

イントロで、けっこう盛り上がってしまって自分でもビックリしたのが、続く『ミステリーナイト!』。この曲の千手観音のようなフォーメーションは、個人的に、2010年モーニング秋ツアー、ライバルサバイバルでの『3、2、1 BREAKIN’OUT! 』でのフォーメーションと、双璧かと。

伊勢鈴蘭さんが妖艶で、なんか真ん丸なのに色っぽくて。
で、平山さんが強いねとか、わかなちゃん ふにゃっとしてるねとか、後藤さん大人になるの早すぎとか、そして伊勢さん色っぽいなとか、個々のメンバーの個々の良さが、ちゃんと眼に入ってくるあたりで、かえって一方の上國料さんが、とても落ち着いていることにも気がつきます。

ここで、幻想的なオープニングのVTRの続きで、オープニングのテイストのまま、タイトルとメンバーの名前が映し出される映像が流れ… ご挨拶MCへと続きます。

ご挨拶の MC では、超元気なメンバーたち。
幻想的なVTR から(さらには5曲までのパフォーマンスから)の落差にビビる次第ですが、なんでも上國料さん、卒業ライブに臨むにあたって、円陣のときに泣くかなと思ってたけど泣かなかったとか、ニコニコご報告です。
川名ケロちゃんの曲フリによってライブは6曲目へ。

楽曲の落ち着いたところでも盛り上がるところでも同じ旋律が調子を変えて重ねられていくのは続く2曲、『アンドロイドは夢を見るか?』も『RED LINE』も、それぞれのテイストに合わせて繰り返されていて聴き応えがあります。『アンドロイド』は新曲ですけど、『RED』はラップ部分から続くサビの旋律がアガりますし、いずれも大事なところでの為永幸音さんの歌割の迫力が印象的。

続く8曲目の『涙は蝶に変わる』は、なんかスパニッシュというかメキシカンな感じがします。
昨年の つばきファクトリーに続いて今年は Juice=Juice が海外に出ますが、いずれも東アジアなので、℃-ute に続けてアンジュルムが中南米に挑む未来を期待したいですよね。

イントロの伊勢さんと川名ケロちゃんが美しいのは9曲目の『愛・魔性』、なんか枢要なところの歌割、やっぱり為永さんの印象が強め。

個人的な印象では、現在のアンジュルムはハロプロ内でも比較的小柄なメンバーが多く、全体としても、その小っちゃい背丈のバランスでまとまっている印象なんですが、それでもステージに立ったときのフォーメーションの迫力には圧倒されるばかりです。… といったところに、ようやく気がつくライブ序盤終わりってことで。

10曲目の『うわさのナルシー』を経て、ステージは ダンストラックのパフォーマンスへ。衣装はそのままでも何人かは靴をダンスしやすいスニーカーに変えて登場します。そんだけ本気のダンスなんだと言うことは簡単ですが、橋迫鈴ちゃんのように、底の厚いブーツのままダンスパフォーマンスに移行しているメンバーもいたので、もしかして、靴を履き替えて出て来たメンバーは、腰とか膝とか痛めてたりするんじゃないかと心配になったり。

インターミッションから後半戦へ

衣装チェンジのインターミッションVTRは、Dマガでの未公開映像?を利用したものと思われた高尾山ロケの模様が。ダイジェストだけど、BGM が『愛すべきべき Human Life』で、もう、それだけで楽しいのは、ごめんなさい、わたくし、この曲、めっちゃ好きなんですよ。

当欄でも何度か述べたことがあるんですが、モーニング娘。の『Happy大作戦』、℃-ute の『最高ミュージック』、つばきファクトリーの『最上級Story』は、歌詞も旋律も大好きな以上に、論理的にも、倫理的にも “正しい” 楽曲だと思っていて、めっちゃ好きなんですけども、昨今、BEYOOOOONDS の『灰toダイヤモンド』が、これらに匹敵しつつあって当惑してまして。さらに、これら『Happy大作戦』、『最高ミュージック』、『最上級Story』、『灰toダイヤモンド』クラスの好き曲として『愛すべきべき Human Life』を挙げるくらいには好きだったりして。

アンジュルムにあっては、『大器晩成』と『46億年LOVE』という必殺の保有曲があるわけですが、個人的には『愛すべきべき Human Life』が、なんか、めっちゃ好きなので、BGMだけでアガったのでした。

インターミッションの高尾山ロケVTR、わかなちゃんのお手製弁当、美味そうなんだけど♪ などと思っていたら、衣装チェンジして登場してきたメンバーたちが次に歌うのが、12曲目ってことで『大器晩成』。 
えっ!ここで!?!?… って思ったよね。

こんなタイミングで放たれても、やはり『大器晩成』は強力だなと思いつつ、チェンジした衣装がアンジュルムの熱量を物語るような赤で、それもまた『大器晩成』の強さに非常にマッチしています。

元気で可愛い『SHAKA SHAKA TO LOVE』が続いて、ここで横アリの回廊を巡回しながら何かボールを客席に投げ込んだりしてるメンバーたち。

このブロックで14曲目の『ええか!?』と17曲目『忘れてあげる』で懐かしいと思ってしまったことに自分でビックリしたのは上に述べた通り。15曲目の『ライフ イズ ビューティフル!』、間奏のサックスも、短い拍子に詰め込むように「ライフ イズ ビューティフル!」って歌ってることも、見所満載なんですけど、なんか橋迫鈴ちゃんセリフが嬉しそうすぎるのが可愛かったです。表現が小学生の感想文になちゃって申し訳ないけども。

かと思ったら『初恋、花冷え』へとセトリが連続したりして、だから、その落差に腰を抜かしますってば!

続く MC では客席煽りをメンバーが競うように。この辺りは、アンジュルムのライブの面目躍如ってところ。

橋迫 センター席「盛り上がってますか」→ じゃんけん
平山 アリーナ席(橋迫さんの後で困って)「続いてどうしましょうか?」
「まっ?」 → 「キラ!」 客席呼応
為永 スタンド席わりと真っ当に
後藤会場全体で
上國料「何するでしょう?」
今後ないかもしれないから
三々七拍子 
アンジュ アンジュ アンジュが大好きだ
伊勢、川名、下井谷、わかなメンバーの名前を呼んでもらう

18曲目の『人生、すなわちパンタ・レイ』、オープニングのヘラクレイトスは上國料さんで、メンバーの変遷はわかってるはずなのに、なんか感慨深いものがあります。続く『汗かいてカルナバル』は、なんか Juice=Juice 味があるなあと思ったり、『美々たる一撃』では川名ケロちゃんの押し出しの強さに驚いたりして、21曲目の『アイノケダモノ』に接するにあたって、上に何度か述べた “懐かしさ” に新たな一面を発見したりしちゃって。 

メンバーはすっかり入れ替わっているはずなのに、アンジュルムのステージを前にすると、ふと「おお、懐かしい」と感じてしまう… その不思議な感覚が、アンジュルムのパフォーマンスに宿る “らしさ” を物語っていたと、上にそう述べたところですが、さらに、今のアンジュルムを見て「あの頃のメンバーはもういない」と切なく思う人もいるかもしれないけれど、ふと「懐かしい」と感じる瞬間があるのは、それは、グループに受け継がれてきた空気や魂のようなものが、今もなお確かに息づいているからでもあって、だとしたら現役のメンバーに重ねて往時のメンバーを幻視できるということでもありますよね。

なんというか… ハロプロのメンバーの力量よ… と思います。その意味でこそ、続く『ドンデンガエシ』、待ってましたよね。

ライブは『友よ』にさしかかって(このまま明るい雰囲気のまま終わるのかと思ったよね)、お別れの歌だけど友情や仲間の大切さを歌い上げる曲、そんなハロプロでも数あるお見送りに相応しい楽曲のなかでも、とりわけ明るく前向きな楽曲で、上國料さんの卒業にあって、この明るい楽曲で終わるのは、非常に相応しいのかな… とも思いましたけども… と、ここでライブ本編は終了。

アンコール ~ メンバーから上國料萌衣へ ~ セレモニーへ

客席からのアンコールの叫びに被せて、VTR が流れます。メンバーから上國料萌衣さんへのメッセージが、VTR で簡潔に、という趣向です。

後藤花 加入してから、いろんな言葉をかけてくれて救われてきました
みーこさんが居てくれることが安心材料になっていました
下井谷幸穂 上國料さんの明るいところに、いつも元気をもらっていました
一緒に活動してきた時間は、宝物です!
上國料さんのこれからに『次々続々』と幸せが訪れますように
平山遊季 3年半、短くて長いような不思議な時間でしたが、普段、ダル絡みしてくる上國料さんも、ステージでのカッコ良い上國料さんも大好きです
松本わかな 時間を惜しまずメンバーのレッスンに付き添っている上國料さんを一杯見てきました
ステージの上の上國料さんも、誰よりも末っ子のようにはしゃいでる上國料さんも、全部大好きです
為永幸音 家族のように接してくださって、ありがとうございます
だからこそ、私は強い口調で当たってしまったりするんですけど、そんな関係性こそ嬉しかったです
川名凜 たくさんのことを教えて、特に「愛」というものを教えてくださいました
上國料さんに、ちゃんとお返ししようというモチベーションで、いろんなことが出来ました♪
橋迫鈴 卒業が来るたびに感じるのは、先輩の抜けた大きな穴なんですけど、上國料さんがかけてくれていた言葉を信じて、これからも前に進んでいけたら、と思います
伊勢鈴蘭 挫折のようなものを味わったとき、もう無理かもと思ったとき、上國料さんは自分のことのように泣いて、励ましてくれました
すごく救われました。ずっと隣に居てくれて、ありがとうございました!

続いて、ドレスに身を包んだ美しい上國料さんが登場し、少しウルウルしながらお手紙を朗読してくれます(その内容は上に箇条書きで既述)。それにしても、プライベートから何から何まで全部アンジュルム一色で染め上げられたような、そんなお手紙でした。

お手紙の後は上國料さんのソロ『帰りたくないな。』 
お手紙朗読のときは、上國料さん、ちょっと泣きそうになっていたけれど、続くこのソロ曲の明るさには驚かされます。そして、お前、今更、何言ってんの?って、めっちゃ叱られそうですけど、このドレス姿の上國料さん、美しい。

本編終わりの『友よ』もそうだったので、きっとこのまんま明るい雰囲気のまんま行くんだろうなと油断してたところで『交差点』ですよ、奥さん!
いかに『46億年LOVE』を封印したとはいえ、アンジュルムは、やっぱりズルいよね。

伊勢さんが泣いちゃってたね。そして、上國料さん、そんな伊勢さんを笑って見ていましたね。

あちこちで取沙汰された「私、今日、ビジュ良かったのに」とのフレーズが上國料さんから飛び出した MC を経て、晴れやかな『光のうた』へと続いて、いやあ、ここで卒業コンサートも大団円かなと思ったら、客席を巻き込んで微妙な雰囲気になることも辞さぬサプライズ企画を挟んで…

ラストのラストは、『愛すべきべき Human Life』と来ました。 
申し訳ない、繰り返させてください。モーニング娘。の『Happy大作戦』、℃-ute の『最高ミュージック』、つばきファクトリーの『最上級Story』は、歌詞も旋律も大好きな以上に、論理的にも、倫理的にも “正しい” 楽曲だと思っていて、めっちゃ好きなんですけども、本気でその意味で『愛すべきべき Human Life』、大好きなんですよ、わたくし!

ダブル・アンコール後のエンドロールも、後日の映像化商品を楽しみにしつつ、これをもって、序列を飛び越えてリーダーになってからずっと、アンジュルムを支えてきた上國料萌衣さんの卒業式が完遂といったところ。

アンジュルムに全てを注いだリーダーが、自分の道を進む第一歩

今のメンバーがいるから、メンバーとグループのことを語り合う時間が大好きだから、次の時代にバトンを手渡せるように頑張る旨、高らかに宣言してリーダーを引き受けていた上國料萌衣さん。セレモニーで朗読してくれたお手紙にもあった通り、アンジュルムであることに懸命な9年間でした。

今般の横アリ公演、卒業セレモニーは明るく、しかし、しっかり心に響く余韻を残す構成でした。さらにしかし、卒業していく上國料さんは、むしろ自分を前に出すことを抑え、だからこそ、ステージを通じて、アンジュルムらしさが色濃く引き継がれ、それがファン、メンバーすべてに伝わる公演でもありました。それは、リーダーであることを積極的に意図して引き受けようとしていた上國料さんの意図に忠実に。

だからこそ、そのステージを卒業して、こんどは自分の道を歩いていく上國料さんの、次の人生に、改めて幸多からんことを祈ります。

上國料さんの、この先の展開については、まだ未詳のことも多くて、どんな活動をしていくのかよくわからないことも多いですが、きっと、ちっちゃいお顔に主張の強めのパーツを輝かせて、芯の強い九州女の底力を見せてくれるようなお知らせが飛び込んでくることでしょう。それを楽しみにしたいですね。

(文=kogonil)

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