【ライブレポ】モーニング娘。’15 コンサートツアー秋 ~PRISM~ in 武道館 ~それでも一度きりの人生だから~

はじめに

2015年12月8日、鞘師里保は涙を抑えきったように見えた。

いや、危うい場面はあった。
ステージから遠いスタンド席では定かではなかったものの、スクリーンに抜かれる様子では、前日の7日に初披露となった『ENDLESS SKY』の歌唱中、その歌詞にも感化されたものか、他のメンバーがみんな涙を流していることの影響もあったのか、やはり涙があふれてきた様子は見て取れた。
しかし、12月8日、鞘師里保は、涙を流れるには任せず、押し寄せたであろう感情の昂ぶりに打ち勝ったように見えた。

セレモニーは、カウントダウンライブに持ち越されることになる

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「モーニング娘。’15 コンサートツアー秋 ~PRISM~」、12月7日、8日の武道館2Days に参加してきました。いいコンサートでした

いつものように「すばらしかった」とか「すごかった」とか「カッコ良かった」といった「コンサート」を修飾する言葉を連ねるのではなく、ストレートに「いいコンサートだった」とだけ言いたいようなコンサートでした。
肩幅から少しだけ広めの幅に両足を構えて、直立して、両膝に若干の遊びを残して、少しだけ前かがみに前傾して、両の握りこぶしを腰の前あたりに自然に落として、できる限りの低めのトーンで、静かに搾り出すように「いいコンサートだった」と。

いいコンサートでしたよね。

秋ツアーに降ってわいた青天の霹靂

この秋ツアーには、ファイナルの武道館以外では、座間、さいたま市文化センター、パシフィコ横浜に参加。投稿者は、先に℃-uteの秋ツアーをレポしたときのように、中間報告を準備していました。それは、2015年の春ツアーと大きなセトリの変更がないこと、その上で『涙ッチ』といった「泣かせ」にかかる楽曲がドロップされてることなどから、その時々の新機軸を打ち出さずともツアーが成立する王道の横綱相撲であると述べ、そんなライブを成り立たせられるだけのメンバーの力量を確認し、アクセントに取り入れられたアクロバット・パートに注目して、生田衣梨奈さん、石田亜佑美さんの身体能力に触れるものになる予定だったりしました。しかし、その中間報告は破棄されることになります。

だって、この「モーニング娘。’15 コンサートツアー秋 ~PRISM~」については、やっぱり、言わずに押し止めようと思っても、どうしたって、ある一言が漏れそうになってしまうから。
だから、レポに入るまえに、最初に簡単にそのことについて。

そんな人はいないと思うけれども、やっぱり順番として「簡単にそのことについて」という「そのこと」については、こちらを参照。

漏れ出してしまいそうになる言葉は、以降もなるべく抑制したいと思いながら以下。

以降に述べようとすることは、その意図とは真逆に、旅立つ鞘師さんを苦しめることになるという意見は、私も十分に理解できるところです。この記事に対して「だから止めろ!」と思う者もまた、きっと同じように、鞘師さんにとって何がベストなのかを真摯に考えているのだとも、感じられるところです。反論みたいなことをするつもりもありません。
あるいは、鞘師さんへの惜別の言葉を連ねることが、鞘師さんへの賛辞を連ねることが、「旅立つ鞘師さんを苦しめる」どころか、旅立ちを決意させるまでに彼女を「追い詰めた」のかもしれないと思うことについても同様です。

「そんなことはない!」と言い切りたいけれど、いろいろ思うに、「そんなことはないとも言い切れない」とも思います。グループ内のことだったり事務所の内々の事柄は「わからない」と言うほかないんですが、私たちファンにとって「わかる」範囲に限定するにしても、以前、少しだけ触れたこともあるように、アイドルをやっていくということは、辛くてしんどいことだとは思うからです。

それでも、やっぱり投稿者は言いたいです。「すばらしかったよ」と。「ありがとう」と。そして、「待っているよ」と。(あ~あ、やっぱり抑制できず)

こう述べることが、今現在の鞘師里保さんにとってどういう意味を持つのかは、やっぱり、わかりません

でも、投稿者はこうも思います。
今の鞘師さんにとって寄せられる期待と賞賛が重荷だったのだとしても、そうだとしても、きっと何年か経って、ハロプロのステージに復帰するかどうかも別として、その時の鞘師里保さんがどのような立場にあろうとも、武道館を埋め尽くしライブ・ビューイングで参加したかくも多くの人たちが、自分を愛し、褒めたたえ、惜しんでくれたという、その事実は、きっと彼女の力になるんじゃないかと思うから。
というか、私たちファンには、それしかできないから

鞘師さんを可愛がってくれた大先輩も、こう言っています。

後々すべて
いい思い出やし貴重な経験やったなーって
絶対思えるよ!!!!
モーニング娘。で いっろーーーんなこと経験出来てほんっとよかったって
今れーなも思えるけん!!!
田中れいなブログ(モーニング娘。’15)より

投稿者は12月8日は2階席の東スタンドにいました。
鞘師さんが「語学やダンスだけじゃなくて、いろいろ学んで、いつか、みなさんに何らかの形で…」とご挨拶している途中、鞘師さんのご挨拶を一字一句聞き漏らすまいと武道館が静かになる中、私の2列前にいた赤いTシャツの方が、大声で「まってるよーー!!」と叫びました。その声は、遠くステージまで届いたものと見えて、ご挨拶途中の鞘師さんは、その声の方に向き直って(つまり、こっちを向いて)しっかりお辞儀して、こう言っていました。
ありがとうございます」と。とっても静かな調子で。

『Oh my wish!』完全版は幻に終わるのか?

「モーニング娘。’15 コンサートツアー秋 ~PRISM~」は、公演毎に細かなセトリの切り替えを入れてきます。
しかし、その開始を告げる冒頭の曲は、固定で、モーニング娘。’15 の59枚目のシングルに当たる『Oh my wish!』。
ダンス組と歌割組に分かれて変則的なフォーメーションを組んでいることでも話題になり、何よりもそのダンス組のパフォーマンスの激しさと大迫力に、MVが公開された段階で絶賛が寄せられたことも記憶に新しい楽曲です。

今般の秋ツアーでは、舞台上の3つの小スクリーンに映し出されるダンス組の映像が、その迫力のダンスの6~7割方を担当しており、生身のダンスは抑え気味。
それも当然で、かくも激しいダンスを全力でやり切ってからスタートするとなると、さすがに体力的にも厳しすぎるからとは、多くの観測の一致するところでもあります。そんだけ激しいダンスだぞ、ということで。

この秋ツアーでの『Oh my wish!』が、ダンスの過半を映像に委ねているからには、リアルにフルの『Oh my wish!』が披露されたのは、2015年の夏ハローのものが直近。
さらに、今後予定されているイベントは、ソロ・イベントやクリスマス・イベント。
ソロ・イベントであれば『Oh my wish!』の実演はあり得ないでしょうし、クリスマス・イベントも、従来の「ほんわか楽しい」雰囲気を踏襲するなら、セトリに『Oh my wish!』が入ってくる可能性は低めであり、もし、年末年始のカウントダウンライブの第一部モーニング登場パートで『Oh my wish!』が演じられない場合は、このまま完全版『Oh my wish!』は幻になってしまう可能性が濃厚ということになります。

私たちは、夏ハローにおいて、思わず息をすることも忘れたほどの、あの激しい『Oh my wish!』を、もう目にすることはできないのかもしれませんね。
この意味でも、やっぱりいかにも惜しいです(← あっ!)。

出し惜しみのない「今の」モーニング

そう、鞘師里保さんは、その迫力のダンスで、やっぱり今のモーニングを牽引していました。
伝統空手の型の演舞に「岩鶴」ってのがあるんですけどもね。これ「騎馬立ち」っていう ”馬に騎乗した際の下半身の形” の立ち方のまま、どっかんどっかん踏み込む勢いが特徴の演舞なんですけども。このライブ中にソロで見せてくれる鞘師さんのダンスの踏み込みと腰の低さに、投稿者は、そんな空手の演舞を思い出したり。

やっぱり鞘師さんのダンスは凄いです。上記の『Oh my wish!』でも、滞空時間が長いですもんね。今般はソロとなる場面が多めだったようにも。
しかるに、そんな鞘師さんが突出してしまって、その突出のせいで全体のパフォーマンスがバランス悪く見えるとか、そんなことはカケラもないのが今のモーニング(いや、昔もそんなことはなかったけれども)。

どのメンバーも、嫋かに艶やかに、そして激しく勢いよくキレッキレにパフォーマンスし、そしてスルスルと複雑な場位置移動をこなし、適切にテイク・パートしています。

譜久村聖 美しく変貌を続ける9代目

フクちゃん、美しいです。楽曲の途中で見せる表情が、実に洗練されていて。
道重さゆみさんからバトンを受け継いだのは、きっとリーダーの座だけじゃなかった。
洗練されているのは、表情だけじゃなく、場位置移動でのステップや小刻みなリズム取りさえ、とても美しいです(いや、本当に)。

少し前のDマガで、工藤さんが言ってます。「リーダーになって、譜久村さん、怖くなった」と。「きっと、言わなきゃいけないことを、言うようにしてるんだと思う」と。
リーダーの器じゃなかったと悩んでいる様子も見え隠れしないではない譜久村さんですが、ちゃんと、しっかり、バトンは受け継いでいます。
最新のDマガでは、鈴木さんに寄りかかって、ズッキから「体勢が苦しいから、やめて」と言われ、「ごめ~~ん」と謝りながらも寄りかかりを止めない譜久村さん。体に悪いんじゃないかとDマガスタッフから忠告されても、氷を欲して止まぬ譜久村さん。珍しく9期がそろって食事していても、やっぱり最後にひとり残される譜久村さん。
どうもハロプロのグループには、リーダーが、リーダー然として、その立場も板についてくるに従って、赤ちゃん返りして子供のような稚気を全開にするというお約束でもあるかのようです。

譜久村聖さん、美しくなりました。

生田衣梨奈 ほんとは一番のイケメン

少し前まで、エリポン、表情が固いなって思ってました。
Dマガなどで見せてくれる、バックステージでのおふざけだったり、舞台袖で出番待ちの時にDマガのカメラを前にして歌ったり踊ったり愚痴ったりするときには、あんなにも自然で可愛らしい笑顔を見せてくれるのに、ステージから客席へコールしたりMCでご挨拶するときには、もちろんちゃんと笑顔を見せてくれるけれど、バックステージで見せてくれる笑顔に比べて、どこか作ったような固い笑顔だったように思っていました。
「緊張してるんだろう」「客前だと素直になれないところが、素直だよね」とか思っていたり。

でも、この秋ツアーのエリポン、めっちゃ良い顔してましたよね。

アクロバットで連続バク転を決める生田エリポン。12月7日では、3回連続バク転を決め、ご挨拶では「4回目もできそうやった!みなさんの力はすごいですね」と述べて、12月8日では、きっちり4回連続を決めてくるあたり、さすがですよね。4回連続を決めたとき、思わず「おおっ!」と声が出ちゃいました。

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れいなの卒業のときも、道重さんの卒業のときも、セレモニーではクールなスタンスを崩さなかった生田エリポン(どちらの場合も、クールというよりコミカルでしたけれども)。武道館の最後のご挨拶でも、どこか淡々としていました。
武道館後のブログでは、やはり淡々とした記述の中にも、隠しきれない何かが溢れているようでもあります。初めての同期の卒業に、生田さんがどんな思いを本当のところ抱いているものか、カウントダウン・ライブまで、おあずけってことですね。

鞘師里保 卓越したスキルと愛すべき不器用

冒頭からいろいろ述べてきたように、そのパフォーマンス面の「優秀さ」に言及されることが多いけれど。

でも、MCだったりでメンバーから何かと突っ込まれているときに、びっくりしたような顔をしている鞘師さん。いろいろポンコツ具合をメンバーから指摘されて、「そんなことを指摘されるとは、思ってもみなかった」といった釈明を表情で語っている鞘師さん。
バックステージのDマガでも、傍らでメンバーがボケ倒しているときに、そのメンバーに直接ツッコミを入れるでもなく、カメラに向かって第三者的立ち位置を取るでもなく、明後日の方向を向いて目を見開いて「対応できません」という形を取ることで、一応突っ込んでもいるぞと、状況を無視しているわけじゃないぞと、体全体で語っている鞘師さんです。
この体全体で醸す表情が、ほんとに齧歯類的な小動物感があって、可愛かったですよね。

遅刻だったり忘れ物だったり寝坊だったりといったエピソードには事欠かない鞘師さんですが、12月8日のラストのMCで暴露されたエピソードには笑いました。
曰く、リハーサル中に靴下を貸したら全然違う靴下を返してきた、とか。

こうした愛すべき不器用さがファンに周知されていることも、今般の卒業にあたって、あれこれ憶測を呼んでいる所以なのかもしれませんね。

鈴木香音 衒いを脱してポテンシャルを発揮

ほんとうは、一番心配だったのはズッキでした。
それは、いろいろネットで心配されていたりする理由ではなくて。

Dマガなどを見ていても、あれこれ面白おかしく状況を説明してくれようとしては、変なところで言葉につっかえていたズッキです。私は、そんな様子を見ていて、その場で自然に発話しようとするズッキとは別に、自分の発言を、その発言が言葉になる前から監視して「それ大丈夫か」とツッコミを入れてくるもうひとりのズッキが頭の中にいるんじゃないかと思ってました。そういう頭の中のもうひとりの自分って誰にだって存在しているけれど、ズッキがいろんなところで、(「噛む」というのではなく)細かく微妙に言葉につっかえる様子から、Dマガのバックステージで、メンバーと楽しくわちゃわちゃしてるところですら、そんな様子が見えるところから、ズッキの頭の中のもうひとりのズッキは、ずいぶんと本来のズッキに比べて力が強いように思えて、だから一番にズッキのことが心配だったのでした。

この辺り、みなさん如何でしょうか? 武道館の最後のご挨拶では、ズッキはあまり言葉につっかえていなかったように思えて、むしろ投稿者は少しびっくりしているところです。
そんなご挨拶では、加入以来ずっと鞘師さんが目標だったけれど、これからは後輩に目標にされる先輩になることを目標にすると述べたズッキです。
私の心配は、どうやら嬉しいことに、まったくの杞憂だった模様です。よかった。

飯窪春菜 美しさの隙間からのぞく可愛らしさ

美しくなったといえば飯窪さん。いや、実に美しくなってます。
どんどん磨かれているといえば、その美しさだけじゃなく、ステージ上での振る舞いの華麗さも、MCでのトーク回しも。

たった今、トーク回しが上手だと言ったばかりですけど、ヤンタン土曜日のさんま師匠とのやり取りなどでも、上手に師匠を持ち上げて、正しくお約束を踏まえて、泥をかぶるべき場面では、しっかりオチに使われに行き(えっと、一反木綿的なところとかベニヤ板的なところとか?)「さすが」と賞賛すべきトーク回しのようでありながら、よくよく聴いていると、わりと素で恥ずかしがったり喜んだり困ったりしている飯窪さんです。
なんか…めっちゃ可愛いですよね。

ステージで見せてくれる美しさに磨きがかかればそれだけ、バックステージでのケータリングの食材には何かと攻撃され、工藤さんにはイタズラされて、意外と「おまぬけ」な姿ばかりを切り取られる飯窪さんです。
きっとDマガのスタッフも、そんなところを「可愛い」って思ってるんではないでしょうか。

石田亜佑美 パフォーマンスにもボケにも手を抜けない

しゃがんだ姿勢から側転を決めてみせるアクロバット・パートでは、毎度、唸らされた石田さん。今般の秋ツアーでは、ずっと髪をしばっていて、髪を短く切ったボブ石田が可愛くて好きな投稿者は、そこが唯一の不満だったけども。

客席を煽る姿も、ダンスに至る以前の小さなステップすらも、細胞の隅々にまで気合いが入っているかのようで、そんな石田さんのステージ上の姿を追うには、瞬きすら惜しいほど。キメキメのパッキパキなダンスだけでなく、このところ、しなやかで嫋やかなところも見せてくれて、その小さい身体が少しも小さく見えないところと相俟って、この先のハロプロのダンス・パフォーマンスの突端を切り開くであろう石田さんです。

DマガでもステージのMCでも、いつも、ほんとうに嬉しくて仕方ない様子が伝わってきた石田さんです。バックステージの笑顔も、もう可笑しくてしょうがないとばかりに、自分からボケに走っているのに、先に自分で笑ってる石田さんです。本人の意図を越えて、その弾みっぱなしの心が、外にダダ漏れだった石田さん。
そう、本人の意図しないところで、その内面の瑞々しい動きが、あからさまに窺い知れるところにも、その「だーいし感」の秘密があると投稿者は睨んでいます。ですが、だからこそ、このツアーファイナルを飾る武道館2Days でのパフォーマンスに、いかにも力が入りすぎ、いっこも息を抜かぬ全力疾走ぶりが気に掛るところです。

いつも、あんなに嬉しそうに笑っているのに、最近では一番恐い先輩だと12期からも恐れられているやに仄聞するところ。グループに対しても、石田さんなりに何やら企するところがあるのかもしれません。ラストのご挨拶では、これからステージでダンス・バトルする相手がいなくなると述べて、危うく崩れそうになるところを辛くも持ちこたえていました。
これまで、「意図しないで」その弾む心をあふれ出させていた石田さんは、その心を時に押さえ込んで、自ら意図して、この先を見据えているのかもしれません。

それを「心配」するのは失礼にあたると、個人的には思います。
石田さんが手を抜かずに全力疾走するその先を、ファンとしては楽しみに見守りたいなと。

佐藤優樹 知らずに誰かを助けてる「天然(?)」

12月8日のアンコール空けのMCでの、まーちゃんのコメントには、やられました。
投稿者の周囲でも、まーちゃんのコメントをきっかけに堰を切ったように泣き出すファンがちらほらと。

やっさんの嘘つき!ずっと一緒にいるって言ったじゃないですか!
どーすんですか!どーすんですか!これからのモーニング!
9期4人、10期4人、12期4人だったのに、これから小田ちゃんイジリができないじゃないですか!
これから’16、’17、’18と、後悔させるくらい進化していきますから。見張ってて下さい!

記憶で引用してみましたけれど(違っていたら、ごめんなさい)、これにはやられました。「やっさんの嘘つき!」と叫んだ時に、びっくりしたような顔を見せ、「どーすんですか!どーすんですか!」と続いた時に、思わず唇を真一文字にしていた鞘師さんも、「小田ちゃんイジリが」と続いた時に、「そこかい!」と正しくツッコミを入れてきた当の小田ちゃんも。

最新Dマガでは、工藤さんが飯窪さんと仲良しなことに嫉妬してみせて、当の工藤さんに苦笑いされていたり、それでも「まーどぅーのお買い物」企画にこだわったりと、外から見ていると、「これは、ちゃんと相手するの大変だわ」とも思わされるけれど、こんな “思ったことをそのまま話してる” (← 同じくDマガでの鞘師さんによる寸評) まーちゃん の少し捻れた「素直さ」が、きっといろんなものを助けてくれているんだと思います。

武道館では、冒頭の衣装での楽曲中は、他のメンバーがヒールの高いブーツを履いている一方、まーちゃんだけが運動靴だったから、もしかしたら、どこか故障しているところを庇いながらステージに立っていたのかもしれません。
大丈夫かな、って正直なところ思います。でもきっと、私たちの見えないところで、一番最初にメンバーの誰かについて「大丈夫かな」って気づいて、一番にケアしに行って、そしてケアされていると感じさせず、むしろ苦笑いさせることで、当初の「大丈夫かな」と思えるところを芽のうちに摘み取っているのは、まーちゃんなんじゃないかなと思います。

こんなにも刺さるコメントを、それでも笑いに落とす形で、表向き「あはは」で終わらせても、ちゃんと鞘師さんに伝わることは伝わるように発することができる まーちゃんですからね。とりあえず「見守る」のではなく、「見張って」ないといけないので、鞘師さんもご苦労なことです。

工藤遥 イキってると言われたあの日は遠くへ

鞘師さんの新しい不器用エピソードをお知らせしてくれるだけでなく、春ツアーのときに武道館MCの内容を決められなくて握り飯を手にしながら号泣した真莉愛ちゃんに、思わず切れそうだったと告白する工藤さん。
Dマガなどで、独白調でいろいろと語ってくれる工藤さんではありますが、その語り部としてのスタンスをステージにまで持ち込んでくれたようなところもあります。
かと思いきや、加入当初は(きっとエッグ出身という気負いもあってか)何かとイキっていて、とても仲良くなれるとは思えなかったと、飯窪さんに暴露されてる工藤さん。

いろんなことを暴露する一方、暴露し返されるスキもたくさんあるみたいです。…泣き虫だし。

パシフィコの昼公演アンコール前に何かトラブルがあったものか、アンコール以降は肩を固定して登場した工藤さん。それでも、昼公演のアンコールだけでなく、夜公演まるごと、肩を固定したまま、やり切ります。
肩を固定した様子から、パシフィコでは、投稿者は注意して見ていたんですけど、固定された肩以外は、場位置移動も、上半身を激しく上下させるフリも、ひとつも肩をかばうことなく通常どおり。どころか、MCだったり歌割りだったりでマイクを操作するにあたって、固定している方の腕でマイクを押さえて上手に一方の手を自由にする場面などもあって、これは工藤さん、すごかったな。

いろんなポンコツぶりをお互いに暴露しあうような可愛らしい子供らしさを見せる一方、幕が上がったステージでの「仕事」にも、徐々に凄みを感じさせはじめた工藤さんです。
「イケメン」とも言われる工藤さんですが、この先は指示があるまでは髪を切らないとも言い出したらしく、この秋ツアーをきっかけに、いろいろ変貌を遂げていくんじゃないでしょうか。
楽しみですね。

小田さくら 明日のモーニングを担うたったひとりの11期

すでにエンタメアライブのニュース部も報じているように、パシフィコの夜公演で200回公演を達成した小田ちゃん。そのニュース報道にもあったように、なにかと言及される歌唱力だけじゃなく、そのパフォーマンスの端正さにも注目です。どころか、そのトークの自然な構成から、ふとした表情の思いもよらぬ色っぽさまで、いったん注目してみれば、もう眼が離せなくなる小田ちゃんです。

投稿者は℃-ute について、そのハーモニーの要(かなめ)は中島早貴さんだと睨んでおります。「そろってる」と評判の℃-ute ではあれ、舞踊のようであるよりはキレッキレすぎて武道のようである矢島舞美さんだったり、しなやかにゆるやかに上手に力を抜いた艶やかな鈴木愛理さんだったり、パッキパキでドヤ顔を入れてくるタイミングが最高すぎる岡井千聖さんだったり、上手に客席から目線を外し、ここぞというところで笑顔になる誘い上手な萩原舞さんだったりと、それぞれのダンスには実に味わい深い特徴があります。それが「そろっている」と言われるのは、バランスよく端正で教科書のような中島さんのダンスに引っ張られ収斂していくからではないかと。

で、小田ちゃんのダンス・パフォーマンスは、モーニングにおいて、上述の℃-ute における中島さんの位置を占めるんじゃないかなと、まったく私見ながら思っている次第。

そんな具合に、全方位的にハイレベルな小田ちゃんは、まーちゃんのコメントではありませんが、唯一の同期不在のメンバーでもあり、鞘師さんについて様々に飛び交った憶測からすれば、その立ち位置からも、全方位的にハイレベルであるからこそ、一番に今後が心配になりかねないところ。

しかし、上述のニュース記事にもあるように、先輩たちからの愛あるイジリを受け止め、時にそのイジリを跳ね返す小田ちゃんです。最新のDマガでは、加入して早々に何でもやりこなしてしまうもんだから、教えることが何もなくて、微妙にどう扱って良いのか先輩たちは困惑したけれど、今では10期メンバーはみんな小田ちゃんが大好きなのだと、これまた まーちゃんがお知らせしてくれてもいます。
モーニングの世代をつなぐ、要となるメンバーとして、11期の前途は明るいようです。

尾形春水 やがて火がつく大阪魂

鞘師さんがソロで歌った『大阪恋の歌』をうけて、7日のご挨拶では、いつの日にか私が本物の『大阪恋の歌』を歌ってみせると宣言することで、旅立つ先輩にエールを送った尾形さん。

体型についての心配だったり、握手会での対応の良さだったりと、何かと話題に事欠かない尾形さんですが、心配される体型の一方、2時間越えのステージをやり切ってなお元気な様子。Dマガでは、腹筋が欲しいとカメラに向って話している場面で、意図せず様々な変顔を披露してくれていて、黙っていれば美人なのに、黙っていられないのが大阪魂というところかと。

いずれ、旅立った鞘師さんが、あのMCは「あとは任せろ!」という宣言だったのかと思う日が来るくらいの、そんな活躍も期待できそうですね。

野中美希 アクロバットよりも英語よりも

生田エリポンや石田さんといった、その身体能力で名高い先輩たちに混じってアクロバットに参加していた野中さん。武道館2Days では、それに先立つ宮城公演で痛めたものか、手首にテーピングをして登場し、残念ながらアクロバットへの参加は見送り。アクロバットには、夏ハローでも参加してましたもんね。

そんな具合に、アクロバットだったり英語だったりに注目されがちな野中さんですが、客席に向けて見せてくれる笑顔が、時折、ほんとに眩しい満面の笑顔で、見ているだけで嬉しくなります。きっと、「アクロバットや英語が得意な野中美希」ではなく、「野中美希のたくさんの魅力の一つであるアクロバットや英語」という風に受け止められる日も、そう遠くないかな。ってか、もう、そうなってるかな。

牧野真莉愛 愛を浴びて育ってきました

最新Dマガのモツ鍋シーンでも、お泊まりサマーキャンプ企画のDマガでも、なんだか、とってもお嬢様風なワンピースというか、「娘が可愛く育ったもんだから、嬉しくなってママが買い込んだ」風のワンピース(いや、投稿者の偏見で申し訳ない)を、ちょこんと着込んでいる真莉愛ちゃんです。
この秋ツアーでは、長いストレートの髪を、ずっとひとつに束ねていて、スクリーンに抜かれるにあたって、パフォーマンスの流れで後ろを向こうとしている角度で、束ね損ねた残り髪が耳の後ろから飛び出ているのが確認できて、諸々併せて、すくすく育った感じに好感しか持てません(いや、投稿者の偏見で申し訳ない)。

ライブ序盤のご挨拶で、先輩たちから可愛がられている羽賀ちゃんに焼き餅をやくというお約束も固まった模様。これからの最年少ペアにも刮目ですね。

羽賀朱音 いいえ愛を浴びているのは私です

ハロプロにおいて、℃-ute 萩原舞さんの「お姉様たちから甘やかされる最年少」の牙城を脅かす強力な存在である羽賀ちゃん。

お泊まりサマーキャンプ企画のDマガでは、「もう遅いんだから寝なさい」と言われ、寝かしつける小田ちゃんに駄々をこねる姿が可愛すぎるとされた羽賀ちゃんですが、投稿者としては、そんな羽賀ちゃんに「もう寝なさい」という譜久村さんだったり、駄々をこねられて困ってる小田ちゃんだったりの、ステージでは見られない姿にこそ着目したいところ。

そうなんですよね。菅谷梨沙子さんにしろ、萩原舞さんにしろ、最年少で甘やかされるメンバーって、その甘やかされるところを通じて、他のお姉さんメンバーの、それまで知られていなかった魅力を表に出してくれるメンバーでもあります。羽賀ちゃんの甘やかされ上手なところに、この意味でも期待したいところです。

Dマガはやはりライブの「グッズ」である

ライブのレポと言いつつ、ライブの流れも、会場の様子も、楽曲のあれこれも、わずかしか述べずに、結局メンバーの人となりをグダグダ書き連ねているだけじゃないかと思われたかもしれません。
見るべきポイントは、ファンによって様々であれ、投稿者は、どうしても(そんなもん、本来は、わかるはずがない)メンバーの人柄に注目してしまいます。

どんなに遠い席でも、なるべくスクリーンではなく、ステージ上の生身のメンバーたちを見ていようと思っている投稿者ですが、モーニング娘。については、どちらかといえばスクリーンに注目しています。というのも、スクリーンに抜かれてアップになっているメンバーの背後で、そのバックで、あるいはその傍らで、次の場位置へと移動するメンバーの様子がちらちら写るから。その移動の様子が、その切り取られたステージに貢献している姿が、これまたカッコ良くて。

一人一人が、全体を把握した上で、自分の為すべきことを、きっちり果たす。その結果として全体で描き出されるフォーメーションが、実に見事に出来上がる。まさしく、「一人じゃない」というか、文字通り「テイク・パート」って感じです。
歌割りがあったり目立つパフォーマンスが割り振られたりしてるメンバーがスクリーンに抜かれる、その背後で、全員がちゃんと、きっちり自分の役割を果たしている。全体に貢献する部分でしかないと言ってしまえばそれまでだけど、しかし、その部分を、きっちり、そして嬉しげに果たし切っている。
そんな様子が、あくまで私見ですが、最も鮮明に見えるのが、モーニング娘。のステージにおけるスクリーンの背景かなと。

そして、だからこそ、そんな一人一人の、ステージにおいてはパーツと化す個々のメンバーの、それでも漏れ出すあれこれに着目しないではいられないという次第です。
あくまで私の場合は、ということですが。そんな具合に着目しないではいられない個々のあれこれを饒舌に語ってくれるのは、上記でも盛んに言及してきたDマガです。

でも、上に「テイク・パート」などと述べたように、本当に宝石のような「幸せの風景」を見せてくれるDマガでのメンバー個々の特徴的な魅力も、それが際立つのは、ステージで見せてくれる圧巻のパフォーマンスがあってこそ
いかに可愛く、いかに愛らしく、個々の人となりがいかに愛すべきものであったとしても、それらは、すべて、しっかりと構成されたステージの、歌とダンスと、その場に立つまでにメンバーたちが積み重ねた研鑽が、それこそ「ガチ」だからこそ。

なるほど、DVDマガジンは、ライブの物販グッズである道理です。

多くを与えてくれた者への賛辞として ~鞘師里保の後ろ姿へ~

そして、やはり冒頭の繰り返しになりますが、2015年において、そんなモーニング娘。の「ステージ」を大きく牽引してきたのは、鞘師里保さんでした。

そうであれば、Dマガだったりラジオだったりで見せてくれる「幸せの風景」も、その背景ともなり前提ともなる部分に、鞘師さんの貢献は多大なものがあったと言わなければならないと思います。鞘師さん自身の不器用エピソードに「ほっこり」するだけではなく、「ほっこり」との落差を作り出すステージのガチさ。近年のモーニング娘。において、その「ガチさ」の象徴は、やはり鞘師さんだったと(それでも当人の意図はどこまでも不明ながら、ファンが投影する勝手な思い込みであったとしても)。さらに、そうであれば、やはり私たちは彼女から大きなものを受け取っていたと、やっぱり思いたい。そして、その思いに基づいて、「ありがとう」と言いたいです。

*****

12月8日、ライブも終幕。辛くも涙を抑えて最後の挨拶をした鞘師さんは、ステージ裏にひっこみましたが、会場からは鳴り止まない「鞘師コール」が。
それに応じてWアンコールとして鞘師さんが一人でステージに再登場します。
留学という選択を選んだこと、モーニング娘。としての5年間は自分の人生の宝物であること、それを支えてくれたファンのみなさんに感謝することなど、しっかりとステージの上から語ってくれた鞘師さんでした。
そして「移動しても良いですか?」と、左右に張り出したウィングへも、花吹雪で埋め尽くされたセンターステージへも、思う存分、ステージを駆け巡って…そして締め所を見失って、不器用にも「じゃあ、すいませんけど、はけま~~す」と言って、例によってあの小動物風の表情をしながら、ニコニコと武道館を後にした鞘師さんでした。

9期メンバー4人の『アイサレタイノニ』

最後に。

セトリの中盤、9期メンバーが各々のメンバーカラーをあしらった衣装に身を包んで、9期メンバーだけで、センターステージで演じた『アイサレタイノニ』について。

道重さゆみさんのファンであった私は、道重さんだけを追う時期が長く、正しくモーニング娘。に関心を移したのは、いわゆる「プラチナ期」。ですから、9期メンバーについては、どこか「新人さん」という意識が消えないところがありました。
でも、この9期メンバーによる『アイサレタイノニ』は、あくまで個人的に、ライバルサバイバルの6期メンバーによる、やはりセンターステージで演じられた『大きい瞳』に匹敵しかねない、大きな感慨がありました。

ああ、ちゃんと「メンバー」なんだな、と。
加入早々、いきなりのダンスレッスンについて行けず、焦る自分も上手に受け止められていなかった、鈴木香音さんも。
加入早々のFCイベントで、道重さんに軽くイジられて泣いてしまい、そして、そのことを痛く反省した旨のコメントを随所で残している生田衣梨奈さんも。
オーディションでは落選し、エッグメンバーとしてバックダンサーをつとめるつもりでやってきたハロコンの現場で、いきなり つんく♂さんから名前を呼ばれて泣いていた譜久村聖さんも。
そして、同期に先駆けて、一人「卒業」していく鞘師里保さんも。

そう、もう「卒業」するメンバーがいるくらい、新人だ、後輩だとばかり思っていた彼女たちは、ちゃんと「モーニング娘。の9期メンバー」になっていたんですね。

(文=kogonil)

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12/7 セットリスト】

1) Oh my wish!
2) 君の代わりは居やしない
3) What is Love?
4) スカッとMy Heart
5) The 摩天楼ショー
6) 冷たい風と片想い (12/7 初披露:作詞、作曲「つんく」/「♂」なし)
7) 愛の軍団
8) 悲しき恋のメロディー
9) 笑えない話
10) 愛され過ぎることはないのよ
11) Ambitious! 野心的でいいじゃん
12) 明日を作るのは君 (小田ちゃんソロ)
13) 大阪恋の歌 (鞘師ちゃんソロ)
14) アイサレタイノニ (9期が4人で花道の先へ)
15) ウルフボーイ —メドレー スタート—
16) TIKI BUN —メドレー —
—アクロバットパフォーマンス— (野中さんの代わりにトレーナーさん:太陽とシスコムーン??)
17) Moonlight night ~月夜の晩だよ~ —メドレー —
18) ドッカ~ン カプリッチオ —メドレー —
19) SONGS
20) Password is 0
21) わがまま気のまま愛のジョーク
22) まじですかスカ!
23) One・Two・Three (鞘師ちゃん、最も成長できた曲だと)
~アンコール~
24) One and Only
25) ENDLESS SKY (12/7 初披露:作詞、作曲「つんく」)
26) ここにいるぜぇ!

12/8 セットリスト

1) Oh my wish!
2) 君の代わりは居やしない
3) What is Love?
4) スカッとMy Heart
5) The 摩天楼ショー
6) 冷たい風と片想い
7) 愛の軍団
8) Only you
9) What’s up?~愛はどうなのよ~
10) もっと愛してほしいの
11) Ambitious! 野心的でいいじゃん
12) AS FOR ONE DAY (譜久村さんソロ)
13) 大阪恋の歌 (鞘師ソロ)
14) アイサレタイノニ (9期が4人で花道の先へ)
15) ウルフボーイ —メドレー スタート—
16) TIKI BUN —メドレー—
—アクロバットパフォーマンス—
17) Moonlight night ~月夜の晩だよ~ —メドレー–
18) ドッカ~ン カプリッチオ —メドレー—
19) SONGS
20) Password is 0
21) わがまま気のまま愛のジョーク
22) まじですかスカ!
23) One・Two・Three
~アンコール~
24) One and Only
—ラストMC 鞘師さんへのメッセージ—
25) ENDLESS SKY
26) ここにいるぜぇ!

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