モーニング娘。’20 加賀楓の加賀温泉郷観光大使継続を願うファンの声に見る物語の複数化

モーニング娘。’20 の13期メンバー加賀楓がつとめている加賀温泉郷観光大使の継続を願う署名活動が行われている。署名キャンペーンを立ち上げることが出来るサイト上に、ファンが立ち上げたものであるようだ。関連してPR用のTwitterアカウントも確認できる(https://twitter.com/stationmasterkk)。

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加賀楓の加賀温泉郷観光大使が大好評であることはよく知られているし、加賀が観光大使をつとめるに至った経緯についても、ある意味で “感動的な物語” としてファンには語られてきた。加賀楓の、まっすぐに “なりたい自分” を諦めなかった、その周囲と自分を信じる力が、多くのファンの声からプロフェッショナルなクリエイター諸氏や行政までも動かした原動力となったということについて、繰り返し語られてきたのだった。

しかし、そんな加賀楓の観光大使としての活動が実績を重ねるにつれて、物語の焦点は複数化しつつあるようだ。

たとえば、上掲の署名サイトには「幸せな関係」という文言が確認できる。

私たちファンは加賀温泉郷のみなさまが加賀さんのことを大切にしてくださっていること、グッズ制作などキャンペーンとは別の形でもファンの要望に応えていただいていることに深く感謝しております。また、この幸せな関係が今後も末長く続くことを願い(以下略)

キャンペーンサイト 「石川県知事: 加賀楓さんの加賀温泉駅一日駅長就任と、加賀温泉郷観光大使3年目の継続をお願いします」 

これまで、加賀温泉郷に対するファンの態度は、あくまで愛するアイドルである加賀楓が観光大使をつとめているという点に依拠していた。あくまでも、”愛するタレントを起用してくれて、ありがとう” というスタンスだったと言って良い。しかるに、かの署名サイトでの口上では、加賀楓を起用してくれた地元が加賀を大事にしてくれて、そのことに感銘を受けたファンが繰り返し温泉を訪れるという “好循環” にも触れた上で、「関係者のみなさまのご尽力のおかげで」というフレーズも確認できるのだ。

すなわち、ここへ来て、加賀楓の観光大使をめぐる活動は、あくまでもタレントとしての加賀楓の起用という点から大きく広がって、起用したタレントを大事に大切に扱ってくれる地元へのファンの感謝という側面がクローズアップされている。いわば、ファンの眼差しが、自らが愛するアイドルにばかり向いていたところが、大きくその視野を広げて、愛するタレントを起用してくれた側へ、そして起用者側が示してくれる態度への感謝へと拡大していると言って良い。

これはハロプロの歴史というレベルで見ても、かなり特異かつ大きな出来事だと言えよう。従来、ハロプロに限らず、宣伝効果を狙ってタレントを起用した地域PR企画にあっては、押し寄せたファンの一部の行動が迷惑行為として開催地とのあつれきを生み、最終的にあまり良い評判を得られない例も散見される。しかし、今般の加賀楓がつとめている加賀温泉郷観光大使の継続を願うファン活動にあっては、明らかに、加賀楓を大切に扱ってくれている加賀温泉郷への感謝の気持ちが汲み取れる。

ファンが、自ら愛するアイドルを起用してくれた企画に対して、”起用した” ということを越えて、こうした感謝を示しているということ。どうやら、モーニング娘。’20 の13期メンバー加賀楓を巡る物語は、単純なアイドルとファンの関係を越えて、大きく展開し始める可能性を秘めているようだ。

(文=椿道茂高)

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