J-POPバラードのカバーで魅せるハロコン Hello! Project 2020 Summer COVERS 〜The Ballad〜、王道のステージで思わぬ魅力も鮮明に

J-POPバラードカバーの夏のハロコン Hello! Project 2020 Summer COVERS 〜The Ballad〜

繰り返し、今期の夏ハローが変則的な興行形式となったのは新型コロナウイルス感染防止対策のため。仙台でも、中野でも、会場の収容人員は、かなり絞られています。だもんだから、ただでさえ当選しないところへ持ってきて、今期は落選の度合いが甚だしいわけで。とはいえ、当選してしまえば、前後左右が空席なのは、目線を遮るものが少ないってこと以上に快適で、当選が難しくなってることと併せ、なんとも微妙に痛し痒しといったところ。

同様にコロナ対策ってわけで、会場での物販がなくなっており、これは延々並ぶ必要がなくて身体が楽な一方で、風物詩としてのハロコンの風景が大きく損なわれていて、寂しさが勝ります。入場チケットも、係員さんに一部をちぎり取られることなく、まるっと手元に残ったりして。

一方で、自分が参加した公演で万が一何かがあった場合に備えた”QRコード追跡システム”が導入されておりまして、入場前に会場のあちこちに掲示されていたQRコードにアクセスして、専用サイトで自分の座席番号を登録し、返信されたメールをスタッフさんに見せて入場するってシステム。

7月25日 仙台サンプラザホール 前半戦

オープニングは全員登場で、ゆるやかにフォーメーションを組んでAKB48の楽曲(『365日の紙飛行機』)を。その選曲にいろいろと物議を醸したけれど、まあ、これはこれで(詳しくは語らない方向で)。

舞美ちゃんが登場してご挨拶してくれて、特に大がかりな演出もなく、それぞれのメンバーの楽曲披露となります。舞美ちゃんのご説明によれば、通常のハロコン巡業は、メンバーだけじゃなくスタッフまで含めると100名を越える大部隊の全国行脚となるところ、今期は、人員も絞るだけ絞っているとのことでしたので、舞台設営も、演出も、ライティングも、最低限のものだったという次第。

それでも、通常のハロコンやホールコンでは設営されていたステージ上の大スクリーンは欲しかったなって思いますよね。とりわけ演出もフォーメーションもなく、メンバーがソロで歌うだけなんだから、そこは、ステージから遠い席や二階席のチケットを引き当ててしまったお客さんのために、スクリーンは欲しかった。

一方で、ステージには必ずたった一人のメンバーだけが登壇してるってわけで、会場は、その都度、ペンライトで単色に染まることになります。これは、非常に美しかったし、メンバーたちは嬉しかったでしょうね。

Juice=Juice 松永里愛/ただ泣きたくなるの (中山美穂)

ソロフェスでも、Berryz工房の楽曲を自然に楽に歌い切った松永さん、ここでも、ほんとに自然に、気負いも衒いも無く、言ってみれば “楽に” 客席に余計な負担を一切かけずに、スルっと歌い切ります。歌い終わりのご挨拶でも、自分でも「余裕を持ってステージに臨んだ」とか言い出すくらいですから、松永里愛さん、もしかして、本気の大器晩成で、明日のハロプロを牽引するかもしれません。…いや、2019年のライブ映像から、先だっての2020年のひなフェスの映像まで、妖艶にして歌姫だらけのスキルお化けな Juice=Juice のお姉様たちに、まるで引けを取らず、時に、お姉様たちを凌駕して妖艶な松永さん、今後も目が離せません。

モーニング娘。’20 岡村ほまれ/M (PRINCESS PRINCESS) 

いや、あんた産まれてなかったでしょ!…って突っ込みは、今期の夏ハローに限っては禁句ってことで(ほまれちゃんのプリプリどころじゃない例が、後から続出するので)。まだプロとしてレッスンを積んで1年だってのが信じられない… ってことも、ほまれちゃんについては何度も述べてきたところですが、その印象を改めて刷新します。
こういう楽曲って、単純に歌詞を読んでも感動するものも多いけど、やはりステージで “歌われる” ことの醍醐味は、抑揚や空気の振動から演者の身体の細部の動きまで、あらゆるメディアを通じて “情感が伝えられる” ところが大きいわけで、その意味で、ほまれちゃんの楽曲披露によって、ちゃんと色んなものが伝わってくることに驚きます。

つばきファクトリー 新沼希空/会いたくて 会いたくて (西野カナ)

希空ちゃんが、こんなにも “しっとりとした情感” を伝えてくれることに驚いた次第です。あの、フレーズの切れ目で “しゃくりあげる” ような独特のハロプロ歌唱ってあるじゃないですか。希空ちゃんは、ずいぶんと基本に忠実なのか、あのハロプロ歌唱が大きく目立つメンバーでもあったんですけど、この夏ハローでの楽曲披露では、その独特な歌唱法を封印しています。希空ちゃん、こんな歌い方も出来たんですね。

って、この報告者は つばきヲタだから(← その通りです!)つばきメンバーへのコメントは割り引いて見ないといけない … そう思ってらっしゃる方も多いかと。でも、合間のMCで、矢島舞美さんも、新沼希空さんの歌唱に対して、こう言ってましたよ。「いいもの見た」って。

BEYOOOOONDS 江口紗耶/Lemon (米津玄師)

往復の通勤時間にも時給が欲しい、ないしは、通勤時間を含めて8時間の業務時間とカウントしてほしいと、そういったことを夢想している報告者です。でも、江口紗耶さん、この楽曲を披露するにあたって、お家のお風呂場でも練習していたんですって。

こういうの、所属してる事務所の正式な “お仕事” なんだから、事務所負担でレッスン場を借りて、事務所負担でボイストレーナーを付けるなり、個人練習ってことでカラオケなんかも事後に領収書の精算ができたりするんじゃないかって思いますけど、それらが想像通りかどうかはともかく、仕事とプライベートを別けることなく、お家のお風呂場でも練習してたんですって。そりゃあ、まだまだ若いメンバーであれ、真剣に歌っている姿に、立派に背骨が通っているように見えるのも道理です。

Juice=Juice 井上玲音/糸 (中島みゆき)

中島みゆきさんの楽曲です。全員曲でAKBがセレクトされてるってこと以上に、場合によっては物議を醸しかねないところです。というのも、ハロプロだったりAKBグループだったりって以上に、ずっと人生の大部分を併走してきたっていうファンが多いのが中島みゆきさんだから。あるいは、ハロプロの楽曲に、その歌詞の意味っていう側面で、正しく感動してるようなファンならばこそ、同時に中島みゆきのファンでもある… って方は、案外多いのではないかと思います(個人の観測範囲内で)。

井上玲音さん、そんな大向こうを、しっかり納得させて黙らせます。
先に松永里愛ちゃんの大器っぷりに期待と書きましたが、その上、井上さんまで加入して、Juice=Juice、将来に超期待ですね。すげえグループになるんじゃないかと。

BEYOOOOONDS 西田汐里/PRIDE (今井美樹)

お風呂場で練習した江口さんに続いて、西田さんは、外に音は漏れないって信じて、普通にお家で練習していたのだとか。BEYOOOOONDS の皆さんは、そういう練習の仕方を躾けられてでもいるんですかね。

そんな西田さんが歌うのは、当時モデルとしても活躍した妖艶すぎるほど大人な今井美樹さんの楽曲。昭和のおじさんにとってはリアルタイムです。で、幼いほどに愛らしい西田さんが、そんな妖艶すぎるほど大人な今井美樹さんの … って、この辺りがステージに立つ者の侮れ無さですよね。幼く愛らしいはずの西田さん、スッとぼけた京都娘だとばかり思っていたら、歌っている間は、思わぬ妖艶さを放射しています。なんだか、若い研修生の頃を知っているメンバーの成長っぷりに、成長していて嬉し切ない、って感じですね。

Juice=Juice 段原瑠々/見上げてごらん夜の星を (坂本九)

はっきり書きます。この『見上げてごらん夜の星を』を、朗々と斉唱するにあたって、段原さん、少し高音が乱れます。そして、少し乱れたってことが示すこと、それは、J-POPの、昭和歌謡の、バラード曲を、ネタとして令和の若きアイドルがカバーします♪ってわけじゃなくて、そうじゃなくて、ガチの、本気で、しっかりと旋律をフォローして、時代を超えて甦らせるべく、真剣な態度で挑んでいるってことです。

なにより、この曲を、朗々と染み入るように歌いあげて聴かせるとは!
その斉唱だけでなく、この仙台公演で、唯一、ステージの左右までちゃんと使って全部の客席に向けて歌を伝えようとしていた段原さん、この公演のMVPかと。

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ずいぶん長くなっています。船木結さんの歌唱から以降は、後半戦ってことで次のページへ。

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