M-line Special 2021、7月の横浜公演で明らかになったソロとしてのそれぞれの魅力

圧巻の歌姫 鈴木愛理

順調にトークの脈絡を見失って、まったく “らしい” ところ見せてくれた鈴木愛理さん、もちろん、”らしい” のは、歌い手としての愛理さんこそ。
この愛理さんの歌い手としての素晴らしさについては、愛理さんオリジナルの『Be Brave』(愛理さんのデジタル・ダウンロードシングル)に触れるべきですが、むしろハロプロのカバー曲について述べた方が伝わるのではないかと思って以下。

セトリにあるとおり、オープニングの2曲目には、Juice=Juice から『生まれたてのBaby Love』が配されています。この楽曲は、曲の終盤での大斉唱パートが印象深いことでも知られています。あの、高木紗友希さんからの宮本佳林ちゃんさんへの接続部分です。
で、この高木紗友希さんが担当していた斉唱部分を、しっかり愛理さんが担当します。これ、高木さんのパフォーマンスと(報告者の脳内調べで)比較すると、やや抑揚的に平板で、音をそのまま投げ出したかのような感じもあったんですけど、その分、声量が圧倒的で。その圧倒的な声量に気づいてみると、平板かと思われた音の抑揚も、その圧巻の声量の範囲内で微妙に上下してるのがわかります。
わたくし、むしろ、この愛理さんの斉唱に続いて、ちゃんと自分のパートを担当して見劣りしなかった佳林ちゃんをこそ素晴らしいと称揚したい思いに駆られるほど、それほど愛理さんの『生まれたてのBaby Love』斉唱は、すさまじかった。

いえね、だって愛理さんは、つばき楽曲の『今夜だけ浮かれたかった』でも、曲終わりの大盛り上がりパート、岸本ゆめのさん ~ 浅倉樹々ちゃん ~ 小野瑞歩さん ~ 小野田紗栞さんの、あの4人分の斉唱部分をたった一人で全部担当するんですよ。とりわけ、瑞歩さんから さおりん への流れを(それ以前のパートから続けて)歌い切って、余裕ありまくりなのは率直に感嘆します。

これにはメンバー側からも証言が出ていまして。

夜公演の終わりのご挨拶で、宮本佳林ちゃんさんは、こんな話をしてくれます。
佳林ちゃんは、愛理さんとペアで GAM(松浦亜弥藤本美貴)の『LU LU LU』をカバーします。「私はハモれない人」と自虐しながら、そんな自分だから、この曲をカバーするにあたっては、主メロ側を覚えることにして、ハモリは鈴木さんに担当してもらおうと思っていたら、練習してるうちに、ハモリの方を覚えてしまったのだと。最初に打ち合わせしていたパートを間違えたのに、余裕で(本来の予定と違う)主メロの方をサクッと担当しちゃえる愛理さんの対応力に驚いたと、そんなことを佳林ちゃんは話してくれたのでした。

微妙に突っ込みに躊躇するくらいの独特な暴走の仕方をする、おどける愛理さんは、こと歌唱に関しては、やっぱりハロプロを代表する大エースにして、圧巻の歌い手であります。依然として。

ハーモニーの魅力とぶっちゃけと Bitter & Sweet

そんな愛理さんに Bitter & Sweet の2人が加わって、私たちは “ハーモニー” というものの威力を思い知らされることになります。

あさひちゃんも、長谷川さんも、美しいお姉さんに成長していたことは特筆大書したいところですが、そんなお姉さんたちの実に端正な美しさよりも(← ぶっちゃけ、真面目に美しくてビビったことは秘密)その歌唱の調和こそ驚きです。

自分たちのオリジナルな楽曲もセトリに加わっていますが(昼公演『だけど会いたい』、夜公演『インストール』)、楽曲丸ごとの迫力や押し出しを演出しなければならない関係上(とりわけ夜公演の『インストール』は強めの楽曲だし)主旋律を歌うことに一定の人員と労量を割かねばならず、そのハーモニーの魅力、複数の和音が調和することによる空気の振動の変質にあたって、Bitter & Sweet がどれほどの力量を示すかは、やはり自分たちオリジナルよりもハロプロカバー曲でこそ明らかだったりします。

Bitter & Sweet は、℃-ute 曲から『地球からの三重奏』とラストの『何故 人は争うんだろう?』にて、その主旋律を支える音の調和の魅力を、これでもかと見せつけてくれます。こればっかりは、この日のステージが、ブルーレイ化されることを願いたいところ。
『地球からの三重奏』なんて、昼公演と比べて、すでに夜公演でさらに和音が向上してるのが聴き取れたりして、さらにビックリです。素晴らしかった。

今般の横浜の公演では、つばきファクトリーから『I Need You ~夜空の観覧車~』にも参加していた Bitter & Sweet ですが、昼公演のMCによれば、この『I Need You ~夜空の観覧車~』の元曲(「観覧車」という仮タイトル?)を、ビタスイの2人もレコーディングしていたんだとか。つばきの楽曲としてリリースされて、あの曲だと驚いて、この M-line Special で小片さんと共演するから「何を歌いたい?」と聞かれて、この曲を選んだんだと、そう長谷川さんは話してくれます。

このことだけでも、セトリにはメンバーの希望もかなり勘案されること、どのアーティストの楽曲となるか、どのグループの楽曲となるか決まっていない仮歌がたくさんストックされていること、リリースするかどうか未定なまま、それぞれにレコーディングさせてみて、いろいろ判断してるってこと… …などなど、いろんなことがわかる長谷川さんのトークでした。
なるほど、トリプルA面だったり、Additional Track だったり、いろいろリリース形態が変化するのは、その時々の押し出しの戦略だけじゃなく、楽曲のストック状況も影響してたりするんですかね。

また、この M-line Special に参加してハロプロの楽曲をカバーするにあたり、「フォーメーションダンス、頑張った」という あさひちゃん。それを受けて長谷川さんは「ビタスイ史上最速の動き」だと言います(昼公演)。「メトロノームで153bpm」とか言っていたのを、「○○技法」とか聞き間違えて、要領を得ない受け答えをしちゃう愛理さん、どうやらトークのネックは滑舌の悪さだけではなかった模様です。

夜公演でも、同様にハロプロの楽曲をカバーするにあたり、事前にビタスイだけで、公園でヒールを履いて「ダンスを合わせていた」という あさひちゃん。地面が砂のところやアスファルト、砂利など、条件をいろいろ変えて、ヒールを履いて、ダンスの練習に明け暮れていたんだとか。それでも、リハーサルでいろいろ変更になるところに合わせて行けず戸惑うことも多かったけれど、メンバーの皆さんが優しかったと述べる長谷川さんでした。

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さて、この横浜の公演には、いよいよ正式メンバーとしてフル参加する小片リサさん。その小片さんの様子については、ページを切り替えて。

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