石田亜佑美、健気な不器用さを隠せぬまま モーニング娘。’24 を横浜アリーナで卒業!

はじめに モーニング娘。は文化

オープニングから(報告者の脳内比で、昨今の卒コンに倍する)勢いが感じられていただけではありません。当日の主役である石田亜佑美さんの気合いが、いつにも増して会場に伝わっていたから、ってだけでもありません。これは(卒業後の石田さんが、そうなることをメンバーに強要された)ツアーの全通を誇るコアなファンには「今更かよ!」と叱られるかもしれませんが、若いメンバーの溌剌とした、それでいて軽快な一方でしっかりとしたパフォーマンスの迫力に驚いておりました。個人的に山﨑愛生ちゃんばっかり見ていたからってわけでもないでしょうに、愛生ちゃんがセンター… っていうかパフォーマンスの主軸となっている場面が多くて、そのことにも驚いただけでなく、17期メンバーが、しっかりとモーニングのパフォーマンスの一翼となっていることに、やはり眼を奪われた次第です。とりわけ井上春華さんが、ときにステージ上でも自信なさげな様子が見えてしまっていた井上さんが、これほど力強く先輩たちに伍してパフォーマンスしています。斉唱部分の歌割については、井上さん、すでに “伍して” どころか、曲によっては先輩たちを凌ぐほど。

そんなわけで、初っ端から “おおっ!さすがモーニング娘。!” とか思っていたんですけども。

比較的新しめの楽曲が続いてると思ってたオープニングからの3曲め、『愛の軍団』で、すみません年齢的に涙もろくなっているのか、前頭葉の感情抑制機能が衰えているのか、いきなり涙が出ちゃいまして。

往時、道重さゆみさんが率いる年号付きでないモーニング娘。が、この楽曲を力強くパフォーマンスしていた頃のメンバーは、この日卒業する石田さんを含めても3名のみ。それ以外の10名におよぶメンバーは、当時はまだ不在です。なのに…。

それも、どこか “先輩たちの楽曲をパフォーマンスさせてもらっている” 的な、慇懃な、控えめな、礼儀正しいようでいて距離を取っているような、そんなスタンスではなく、当たり前ですが、あくまでも自分たちの楽曲として、力強く、堂々と、明るく、気持ちよさそうに、溌剌と、思いっきり、激しくそして正確に、パフォーマンスしています。繰り返し当たり前ですが、弓桁朱琴さんも、櫻井梨央さんも。

楽曲のリリース当時は、モーニング娘。に居ないどころか、まだまだ幼くて、テレビに映ったキラキラには憧れても、明確にモーニング娘。を意識すらしていなかったであろう若いメンバーが(おそらくは昨今の技術水準の向上からファンの脳内補正を取り除いてみるならば)もしかしたら往時の先輩メンバー以上の強くしかし正確なパフォーマンスで、先輩たちから引き継がれてきた楽曲を、自分たちのものとしてパフォーマンスしています。

さらに言うなら、会場を埋め尽くす観客は、おそらく古参も多く、『愛の軍団』当時(2013年)からのファンとなるともっと多く、そこから “ずっとハロプロを観続けて来た” ファンだって全然珍しくないって中で、そんな、先輩たちのパフォーマンスを実地に知っている多くのファンたちを前に、堂々と、明るい表情で、自分たちのパフォーマンスの中に昇華して、これほどのステージを見せつけるとは…

… いや、石田さんの卒業ライブだってことは重々承知しているんですが、その “卒コン” ってことも含めて、伝統だなあああって思ったのです。もちろんそれは、ライブを振り返っている今だから想起できることで、ライブの真っ最中は、そんなことを意識することもないまま、なんだか涙が出てきてしょうがなかった。

前半部分が『愛の軍団』なら、ライブの後半で『わがまま 気のまま 愛のジョーク』にさしかかったときもヤバかった。ライブ本編中には『恋愛レボリューション21』ってな楽曲もセトリに組み込まれていたわけですが、上に言及した『愛の軍団』や『わがまま 気のまま~』 は、そうした黄金期のレジェンド楽曲と比して、ずっと見てきたファンにとっては、わりと最近のもの… って感覚もあるので、これらの楽曲で “伝統” を感じさせられるのは、少々、意外だったというわけです。

モーニング娘。… いや、ハロプロは、エンタメとかアイドルとか、なんかそういうのを超えて、もはや “文化” です。

本来は触れられないはずの「文化」を、眼に見えないはずの「継承」を、形にして見せてくれるのが、ハロプロですね。
なんか、”なんてこった!” って感じです。

特異な美少女 小田さくらと山﨑愛生

ええ、石田さんの卒コンだってことは、わかっております。ただ、ハロプロの伝統性について触れてしまったので、それに関連して。

メンバーを入れ替えて長く続く中で、その “継承性” が際立ってきたことが、ハロプロの伝統ってだけではありません。あんまりハロプロ以外のところと比較するのは好ましくないんですけど、その初っ端からバックステージをファンに見せていたことや、アイドルとして可愛らしさで売る以上に、楽曲&パフォーマンスのガチ路線を打ち出しているところなど、ハロプロの特異性って、いくつも挙げられるんですけど、中でも、メンバーのちょっと独特な魅力を挙げたいところです。

小田さくらさん、たいへんに魅力的です。
歌姫とも称される歌唱面でグループを牽引しているところ、オーディション当時からの涙袋が印象的な愛らしい顔立ち、細かく後輩にかまう世話女房気質などなど… 小田さくらさんの魅力はいくらでも挙げられますし、記事末の関連リンクにも掲示してあるこちらの記事(→ 「モーニング娘。’19 石田亜佑美は「喜びを素直に表現するのが下手な人」 小田さくらの復帰にこの表情」)にもあるように、小田さくらさんの歩んできた12年近い日々自体が魅力的ではあるわけですが。

なんか、上記のように、個別に列挙できる点には還元し切れない “小田さくらという魅力” がありません?

いや、そりゃあ、個々のファンは、個々の推しについて、唯一無二の魅力を感じていることは言うまでもないでしょうけども(報告者自身も、道重さゆみさんとか、熊井友理奈さんとか、小片リサさんとか、新沼希空ちゃんとか… そりゃもう “唯一無二がいっぱい” なんですが)、たとえば「可愛い」とか、たとえば「美人」だとか、「貢献度が云々」とか、「技量が卓越」とか、そうした語りに回収されない、“独特” としか言い様のない、特殊な魅力が輝いているメンバーっていうのが、あくまで個人の観測範囲で、ハロプロには多いように思います。(もちろん、可愛いし美人さんですよ、もちろん)

たとえば山﨑愛生ちゃん。
言うまでもなく可愛いし、時折、めちゃくちゃ美人さんで腰を抜かします。とりわけ今般のライブでは、楽曲のセンターだったり、パフォーマンスの主軸となっている場面が多く、わたくしが愛生ちゃんばっかり見ていたせいかも知れませんが、スクリーンに抜かれる頻度も多かったようにも思いますが、実に魅力的ですよね。

その “魅力的” であることの内実を、上手に言葉にできない点で、愛生ちゃん(繰り返し、もちろん、可愛いし美人さんですよ、もちろん)突出してるようにも思います。人として… というか、周囲を認識してる意識がそこに産まれてることの驚きというか… ステージ上の場位置移動で、”ああ愛生ちゃん、そこに行こうと思ってるんだね” と思って切なくなってしまうというか… なんか、あまりに独特な魅力で自分でもビックリです。

ハロプロの特異な魅力として、言語化し切れぬ異様なメンバーの特殊な魅力があることに触れてしまいましたが、個人的には、11期の小田さくらさん、15期の山﨑愛生ちゃん、抵抗できずに、ずっと見ちゃうよねってことで。新しいところでは、16期の櫻井梨央さんも。

そして 石田亜佑美さんのこと 不器用な笑顔

石田さん、アンコール明けのセレモニーでは、しっかりお手紙を朗読してくれます。
ステージから眼が離せない場面であったので、手元を見ないでメモしてきたら、レポを書こうと思ってもメモ内容は読み取れず(ごめんなさい)記憶に頼るしかないので、概略しかお伝え出来ないわけですが、こんな感じのお手紙でしたよ(↓)。

  • 卒業フィーバーの半年でした
  • まちがえました(← 行を読み飛ばした?)
  • 負けず嫌いだった私に、まず楽しんでみようと教えてくれました
  • 私のことを凄い人だと言ってくれる、皆さんも凄い人たちです
  • 私がデビューした2011年は東北に大きな悲しい出来事がありました
    でも、私が見てきた東北は、いつも前を向いていました
  • 宮城を背負わせてくれて、ありがとう
  • 私に “愛おしい” という気持ちを教えてくれて、ありがとう
  • 10期はよく些細なことで喧嘩してました
  • みんなが応援してくれたアイドルは、今、最高に幸せです!

そして、お手紙を読んでいる最中、時折、泣きそうになっては、それを無理やり笑顔で打ち消す場面もありました。
いずれも、自分が泣きそうになってるってことを自分で自覚していることが周囲にわかるように、泣き顔を打ち消すために無理やり笑顔になっているってことを自分で自覚していて、それがファンに伝わるように、”演劇的” と言って良いような、ちゃんと意図してその表情をしていることが、そこまで含めて周囲に伝わるような石田さんです。

ライブ中のコミカルなトーク部分でも、”ほら私、いま、面白いことを言っていますよ” 的な感じで、ちゃんと意図していることが伝わるような形でおどけることも多い石田さんです。それは今般のライブだけの話ではなくて、Dマガのバックステージ映像でも顕著。メンバーから石田さんへのメッセージ(後述)には、石田さんの笑顔の素晴らしさに触れるコメントが多かったけれど、あくまで報告者が見るところ、石田さんの笑顔って、なんだか不器用だなって思うのです。

思えば、10期メンバーが加入してすぐのモベキマスのイベントだったか、そのバックステージ映像として、たぶん『ハロプロ!TIME』か何かで、加入早々のメンバーに密着した動画で、どこぞの野外会場にバスで乗り付ける場面がありましてね。(調べれば… ってか目の前のDVDを観ればわかるんだけど、あえて記憶で続けます)そこでも、バスから降りて、Berryz工房のお姉さまにイジられてる13年前の石田さんが、ぎこちなく笑顔を見せる場面が。

… 石田さんの、この不器用な、ちゃんと “造った” 笑顔は、ずっと同じだったなあと思います。

これは、ぎこちなかったりすることを、ことさらに指摘して、不器用であることを際立たせる意図があってのものではありません。そうではなく、石田亜佑美さんは、加入当初から、卒業ライブの当日まで、ずっと、ずっと、ちゃんと笑顔を造ろうと、笑顔でいなきゃいけないと、そうしっかり意図して、自分を律していたということが言いたいのです。

石田さん、その意味で、ずっと不器用だった。
奇跡の横顔と言われた端正な顔立ちも、小さな身体でモーニングのダンスパフォーマンスを牽引した卓越した身体能力も、石田さんの魅力を語る言葉はいくつも挙げられるけれど、でも、報告者の見るところ、石田さん、ずっと不器用だった。ずっと、愛すべき “ぎこちなさ” が隠せない、正直なメンバーだった。石田さんの “隠せないところ” が、モーニング娘。の魅力を私たちに伝えてくれたところも多かったし、その不器用さが、ずっと健気でした、石田さん

モーニング娘。’24 コンサートツアー秋 WE CAN DANCE !〜Blå Eld〜石田亜佑美 FINAL

なんてことを調子に乗って語っていたら、なかなかの長文になってしまったので、慌ててページを切り替えて、ライブの様子は次のページで(ごめんなさい)。

ただ、ドローンが飛んでて、これまで観たことなかったような画角のスクリーンも楽しかったよね。

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