ハロプロカウントダウンライブ Goodbye&Hello 2018~2019、小細工なしの直球勝負は積み重ねた日々がモノを言う!

個々のグループの出し惜しみないパフォーマンス

そんな2018年を送り2019年を迎えるカウントダウンライブのセトリに沿った個々のレポートは後述するとして、いくつか強い印象を残した楽曲について先に。…って、こう述べて、セトリの最初っから全曲の感想を述べ始めて、”いや、さすがハロプロ、全曲が全曲とも、会場を揺らせていました” みたいなことを書こうかとも思いましたが(← 実は、偽らざる本心)、本当に、何曲かだけ。

1部15曲目:今夜だけ浮かれたかった(つばきファクトリー)

つばきファクトリーは第1部で『夜空の観覧車』と『春恋歌』の披露の後、軽くご挨拶のMCを挟んで、秋のフェスでも強い印象を残した3連曲を繰り出します。その並びのラストで、この曲のイントロが流れてきた時に客席から「うおおおん!」という歓声が上がったのは、あながち投稿者が つばき推しだからってわけじゃないかと。とりわけ、つばきファンばかりが集まる つばきファクトリーのライブやイベントではなく、幅広くハロプロファンが集うカウントダウンライブだというのに、やはり他の曲とはイントロでの響き具合が違うってのは、明らかに感じられるところです。

つばきファクトリーは多くの良曲に恵まれ、2018年は “躍進した” と言っても過言ではないとはいえ、もう一つ大きく跳ねるには、メディアへの顔出しはもちろん、ライブでも、たとえば Berryz工房の『一丁目ロック!』(後述)のような、大きく客席を巻き込む定番曲が欲しいところ…などと考えていた2018年後半の投稿者ですが、この『今夜だけ浮かれたかった』に、いつの間にか上に述べたような客席を大きく巻き込むコールが産まれていたりして(って、わたくし、比較的切れめなく、ほぼほぼ皆勤で、つばきイベ・ライブに顔を出しているのに、何故、気付いてないかと)。

そして大きく特筆したいところ。
この『今夜だけ浮かれたかった』のイントロが流れてきたとき、客席が揺れただけでなく、ステージ上でスタンバってるメンバーたちの表情にも、ニヤリと不敵に微笑むようなところが見て取れます。とりわけリーダー山岸理子ちゃんの、”みんな、待ってたよね” とでも言うかのような笑みは、スクリーンに抜かれなくとも、ステージから遠い残念な席次までも届いた次第。総じて、つばきメンバーに漲る自信が感じられる、そんな楽曲へと成長しているようです。

1部18曲目: GO TO THE TOP!! (こぶしファクトリー)

何が凄かったって、アカペラバージョンでお送りされた『GO TO THE TOP!!』の井上玲音さん。井上れいれい、ボイスパーカッションでこの曲に参加します。

井上さんの何が凄いって、まず第一に、そのボイパが凄いってことを挙げねばなりません。
元々、ボイパについては特別に先生について練習してる模様からライブでの披露まで公開してましたけど、しばらく見てない間に(← すいません)ボイパそのものが長足の進歩を遂げています。パーカッションの打音を模した口腔内の大きな響きの合間に挟まれる息継ぎを兼ねた歯間の擦過音なども、うっかりするとシンセサイザーで加工されてるのかと思うほどの出来映えです。いや、この辺りは専門家に是非とも聴きたいところですが、少なくとも、過去 Web 配信番組でも生のライブでもリリイベでも、井上さんのボイパについて耳にしてはいた投稿者が、今般のカウントダウンで驚いたってことは(つまり、専門的な評価ではないにしろ、投稿者の脳内比で)記しておきたいかな、と。

そして井上さんのボイパの凄かったところは、第二に、他のメンバーのアカペラのリズム的な底支えを一手に引き受けていたところ。
個々のメンバーも、それぞれ自分が前に出て主旋律を奏でるだけじゃなくて、ところどころ伴奏に回ったりして(それでなくとも楽器による導きがないところで)自分の音を見失わないように、見失っていないつもりでも他のメンバーと齟齬を来さないように、自分の発声以外にも、いくつもの音を同時に把握している必要があるアカペラでの楽曲披露ですが、それが僅かでも容易になるべく、井上玲音さんのボイパが、全体のリズムを支えていたということ。

加えて第三に、アカペラでの歌唱と自在に切り替えていたこと。
ボイパで全体のリズムを支えながら、そんなボイパ一辺倒ではなく、『GO TO THE TOP!!』のアカペラ披露にあって、しっかり歌割りを担当して、普通に歌う部分とボイパを切り替えながら楽曲に参加していたところ。”うわあ、れいれい、ボイパすげえなあ” などと呑気に鑑賞していて、気がついたら、ちゃんと歌ってもいること、歌った後に(旋律を担当した後に)ボイパに復帰していることに気付いて、腰を抜かした次第です。

そして…そんな井上玲音さんに気付いてみれば、小刻みなステップにまで味がある野村みな美さんだったり、『きっと私は』のオープニングとエンディングでの振り返りはまちゃん(浜浦彩乃さん)の、むしろバランスを逸脱しかねないスタイルだったり…こぶしファクトリーのステージングの熟練度合いに今更ながら気付かされるって意味でも、印象深い一曲となりました。

1部29曲目:Fiesta! Fiesta!(Juice=Juice)

カントリー・ガールズと、つばきファクトリーと、こぶしファクトリーが、それぞれ5曲ずつ披露したから、続く Juice=Juice も5曲かなって思うじゃないですか。それがいきなり『銀色のテレパシー』から比較的懐かしめの『Dream Road』なども含めて、立て続けに7曲披露しての Juice パート8曲目。

上に述べたとおり、つばき『今夜だけ浮かれたかった』で客席の歓声に会場が揺らいだと報告しましたが、この『Fiesta! Fiesta!』のオープニングが流れてきたときの会場の歓声は、それを凌ぐほどで、思うに今般のカウントダウンで一番に大きいものだったのではないかと。

楽曲披露中の全てに渡って客席が大きく呼応して中野サンプラザが揺れているわけですが、サビの “Fiesta! Fiesta!” で、客席から呼び返される “Fiesta! Fiesta!” のコールが凄まじくて。

ここから続けて第1部の Juice パートのラストとなる『 Goal ~明日はあっちだよ~ 』への流れ(および、その次の曲へと向かう宮本佳林ちゃんの客席大煽り)も圧巻ならば、この怒濤の第1部で温存された楽曲を惜しげもなく放出した第2部も含め、Juice=Juice パートは、今般のカウントダウンライブにあっても白眉となったかと思う次第ですが、いや、何よりも『 Fiesta! Fiesta!』に差し掛かった時の中野サンプラザの「どおおおん!」という揺れは、物理的に実測できるのではないかと思われるほど。

…時間や予算など、諸々のリソースの制限から現場参戦先を絞らねばならぬのは、皆様、多かれ少なかれ共通した悩みかと思いますが、こういうのを見せられる度に、ほんとに、どうして自分が産油国の王族ではないのか、その理不尽さに圧倒されますよね。

1部31曲目:大器晩成(アンジュルム)

もうアンジュルムの『大器晩成』は卑怯と言っても良いレベル。ハロプロ内でだけじゃなく、他のアイドルグループと対バン的にパフォーマンスするステージにあっては、”公平な鑑賞体験” を担保するためにこの楽曲は封印すべきだと、そう法律に記すべきだと思うほど。

この『大器晩成』は、アンジュルムパートの初っ端です。上に述べたように、アンジュルムパートに先行する Juice=Juice パートが異様に盛り上がったまんま終わったので、その後に出てくるグループは、普通に考えて “やりにくいこと甚だしい” わけですが、1発目での『大器晩成』は、Juice パートでの盛り上がりの火を消さないまんま、しかし、正しくアンジュルムのカラーでステージを染めて、やっぱり形容し難い勢いで中野サンプラザを揺るがし続けます。ちっとも盛り上がりが冷めないんですから、そりゃ終わってみれば疲労困憊っすよね。

何より、前段となる Juice=Juice パートからの盛り上がりを引き受け、一切の途切れなく盛り上がりを継続させた『大器晩成』に続けて、まったく中弛み的なところなく、その後のアンジュルムパートが駆け抜けるようにパフォーマンスされたこともまた明記しておきたいところです(その意味で『マナーモード』の鉄板化は注目されて良いのではないかと:後述セトリ参照)。そう、いつの間にかアンジュルムにあっても(かつてのスマイレージ曲だけでなく)いわゆる “勝負曲” といったものがズラっと並ぶことに。

誤解されるかなと思って書かないでおこうかと思ったけど、やっぱり書こうかなと思ったこと。今般のカウントダウンライブ、もしかしてリハーサルの時間が十分ではなかったのか、どのグループも、たとえば場位置移動に戸惑うような場面が比較的多めに見え隠れしたりしなかったり。それぞれ、ステージ上での、ちょっとしたミスみたいものが目立ったんですけども、それでも各ユニット、何ごともなかったかのようにリカバーしていたのは見事だった次第で、それが際立ったのがアンジュルム。
(だからミスが目立ったとか、そういう意味じゃないから、誤解しないでね。)
ちょっと何名かが場位置の移動を見失ったりするようなところで、 “いえ、ぜーんぜん、なんでもありませんよー” 的な取り繕いが、そうと客席にバレていながら、メンバーもバレたと自覚していながら、それでも笑顔で(← これが大事!)何でもなかったようにシレっとしてる、その態度の堂々としてることったら、見ていて清々しいほどです。

1部45曲目:花が咲く 太陽浴びて(モーニング娘。’18)

他のグループに比べて、今般のカウントダウンライブ第1部におけるモーニング娘。は、その披露する楽曲それ単体で会場を揺るがすような、そんな鉄板の勝負曲を持ってくるところが少なかったようにも思います(でも第2部では:後述)。

ところが、楽曲それ自体でドヤるのではなく、楽曲を丁寧に丁寧にパフォーマンスすることで、静かに、じわりと、客席にゆるやかな鳥肌を立てにかかったのが “ワンエイト” として最後のパフォーマンスとなったモーニング娘。です。それが一番に如実だったのが、この『花が咲く 太陽浴びて』における譜久村聖さん、佐藤優樹さん、小田さくらさんのトリプルボーカル

とりわけ大きく斉唱するようなところでもなく、特に激しくガナるようなところでもなく、しかし、そのボーカルの渋みを効かせた振動が響いてきます。いや、佐藤まーちゃんの客席を掴みに行ってる直感的で雄々しいほどのパフォーマンスがすばらしいこと、言うまでもなく小田ちゃんのボーカルが卓越していること、譜久村さんのパフォーマンスが、自ら前に出て目立つ場面よりは、他のメンバーのパフォーマンスを支えて全体を調整するような局面でこそ抜きん出て優れていること…こういったことは、特段、モーニング娘。に専心しているわけではないハロプロファンにあってもよく知られたことでしょうけど、 この『花が咲く 太陽浴びて』での3人の(お互いに意図して合わせに行ったのだとは思えない)調和の取れたボーカルの重なり合いは、ほんとうに素晴らしかった。

譜久村さんや小田ちゃんが、自ら意図して、他のメンバーのフォローに出ること、バランスを逸脱しない調整に心を砕いていることは見やすいところですけれど、思うに、その調整の一番のターゲットとなる佐藤まーちゃんの大迫力の暴走は、譜久村さんや小田ちゃんが、そうしてくれると信頼して、だから安心して半ば意図的にしている暴走でもあったと、だから実は、その暴走こそは、全体のバランスに則ったものでもあったと、そのことが明らかになったパフォーマンスでもありました。素晴らしかった。

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