切り取られた断片に刻まれた人生の記録 その4 ~ハロプロ DVD Magazine ご紹介『Juice=Juice Vol.5、Vol.6』~

はじめに

Juice=Juice は、メンバー5人が5人とも、いつの間にか、ほんとうに歌えるグループへと変貌を遂げており、プロフェッショナルなボイストレーナーの威力を今更ながら感じさせますよね。菅井先生、すごいよね。

そんなシャープなボーカルを誇る Juice=Juice は、これまた、いつのまにか、見事なステージングを見せるようになっています。その歌唱力だけじゃなくて、ほんまに、きっちりと “歌って踊れるグループ” となっています。専任で Juice=Juice を追っているファンの方々には、失礼な物言いとなってしまうかとも思いますが(すみませぬ)、正直、見違えますよね。
Juice=Juice は、私見では、そのパフォーマンスによってこそハロプロに君臨する、あのお姉さんグループを、きっちり射程圏内に捉えつつあるようです。
個人的で申し訳ないんですけど、あの『太陽とシスコムーン』の「Magic of Love」のカバーなど、宮本佳林さん、高木紗友希さんのすばらしい斉唱以上に、そのバックで、ゆっくりと、淡々と、しかし楽しげに落ち着いたダンスを見せる宮崎由加さん、金澤朋子さんや植村あかりさんの様子は、どこかしら胸に迫るものがあります。

そして、実は「お姉さんグループを射程圏内に捉えた」のは、歌とダンスのパフォーマンス面だけではない模様。
ステージでのパフォーマンス面での自信が影響してか、ステージ以外の場面でメンバーたちの「キャラを出す」ということについても、どこか堅苦しいというか、「キャラを出さねば」という義務をなぞるような感じすらあったところから、徐々に「はっちゃけ」にも味が染みてきたようにも思えます。そんな、ゆっくりとではあれ、ちゃんと自信を持って自分を前に出せるようになってくるプロセスもまた、あの、お姉さんグループの軌跡をなぞっているかのようですね。

ハロプロ DVD Magazine ご紹介 続編 Juice=Juice 編

そんなわけで、そんな Juice=Juice の変貌著しい様子を垣間見せてくれるのは、やはり DVD Magazine (以降「Dマガ」)です。

かつて、ハロプロの Dマガ について強くお薦めする記事を投稿して公開いただいたことがありました(下記、囲み参照)。今回は、その続編の試み。ハロプロの Dマガ を「強くお薦めする」フリをしつつ、実際には、つばきファクトリーの Dマガ を単純に希望していただけだったわけですが、そしたらメジャー・デビューに先立って つばき の Dマガ が発売されちゃったこともあって、流れた当事者(← あっ!)としても、それに言及しないわけにはいかないといった個人的な事情を度外視しても、先のご紹介以降、各グループの Dマガ が順調に刊行されちゃってることなどから、こりゃ続編必至だなと覚悟した次第。

とりわけ Juice=Juice は、そのお薦め記事を投稿してから、すでに2本も Dマガ をリリースしております。そりゃ、続編で言及しないわけにはいかないのではないかと(ってか投稿者が書きたいだけですけども)。

「本番、よろしくおねがいしまーす!」Juice=Juice Dマガ Vol.5

Juice=Juice DVD Magazine Vol.5 は、初めてのバックステージ密着系。
これまでの Juice=Juice の Dマガ は、Vol.1 から全部、企画ものでしたから、初のドキュメント系となります。

『Juice=Juice LIVE MISSION 220~Special Code→J=J Day 2015~』の10月10日、江戸川区総合文化センター(参考:「Juice=Juice LIVE MISSION 220 ~Special Code→J=J Day~」レポ)でのバックステージに、その前日のゲネプロから密着しており、ツアーのバックステージものは、モーニング、Berryz、℃-ute においてはレギュラーではあれ、Juice=Juice にとっては非常にレアかつ貴重な映像となっております。
バックステージのインタビューでは、メンバーたちが繰り返し、ステージが「恐い」との言葉を漏らしてます。先輩たちのバックステージのDマガでも、同様の言葉は聴けるところです。Juice=Juice も、そうしたステージへの姿勢を、徐々に(意図したわけではないとはいえ)踏襲しつつある模様。
ドキュメントとしてのレア画像以外にも、コメント撮りしている植村あかりさんを気遣って、しゃがんで通り過ぎようとするリーダー宮崎由加さんを、コメントしながら「とっ捕まえる」あーりー だったりと、愛らしいメンバーたちの姿も満載です。
食い入るように見るべし。

そんでもって、このバックステージの追跡には、それなりの、涙腺をやられる事情があったりして。

それは、℃-ute DVD Magazine Vol.35、37 でのこと。これらの ℃-ute の Dマガは、2013年のトレジャーボックスツアーを追跡したものとなっており、そこでは、千秋楽のパシフィコ横浜のリハーサルに臨む ℃-ute を、客席から見学するデビュー前の Juice=Juice の姿を確認することができます。ステージから、スタッフさんたちへ向けて「本番、よろしくおねがいしまーす!」とご挨拶する ℃-ute の姿を見ていたであろう Juice=Juice のメンバーは、この Juice=Juice DVD Magazine Vol.5 において、同じく勝負のライブに挑むにあたって、リハーサルにて、かつての先輩たちがそうだった通りに、スタッフさんたちへ向けて「本番、よろしくおねがいしまーす!」とご挨拶します。
これには、℃-ute の Dマガ を見ていたからというわけではなくとも、目頭が熱くなるのは避けられないところですよね。

そういえば、ハーモニーホール座間に向かうつもりが間違えた電車に乗ってしまって、OA(オープニングアクト)に遅刻しそうになって泣いている植村あかりさんが可愛いと話題になったのも、この ℃-ute の2013年トレジャーボックスツアーを追った Dマガでした(これは Vol.37 に収録)。初めての場所に一人で向かって心細かったとはいえ、迷子になって怖かったとはいえ、中学生にもなって、迷子で遅刻しかけたことが、そんなにも泣くようなことかと思う向きもあろうかと思いますけど、きっと先輩のステージのOAに対して、当時から、ちゃんとプロとしての責任感を感じていたからこその涙だったのではないかと、今から振り返るなら、そう思えます。
あーりー、可愛いっすよね。

そして、まだデビュー前だった Juice=Juice のメンバーたちが客席から眩しく見学していたであろう ℃-ute は、今や、その圧倒的な存在感とパフォーマンスの熱量で、他の追従を許さぬ独走状態にあるやにも思えます。けれども、そんな ℃-ute を、ゆっくりと、しかし確実に、他ならぬ歌とダンスというパフォーマンス面で、射程圏内に収めつつあると言って良い、そんな唯一のグループが、その先輩たちの勝負のリハーサルをデビュー前から見つめていた Juice=Juice であるという、この巡り合わせ

フラクタルな図形とは、どんなに細部を拡大しても、そこに全体が繰り返し現われるところに特徴があるのだとか。
先輩たちの軌跡をなぞって自分たちの物語を描く後輩たちという大きな絵図だけではなく、メンバーたちが、リハーサルでステージからスタッフに呼びかける「本番、よろしくおねがいしまーす」という些細な細部にも、どうやら、万巻の物語が読み込めるようです。

何よりも、終演後のインタビューで、テンションがおかしくなってケラケラ笑ってる宮本佳林ちゃんさんは、表向きのイメージだけしか知らなかった多くのファンの印象を、諸々覆すのではないかしら、と。

エクストラとして広島のお好み焼き作り体験も追加で収録。
撮影が進むうち、お好み焼き屋の女将さんとお互いの呼び名についてじゃれ合う様子(キヨコ・デラックスス by 高木紗友希)はとても愛らしく、自分でチーズを入れておきながら「何、これ、のびてきた!」と驚く宮崎さんは、やっぱりハロプロはリーダーこそが一番自由であることを再度例証しているかのよう。

この広島ロケは、本来は Vol.4 の企画だったもので、その広島ロケ当日は、植村あかりさんは体調不良で不参加であったとのことながら、Vol.4 においては、逆に あーりー にスポットがあたる場面も多々ありましたけれども、このエクストラパートには、こんどこそ、植村あかりさんは登場しておりません。

「100万だからね、100万!」Juice=Juice Dマガ Vol.6

Vol.6 は、海外公演も実現し、海外にも雄飛する Juice=Juice という無理矢理な設定で、東京ドイツ村にて自由に遊んで良いという、危うすぎる企画。
案の定、冒頭から植村あかりさんの表情が「自由」すぎます。「りんか、行け!」とか、佳林ちゃんさんの扱いも比較的ぞんざいです。そりゃ「反抗期」にもなるわな、と。

デニム地の丈の短いスカートを履いているにもかかわらず、果敢に走り高跳びに挑戦して、金澤朋子さんから「パンツ見えているし」と言われる植村あかりさんの姿が DマガのCM 動画でも(主に投稿者の脳内で)話題になった Vol.6 ですが、宮本佳林ちゃんさんに至っては、スタッフさんからチラリが指摘されでもしたものか、さかんにカメラに向かって「100万円だぞ!100万円!」と大騒ぎし、もしかしたら、自分たちが ”短いスカートを身につけている” ことを忘れているのかもしれないメンバーたちです。ちょっと自由すぎるかも。つーか、ここまで自由なら、いっそのこと、「こっちから丸見え」と述べるリーダー宮崎さん側の視点から(以下、自粛)。

球技に興じるかと思えば一輪車に乗ってしまったり「こんなに自由で良いの?(金澤)」との発言までも思わず当のメンバーから飛び出すほど。
ストラックアウトなど、さまざまなアトラクションを「思い思いに」と言うにはあまりにも勝手気ままに楽しむ様子に、「これ、大丈夫?(金澤)」との発言さえも飛び出すほど。
ゲームの途中であっても「ねえ、もう次行こうよ(宮崎)」と、リ、リーダーがやっぱり、あまりにも自由です。
でも、大丈夫なんですよ。投稿者の勝手な感想を続ければ、これ、Vol.1 とか Vol.3 くらいの時期にこの企画があったら、見ている側としても「だ、大丈夫なのか、これ?」と思ったであろう Juice=Juice ですが、この Vol.6 にして、当のメンバーたちが自由にふるまうことを恐れていないというか、自由にふるまっても大丈夫だと確信する部分があるというか、その勝手で自由な細かい発言のひとつひとつまでがメンバーたちの魅力をしっかり伝えるようなものとなっています(ぶっちゃけ、これには驚きであったと、正直に申告してみる)。

しいたけ狩りで、七輪でしいたけを焼くにあたっても、なにやら宮崎さんが語っている中、リーダーをまるっと無視して片方で塩をふる高木さんと佳林ちゃんさんあり、もう一方で「しいたけが苦手だ」と正面から主張できない「弱い」金澤さんありと(再度、弱い金澤さんも驚きであったと、正直に申告してみる)、ひとつの画面のあちこちに見所が詰まっていて、一度にすべてを見切れずに、リピート必至な仕上がりの Dマガ Vol.6 です。
しいたけを食べて腹ごなしの運動ということで竹馬に、一輪車に、バスケにと、興じようとするメンバーたちですが、その “言葉使い” からしても、自分たちが ”短いスカートを身につけている” ことを忘れているどころか、これが「アイドル」としての自分たちの物販企画であることすら忘れているかのような5人です。やっぱり、だ、大丈夫か、さすがに。
パターゴルフなど、やり続けるうちにルール(打ち始めた順番で交代するんじゃなくて、ゴールから遠い人から打つことなど)を、メンバーたちが、それなりに微妙に飲み込んでいくこと自体が驚きをもって受け止められるくらい(「あ、それでも、わかってやっているんだ」と)、そのくらい自由です。

さすがに、ラスト近くアーチェリーに興じる植村あかりさんは美人すぎて、そのはしゃいでる様子も何もかも可愛らしすぎるわけですけれども。

と言いますか、この「素」すぎる様子(ぜったい撮影だって忘れてる)から、あのドラマ『武道館』を想起するに、いかにも Juice=Juice メンバーたちは「しっかり演技をしていた」のだなと。プロだな、と。むしろ逆に、そこのところが鮮明になるくらい自由な仕様となっております。植村あかりさん、こんなに可愛かったりするのに、言葉使いとか、ぞんざいすぎ(← ほめてます)。いったい、あのストイックで優等生だった佳林ちゃんさんは、どこにいったのかと(← 繰り返し、ほめてます)。
さすがに「ドイツ一発ギャグ」と、微妙なジェットコースターでのアイマスクだけは、ちょっと怒って良いかもしれませんが(笑)。

「90、飛べなかったんだけど。これ、ヤバくない?」とニガニガしい表情の植村さんで終わるエンディングなど、かえって斬新かも。

自由な自分たちが成立するようになったこと、それが嬉しい Juice=Juice

自由に気取らず気ままに過ごしているその姿が十分絵になる魅力にあふれている。そのことが、ファンとして見ているこちら側も、そのようにふるまう当の本人たちも、わかっているかのような Dマガです。

圧倒的すぎる 先輩グループを、その先輩グループの圧倒的すぎる特徴的な魅力においてこそ、着実に射程に収めつつある Juice=Juice である、と冒頭で述べました。Juice=Juice が、その「その先輩グループの圧倒的すぎる特徴的な魅力」において、つまり「歌とダンス」において、℃-ute をしっかりとその射程に収めている以上に、自分たちが楽しんでいるそのままの姿が、ちゃんとファンにとっても嬉しいものとなっている、そのように「アイドルとしての在り方」としても熟してきている点でもまた、先輩たちの軌跡を、きちんとなぞっているようで、その意味でも、なんだか嬉しくなってくる Dマガでした。

ええ、グダグダといえば、それはもう、グダグダです。
でも、見終わって(いや見ている途中から)一緒にドイツ村で遊んでいるかのような、楽しい Dマガでした。見終わって、自分の口角があがっているのに気がついて、これまたビックリしますよ、きっと。

永遠回帰と同時に一回限りの再現できない希少さを

ステージに臨む姿勢と気持ちも。そして、ステージで見せてくれる歌とダンスの技の冴えにおいても。そしてさらに、ステージを離れても、キャラとして魅力を見せてくれる姿が徐々に馴染んでいくプロセスにおいても。
それぞれの局面で、しっかり先輩たちが辿ってきた道筋を、今また、あらためて後輩たちが辿り直す、その軌跡を見せてくれるのも Dマガ ならではです。

同時に、そのように ”同じ” プロセスを辿りながらも、先輩たちの軌跡を後追いしながらも、そこに先輩たちと同じ姿ではない、自分たちオリジナルの(場合によっては、あまりに自由な)魅力も示してくれるのも Dマガ ならではです。

投稿者の個人的な印象でしかありませんが、とりわけ ℃-ute との対比で、そうした様子が鮮明なのが、Juice=Juice であるように思います。専任として追っていなかったからこそ、その成長ぶりが如実だというか。

*****

総じて、ライブの物販グッズとして、「あはは」と楽しんで然るべき Dマガ ですが、ときどき投稿者は、自室に山のように詰まれた DVD に向って手を合せ拝みたくなることがあったりすることをお伝えしてみました。

引き続き、Dマガの敢行が継続してる カントリー・ガールズや こぶしファクトリーについても、ご紹介記事を順次投稿の予定。もちろん、つばき も。

(文=kogonil)

 

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コメント一覧

1 : avatarpuke:2016/05/20(金)00:50:14

>植村あかりさん、こんなに可愛かったりするのに、言葉使いとか、ぞんざいすぎ(← ほめてます)

密着系のvol.5の方では、激しいステージを終えて尚、元気の有り余った「オイ!オイ!」を届けてくれたかと思いきや、vol.6の方では、ヘマをやったメンバーに容赦なく「オイオイ⁉︎」を連発してましたね笑

つかみどころがなかなか見つかりません。そこが最高です。

2 : avatarkogonil:2016/05/20(金)21:13:05

> puke さん

>つかみどころがなかなか見つかりません。

「つかみどころ」があろうはずもない一人の生身の女の子に、「つかみどころ」を無理矢理みつけることが「アイドルを愛する」ことの醍醐味なのかもしれませんね。

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