【レポ】須藤茉麻 出演『ねこ軍議』 in 笹塚ファクトリー 2016/3/5 ~魔術師 茉麻と「認知」のまた別の意味~

はじめに

活動停止中のBerryz工房メンバー、須藤茉麻さんが出演する舞台が、笹塚ファクトリーで上演されました。
その「舞台『のぶニャがの野望』番外公演 ねこ軍議 ~飼い猫はどいつニャ?~」は、キャストを変えて複数回にわたって上演される定番らしく、今回は、その第何回目かの公演ということになるようです。今回の3月1日から6日までの公演でも、同じ配役を複数のキャストが回替りで演じる形で、我らが茉麻の出演は、3月5日のみ
前日の3月4日まではキャスト全員によるハイタッチ会があったようですが、茉麻が登場する3月5日は、ハイタッチ会はありませんでした(事前告知あり)。
また、茉麻が出演した3月5日の公演では、『クォンタム・ドールズ』でも共演した元℃-ute メンバーである有原栞菜さんとも再度の共演となりました。

こちらの公演を観覧してきましたので、レポートさせてくださいな。
茉麻は、過去最高に可愛くて、そして、茉麻も栞菜も、ハロプロのことを忘れていないみたいですよ。

ねこ軍議 ~飼い猫はどいつニャ?~

戦いに明け暮れる猫の世界は、いまや戦国時代。
上田の領地をめぐって、「さニャだ幸村(真田幸村)」の支配地に攻め込んでくる「伊達まシャムね(伊達政宗)」の軍勢。「さニャだ」と「まシャムね」が衝突したと聴き、その角逐の最中に割り込んでくる「織田のぶニャが(織田信長)」。
激しい殺陣が繰り広げられるが、「さニャだ」と「まシャムね」の左右からの打ち込みを受け止めた「のぶニャが」は「わしに本気を出させるか」と笑い「わしの部下にニャれ」と述べる。「わしは戦いのない世の中を作りたいのニャ」と。
「のぶニャが」の理想に共鳴した「さニャだ」と「まシャムね」は、「のぶニャが」と共に、世の中から戦いをなくすための「軍議」の場に望むことになる。そこへ、急に天から「猫神さま」の声が。軍議に臨席する猫たちの中に、人に飼い慣らされ、猫を人の世界に連れ去り、猫の世界を滅ぼそうとする「人猫」が紛れ込んだというのだ。
「人猫」は、昼の軍議のあいだは正体をあらわさないが、排除に失敗すると夜のあいだに一匹ずつ普通の猫を襲撃して人の世に連れ去ってしまう。
誰が「人猫」かわからない状況で、「人猫」をあぶり出して排除し、猫の世界を守らねばならない。
さあ、どうする!猫武将!

…というわけで、このお芝居は、いわばキャストが舞台上で、リアルに「人狼ゲーム」を実演しているところを見せてくれるという趣向です。
(詳しいルールを詳述しようかと思ったけれど、人狼ゲームは著名なので不要かと)
舞台は、誰が「人猫」かの議論が白熱する軍議パートと、一旦誰かを指名して排除してから、次の軍議が始まるまでの夜の時間(「人猫」が暗躍する時間)を交互に繰り返しながら展開します。

アドリブだから際立った俳優たちの高い技量

なんでも、この「人猫ゲーム」はガチで、冒頭の(上述した)殺陣や登場人物(猫物?)紹介など、限られた部分以外は全編アドリブで演じられるとのこと。

投稿者は 12:00 開演の一回目公演のチケットしか入手できていなかったのですが、ガチで全編アドリブだとか言われると、確認しないまま京王線にのって帰ってくるわけにはいかないじゃないですか。
というわけで、15:30 からの二回目公演の当日券を購入して、ほんまにアドリブのリアル人狼ゲームなのかを確認した次第。

結果、ほんまにガチのリアルなアドリブだった模様で、人猫役も、それに対抗する能力猫も、そして、それらをあぶり出していく軍議の模様も、一回目公演と二回目公演で全然違っていて、たいへんに楽しめました。
そのアドリブの予想できない展開をこそ楽しむ舞台であるからには、これはネタバレにはならないので安心して書くと、一回目公演では見事に人猫を排除し切って猫の世界を守ることに成功したものの、二回目公演では人猫を見抜けず、猫武将たちの敗北となったのでした。

ちなみに茉麻は、一回目公演では、一回目の夜の時間に早々に人猫に襲われて舞台から去り、二回目公演では、二回目の軍議で人猫役であることが暴かれて排除されてしまいます。
でも、排除されたり襲われて舞台から降りても大丈夫で、幕間(舞台上では「夜の時間」となり、軍議を終えてから人猫が暗躍する時間)には、表向きの舞台から排除された演者が登場しフリートークしながら自分に割り振られた配役を客席に明かす一幕が差し込まれています。
ですから、早々に排除されたら、それはそれで、茉麻のフリートークが、それだけ多めに観覧できるという次第。これも楽しかったです。

さて、そんなリアルにアドリブ全開のお芝居はというと、これが大変に面白かった。
ネタに走ったり、ネタに走りながらも誰かの発言の矛盾を問い詰めたり、アドリブ全開のガチ人狼ゲームなのに無理矢理「お約束」を持ち込んでみたりと、非常に面白い展開でした。
ガチのアドリブ全開ということは、人狼ゲームスタートと同時に、俳優たちは、いわば、放り出されるわけで、そこで、どう口火を切って議論を展開させていくか非常に難しいものがあるかとは思うのですが、ある者は笑いを取りに行き、ある者はキャラを造り、ほんまのリアルな人狼ゲームがときに陥るグダグダには決してさせず、しっかり客席を楽しませながらゲームを展開していく様子は(これまでの舞台で魅せられた「体術」といった側面とは別に)やはり非常に見応えのあるものでしたよ。すばらしかった。
アドリブだからこそ、自分のキャラを際立たせながらの当意即妙な舞台上の呼吸といったものを十分に堪能できるお芝居でした。
そして、そんなリアルなゲームの展開の中で、しっかりキャラを造った演者に、きっちりのっかって絡んで行く茉麻あり、人猫と(誤って)名指されて思わず「マジかよ!」と言っちゃう者ありと、とても楽しく、声を出して笑う場面もたくさんありました。

さらに投稿者は、やはり茉麻が参加していた『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』で、その体術に魅了された俳優さんに、この『ねこ軍議』で再会してしまって、やはり同様に魅せられ、舞台女優 須藤茉麻を追っているうちに、何人かの俳優さんのファンになってしまいそうだという、非常に危うい状況にあることをお知らせしてみました。
劇場に置いてあった次の舞台のフライヤーなんか、そっと持って帰ったりして。

演目によって印象をガラリと変える魔術師 須藤茉麻

かつて、その体術と、そこから想像される鍛錬に魅了された俳優さんたちに、今度はその当意即妙な呼吸に魅了されてしまった『ねこ軍議』、我らが須藤茉麻はどうだったか。

先に茉麻が出演した『クォンタム・ドールズ』のレポでも、ハロプロでの鍛錬によるビジュアルのパワーと発声の凄みについて言及しましたけれども、さすが、ハロプロにおいてもその自由さとコミカルさにおいて群を抜いていた Berryz工房を10年やってきただけあって、さすが、ステージ上での突発的なアドリブでも上品さを崩さず安心してそのコミカルな寸劇を見ていられた Berryz工房の、その母として看板を張っていただけあって、アドリブにドライブされた当意即妙の中でキャラを出すという点で、まったく危なげないどころか、他の演者さんたちの持ち込む「お約束」に、上手にのっかる茉麻です。
いやこれは、さすが茉麻!と思えるところでした。

そして茉麻が「さすが」なのは、個々のアドリブを上手に乗り切っているところだけではありません。

これまで Berryz工房が活動停止してからの茉麻の舞台は全部観てきました(記事末リンク参照)けれども、今般の『ねこ軍議』において、改めて何に驚いたかって、演目ごとに、舞台ごとに、須藤茉麻の印象が全然違うってこと。

研究員という役柄として、ときに静かに落ち着いた雰囲気であったり。過去にいろんなことを飲み込んできた優しい王様として、ときにコミカルながら清濁併せ呑む深い懐を感じさせたり。遊女たちの元締めとして、頼り甲斐がありながらも、か弱さを垣間見せてみたり。幼い後輩を暖かく見守る先輩として、その横顔に万感の想いを漂わせてみたり。超高校級の保健委員として、引っ込み思案な人見知りとの印象を土壇場で豹変させてみたり。人格を持った武器として、愚直さと真摯さを表現してみたり。
そして今般の『ねこ軍議』、さニャだ陣営の「いニャ姫」として、茉麻、めっちゃくちゃ可愛いです。セリフのところどころで「~ニャ」をはさむところも、軍議中の議論が白熱しちゃって、時々セリフから、その「~ニャ」が抜け落ちて、素のトークをしちゃうところも、そして何より、猫耳に尻尾というギミックをつけた衣装!。今回の舞台の須藤茉麻は、過去最高の「可愛らしさ」を客席に振りまいておりましたよ

neko-maasa

この、舞台によって、演目によって、まったく全然違う印象をまとって見せる「女優」須藤茉麻は、喩えが大げさで昭和な点はスルーしてもらうとして、まさに「和製女版ロバート・デ・ニーロ」といったところ。
ハロプロの演劇女子部や、紀伊國屋ホールという小劇場の聖地というべき舞台で予定されているものだったりと、今後も舞台のスケジュールが目白押しの茉麻です。その印象を演目毎にくるくると変化させてみせる女優須藤茉麻は、まことに舞台女優としても、追い甲斐があるぞ、と。

ほんとうに、すばらしかったです。真面目に。

茉麻と栞菜:そう呼んで欲しい

さて、この舞台には、かつての ℃-ute メンバーである栞菜もまた、「のぶニャが」の妹にして「浅井ニャがまさ」の妻である「おミーちの方」として出演しています。

一回目の公演では、二回目の軍議で排除されてしまい、幕間のトークで登場するや「楽屋に戻りたくないの!先に楽屋に戻ってる人(=一回目と二回目の軍議の間に襲撃されて脱落した茉麻のこと)に会いたくないの!」と、何やら茉麻のことを怖がっています。
結局ちゃんとは説明されませんでしたが、茉麻と栞菜の間に何があったのか、興味津々ですよね。
こんどのイベントの質問コーナーで狙ってみようかしら。

さて、そんな幕間で、自分が実はどんな役だったのか(人猫だったかどうか)を客席に明かす場面では、緞帳の向こうでリアルに続いているゲームに影響しないように、客席からの(役柄がほのめかされるような)リアクションは禁止との注意事項が周知されます。そして自分の役どころを明かす演者は、そうしたリアクションを防止すると同時に、ちゃんとした客席とのレスポンスを演出するために、役柄を明かすタイミングで、呼んで欲しいコールを指定します。
これ、茉麻は、「じゃあ、まーさ、って言ってください」と。他の(すでに排除されている)演者さんから「そんなんで良いの?」と突っ込こまれるや、「これが良いの。まーさ、って呼んで下さい!」と。一方の栞菜も、「カンナでお願いします」と。
「そう呼んで欲しい」と二人がそろって指定したコールが、ハロプロ時代の愛称であったことに、ちょっと感じ入った次第です。

深読みすぎると呆れかえっている方も多かろうと思うのですが、「そう呼んで欲しいの」「これが良いの」と、二人とも明確に意識して繰り返していた点を追加で報告しつつ、それは、客席の中に、二人が懐かしい顔を見つけたからなんじゃないかなと、深読みをさらに深掘りしてみる試みを最後に。

最後に:ファンの自己満足を越える「認知」の意味

ちょっとだけ後悔していることを吐露させてくださいな。
吐露したら、これでもう忘れるから。

投稿者は、今ではその魅力に抗えず、ライブやイベントに併設される握手会だけではなく、積極的に個別握手会にも参加しています。けれども、元々は、握手とか接触系については批判的な印象を持っていました。そして、あくまで個人的なことですけども、メンバーに下手に認知されたりしない方が、自由にライブやイベントを楽しめるとも考えていました。ですので、長い在宅時代を脱して、ライブやコンサートに頻繁に足を運ぶようになってからも、しばらくは握手会的なところには足を向けていませんでした。

Berryz工房についても、ライブツアーはずっと積極的に追跡し、ひとつのツアーでも関東近郊で7~8回参戦することはあたりまえの大前提ではありましたけれど、細かいリリイベだったり握手会まで網羅して顔を出すようになったのは、2014年8月2日に活動停止が発表されてからのことなのでした。
それこそ「こうしちゃいられない!」というわけで、リリイベから個別握手会まで、可能な限り追いかけましたけれど、なにぶん、そういう握手会的なイベントに皆勤に近いレベルで顔を出していた期間があまりにも短かったせいで、メンバーには確実に認知されていない自信があります。
メンバーにしてみれば、一回の握手会で、ひとつの「部」で、それこそ何百回と握手するわけですから、何回かリピートしたところで、新参のファンの顔なんか覚えてるわけがない道理です。

道重さゆみさんについてだって、モーニングのライブにこそ通っていながら、写真集のお渡し会とかは、投稿者は上述の理由で、ずっと忌避しており、初めて道重さんと握手してしまったのは、なんと遅きに失した2013年の茨城での お誕生日バスツアーだったのでした。まことにヲタと名乗ってはいけないレベルであります。

でも、それで問題なかった。
自分はむしろ認知されたくないと思っていたし、Berryz工房を追うことで、めちゃくちゃ近い距離で道重さんに接することで、こちらに思い出ができれば、それで良かった。握手会で上手にお話しするつもりすら、あんまりなかったくらいで、ずっと、それで良いと思っていました。
私は、あくまで私個人の態度の問題として、認知されない方が良いと思っていたし、それで良いと思っていました。

今般、笹塚ファクトリーには、かつてBerryz工房の現場で目にしたベリヲタたちの顔を、あちこちで見ることができました。そして、舞台から、幕間というか退場した出演者によるフリートーク部分で、客席を見渡して、そうしたかつてのベリヲタの姿を認めては、茉麻は、嬉しそうに笑っていたのです。

そう呼んで欲しいと指定したコールが、ハロプロ時代の愛称だったのは、やっぱり偶然かも知れません。でも、少なくとも、茉麻は、客席に懐かしい顔を見つけて、そして、ちゃんと目を合わせて、嬉しそうに笑っていました(という光景を、私は横から眺めているわけです)。

今になって思います。
何があるかわからない、と。
メンバーたちが、いつまでも「アイドル」として、ハロプロのステージに居続けるわけではない。
そうであれば、メンバーたちの「その後」も見据えて、それでも応援を続けていることが、当のメンバーにちゃんと伝わるということまでも考えるなら、「認知」ということに、ファン側の自己満足を越える、もっと別の意味もあるのかもしれない、と
そして、Berryz工房時代から、もっと頻繁に、ライブに通うのと同じくらいに、リリイベや握手会に通っていれば…と、そう思わなかったと言えば、今日に関する限りは嘘になってしまう投稿者でした。

*****

みなさま。
みなさまにも、それぞれに推しがあろうかと思います。
ほんまに何があるか、わかりません。出来れば、逢いに行けるうちに、いや、逢ってくれるうちに、逢いに行けるだけ、逢いに行っておかれますように。
後悔しないように。

ええ。来週はパシフィックヘブンでの、茉麻のFCイベントに行ってきます。

(文=kogonil)

【参考】須藤茉麻の舞台レポートなど

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