須藤茉麻 出演『クォンタム・ドールズ』@1/10 新宿村 レポ ~そのビジュアルと発声にみるハロプロ育ちの証~

はじめに

Berryz工房が活動停止して以来、着実に舞台女優としての実績を積み重ねつつある須藤茉麻さん出演の舞台『クォンタムドールズ~量子境界の散歩者~』が、新宿村ライブにて、1月11日までの日程で開催されていました。
こちらに、1月10日の夜公演で観劇してきましたので、ご報告。

Berryz工房が活動停止になると知らされてから、2014年のバスツアーでも、リリイベの握手でも、個別握手会でも、ラストの沖縄のバスツアーでも、Berryz祭の後夜祭の出店ブースでも、茉麻には「お芝居、観に行くね」と声をかけてきたわけですが、『Week End Survivor』以降、茉麻の舞台には、今のところ全部観に行ってる投稿者です。
が、自分で吐いた言葉を守り、Berryz工房の須藤茉麻への忠誠を示しているというよりは、いつの間にか、追っかけているうちに、すっかり舞台女優 須藤茉麻のファンになってしまい、茉麻のお芝居を追わずにはおれぬというのが実際のところです。

クォンタムドールズ~量子境界の散歩者~

お届けされたチケットには「新宿村セントラル」って印刷されてたから、セントラルの建物にうろうろと入り込んで、劇団員と思しき人々があちこちレッスンしたりしてるところを覗いたりしながら、焦って係員さんに確認したところ、上演は「新宿村ライブ」だとのこと。
いや、武道館だの中野サンプラザだのパシフィコ横浜だの座間だの池袋噴水広場だの、定番の会場ならいざ知らず、いろいろ追っかけているうちに、あっちのライブハウスだの、こっちのイベント会場だのと引き回されて、「どこ?」「どこに待機してれば良いの?」「どこから入るの?」と戸惑うことにはすっかり慣れて、昨今では「わからない様」を楽しめるようにすらなっていましたけれども、久しぶりに大慌てでした。
はっはっは。失礼しました。

クォンタムドールズ~量子境界の散歩者~』って、量子力学をモチーフにしてるのは、「武器の再生」という設定(なんでも粒子レベルで再構成したら人格が付与されるんだって)から、物語全体の切ない設定(「可能世界のひとつでしかない」的なところ)まで及ぶようです。他にも、細かいネタとして(登場人物の読書傾向など)ちょこちょこと「教養」めいたものが挟まれている衒学的なところもあったお芝居です。

何やら人格をもった武器を扱える能力者たちが、世界を平和にしている代わりに、その世界の代理戦争をしているという設定。そこに、能力者たちの対戦あり、そうした欺瞞に満ちた世界を破壊しようとする能力者の登場ありと、バトルだらけの物語です。
能力者だけではなく、その能力者がたずさえる武器それぞれにも人物が配役されており、めっちゃ登場人物が多めなだけじゃなく、バトルにあたっては、能力者同士がバトッてる時には武器役の演者さんも、能力者と同じ動きをなぞる仕様となっており、単純な殺陣ではなくて、そこにダンス的な要素も抱負に盛り込まれ、武器役として舞台の端でダンス的に能力者のバトルをなぞるキャストが単体でおかしく見えないような工夫もされている一方で、非常に舞台上が慌ただしい感じだったりしました。(※1)

  1. 逆説的な評価になりますが、茉麻がこれまで出演してきた他のお芝居というのは、茉麻以外のキャストの台詞回しや身体の動かし方、脚本なども、ハイレベルなものが提供されていたのだなあ、と。

須藤茉麻さんは、上のような物語にあたって、それを集めたら世界を思いのままにできるという特別な武器の人格役として登場。
12月の前半にはスーパーダンガンロンパ2の舞台に出演しており、稽古のために確保できた時間は2週間程度ではないかと思われ、しかも本公演は、繰り返し、登場人物がめっちゃ多くて、いかにも読み合わせだったり舞台上の殺陣のために呼吸をあわせるための準備がたいへんな作業だっただろうと思いましたよ。

舞台の終演後には一定金額以上のグッズ購入者へ向けた握手会とサイン会が予定されているも、この終演後のイベントへの須藤茉麻さんの出演はなし。
「それって今日だけですか?」と物販のスタッフさんに確認してみたけれど、投稿者が観劇した日だけじゃなく、終演後のイベントには登場しないみたいです。
投稿者は『サンクユーベリーベリー』の千秋楽当日券抽選に外れたこともあって、須藤茉麻さんに直接「すばらしかったです」と伝える機会は、まだまだ先のことになりそうです。

この舞台には、元℃-ute メンバーでもある有原栞菜さんも、主人公のライバル格といった重要な役どころで出演。
相変わらず可愛かったし、なんだか元気そうでした。一部のソースによれば、1月末で所属事務所を離れることになったらしいですが、それでも引き続き舞台には立つと宣言してくれており、Twitterでは、茉麻(の趣味)に対しても前向きに声かけしてくれています。
茉麻のお芝居には、これまでのところ、℃-ute からは、矢島舞美さん、萩原舞さん、中島早貴さんが観覧したようで、この記事を書いている現時点で、茉麻のブログでは、なっきぃ と栞菜と茉麻のスリーショットを見ることができます。
…諸々、感慨深いです。

須藤茉麻の存在感 目を惹くビジュアル

さて、上に書いたように、今般の舞台は、登場人物がとても多くて、一体一のバトルであっても、能力者と、その能力者が保有する武器が登場するので、少なくとも4名のキャストがステージ上にあがります。その上、なんだか謎の「説明キャラ」みたいな配役(漫画などで、バトルを観覧しながら、バトる人々の来歴や因縁だったり技の威力だったりを、読者向けに解説する登場人物っていますよね)も出てきてるので、わりと慌ただしい舞台展開です。
そんな中、やっぱり須藤茉麻は、ものすごく目立ちます
これまでも茉麻のお芝居をレポした際に「ビジュアルのパーツの主張が強い」と述べてきましたが、今回もこの茉麻の強みは健在です。

『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』でも、『スーパーダンガンロンパ2』でも、これまでのハローの外での舞台では、多くの共演者は本職の舞台俳優でした。一部、アイドルやモデル出身者はいても、「出身」であって現在の活動は舞台中心だったり。そして今般の『クォンタムドールズ』では、この比率が逆転しており、共演者の多くは、むしろアイドルやモデルとしての活動をメインにしているキャストです。
ですから、比較対象として良いサンプルとなっており、どちらの場合でも、共演者の中から抜きん出て目に飛び込んでくる茉麻のビジュアルは、お芝居というフィールドで、どうしたって目立つルックスということで、大きな武器になっています。

これって、「そりゃ、おまえはBerryz工房の頃からのファンだから、自分の推しを贔屓目に見てるだけだろ?」と思われるかもしれません。というか、そういうツッコミは、それが来る前から投稿者自身が、「俺、せっかくお芝居を見に行っても、茉麻ばっかり見てるかもしれないな」と、自分のことを信頼できないでいたところ。
ところが、ハロプロの後輩たちと共演した『Week End Survivor』、『トライアングル』、『サンクユーベリーベリー』だけではなく、『刻め、我ガ肌ニ君ノ息吹ヲ』でも、『スーパーダンガンロンパ2』でも、実際に舞台に接してみるなら、すっかりお芝居そのものに飲み込まれて、魅せられて、投稿者は共演キャストの多くにも手のひらが痛くなるほど拍手するハメになりました。

で、そうした、思わず舞台に魅了されてしまったお芝居であっても、今般の『クォンタムドールズ』のようにステージ上が慌ただしく、誰がどこにいるのか、ちょっと油断してるとわからなくなるような舞台であっても、どちらの場合でも、茉麻はズドンと目に飛び込んできます
ライブのようにスクリーンに抜かれたりテレビのようにアップになったりしないのに、目に飛び込んでくる須藤茉麻のビジュアルは、舞台というフィールドでの強みだと、出演する舞台を経験するほどに、ますます認識されるという次第です。

通りの良いセリフと滑舌に見る ハロプロでの基礎

上に述べたように、今般の舞台では、わりとステージ上が慌ただしく、その上、ほとんどが激しい殺陣シーン。
激しく身体を動かしながらセリフを上手に客席に届かせることは難しいことかと思います。発声それ自体がひとつの「エクササイズ」といっても良いくらい、俳優の発声は、日常的な発話とは独立の、独特な身体運動でもあります。文字列としてのセリフも、自然な発話や会話で、状況的な文脈を利用して諸々省略したり、文法的に脱落したりするようなものとは違っていて、それこそ「文脈」が舞台上にしかないからには、日常会話としては不自然な言葉となることもあって、きちんとセリフを声に出すことだけでも、独立の「練習」が必要になるでしょう。

やっぱり、激しい殺陣を演じながらということもあって、多くのキャストがときにセリフをしっかり発声できていなかったりもするのか、何を言っているのかわからない場面もあった今般の舞台です。
そして、そんな中、須藤茉麻さんの声の通りとセリフの滑舌は、さすがでした。

須藤茉麻さんについて、上に、ズドンと目に飛び込んでくるビジュアルについて述べましたが、飛び込んでくるのはビジュアルだけではなく、その「声」もまた、ざわつくステージであっても、セリフにかぶるBGMが騒がしい最中であっても、しっかり客席に届いています。

茉麻からは少し外れますが、それで思い出すのは、ちょうど1年前の2015年冬ハローのこと。
すでにBerryz工房の活動停止はアナウンスされ、嗣永桃子さんはカントリー・ガールズへの移籍も公表されていましたが、「3月3日までは Berryz工房の活動に専念する」ということで、ハロコンでのカントリー・ガールズの楽曲お披露目は、ももち先輩以外の5人で行われていました。そんな構成でお送りされていた冬ハロー中、1月10、11日の中野公演で、小関舞さんが体調を崩し、急遽ピンチヒッターとして ももち先輩が参加することになります。やる予定ではなかった演目に、急遽代役として参加しながら、それでも ももち先輩は、完璧にカントリー・ガールズの楽曲をパフォーマンスし切ります。
この2015年の冬ハローでは、Berryz工房としても Buono! としても出番があった ももち先輩が、それでも完璧にカントリーの演目をこなしたこと。投稿者は、これに驚嘆したものでした。そんな投稿者の驚きは、知人のハロヲタに叱られることになります。ハロヲタの風上にも置けぬとご立腹だった さゆヲタ仲間に叱られたことを報告したTweetがこちら(↓)

そうなんですよね。
繰り返しになりますが、茉麻は12月の前半には別の舞台に出演しており、稽古のために確保できた時間は2週間程度ではないかと思われます。それでも、激しく殺陣を演じながらも、その発声が客席にちゃんと滑舌よく届いてくるのは、やっぱり、しっかり鍛えられているなあと感嘆します。舞台女優として歩み始める以前からの、ハローでの「鍛え」が、やはり身になっているのかと思えるところでした。

*****

ネットの一部では、メンバーを愛するあまりか、メンバーたちが「アイドルを辞めてから」どうするつもりなのかと心配し、現在の育成の方針だったり事務所の方向性を(その実際のところはわからないなりに)批判する声もあります。
投稿者は、個人的には、そうした批判は、批判対象である「育成の方針だったり事務所の方向性」というものが明らかになった上でのものではない以上、多くは、上にも書いたように、メンバーを愛するあまりのものだと受け取っているのですが、あえてそこに投稿者なりの余計な口を挟むなら、「心配には及ばない」ということになろうかと。

須藤茉麻さんは、そのビジュアルだけじゃなく、セリフを通す声量と滑舌においても、はっきりと目立っていました。
もちろん本人の意思や状況の巡り合わせはあるにしても、須藤茉麻さんを見る限り、それまで「アイドル」として、ライブやコンサートといったフィールドで培ってきたさまざまなものは(「スキル」だけじゃなくて「根性」といったものも含めて)、他の分野でちゃんと通用するどころか、むしろ明らかに一頭地抜きん出ているかと。

余裕も見えはじめた女優茉麻 やっぱり茉麻らしいところも

カーテンコールで、今後のスケジュールなどをお知らせするにあたって、海外公演の予定に触れられ(詳細は不明)、その中で須藤茉麻さん曰く、「海外ってなると、あっというまに諭吉が飛んでいきますから、みなさん、しっかり働いて、準備してね」と。
記憶で書いていますので、発言の詳細は微妙に違っているかもしれないけれど「諭吉が飛んでいく」については信頼してくれて大丈夫です。ええ、そう言っていました。ちゃんと人差し指と親指でまるを象って「お金」を表すジェスチャーを添えながら。

2014年の春ツアー『Real Berryz Kobo』でも、徳永千奈美さんとのMCで、「街中でファンに声をかけられたらどうする?」というお題に、ちゃんと握手すると答えた須藤茉麻です。握手はCD一枚分だから、「心の中で『はい、1080円っと♪』と思いながら握手するけども?」と答えた茉麻です。(Dマガでも「お値段」の部分はカットされてましたね)

何度も「舞台女優としての地歩も固めつつ」といった言葉で、Berryz工房が活動停止してからの須藤茉麻さんを形容してきました。Berryz工房の須藤茉麻ではなく、舞台女優 須藤茉麻のファンになってしまったとも。
それでも、ひとりの舞台女優として「外」で現場を踏むことにも慣れてきたのか、カーテンコールなどで、ちょっとした「おふざけ」の場面を目にすることもできるようになってきました(今般の舞台では、開演前の場内アナウンスも茉麻でしたよ)。そんな折りに、ちらっと見せてくれる「女優じゃない」場面の茉麻の表情が、やっぱり、あの茉麻だったりして、なんだか嬉しくなります。
上に述べたカーテンコールの告知でも、ひとりキャストをはさんで立っていた栞菜と何やらこちょこちょお話しながら笑っている場面もありました。「わははは」と笑っていた、あの茉麻の表情も、そこでは見ることができました。

こう述べても、ちゃんと伝わるか心許なく、私自身、ちゃんと自分の気持ちを記述できているかというと、甚だ怪しいわけですが。
やっぱり、ファンでいて、応援してきて、良かったなあって思います。

(文=kogonil)

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コメント一覧

1 : avatarpuke:2016/03/15(火)23:55:51

茉麻の演劇シリーズ楽しく読ませていただいております。過去の記事を見てみますと、変化していく茉麻と、それを追いかける中で、こちらもまた変化していくkogonilさんの視点が浮かび上がります。

次はどちらが、どう変化するのか。それを楽しみに待っております。

2 : avatarkogonil:2016/03/16(水)11:32:31

> puke さん

茉麻、こんなに追い甲斐があるとは、3/3 の段階では思ってもいませんでした。
ほんまにプロフェッショナルだと思います。

…変化してますか、私。
よく泣くようになったなとは思っていましたが(笑

読んでいただき、ありがとうございます。

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