それぞれの勝負の形も明瞭だった全ユニット競演の春の祭典、ハロプロひなフェス 2019／Juice=Juice & アンジュルム プレミアム

カントリー・ガールズ、きっと４人になっても大丈夫

カントリー・ガールズの『ひなフェス』ステージと言えば、かつて嗣永ももち先輩が先鞭をつけた “ひなフェス コール” が定番です。メンバーが会場をぐるぐる移動しながら「ひな？」と問いかける度に、客席から大歓声で「フェス！」と応じるという、あの “ひなフェス コール”。客席からの応答に「声が小さい！」と煽ることも様式美の一環として。

今回の『ひなフェス』では会場移動がないから、この “ひなフェス コール” が出来ないと、毎公演、泣き出す小関舞さん。「いや、さっきの公演ではやれたじゃん」「いや、昨日の公演では、やったじゃん」と、その小関さんの “嘘泣き” を たしなめる側に（茶番の一環として）回る山木梨沙さん。横から山木さんが「いやいや…」と突っ込んでいるのを、まるで無視して、カントリー定番の “ひなフェス コール” が出来ないと嘆き続ける小関さんに、最初は森戸知沙希さんが、やがては船木結さんが、「そんなに、やりたいんだったら、私が協力してやろう」的な、小関さんの熱意にほだされる的な格好で（茶番の一環として）巻き込まれていきます。そして、ついに森戸、船木の助力を得て、晴れやかに会場に「ひなぁ？」と問いかけ始める小関さん…といったカントリー・ガールズ ひなフェス茶番の一席が、綺麗に全部の公演でしっかり繰り返されます。

と、そのひなフェス茶番の一席を例示しましたが、梁川さんを送り出して４名になったカントリー・ガールズ、下記の楽曲を披露するにあたって、いっこも迫力に欠けるところがありません。くどいから逐一挿入してないけど、実に（以下同文）

４名になっただけではなく、やはり兼任体制を以てカントリー・ガールズの今後を不安視する向きも少なくないようです。確かに兼任しているメンバーの負担の重さは気になるところですが、一方で、兼任しているからこその見所もあったりします。

例年恒例となっている『ひなフェス』中盤の全メンバーによる『桜ナイトフィーバー』、ハロプロ全ユニットが一斉に登壇して、サブステージをつなぐ回廊部分をグルグルと切れ目なく輪になって移動しながら歌われるんですけど、途中のセリフを森戸ちゃんと ふなっき が担当していることもあってか、最初の所属グループとして登場してきてから、他のメンバーが移動を続ける中で、森戸ちゃんと ふなっき が足を止めてセリフを言って、それから２人で走って（最初の所属グループとは）違うグループの列に向うって場面がありまして（ちゃんと説明できてますでしょうか？）、森戸知沙希さんと船木結さんが、楽しそうに目を合わせて笑いながら、他のメンバーに遅れて回廊部分を駆けているところは、ほんとうに網膜を介して心にやさしい場面となっていましたよ。

細部まで見惚れる モーニング娘。’19

Juice=Juice が自らのパートの初っ端に『Fiesta! Fiesta!』を、つばきファクトリーが新曲の一方をドロップしてまで『今夜だけ浮かれたかった』を持ってきた 31日の『アンジュルム プレミアム』で、モーニング娘。’19 は、『泡沫サタデーナイト！』をぶつけます。

この『泡沫サタデーナイト！』が、盛り上がりの鉄板曲である以上に、明るい旋律だからこそ強い悲しみを感じさせる名曲であることは、つとに指摘されてきたところでもあります。そして、それ以上に、あの間奏部分、「♪はいは～い…（から続く、メンバーのアドリブの煽りセリフから、リーダー譜久村さんの）…踊りたい！」に続く前の部分、センターでダンスするメンバーを、それ以外のメンバーが「♪う～たかた、う～たかた」と、肩をゆらしながら囲んでいるパートに顕著なんですけど、メンバーが、それぞれの役割でテイクパートすることで楽曲を成り立たせているってことが、いかにも鮮明な楽曲でもあったりしますよね。それこそ、フォーメーションダンスってこと以上に。その意味で、極めて “モーニングならでは感” が強い楽曲でもあろうかと。

投稿者は道重さゆみさんのオーディションの頃からのファンでしかないんですが（モーニングのファンとしては遅れた新参組）、その私から見て、比較的 “新しい曲” である『泡沫サタデーナイト！』に、かつての黄金期からプラチナ期とはまた違った現在特有の “ならでは感” が漂うことに、驚きもし、感激もするといった次第。

毎回、変則的なステージ構成となっている『ひなフェス』です。
その変則的なステージを、毎度、様々に展開して、ぐるぐるしながら、いつものフォーメーションとは異なった仕方でパフォーマンスしているわけで、その意味でこそ、毎回、 “さすがだな” と思わないではいられないわけですが、今回、楽曲の展開の中で、 譜久村聖さんと小田さくらさんの並びが、偶々、私の位置していた席次の真っ正面の回廊でパフォーマンスするって場面がありまして。で、その際、左手を後ろに伸ばす際の持ち上げの角度も、腰を落とすストロークも、その際の後屈した足の開き具合も、譜久村さんも小田ちゃんも、それぞれ体格が全然違うはずなのに、全部ピタッと一致してるくらいにシンクロしていて、目を見張った次第です。しかも、譜久村さんも小田ちゃんも、にこやかに笑いながら、そんな具合に精密なパフォーマンスをしてるんですよ。

その “精密なパフォーマンス” ってことなら、別の記事でも述べたとおり、牧野真莉愛さんと加賀楓さんが、ほんとに凄くて、ダイナミックさで石田亜佑美さんに、自由な動きと客席煽りで佐藤優樹さんに、全体的な端正さとステージ上での表現力で、やっぱり譜久村聖さんと小田さくらさんに、それぞれ目を奪われるもんだから、実際、うっかりすると見過ごしちゃいそうなんですけど、牧野真莉愛さんと加賀楓さん、ほんとに凄くて、見惚れます。…って、モーニング娘。は、ほんとにフラッグシップというだけあって、本当に見応えがあって、全ツアーに通いたくなります。

ほんとうに、こういうのを見せられる都度、全部のユニットの全部のツアーに通いたくなるので、どうして自分が買った宝くじは当選しないのか、この世の不条理に呻きたくなりますよね。

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長々と述べてきました。

うっかりすると、延々述べてきたことを自分で否定することにもなりかねないけれど、個々のグループについて述べてきたことは、多かれ少なかれ、全部のグループにも（濃淡の差はあれど）当てはまったりして。でも、そんな風に全部のグループに、それぞれ見て取れる素晴らしさが共通していることから、その意味でのハロプロらしさが明瞭であるからこそ、一方の、個々の特色もまた際立って見えてきたりもします。

そんな全ハロプロユニット大競演の『ひなフェス』は、２Days ４公演の初っ端に、辻希美・加護亜依・鞘師里保を迎えて20年の歴史が可視化されたからこそ、それに続く『Juice=Juice プレミアム』も『アンジュルム プレミアム』も、それぞれに独特な形で、自分たちの歴史を踏まえたセトリで勝負に出たようなステージでした。

この素晴らしい春の祭典が、きっと来年も継続しますようにと祈って、徒然にも程がある散漫なレポを終えたいと思います。

（文＝kogonil）

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