2018年夏のハロコン、よみがえる20年と今に生きる伝説

2018.8.4 東京 中野サンプラザ

恋の呪縛  須藤茉麻・夏焼雅
Berryz工房 【2004/11/10】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:平田祥一郎
  • Berryz工房の5枚目のシングル
  • 一部に、”Berryz工房の放課後シリーズにあって白眉” とされるが、公式には “Berryz工房の放課後シリーズ” なるものは確認されていなかったりして
夏焼雅は、無期限停止中の Berryz工房のメンバーで、2017年に(おそらくは)ラストライブを終えたBuono! にも同時に参加していた。
Berryz工房が2015年に活動停止した後、オーディションで選ばれたメンバーと PINK CRES.を結成し活動している。
キッズオーディションの時期から茶髪で、「みやと話せたら嬉しいでしょ」など、唯我独尊の我が道を行く奔放キャラであるとされ、さまざまな逸話がファンに共有され愛されてきたが、昨今、「実はあれは…」的な告解が、主にラジオの現場で何度か繰り返されて、周知されたエピソードが覆される例が頻出している。それによってファンの受け止め方が変化しているかと言えば、従来からもBerryz工房内で突出したメンバーと常に融和的に笑い合っていたり、PINK CRES.メンバーに、芸能界の先輩としてやさしく接する面を見せたりと、”筋を通す、面倒見の良い姐さん” としての性格も際立っており、この “意外と常識的でしっかりしている” という方向性がむしろ上書きされているようだ。
実際、楽しげにケラケラ笑っている声を聞いて「雅ちゃんが笑っていると安心する」とするファンは多い。
ただ、このように “意外と常識的でしっかりしている” という方向性がファンに周知されていることが逆説的に照らし出すことながら、あくまでもそのルックスは、どこまでもゴージャスで、唯我独尊の我が道を行く奔放さに満ちていることは、公式のインスタやブログなどで日々確認できるところだ。

参考:直近の夏焼雅 関連記事

愛らしくアイドルに寄せてきた茉麻と、変わらず絶対領域も強めな雅ちゃんが『恋の呪縛』を披露してくれます。ってか、やっぱりこの曲の盛り上がり方は凄いですよね。
かつて7人でパフォーマンスした楽曲を2人でパフォーマンスしながら、しかも、思い出補正が効きまくっている歪んだ認知のファンの目を前にして、一切往時と遜色ないのは率直な驚きで、今般の20年企画を通じて、ハロプロのOGというものが、いかに鍛え抜かれているかについて、改めて感服しちゃうのは……もう、これで何度目かと。

ライバル  須藤茉麻・夏焼雅
Berryz工房 【2009/6/3】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:平田祥一郎
  • Berryz工房の20枚目のシングル
  • Berryz工房ラストのDVD Magazine Vol.43 にて、伊豆へ向かうバスの車内で歌われたものがダイジェストでエンディングに流れる場面は、ファンの涙を今尚誘うと云う
須藤茉麻は、無期限停止中の Berryz工房のメンバー。
Berryz工房の活動停止後は、他のメンバーに先駆けて舞台女優として活動を開始している。現在にいたるも、ファンクラブイベントを定期的に開催する傍ら、多くの舞台に参加して、モト冬樹、山田邦子といった芸能界のビッグネームと共演することも多い。
在籍当時から “Berryzの母” と呼ばれ、鷹揚に何ごとも笑って受けとめる頼り甲斐のあるメンバーとされていたが、年月を重ねるにつれ、「がっはっはっは」という笑いも鷹揚さの度合いを逸脱し初め、いつしか “茉麻の中には、おっさんが入っている” と言われるようにも。この傾向は年々拍車がかかり、ついには、メンバー相互の “度を超えたスキンシップ” にまで展開している。
Berryz工房の活動停止後も、演劇女子部プレイング・マネージャーとして、こぶしファクトリー、つばきファクトリーの舞台を支援しており、続く新グループ BEYOOOOONDS の舞台にも参加する。こうした舞台のみならず、SATOYAMA イベントなどでも頻繁に後輩たちと絡む姿が周知され、まさしく “ハロプロの母” として活躍しているようだ。
一方、その “度を超えたスキンシップ” もまた、正しく後輩メンバーに継承されているともされる。

参考:直近の須藤茉麻 関連記事

茉麻が、愛らしくアイドルらしく振る舞おうとして(ところどころスベって)いるのを嬉しそうに見ていて、茉麻が語るフレーズの一々を面白そうに反復してる雅ちゃんが、なんだか、すっかり落ち着いた美しい大人の女性って感じです。

かつて、いろいろやらかし続ける徳永千奈美さんの言動を、嬉しそうに面白そうにクスクス笑って反復して喜んでいたのは清水佐紀さんでしたが、今、茉麻を面白がって楽しそうに反復してる雅ちゃんを見て、Berryz工房、最高だなと思ったり思わなかったり。

茉麻の「ありがとーーー!」で、ちょっとだけ涙腺が緩みかけたことは秘密です。

あああ、ひとつも楽曲レビューになっていないことは、心から申し訳ない(記事末ですこし言い訳中)。

2018.8.5 東京 中野サンプラザ

元気者で行こう!  真野恵里菜
真野恵里菜 【2010/9/15】
作詞:三浦徳子/作曲:畠山俊昭/編曲:河合英嗣
  • 真野恵里菜のメジャー8枚目のシングル
真野恵里菜は、ハロプロエッグ(2期)出身のハロプロメンバーで、2009年にデビューしてハロプロで活躍したソロシンガー。卒業後の主な活動フィールドは女優。
その愛らしいルックスや、曲のリリカルさでも、真野恵里菜に専心するファン(いわゆる “マノフレ“)を超えて、多くのハロプロファンに愛された。とりわけ、真野のメジャー10枚目のシングルである『My Days for You』(2011年)は、今日にいたるも、現役、OG問わず、多くのハロプロメンバーのソロイベントでカバーされており、今尚ファンの心の琴線に触れまくっている楽曲でもある。
こうした印象深い活躍を見せながら、2013年にハロー!プロジェクトを卒業し、その後は、実写版 機動警察パトレイバー『THE NEXT GENERATION パトレイバー』に主演するなど、(実際はハロプロでメジャーデビューする前から演技経験は豊富だったが)女優として活躍の幅を広げていた。
そうした女優活動の傍ら、近年になっても、オーディション番組のナレーションを担当したり、デビュー10周年記念イベントを告知したりと、ファンに向き合う活動も積極的に展開している。
2018年にサッカー・ワールドカップ日本代表の柴崎岳選手と入籍したことをファンに報告しながら、芸能活動は継続するとも宣言しており、一方で、ファンクラブからの卒業もアナウンスするなど、今後の展開に注目が集まっている。

真野ちゃん、久しぶりのハローのステージに登場して、往時以上に可愛くなったなあって、ほんとに吃驚します。
元気者で行こう!』の披露にあたって、バックダンサーに現役のメンバー(譜久村聖/和田彩花/竹内朱莉/勝田里奈/室田瑞希/高木紗友希/宮本佳林/野村みな美/浜浦彩乃/山岸理子)を従えて登場してきますが、後輩メンバーならいざ知らず、譜久村さんや和田あやちょまでを “従えて” それが自然に見えるとは、OG という立場にも何らかの魔法の効果があるんでしょうか。真野ちゃん、実に堂々としています。

そして結婚のご報告と、それにも関わらずの変わらぬ客席の暖かさについてコメントしたのも、この曲の披露後のMCでのこと。SNSでエゴザもして、初めて真野ちゃんを見るファンが “何色のペンライトを振ろう” と悩んでいることもチェックしていたと言います。

My Days for You  真野恵里菜
真野恵里菜 【2011/6/29】
作詞:NOBE/作曲:中島卓偉/編曲:鈴木俊介
  • 真野恵里菜のメジャー10枚目のシングル
  • 後輩だけでなく、多くのメンバー、OGが、ソロのイベントなどでカバーしておりハロプロ内でも屈指の人気を誇る

そうでなくとも(それどころか真野ちゃんのパフォーマンスでなくとも)感動的すぎる名曲中の名曲である『My Days for You』ですが、前段の結婚のご報告と、それにも関わらずの暖かい客席に感謝した直後のこの曲は卑怯ですよね。

シャ乱QドラムズのMCまことさん「ハロー!プロジェクトは、これからも、真野ちゃんと旦那さんも変わらず応援していきますよ」と言います。そうでしたね、ハロー!プロジェクトは、元来は、ファンクラブの名称でもあったのでした。すなわち、私達を含むものであったのでした。ええ「変わらず応援」していきますとも。

2018.8.11 宮城 仙台サンプラザホール

ジリリ キテル  清水佐紀・夏焼雅
Berryz工房 【2006/3/29】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:湯浅公一
  • Berryz工房の10枚目のシングル
  • オープニングの7人編成全員による翼を広げたようなフォーメーションが特徴的

先に道重さんと登場した佐紀ちゃんと、茉麻と登場した雅ちゃんが、改めて2回目の登場として『ジリリ キテル』を披露してくれます。

先の真野ちゃんといい、このあたりの(道重さんとかを含めて)ベリキューの衰えなさってのは、ほんとにファンのみならず一見の価値ありだと。それは、ルックスの愛らしさだけじゃなくて、まさしく楽曲のパフォーマンスにあってこそ、その衰えのなさが際立ちます

そして、そうした刮目すべきパフォーマンスを終えて、MCに移るや、懐かしく聴き慣れたメンバーの声が隣からすることに安心したと笑い合う佐紀ちゃんと雅ちゃんに、やっぱり、心の柔らかい部分が刺激されますよね。

本気ボンバー!!2回目  清水佐紀・夏焼雅
Berryz工房 【2010/7/14】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:板垣祐介
  • Berryz工房の23枚目のシングル
  • TVアニメ『イナズマイレブン』、エンディングテーマ

熊井ちゃんによる披露に続く、『本気ボンバー!!』第二弾です。
佐紀ちゃん+雅ちゃん版が、熊井ちゃん版と異なる部分もあり、むしろ演者が異なってるのに、それでも同じ Berryz工房によるオリジナル披露ということで同じ部分が目立つところありで、こうした20周年のゲストOG大挙出演企画にあっても、オリジナルメンバーのメンバー構成を変えて同じ楽曲が披露されるのが、こうまで見応えがあるとは、やっぱり新鮮な驚きです。
その意味で、繰り返し、すばらしい企画だったと。

ってか、雅ちゃんのダンスが、現役時代以上にピョンコピョンコしていて可愛らしくて、いろいろ思い出しますよね。

この辺り、もう少ししっかり言葉にしたいけど、たぶん見る人によって “新鮮な驚きの内実” は異なるだろうから、やっぱり、是非DVDを入手して下さいと念を押してみたりみなかったり。

2018.8.18 北海道 わくわくホリデーホール

たんぽぽ  飯田圭織・矢口真里
タンポポ 【1999/6/16】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:小西貴雄
  • タンポポの3枚目のシングル
  • 『TANPOPO 1』に収録されたものがシングルカット
飯田圭織は、モーニング娘。の初期メンバーで2代目リーダー。
2001年に初代の中澤からリーダーの座を引き継ぐ。今尚 “モーニングの初代” として知られる中澤の後継ということで、後輩メンバーから “怖かった” という評がいくつも出るほど、グループの取りまとめには苦労したようだ。
デビューできるかどうかの手売りの際のアクシデント(目にコンタクト)、学校の行事のためにレコーディングに参加できなかったことや、リーダーとして後輩に厳しく接することの苦しさ、果てはバラエティ番組『うたばん』での “ジョンソン” イジりなど、今日にいたるまでの “ハロプロ的すったもんだ” の原型を準備したメンバーであると言える。
卒業以降もソロシンガーとしての活躍の傍ら現役メンバーとも積極的に絡んでくれる一方、今ひとつ後輩の個々のエピソードへの言及がズレていたり、敬して遠ざけられる風の演出に微妙な空気が流れるという点でも、ある種の典型例を準備してくれたメンバーであるとも。

タンポポ第一期メンバーによる『たんぽぽ』の披露です。
と言うからには、すっかり自家薬籠中の楽曲を身体に染みついた形で披露するのかと思いきや、飯田さん、小刻みに踏んでるステップを、しっかり矢口さんに合わせに行ってるのね。こうした辺り、なんだか基本を疎かにしないような態度が読み取れます。どこにだってある花だって、咲くところを得れば、こんなに美しく咲くのだと。

やっぱりイントロの静かな調子が(飯田さんと矢口さんが登場してきて)転調するところ、いろいろ上がります。

恋をしちゃいました!  飯田圭織・矢口真里
タンポポ 【2001/2/21】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:渡部チェル
  • タンポポ、6枚目のシングル
  • 2011年にスマイレージが『恋にBooing ブー!』のカップリング(通常盤)としてカバー。その際の編曲は平田祥一郎
矢口真里は、モーニング娘。の2期メンバーで3代目リーダー。
道重さゆみ、嗣永桃子、岡井千聖などに先駆ける、ハロプロにおける バラエティ・モンスターのトップランナー。メインフレームでの展開以上に、ワイプで抜かれた際の表情が秀逸で “ワイプ芸人” としての名をほしいままにしたことも有名だが、道重さゆみと共演したバラエティ番組で、道重に「急に脱退してるんじゃねーよ」とハリセンでシバかれた場面は飛び抜けており、このように自ら泥を被っても後輩や周囲を立たせるという意味で、正しくハロプロにおけるバラエティ・モンスターの先駆けであった。
そのように「急に脱退してるんじゃねーよ」と言われたほど、モーニング娘。の脱退から、その後のタレント活動中にまでも、いくつものスキャンダルに見舞われ、一時は事務所から正式に芸能活動の休止をアナウンスされることもあったほどだが、都度、華麗に復帰している点でも、ある意味で仰ぎ見るべき大先輩である。

ハロプロには、カッコ良い曲から、この『恋をしちゃいました!』のような可愛い曲まで、いろんなテイストの楽曲が、ほんとに豊富です。
さまざまなコントラストも楽しめる所以ですが、飯田さんという長身なメンバーと、矢口さんっていう小柄メンバーが一緒になって、それで、こうした愛らしい楽曲がパフォーマンスされて、現在私達が楽しんでいるいろんな趣向の、その原型は、こうした初期の頃から準備されていたんだなあと、改めて20周年に想いを馳せるところですね。

ふるさと  飯田圭織・矢口真里
モーニング娘。 【1999/7/14】
作詞:つんく/作曲:つんく/編曲:小西貴雄
  • モーニング娘。6枚目のシングル
  • 安倍なつみと北海道を全面に押し出している

そして、カッコ良い曲や愛らしい曲だけでなく、かくも感動的な楽曲も。
この『ふるさと』は、リリース当初のセールスは(当時にあって)数字的に芳しくなかったとされてますけど、それが20年後(1999年リリース)になってなお、かくも響くものを持っていることは驚異です。 それは、楽曲それ自体の力に加えて、長らく歌い継がれてきたということが楽曲に加えた効果なんでしょうか。

この曲も、現役のモーニング娘。’18 がバックを勤めます。現役に囲まれると、飯田さんも矢口さんも美しさが増すようですが、これは錯覚ですかね。少なくとも、現役に囲まれると、歌に向き合う気合いは増していそうです。

エンタメアライブでは、皆様からの投稿を募集しています。
詳しくはこちらを御覧ください『寄稿について

コメント一覧

1 : avatarkogonil:2019/01/28(月)23:22:43

「笠戸@kasado0123」様のご指摘により、誤記を修正しています。
申し訳ありませんでした。
ご指摘、ありがとうございます。そして、大事なメンバーの名前を誤記するという失態、申し訳ありませんでした。

コメント

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