ハロプロ新世代のOGたち、思い思いに発信する情報もまた “アイドル以降” の新世代?

浜浦彩乃 SNSアカウント開設

2020年の春先に解散した こぶしファクトリーの主要メンバーであった浜浦彩乃が、Twitterとインスタグラムのアカウントを開設した。

こぶしファクトリーのファンや浜浦のファンは、これらのアカウントをフォローし、浜浦から発信されるコンテンツを楽しみにしているようだ。一方、必ずしも従来通りのファンというスタンスでいられるかどうか危ぶむ向きもある。

というのも、(室田瑞希梁川奈々美などのように)ファンの前から姿を消してしまうのでなければ、このところ、ハロプロを卒業したOGがそれぞれの活動を続ける場合、ファンが望むような情報発信を続けてくれるとも限らないからだ。

独自の立ち位置を模索するOGも見られる中で、ベリキュー(Berryz工房と℃-ute)については、芸能活動を継続しているメンバーに限っては、アイドルとしてファンと対峙した時期と同様に、ファンに感謝し、ファンと楽しい一時を持つ活動を続けている者も多い。しかしながら、2児の母となってからもファン向けにブログなどの発信を続ける者がある一方で、私生活上の問題なのか、グループ卒業後に順調に継続していたと思われた芸能活動から姿を消してしまう者もあるなど、必ずしもファンが “従来通り” に安住していられない例も散見できる。

そんな中、より若い世代のOGにあっても、女優として主演映画が大きく取り上げられることも多い工藤遥や、様々な分野に積極的に踏み出していく飯窪春菜、地元石川県を中心に安定した活躍の場を築きつつある宮崎由加などは、定期的に “従来通り” と言えるファンクラブイベントなども開催してくれている。

赤裸々な告白に注目が集まる 宮本佳林

一方、同様に所属グループとハロプロを卒業した宮本佳林は、SNSでも個人アカウントを開設し、様々な情報を発信している。ハロプロのライブにゲストとして参加することが決まっているなど、”従来通り” のファンに向けた活動が期待されながら、その発信している内容にも注目が集まっている。

その情報発信の詳細は個別のアカウントにアクセスして欲しいが、たとえば、大きなステージを控えて体調不良で欠席を繰り返したことについても “逃げたかったのかも” といった赤裸々な告白が見られる。

宮本と言えば、そのコケティシュで愛らしいルックスから、アイドルとしての典型的な態度も期待されながら、時に “サイボーグ” と言われるような過剰にストイックな生活が心配されたり、ステージからの客席煽りなどに留まらぬ多方面での “はっちゃけ” が注目されたりと、ある意味で、ファンの期待に添わぬスタンスこそが目立ったメンバーでもあったわけだが、今後、そうした独自のスタンスについての “謎解き” に当るような情報発信が繰り返されるのではないかとも見られ、そうであれば、ハロプロの運営実態についても、様々にファンが推測してきた解釈が覆されることもあるかも知れない。

今後の動向に注目 鞘師里保

卒業以降の活動にあって、こうした独自のスタンスを貫く傾向は、近年、特に目立つようだ。

オリジナルな活動を模索する元モーニング娘。の鞘師里保は、このほど個人のラジオ番組がスタートし、そのゲストに、それこそアイドルとして出発しながら何十年にもわたってオリジナルなスタンスを貫いてきたレジェンドである小泉今日子をゲストとして迎えている。

高学歴どころか思想的な立場まで 和田彩花

アンジュルムのリーダーであった和田彩花にいたっては、大学院で学んだ芸術史をメインに据えた活動どころか、アイドルそのもの、女性タレントそのものの立ち位置すら問い直す懐疑的な立場も隠さず、むしろ、そうしたスタンスから、多くの元アイドルがアイドル時代を悪し様に暴露するようなものとはまったく別の形で、アイドル時代を振り返る証言を多く残している。

和田の場合、個人のSNSアカウントで自由に発言するだけでなく、文化キュレーションを標榜するTBSラジオの番組にも定期的にゲストとして呼ばれ、その定見を拝聴するという形が取られる例も多い。

ある意味、その “はっちゃけ” がネット上で継続しているとも見られる宮本も、ハロプロOGに限定されず、幅広く、その “先輩” たちの姿に学ぼうとしている鞘師も、ジェンダーやセクシャリティの枠に限定されず、広く社会的に可視化され始めているLGBTQなども視野に収めた上で、アイドル出身であることを隠さず発言する和田も、それぞれに模索・展望する彼女たち独自の歩みは、それこそアイドルのファンという立場を越えて、非常に楽しみなものだ。

もしかしたら多くの “先輩” の背中から学んだ鞘師が、将来、世界の芸能界に大きく羽ばたくかも知れず、和田の言説は(そのアイドル出身という独特なフィールドから、むしろオリジナルな希少性を備えていることで)学術的にも注目されてすらいる。まさしく今後の展開が楽しみなものとなってる次第だが、しかし、当欄としては、やはり “ファンとしての従来通り” の期待に留まっていない点を指摘しなわけにはいかない。

モーニング娘。のプラチナ期以前からベリキューを経て、タレントや女優、モデルとして、アイドル以降の歩み方を後輩に示す先輩が多い中、最近になってハロプロを卒業していったOGたちは、これまた、新たに “アイドル以降の歩み方” を示しているかのようだ。

(文=椿道茂高)

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