4度目の武道館で「若い子」に託した猫娘、つばきファクトリー新沼希空卒業スッペシャル ~ Ready Go!Now! ~

新沼希空卒業スッペシャル ~ Ready Go!Now! ~〔承前2〕

すでに述べた OG メンバーの参加曲(『気高く咲き誇れ!』、『初恋サンライズ』)と、コミカルな、そして心から “良かったな” と感じさせてくれる MC を挟んで、ライブは終盤のラストスパートへなだれ込みます。

24・【新曲】『青春エクサバイト
25・『涙のヒロイン降板劇
26・『アタシリズム』 【新人3人は不在】
27・『Power Flower 〜今こそ一丸となれ〜』 【新人3人は不在】
28・『今夜だけ浮かれたかった
29・『妄想だけならフリーダム
30・『My Darling 〜Do you love me?〜

もう既に長くなっているので先を急いでいるんですが、『涙のヒロイン降板劇』もまた、リリース当初の印象よりも随分と強い楽曲に成長しているなと思いつつ、『妄想だけならフリーダム』の楽しさは、ほんまに異常です。つばき盤石の鉄板『今夜だけ浮かれたかった』の後だってのに、もしかして(個人的に)『妄想』は『今夜だけ』を超えたのではないかとすら。強いというより、ほんとに楽しい

その、楽曲のパフォーマンスが、客席から見ていて “楽しくてしょうがない” ってのが、いかにも(かつてのインディーズ時代、多くのハロプロファンからも、同時期に結成されたライバルグループと比較されていた時代を知っているからこそ)今の大きく育った つばきファクトリーを見事に体現しているようで、楽しいからこそ、なにかしら去来するものがあります。

ああ、つばきのファンで、ほんとに良かったなとか思いつつ、ライブ本編は可愛らしく『My Darling 〜Do you love me?〜』で、いったん〆。

もちろんアンコールの大コールは武道館に響き渡りますが、おじさん、このあたりで、疲れてしまって座り込む始末。… それほど楽しかったんですよ。

前にも書いたかも知れません。
モーニング娘。のツアーも、℃-ute のツアーも、いずれも、とんでもなく素晴らしいファン体験でしたけれど、やっぱりね、一時期(2011~14年ごろ)の Berryz工房のライブって、ほんとに楽しくてね。翌日になって頬が筋肉痛になっていて、それでようやくライブ当日は自分が終始ニコニコと微笑んでいたことが自覚できるほど、Berryz は楽しかったんですけども… このところの つばきファクトリーは、その頃の Berryz を思い出させてくれるかのようです。

卑怯なセレクト 『私がオバさんになっても』

アンコールの大声援に応じて、メンバーカラーのライトブルーの、素敵なドレスに身を包んで登場してくれた希空ちゃんが歌ってくれたのは、配信も決まったという『私がオバさんになっても』 でした。

新沼希空(つばきファクトリー)「私がオバさんになっても」本日6/10(月)24時配信スタート!

これは卑怯ですよね。いろんなものを絞り取られた感もあります。

元々、インディーズ時代から、つばきファクトリーがこの楽曲をカバーするにあたり、たとえば Berryz工房のスピリットを継承する… みたいなことを公式に謳っていたこともあって、ステージを去って行ったお姉さまたちの後を継ぐ若く幼いメンバーたちって色合いが濃かったんですよ、つばき。往時の、そのお姉さまたちの背中を遠く見ながら懸命にステージを継ごうとしていた幼いメンバーこそが、山岸理子小片リサ新沼希空谷本安美岸本ゆめの浅倉樹々の6人だったわけですが、その6人がこの日の武道館に勢ぞろいした上に、6人とも、すっかり綺麗なお姉さんになっちゃって…

そして、かつてお姉さんメンバーが「負けるわ」と歌った「若い子」の立場であった希空ちゃんが、今、リトキャメから新人さん3人を迎えて、すっかりお姉さんとなって「若い子には負けるわ」と歌っています。

もう何度も書いたけれど、この楽曲は、ハロプロの(メンバーを入れ替えて)連綿と継承していくモメントが、あまりに如実で、体液が漏れることを我慢できない次第ですが、楽曲に歌われている情景それ自体が、楽曲を歌うメンバーの歩みそれ自体と重なって、まさに多くのファンが、その時間の経過と一人の女の子の成長と決断を、あたかも物理的に触れることができるものであるかのように体感できるという(おそらくは製作者たちの意図を超えた)恐るべき楽曲となっています。

かつて、歩み去っていく先輩たちの残したステージを、幼い手で継承したメンバーが、すっかりお姉さんとなって、後からやってきた幼い後輩に手渡していく… もう、ずるいよね。そりゃ、泣くよね。

*****

ライブは、その後、『足りないもの埋めてゆく旅』を披露してくれて、前のページで述べた終わりのご挨拶を経て、『帰ろう レッツゴー!』で終了です。

すでに述べたように、ダブル・アンコールでは、ステージセットに、お馴染みのメッセージも書き残してくれました。研修生時代に「テキトーに決めた」とか言ってたくせにね。

リアル猫娘とか言われていた希空ちゃん、ほんとに猫のようで、わたしも希空ちゃんを評してそう述べたこともありましたけど、それこそ猫のように、つかみどころのないメンバーでした。めっちゃ魅力的なんだけど、でも、ちゃんと捕まえようとするとスルりと逃げて行ってしまって。

最期のダブル・アンコール前、順番にステージから引っ込んでいくメンバーたちの中、希空ちゃんに谷本さんがキスしようとする場面がありましてね。そして、希空ちゃんは、あくまでお約束に則って、キスしようとする安美ちゃんを嫌がって避けるわけですけども、でも、どこか、安美ちゃんがそんな挙に出ることを待ってた風でもあって、嫌がってるような表情を見せながら、眼の奥が笑っているようで。

希空ちゃんは、卒業という形で、私たちから逃げて行きましたけど、どこか眼の奥が笑っているようだったら良いなと思います。
もう会えないけれど、きっと希空ちゃんが笑っていますように。
祈っています。

(文=kogonil)

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