つばきファクトリー『~リトキャメ・ファイッ!vol.2~』〔承前〕
八木栞さんの思い入れが?(思い込み前提で)
ここから先は、月末の武道館での卒業を控えている八木ちゃんが、リトキャメの3人ひとり一人とペアを組んで、それぞれにデュエット曲を披露していきます。
まず最初は、八木ちゃんと瑠乃ちゃんによるカントリー・ガールズの『愛おしくってごめんね』。もう、この2人の組み合わせが “可愛いの渋滞” であることは言うまでもないんですが、続いて、八木ちゃんと結心さんのコンビで、W(ダブルユー)の『ロボキッス』を。オリジナルの “わちゃわちゃ感” が、八木・河西ペアの雰囲気とのギャップも含めて非常に楽しかったです。そしてその次に、八木ちゃんと真琳ちゃんのペアで、同じくW(ダブルユー)の『SEXY SNOW』の披露と続きます。
いや、先ほども触れたことの繰り返しになりますが、W(ダブルユー)の曲をチョイスしていることひとつ取っても、アップフロントの育成って本当にすごいなと(勝手に)感心するばかりです。そして、その育成の中でしっかりと育ってきたリトキャメの4人を、やっぱり称えるべきだなとも思うわけです。同じことばっかり言って申し訳ないとも思うわけです。
で、ここでちょっとだけ個人的に気になったことを。
ペアの順番なんですけども、瑠乃ちゃんとのペアでスタートしたなら、瑠乃ちゃん → 真琳ちゃん → 結心さん、という流れになるのかなと思いきや、真琳ちゃんとのペアが後になってるのは… これは報告者が勝手にそう思ってるだけかな。
で、続けて八木ちゃんがソロでアンジュルムから『恋ならとっくに始まってる』を。
「♪どうなるかわかんないけど」であるとか、「♪だってもうとっくに始まってる」といった歌詞が、なんらかの八木ちゃんの内心を反映していると思うのは… さすがに勝手に思い込み過ぎですね。卒業を前にこの曲をソロで披露するものとして選んだ八木ちゃんの心を想像するのは… 思い込みが過ぎるし、まだ早いかな。
イギリスのガールズグループの楽曲(『WINGS』)が披露されるのですが、ここはもう、真琳ちゃんの英語力が光った次第。
さらに、DEF.DIVAの『好きすぎて バカみたい』、BEYOOOOONDS の『GIRL ZONE』とパフォーマンスが続いていきます。このあたりまで来ると、もう完全に「ほんまに、トークとかじゃなくて、楽曲とパフォーマンスだけで押し切る構成なんやな!」と改めて驚かされます。もちろん、勢いで乗り切るという意味ではなく、自分たちがやりたい楽曲を出来るだけたくさん、って意味であることは繰り返すまでもなく。
アンジュルムの『次々続々』を披露しているあたりで、パフォーマンス中に瑠乃ちゃんと八木ちゃんの手が軽く衝突してるような場面も見えたんですけど、それが逆に、記事の最初に述べたように、いかにも、ちゃんと自分たちで練習し準備してきたってことが伝わってきます。そして、続く BEYOOOOONDS の『灰toダイヤモンド』については… これまた、この記事の冒頭で語った通りです。
そして…
こぶしファクトリー セレクトについて
ライブの後半で、特に印象に残ったのは、こぶしファクトリーの楽曲がセレクトされていたことです。具体的には『ハルウララ』、そしてラストを飾った『青春の花』。
まず、どちらの楽曲も、それ自体が本当に響く名曲であるということ。そして、だからこそ、こぶしファクトリーというグループが残してくれた楽曲たちのクオリティの高さに、あらためて驚かされるというわけです。時が経ってもなお、こうして新たなメンバーによって歌い継がれたときに、その楽曲の輝きがまったく色あせていないどころか、より強く伝わってくる。
さらに、こぶしファクトリーというのは、つばきファクトリーに少し時期的に先行して結成され、つばきファクトリーとは、いわばライバルにあたるような関係を演出されたわけです。お互いを高め合うために、ある種の緊張感を持って活動していた、その こぶしファクトリーの楽曲を、つばきファクトリーに後から加入したリトキャメの4人、結心さん、八木ちゃん、真琳ちゃん、瑠乃ちゃんが、こうして選んで披露するというのが、もう、どんな意味があるのかは詳細なところはわからなくても、なんか、ものすごくファンとして動揺するところです。
リトキャメの4人がハロプロに加入したのは2021年(瑠乃ちゃんだけ研修生としてもっと前からいたけれど)。
こぶしファクトリーがすでに解散してから、ある程度の時間が経っているわけです。リアルタイムでの接点がないにも関わらず、こうして彼女たちが、こぶしファクトリーの楽曲をしっかり受け取り、歌い継いでいるという事実。もちろん、この選曲が彼女たち自身によるものであるのか、実際のところは定かではないにせよ、どちらにしても、その選曲に対するパフォーマンスの説得力が伴っていたことは、間違いありません。そして、そうした曲を歌いこなすだけの表現力と、受け止めるための感性を、彼女たちがしっかりと育てられていることにも、驚きと感動があります。
一体に、アップフロントはステージ裏で、舞台の下で、ファンの目に見えないところで、どのような育成を積み重ねているのか。メンバーたちは、自分たちが今いるこの「ハロー!プロジェクト」という場所と、その歴史を、どう捉え、どう向き合っているのか。そうしたことを思うと、下手に「すごい!」とか「感動!」なんて言葉を使ってしまうのが、かえって軽く聞こえてしまいそうで。どんな言葉も安っぽく感じられてしまうくらいですので、非常に困っており、結果的にあたりまえの言葉を使うとすれば、静かな衝撃と深い感動が残った場面でした、ということで。
『うるわしのカメリア』とヤギカメラと秘蔵映像と
そんな こぶしファクトリーからのセレクト挟まれて、つばき本体から『うるわしのカメリア』が披露されます。
すでに冒頭で、最初の3曲でつばきファクトリーのいろんな時期や色合いを象徴しているようだと書きましたが、いやいや、この『うるわしのカメリア』こそが、まさに “つばきらしさ” のど真ん中なんじゃないかと。
9名編成の時代から、この『うるわしのカメリア』こそ、麗しく初々しい透明感の象徴のような楽曲であったというだけではなく、新メンバーである ひなーず たちも含め、つばきに新しく加入したメンバーにとって、まるでモーニング娘。における『好きな先輩』のように、ある種の通過儀礼のような役割を果たしている面があるのは広く知られたところですが、実際に、リトキャメの4人も、初めての武道館公演で歌っています。その際の、秘蔵のレッスン映像と、当時の武道館のセンターステージでのVTR が流されて、てっきり衣装チェンジの時間をつなぐ小粋な演出だとばかり思っていたところ、なんとそのまま、当時と同じ衣装をまとった4人がステージに登場してきて、VTRの流れをそのまま引き継ぐかたちで、生の『うるわしのカメリア』が。
上に、こぶしファクトリーからのセレクト楽曲のパフォーマンスについて、ありきたりな言葉じゃ、どれも陳腐に思えるからって困った挙句、ありきたりな言葉をセレクトしましたが、ここでも踏襲しまして。はい、たいへんに涙腺に厳しい展開となりました。
ステージ上でのパフォーマンスの華やかさや完成度だけじゃなくて、メンバーたちの歩みや背景を含めて、それどころか、当日そのステージに影も形もない全然別のグループのメンバーたちの歩みや背景まで含めて、一つの楽曲がこんなにもドラマになるっていうことを、改めて実感させられた場面でした。
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エンディングには、メンバーが相互に撮影した秘蔵のプライベート写真や動画を編集したVTRが流されます。わたくし、是非、これが欲しいので、このイベントは映像商品として販売されることを心から祈っておりますと、ここで伝えてみます。伝わるかどうか、わかりませんが。
ええ、とても素晴らしいイベントでした。
お楽しみはこれからだ?
今般、そんな素晴らしいステージを見せてくれた4人に魅せられることになったのは、遡ってみれば、まだ2021年だったのかと思って、改めて驚いております。
つばきファクトリーに大きな変動があって、いろいろ自分的にも揺らいでいた時、改めて気持ちを引っ張ってくれた麗しの4人がハロプロに加入してから、まだ4年経ってないんですよね。そんな4人が、あらためて、実に素晴らしいステージを見せてくれました。
河西結心さん、パフォーマンスがとても安定していて、当記事で何度か触れたフォーメーションが少し乱れたようなところが、一番少なくて、リトキャメの一番のお姉さんって感じです。まさにリトキャメの最年長としての頼もしさ。普段から、バックステージの映像でもそうだし、希空先輩と一緒に京都を訪れた特番とか、グループの冠番組でもそうなんですが、自分が前に出て場を締めたり、説明役に回ったりと、責任を進んで引き受ける姿が印象的です。なんか結心さんがいてくれると、それだけで安心できますよね。それは、パフォーマンスにおいても同様ってことで。
豫風瑠乃ちゃん、すっかり美人なお姉さんになっていて驚きましたし、パフォーマンスの中での足の使い方というか、クネクネとした柔らかい動きの多彩さ、多関節っぽさ?にも驚きましたけど… エンディングでステージから引っ込むときに、少し泣きそうになっていたようで、そこが一番印象的でした。そこで泣きそうになっていること自体よりも、それを3人のお姉さんたちからイジられて… プンスカ怒っていたようにも見えてね。やっぱり、あんなに美しく見事なパフォーマンスを見せながら、リトキャメの末っ子で可愛がられているのが、ほんまに愛らしいですね。
瑠乃ちゃん、楽曲の中でも特徴的な斉唱パートをほぼ一手に任されていた印象で、声量の安定感もあって、将来がますます楽しみです。
八木栞さん、元々眼が大きくて魅力的で、わたくしも(前世のBerryz工房熊井友理奈さんが古代の中央アジアでガンダーラ美術のモデルとなったように)八木ちゃんの前世の所在地は、中東のシャトルアラブ川周辺、メソポタミア文明揺籃の地だったのではないかと思うほどですけれど、今般、なんかその眼の大きさそのものよりも、表情の柔和さが際立った感じです。八木ちゃん、卒業を控えて、内面はかなりフラットなのかな。笑顔をつくった際の、口角の上がり具合が目立つほど、八木ちゃん、なんか落ち着いていました。
そして、福田真琳ちゃん。
実は、これまでのレポ記事の既述の進みの中で、あえて、意図的に、真琳ちゃんに触れるところを避けて来たんですけど…
だって、ほんまに魅力的です。イベントの前日のブログ(「全力で! 福田真琳」)でパフォーマンス制限の可能性に触れていましたけど、そんなことは微塵もなかったけれど、むしろ彼女の存在がずっと舞台上で輝き続けていた印象。もう、真琳ちゃん、魅力的過ぎて、2階席からでしたけど、ずっと見てました。ありきたりな称賛の言葉を避けたいのは、ここでこそ。
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個々の魅力も言うまでもないとしても、その4人としての個性の組み合わせが絶妙でした。
もちろん、そんな4人が真っすぐに育ったのは、つばきファクトリーの、もっとお姉さんだった9人の先輩たちのおかげでもあるんですが、瑠乃ちゃんを可愛がる3人のように、そして、その3人のちょっかいにプンスカする瑠乃ちゃんのように、この4人の組み合わせの妙味は、それこそ計算して狙って演出しても不可能な奇跡でした。
それは、まもなく終わりを告げます。
しかし、いつかきっと… ああ、これは、これ以降は、武道館の公演に参加してからにした方が良いかも知れませんね。
この段階で言えることは、まずもって、実に素晴らしいステージを見せてくれたリトキャメの4人でした、ってことまで、ってことで。

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