演者の成長を体感するという新体験/レポ:つばきファクトリー演劇女子部 「遙かなる時空の中で6 外伝 ~黄昏ノ仮面~」

小野田暖優(演劇女子部)さんが想像させてくれたコハク

なんだか可愛かったですよね、コハクの小野田暖優さん。もちろんコハクは男性なんですけれども。

カーテンコールでのご挨拶で「役作りについては、新沼さんと相談した」って話してくれた小野田暖優さんですけど、この “新沼さんと相談した” ってことは、なんと劇場で物販されていたパンフレットでも触れてくれていて、いろいろ気を使ってくれているんですね。
ありがとうね、小野田暖優さん。

だからだと思うんですけど、どこか似てるんですよ、希空ちゃんに。

もちろん、希空ちゃんが演じるコハクは観たことないわけだから比較なんかできないんですけど、似てると断言したいと思うのです。

最初の数回の観劇では、小野田暖優さんのコハクを観ていて “ああ、こんなコケティシュで愛らしくピョンピョンしてるコハクを演じてる、そんな希空ちゃんを観たかったなあ” とか思った投稿者ですが、途中から(何回目からかの公演から)、それが操作されたものであることに気がつきます。そんな風に、観ているこちら側に、そこに居ないはずの新沼希空さんを想像させちゃう小野田暖優さんの演技が凄いんだって。だって、つばきファクトリーのライブで希空ちゃんがピョンピョンとダンスしてるみたいに、まさにあの感じで、舞台上でコハクがピョンピョンしてるんですから!……やっぱり演劇って凄いなって思います。

里谷村雨(谷本安美)の自然な謎っぷり

…次の人生がもしあるなら、つばきファクトリー谷本安美一択だと思っていたわけですが(現在はダリウス岸本と迷い中)、その理由がわかったような気がします。安美ちゃん、美人さんだとばかり思っていたけど、カッコ良くて吃驚。

安美ちゃんが、こんに低い声を出して、あんなに颯爽と動くだなんて、率直な驚きでした。皆さん、おっしゃってますけど、登場してきたときには誰だかわからなかったくらい。

演技そのものも、例えば笑い方なんかも、かなり意識していたようです。あの「あっ、あっ、あっ」って感じの亜美ちゃん独特の笑い方が、笑い声のリズムと抑揚はそのままに(だから、かなり自然な笑い声になっているところで)ちゃんと「ふっ、ふっ、ふっ」って笑う演技をしてるんですよ、安美ちゃん。

と、笑い方を例に出しましたけど、原作を知らないハロプロファンとして観劇に臨んだ私のような観客にとって、里谷村雨は(劇の途中からの登場ってこともあって)一番に説明の足りない登場人物であったかとも思うんですが、キャラ設定について特に語られるわけでもないのに(大正時代風なのに「携帯電話」を知っていたり)いつの間にか “謎の登場人物” であることはそのままに、こちらの意識にすんなり入り込んできます。(もしかしたら、ちゃんと演技していたってこと以上に、このことは谷本安美個人の強みである可能性も濃厚かも。というのも、カーテンコールでは、衣装のまんまで、しかし毎回ちゃんと、私たちがよく知る安美ちゃんに戻ってヘラヘラしてたから:これは笑える話ではなく、かくも見事に別人になりきっていた一方で、舞台上で谷本安美であることが失われていないことは、ものすごく得難い貴重なことであると思うのです。)

さらには、安美ちゃんの美形っぷりが、男装故に、こんなにも明瞭なことも驚きで、これだけのためにであっても演劇女子部の物販パンフレットは買いです。カッコ良さに驚いた安美ちゃんは、やっぱり美人さんでした。

駒野千代(山岸理子)の “ふわふわ” 神子

理子ちゃん、声が高いだけじゃなく、もの凄くよく声が通ります。白龍の神子の力である邪を封じる呪文も、敵味方入り乱れてる乱闘シーンでちゃんと呪文が聞こえるから、理子ちゃんにしてみれば相当大きな声を出してると思いますし、さらには、その声が割れたりせず、ちゃんと通ってるのが刮目です。

そんな乱闘シーンでは、ラスボスの奸計によって弱らされていた白龍の神子は、呪文を詠唱する度に倒れ込むんですが、こうした倒れ込みは、公開記念のトークショーでも “そこを観て欲しい” ってお題で話題になったから意識して観ていたんですけど、同じように理子ちゃんが “そこを観て欲しい” と言っていた女子っぽい「オホホ笑い」などは、観ていても気がつかないくらい自然で、理子ちゃんの “ふんわり” っぷりは、今般の演劇女子部における白龍の神子に、実にぴったりでした。

小片さんについても思ったことですが、これが意図した演技プランなのだとしたら、つばきファクトリー将に恐るべしって思いますし、意図せず役柄に自分を合わせて行けるってことなら、やっぱり つばきファクトリー恐るべしって思いますね。

…って、”ラスボスの奸計によって弱らされていた” ってこと自体、いろいろと理子ちゃんらしい感じがしてしまうのは、やや申し訳ない。

*****

さて、そんな風に 恐るべきかも知れない つばきファクトリーの熱演が光った演劇女子部だったんですけど、東京公演の千秋楽(← おそらく)には、嬉しい観客もサンシャイン劇場に足を運んでくれていたようです。

エンタメアライブでは、皆様からの投稿を募集しています。
詳しくはこちらを御覧ください『寄稿について

コメント

名前*必須