つばきファクトリー 八木栞、10周年記念の武道館公演~OUR DAYS~は、笑顔を絶やさぬ卒業式に

メドレー後半戦 加入同期フィーチャリング

メドレー後半戦は、加入同期ごとのパフォーマンス。
そのオープニングは、水彩画のようなメンバーポートレートから続いて『ふわり、恋時計』で、河西さん、八木ちゃん、真琳ちゃん、瑠乃ちゃんの リトキャメ 4人によるパフォーマンスです。
天空席からの眺めだからか、なんだか幻想的な美しさ。この4人を見出したことは、まことにアップフロントの慧眼であって、率直に脱帽し、アップフロント幹部に高い菓子折りをもってご挨拶に行きたいほど。みんな4人とも、それぞれに、実に美しい。八木ちゃん “あどけなさ” が強めだけど、やっぱり美しいし、もう4人とも、ほんまに美しい(真琳ちゃん、ときどきドヤるときに、小鼻がプクッと膨れるところも、実は愛理さんに似てるなって思うのでした)。

そのまま、リトキャメ パフォーマンスは、『ガラクタDIAMOND』から『涙のヒロイン降板劇』と、リトキャメ加入時の楽曲へと続きます。この人数で左右のウイングに展開されると、わたしの天空席からは、ほぼ見えなくなるのだけど、そこで声だけで鑑賞していても、この4人はそれぞれの声質の個性まで明確で、聴き応えがありますよね。八木ちゃん、卒業するの止めれば良いのにって、どうしても思ってしまうな。

続いては、まだ加入して2年経っていない石井ちゃん、村田さん、土居ちゃんの ひなーず によるパフォーマンス。
つばきの通過儀礼って、もしかして『私がオバさんになっても』だったのかも知れませんね。この若い子には負けるわって、当の若い子が、さらなる若い子を迎えて歌うこと(歌詞と現実のリンクと、ハロプロの継承という図式とのシンクロ)の、琴線への触れ具合は尋常ではないわけですが、それを一番の若い子に歌われると表現しがたい感慨があります。

ひなーず、続けて、インディーズ時代の つばきファクトリーから『気高く咲き誇れ!』と『青春まんまんなか!』を。
楽曲それ自体がハロプロの継承という図式とのシンクロを表現している『私がオバさんになっても』の、その超具体的な実例こそ、2015年のインディーズ時代の楽曲を2024年加入の若いメンバーが歌うことだったのかも知れませんね。

石井泉羽ちゃん、ちょっと音程が乱れますが、耳を気にしていたので、あれは何かイヤモニのトラブルだったのかも。

さにこ(小野瑞歩さん、小野田紗栞さん、秋山眞緒ぴん)にステージがチェンジして、つばきメジャーの『Just Try!』から、『低温火傷』に続けて『就活センセーション』と、それぞれの時期で、個々に “つばきの代表曲” 的なところを。いつの間にか、すっかり さにこ が、つばきの中核です。こんなところにも、若い子が、さらなる若い子を迎えて歌うというハロプロのエッセンスが表現されていると見て取るのはファンの贔屓目なんですかね。

そして、なんと谷本安美さんソロで、つばきインディーズ一発目でもある『17才』を。
つばき結成時、北海道から通っていて、満足なレッスンも出来なかった安美ちゃんは、当時、アイドルステップにすら苦戦していたとは、多くのファンが知っているところです。その苦戦していたダンス映像が撮影される際に自分だけ他のメンバーと違う色のシャツを着ていて、それを会社のエライ方に見られて「あの子は踊れないから違う色を着てるの?」と言われてしまったことは、この武道館の直前に当の安美ちゃん本人によって明かされたわけですが、もちろん、2025年現在、見事なアイドルステップです、安美ちゃん。

繰り返し、ソロです。
武道館の大舞台を向こうに回して、たった一人で『17才』を歌う谷本さん、堂々としていて、美しいことは、もう言うまでもないかと。

そんな安美ちゃんに、まずは さにこ の3人が合流して、順次、楽曲の進展にともなって、リトキャメ、ひなーず と参加してきて、最終的には全員でパフォーマンスされたのが、麗しい つばきファクトリーの代名詞中の代名詞、『うるわしのカメリア』。嬉しそうに歌う瑠乃ちゃんを見ていて泣きそうになったことは秘密です。

40曲までの怒涛の後半戦

オープニングのメンバーたちの腰の低さからの屹立具合の見事さが印象的な『Power Flower 〜今こそ一丸となれ〜』から、メドレー以降の後半戦がスタートします。しかし、麗しく健気であどけない雰囲気の楽曲から、こんな荒ぶる激しい楽曲まで自在なところは(いや、つばき 以外のグループもみんなそうなんだけどさ)何度現場で接しても驚かされますね。

ここまでで、メドレー曲が大部分だったとはいえ、32曲を披露してきて、少なくともスクリーンに抜かれるのを凝視する限り、あんまりメンバーが汗かいてない感じなのが驚異的な体力を感じさせます。しっかし瑞歩さん、ほんまに嬉しそうに笑ってるな。

続いて、これまた雰囲気がいきなり大幅に転調して、コケティシュな『君と僕の絆』へ。
この曲中で、メンバーから八木ちゃんへ急ぎ足のメッセージが差し込まれます。「♪ふりむけば いつでも ちかくにあるさ ぼくらのきずな」って歌う、そんな楽曲で、メンバーから八木ちゃんへのメッセージが(その内容は記事の最初のページを参照してね)。泣きそうになってる土居ちゃんの頭を真琳ちゃんが撫でていたように見えたのは、報告者の眼の錯覚かしら。

泣きそう顔芸中のリーダー谷本さんが「ヤギシオリ!」とだけ、ようやく絞り出すようにメッセージを述べたときの、八木ちゃんの笑顔は、人類レベルでアーカイブしておくべき笑顔だったかと思います。もちろん、いつも、こういう場面で、涙を耐えようとして、周囲を威嚇するかのような顔芸を披露してしまう安美ちゃんも。良い場面だった。

もう2曲ほど歌ってるけど、瑠乃ちゃんの「これから後半戦だよ!」との宣言から、ひなーずによる会場の煽りを経て、センターステージへと駆け出して『初恋サンライズ』を。「♪ぐうぜんに ふれた ゆびが あつい」って、八木ちゃんと小野田さんが指を触れ合わせて、ちょっといけないことしちゃった的な表情してるのが、この曲のパフォーマンスの白眉かと。いや、白眉は、楽曲後半部分で八木ちゃんと瑠乃ちゃんがセットになった場面で、瑠乃ちゃんが泣きそうになって八木ちゃんが笑ってるところかも。

イントロでの転調に “はっと” させられる『純情cm(センチメートル)』へと続いて、しかし、あんなに小っちゃな子たちだから腕の長さも限りがあるだろうに、手足を伸ばしてダンスするパフォーマンスが大きく見えるのは、どうしてだろうと思いつつ、ステージは『三回目のデート神話』へと展開します。泉羽ちゃんも村田さんも、余裕で迫力のパフォーマンスです。びっくり。

上に「あんまりメンバーが汗かいてない感じ」と述べましたが、この辺りで、スクリーンに抜かれる大きな表情には、うっすら汗が滲み頬が上気していて、魅力が増していることをお伝えです。

そして、つばき近年の鉄板曲『アドレナリン・ダメ』は、さすがに盛り上がりますけれども、それに続く『大好きなのに、大好きだから』が非常に素晴らしく、これはこれで、つばきの鉄板になりそうな予感です。メインのサビの旋律が非常に良い曲ですよね。記事の初めの方でも触れましたが、作詞・作曲って、ほんとに、どうやってるんでしょうね。良い曲です。

個人的に豊島園での炎天下のリリイベ(→「【短報】つばきファクトリー、厳しい参加条件と炎天下でもファン歓喜のミニライブ&お見送り会イベント「再会」(8/10 としまえん)」)が思い出される『断捨ISM』は、やはり秋山さんの身体の伸びやかさが印象的でありつつ、鉄板曲に準じる盛り上がり曲も、ずいぶん豊富になってきた つばきファクトリーです。印象的なフレーズを叫ぶように繰り出している豫風瑠乃さんが実に晴れ晴れしい。振り回すタオルを頭に巻いていたのは、やっぱり秋山眞緒ぴんだったかな。

後半戦、ずっと緩やかに盛り上がりのボルテージを上げて来て、ライブ本編ラストは『妄想だけならフリーダム』を。
間奏の特徴的なフリに入る直前、ステージのセンターで、矢印のような形で、後ろから前へサイドステップでせり出していく(瑠乃、八木、眞緒、真琳、瑞歩の5人)場面もまた、人類レベルでアーカイブしておきたいパートかと。

ドレスの八木ちゃんソロで幕開けのアンコール

真っ白なドレス、それはメンバーカラーを脱ぐという意味もあったという真っ白なドレスに着替えて登場してきた八木ちゃんは、アンコールの一発目で、ソロで『My Darling 〜Do you love me?〜』を。この楽曲のセレクトにあたって、個人的には、あの “あどけない” 八木栞さんの愛らしい雰囲気に、非常に相応しい一曲であったかと思います。楽曲のパフォーマンスにともなって、振り付けから表情まで、そのコケティッシュな押し出しは、ほんとに八木ちゃんにお似合い。

八木メシからヤギシオリコールまで、いろいろ異端であったことの自覚があったことから展開して、メンバーにもスタッフにも、そしてファンにも感謝していると述べるお手紙の中で、八木ちゃんからメンバー1人1人へのメッセージも語られます。これも具体的には記事の最初のページに先走って記載しちゃいましたけど、八木ちゃんがお手紙読んでる間中、ずっと泣きそうなのを耐えていた瑠乃ちゃんが「実はライバル視していて素直になれないこともあったけど、今でも一番素でいられます」と自分宛てのメッセージを読まれた途端に、急に崩れたのが、急に泣いちゃって赤ちゃんみたいに応答するのが、あまりに可愛らしかったことは、言うまでもありませんかね。

全員でのアンコールは『勇気 It’s my Life!』から。こちらも泣きそうになっていて、予定されていた口上に、ちょっと詰まっちゃった河西さんが宣言してからのスタートです。歌詞だけでなく、明るく前向きな旋律もまた、旅立つ八木ちゃんに相応しいなって思ってるところで、記事の冒頭で述べたこと、あの強い小野田紗栞さんが泣いちゃって歌えないって事態が起こっちゃいます。でね、小野田さんが泣きそうになっていて歌えないってのを八木ちゃんが笑って見てるんですけど、人類レベルでアーカイブすべき八木ちゃんの笑顔第二号ってことでね。

どこまでも明るい旋律で、間奏の重いベースパートすらも含めて、曲全体が弾むような『スキップ・スキップ・スキップ』へと進んで、あくまでも明るく弾むような雰囲気のまま、八木ちゃんの卒業式は進んでいきます。ステージの隅では、泣きそうになって歌えなかったことを(たぶんね)安美ちゃんに突っ込まれてか、すねるような顔をして笑っている小野田さんでした。

メンバーからの八木ちゃんへのメッセージも、八木ちゃんからのメッセージも済んでいるので、最後に安美ちゃんが代表してご挨拶です。ええ、言うまでもなく顔芸は(笑顔を固めて周囲を威嚇するという)新境地に入りまして、何故か笑いながらも、会場の涙を誘います。会場の涙を誘ったのは、顔芸だけではなく、代表してのご挨拶の内容でも同様ってことで、いつの間にか、安美ちゃん、立派なリーダーになっております。そのことがまた泣かせるよね。

そして最後に、『My Days for You』です。
ごめんなさい、代表してのご挨拶が、あまりにも素晴らしかったこともあって、八木ちゃんの卒業ライブのレポだっていうのに、この記事をリンクさせてくださいな。

この天才中島卓偉さんの超名曲『My Days for You』を、つばきファクトリーのシングルにしようと決定した事務所のエライ方には、真面目に菓子折りもってご挨拶に行きたい気分です。

八木ちゃんがニコニコ笑って、そして、メンバー紹介を終えて、ライブ全編の終了です。
もちろん会場からのコールでダブル・アンコールとなりますが、なんと、八木ちゃんだけじゃなくて、みんな出てきて、マイクを通さずに「ありがとうございました!」って。

最期まで崩れることなく、ほんまに笑顔のまま卒業していった八木栞さんでした。

未来のミュージカル女優の誕生に立ち会えたかもしれない幸運を

千夜一夜イベントなどに参加していて、いつも驚かされるのは、ハロプロのメンバーたちが、自分が憧れる輝きの中へ、躊躇なく飛び込んでいく率直さです(千夜一夜レポの最新のものはこちら|記事内に千夜一夜関連リンクあり)。そして、もうひとつ思うのは、自分が憧れる世界へ飛び込んでみて、それまで思い描いていたことと違う現実に直面して「思ってたのと違う」ということに何度も襲われながら、しかし、踏みとどまって、自分が輝く側に回るという、メンバーたちの強さです。毎度、ほんとに感心します。

同じように、ハロプロに飛び込んできて、いろいろ「思ってたのと違う」ということに遭遇しながらも、ここまで約4年弱、つばきファクトリーを牽引してきた八木栞さんならば、次の憧れの場所へ飛び込んでも、必ずやその場所で、八木ちゃんなりの花を咲かせることでしょう。

八木メシばかりが私の魅力だとは思わないで欲しい、八木メシ以外の私の魅力も知って欲しいと、そうファンクラブイベントで八木ちゃんが言うもんだから、その後開催された個別系のイベントで八木ちゃんのブースに入って、八木メシ以外でも超魅力的だよとお伝えして、ご本人の意図通りのはずなのに、どうしてだかわからないけど、めっちゃ笑ってくれたあの日から、八木ちゃんの笑顔が持つ人を幸せにする力を確信している報告者なのでした。

ええ、八木ちゃんの次のステージもまた、笑顔と幸せがあふれていますように。

(文=kogonil)

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