いろんなファンの思惑が乱れ飛ぶグループ(投稿者の場合)
カントリー・ガールズの握手会で、 山木梨沙 さんの前に流れていったとき、山木さんが道重さゆみさんの大ファンだと知っているから、ついつい道重さんの話題を持ち出すことが多かったんですね。
それでなくとも、しっかりプロのアイドルとして、各地のショッピングモールにてCD販促の握手会に集うファンに、ちゃんと笑顔を向けていた山木さんは、道重さんの話題を出すやいなや、それまでの笑顔とは質の異なる笑顔を向けてくれたものでした。その様子から、山木さんは本当に道重さんのことが大好きなんだなとわかって、同じく道重さんを神として崇める私は、益々山木さんに好感を持ったし、さらにその様子から、道重さんの話題をファンとやり取りできる場面意外でも、しっかり、きっちり、山木さんが “お仕事をしている” ということまで派生的に理解できて、一層、好感が持てたんですけどもね。
そんな具合に、(1)ちゃんとお仕事しているし、(2)道重さゆみさんの背中を見続けてきたってわけですから、カントリー・ガールズに何があろうとも、山木さんは芸能活動を続けてくれるんじゃないかと、勝手に思っていたんですけどね。
と、そんな風に思っていたのは、あくまで、こちら側の事情でしかないんですけどもね。だから、ファンの側が如何に思い入れようとも、山木さんが自らの人生を自分で選択した結果に、もちろん影響を与えることなんか出来っこないし、どうこう言う権利だって無いのは言うまでもないんですけどね。
何が言いたいかっていうと、それだけ、専心的に追っていたわけではないファンにとってすら、思い入れのフックがたくさんあったのがカントリー・ガールズだったってこと、このことが言いたいので自分の例を出して見たというわけ。
森戸知沙希さんに想いを馳せて
いきなり話題が急展開するようですが。
アンコールの2曲め『アイドル卒業注意事項』にて、森戸知沙希さんが言っていたことは、そのまんま、真に受けようと思っています。一般人となった山木さんの情報も、ふなっきの身長が2ミリ伸びたこととか、舞ちゃんとデートしたことやなんかを、ちゃんと伝えてくれることを今後とも本気で期待しようと思うのです。
森戸知沙希のステージに立つ姿に対しては(現時点でも)いろんなファンの意見や気持ちが託されちゃってるわけですが、森戸さんは、今後ともモーニング娘。14期メンバーとしてハロプロで芸能活動を続けていくことから、そうした森戸さんの姿には、この4人の(ファンによっては6人の)カントリー・ガールズの面影が投影されることは避けられないことです。意識的に “そうすまい” と思っていても、眼を開けたら目の前の光景が飛び込んでくることが避けられないように、心の中で動く想起の仕組みは意識的に制御できないから、それは、どうしたって面影は投影されちゃいますよね。
森戸さんとしては、もう私はモーニングのメンバーなんだから、そういつまでもカントリーの面影を投げかけられても困る、って思うこともあるかも知れません。逆に、ずっとカントリー・ガールズとしての森戸知沙希を忘れないでいてくれることを嬉しいと思ってくれるかも知れません。その時々の森戸さんの気持ちの動きについては、わたしらファンの想像が及ばないどころか、森戸さん本人にだって、その時になってみなければわからないでしょう。それでも、少なくとも、この2019年12月26日、カントリー・ガールズの面影を投影されながらモーニング娘。として芸能活動を継続することを、森戸知沙希さんは自覚を持って引き受けようとしていました。
あの結成間もない頃のハロショのイベントでは(参考|「ハロショ イベ『カントリー広場』森戸知沙希編/山木梨沙編 レポ ~対称的な二人が体現するハロプロの信頼感~」)あまりに早く帰りたすぎて、イベント終了のご挨拶もないまんま、とっとと奥に引っ込んでいた ちぃちゃんが、こんなにしっかりと “アイドル” をやっていることも、ある種、カントリー・ガールズが “アイドルの理念型” のひとつを体現しているような気がします。
カントリー・ガールズ活動休止の経緯を振り返る
ハロー!プロジェクトのアイドルグループである『カントリー・ガールズ』は、結成から5年を経て、山木梨沙、森戸知沙希、小関舞、船木結の4人体制をもって、2019年12月26日の木曜日、かつての渋谷公会堂にして現在の LINE CUBE SHIBUYA にて開催された『カントリー・ガールズ ライブ2019 〜愛おしくってごめんね〜』をもって活動を休止し、メンバー全員が卒業しました。
山木梨沙さんはハロプロも芸能活動も引退し一般人となります(アンコールの2曲め『アイドル卒業注意事項』で、”だからそっとしておいて” とも明確に宣言)。森戸知沙希ちゃんは、上記のとおり、モーニング娘。メンバーとしての活動を継続します。小関舞ちゃんはハロプロからは卒業する一方でアップフロントには籍を残し今後の活動に含みを持たせていますね。船木結さんは兼任のアンジュルムを2020年の3月に卒業するとアナウンスしており、その後はダンスを中心に自らを磨くとも述べていて、今後の活動について詳細なところは不明です。
カントリー・ガールズは、活動停止した Berryz工房から 嗣永桃子さんが カントリー娘。を再始動させる形でスタートさせたハロプロのアイドルグループで、嗣永さんに加えて山木梨沙、稲場愛香、島村嬉唄、森戸知沙希、小関舞の6名で2014年の11月に “結成” されたユニットです。今更、言うまでもありませんけども。
同時期に活動をスタートさせた こぶしファクトリーや つばきファクトリーと並んで(参考|「Hello! Project New Fes Ⅱ@五反田ゆうぽうと レポ 「可愛いは正義」にねじ伏せられた初秋」)あくまで新人グループという形でのスタートだったはずが、初期メンバーだった島村嬉唄の圧倒的可憐さによって、本格活動開始早々に、おそらくは事務所の思惑を越えて、いきなり大ブレイクしちゃいます。その時から、今日に至るまで、思い返せば、何かと安定せず大きく揺れ動いてきたグループでもあったことが印象的です。
短期間でメンバーの脱退や卒業・加入に翻弄された点でも特筆されるべきですけど、やっぱり多くのファンにとって重いのは、いわゆる “兼任体制” ではないでしょうか。
- 梁川奈々美 卒業公演は、カントリー・ガールズ & Juice=Juice 合同ライブ
- 梁川奈々美、2019年3月をもってカントリー・ガールズ、Juice=Juice及びハロー!プロジェクトを卒業し学業に専念
- カントリー・ガールズ 山木梨沙、兼任で女子大生アイドルユニット”カレッジ・コスモス”に参加
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- 療養中の稲場愛香、カントリー・ガールズを卒業
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- カントリー・ガールズ 嗣永桃子の卒業にともなって新たな体制へ
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この兼任体制について、今般の活動停止の根本原因を帰する向きもあり、当サイトにあっても “ハロプロ存続のための試行錯誤の一環ではないか” といった検討があったりします(参考|「山木梨沙、Juice=Juice メンバー5人がインスタグラム開設! ハロプロの今後のSNS展開を予測」)。それでも、その活動休止のラストライブを終えてみれば、カントリー・ガールズがひとつのアイドルの理念型としてファンの心に刻印される一助ともなったのかなと、そうも思えたりします。
アイドルの理念型へ
思えば、10年、20年と続くことの方がおかしいのかも知れません。
Berryz工房も ℃-ute も、10年以上続いて、それぞれ活動停止・解散してからも、多くのメンバーたちは、それぞれにソロの活動を続けてくれて、後輩たちも折に触れて先輩の話題を出してくれて、今尚、多くのファンは、Berryz工房や ℃-ute の、そのままの手触りを保持し続けています。
モーニング娘。も、メンバーの入れ替わりこそあれ、ずっと活動を続けていて、折に触れてOGがステージに参加したり、これまでの活動を振り返るような企画をやってくれたりして、もう長い間、リアルに目にしていないメンバーであっても、どこか気持ち的に近しいところにいるような感覚すらあったりします。
その意味で、この5年という(ハロプロにあっては)短い活動期間をもって “儚くなる” ことこそ、アイドルであることの一つの理念であると言うことは出来るかもしれません。ましてや、その “儚さ” が故にこそ、ファンの心に印象的に刻印されるとあっては、それこそ “アイドルそのもの” と言えるのではないでしょうか。
アンコール開けのご挨拶で山木さんも言ってました。曰く、”スキルとか、歌とかダンスとかだけじゃなくて、わたしそのものを愛してくれた” と。
しかし、その愛したアイドルそのものには手が届かないことこそが大事なポイントです。歌やダンスじゃなくて、スキルやステージのあれこれじゃなくて、そして、ファンに見せてくれるキャラやアピールだけじゃなくて、それらの一切を含めて、それが “儚く消えてゆくところ” にこそ、あるいは、歌やダンスやスキルやキャラを、どれだけ身近に感じていながらも、決してその実態には “手が届かないところ” にこそ、アイドルの本質があるのだとすれば、今、メンバー個々が、それぞれの道を選んで活動停止となったカントリー・ガールズこそ、アイドルそのものだとも言えるのかも知れません。
そう思えば、(1)兼任体制に代表される、大人の思惑に翻弄されたところも、(2)その “翻弄” の背後に見え隠れする “大人の思惑” には、決してファンの手が届かなかったところも、(3)そのように「もどかしい」想いをするファンそれぞれの気持ちもまた、カントリー・ガールズを翻弄する “大人の思惑” のひとつであったことも、すべて含めて、いかにも “アイドルらしい” と形容できるところかとすら思います。
ラストを飾った『VIVA!薔薇色の人生』ではありませんが、”未熟者だからこそ未来しか無くてごめんね” と歌われるように、”儚くファンの前から消え行くからこそ、アイドルなんだから、ごめんね” といったところでしょうか。
改めて、森戸知沙希さんに想いを馳せて
兼任当初のモーニング娘。のステージMCで、カントリー・ガールズと兼任していることに自ら触れて、「あ、微妙な拍手、ありがとうございます」と、自虐的にもネタにしていた森戸さんです。
アンコール明けで「最初っから居たみたいだと、みなさんが言ってくれたから」と泣き崩れて言葉にならない船木さんのご挨拶を客席に通訳するところも、今更だけどと “どっか行っちゃう舞ちゃん” を探してたんだからねと述べるところも、もっと以前から、普通にファンに明かしてくれていればと、それこそ “エピソードとして惜しい” お話しをたくさん(今になって)伝えてくれました。
そんな森戸ちゃんは、明日からもモーニング娘。として活動を継続します。
カントリー・ガールズが居なくなったカウントダウンのステージにも、冬ハローのステージにも、モーニング娘。のメンバーとして、森戸さんは立つことになります。
繰り返し、それを本人が望むと望まないとに関わらず、嬉しいと思おうと迷惑だ思おうとに関わらず、モーニング娘。としてステージに立ち続ける森戸知沙希さんには、常にこれからも、カントリー・ガールズの面影が投影され続けることになります。ファンによって、その面影の中に見るものは違っていても。
そのことを、森戸知沙希さんも自覚しています。いや、むしろ、積極的に引き受けようとしているかのようです。
ファンの漠然とした想いを投影されることを引き受ける…その意味での「偶像」として、そうであることを理解しながら、森戸知沙希さんは、明日からもステージに立ち続けます。
このこと、つねに具体的な身体の先にファン側の儚い面影が投影されることも、そのことを積極的に引き受けて明日からのステージに立ち続けることも、これもまた、ある種の “アイドル=偶像” の一つの理念型でもあります。
2019年12月26日、明日からも続く毎日を、それぞれの方向で走り続ける、その一環として、ひとつのグループが活動の区切りをつけました。その節目のあちこちに、具体的でもあれば抽象的でもある “アイドル” であることの意味を幾重にも纏いながら。
カントリー・ガールズ⼤全集1(初回生産限定盤)
価格: ¥ 5,417
出版社/メーカー: UP FRONT WORKS Z
発売日: 2019/12/4
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