はじめに
それは、リーダー高橋愛さんが9期を向かえた時期に発した言葉だったと記憶しています。9期メンバーが初めて参加したツアーを追ったDVDマガジンのインタビュー的な体裁で、愛ちゃんは、こんなことを語っていました。
曰く「確かに私たちが今活動できているのは先輩たちのおかげだけど、私とガキさんなんて10年やってるんだから。今の私たちがやっていることは、先輩たちにはできない。今の私たちが、過去最強」だと。
愛ちゃんが、こうした見解を表明して以来、ハロプロの、モーニング娘。のステージを追い続けている者からすれば、以降ずっと、現役のモーニング娘。こそ、過去最強を更新し続けていることは明らかだったりするのではないかと。モーニング娘。に専心するファンでなくとも、ハロプロ全体のステージに接するに、昨今のモーニング娘。の最強っぷりは「さすが」の一言。さすが、年間で踏んでる舞台の数が違います。背負ってる看板の重さが違います。さすがにハロプロのフラッグシップです(参考|「涙が止まらないポイントがありすぎて心が超忙しかったカウントダウン、Hello! Project COUNTDOWN PARTY 2019-2020」)。それは、下記に、こんな関連リンクを列挙するまでもないことかと。
たとえば「’14」時代よりメンバー同士が “和気あいあい” としていたことに対して、もう少しギスギスしたライバル関係があった方が良いのではないかといった苦言が、先輩から呈されこともありました。上記のように最強を更新し続けているモーニング娘。であれば、そうした提言の通りに、パフォーマンスを研ぎ澄ますための切磋琢磨に明け暮れているのかといえば、むしろ、メンバー同士が “和気あいあい” とした「幸せの風景」もまた、過去最強を更新し続けているようです。
私たちファンは、そのことを、コンサートツアーのバックステージを追ったDVDマガジンを通じて知ることができるのでした。
今般、そのDVDマガジンが、あまりに素晴らしかったために、そこに収録された「幸せの風景」に、それこそ連綿と受け継がれてきた “継承の形” までが如実に描き出されていることを、ここにご報告です。
DVDマガジン その愛ある編集の形
DVDマガジンは、ハロプロのグッズとして、ライブやイベント会場で物販されており、ハロプロ全体のものの他、各グループ毎に発売されていて、今回、話題にしたいと思ったモーニング娘。の場合は、2020年5月の段階で Vol.128 を数えております。
内容は、いろんな遊興施設でのロケやバンガローでのお泊りといったお出かけものから、時々の舞台公演にちなんだゲーム企画など、非常に多岐にわたりますが、中でも評判なのが、ツアーのバックステージに密着したドキュメントものですよね。このDVDマガジンに収められたバックステージでのメンバーの愛らしさというか魅力たるや、実際、驚異的です。バックステージに対して表であるコンサートツアーに観客として参加していてすら、あるいは、ずっとメンバーのブログやラジオなどを追跡していてすら、DVDマガジンでこそようやく接することができるメンバーの姿というものには驚く次第。
そんなもん、ファンにとって心地良い場面ばかりを切り取って編集してるに決まってるじゃん。いやいや、それこそ意図的に編集された商品に対して、そんな素直に、そんなストレートにダマされちゃって、どうすんだよ? …といった声が聞こえて来そうです。
もちろんのこと、ライブツアー中にバックステージに密着しているからには、密着カメラには、メンバー同士で険悪になっていたり、スタッフさんに叱られたり、体調が思わしくなかったり、思ったようなパフォーマンスが出来ずに機嫌を悪くしていたりと、時に、ファンの皆さんにはお見せできない表情が収められたりもするんじゃないかと。そして担当しているスタッフさんは、そういう “お見せできない” 場面を十分承知しているのではないかと。それは、その通りだろうと思うのです。
だからこそ、バックステージの実態は必ずしもファンの皆さまにお見せできるようなものばかりではないと、取材・収録・編集に携わった密着スタッフが、十分に認識しているからこそ、むしろ逆に、その「仕事の結果」としてのDVDマガジンが、ファンが刮目すべき仕上がりになっているということに大きな意味があります。必ずしもファンの心に心地好いものばかりではないはずの、そうした素材が「編集」されて出来上がったDVDマガジンに、あまりにも魅力的なメンバーの笑顔と汗と涙が収録されていることにこそ、スタッフのメンバーへの愛を感じないわけにはいかないわけで、これが「大人の仕事」であることを踏まえれば、かえってそれだけ、出来上がった商品としてのDVDマガジンがファンの心に響くことの意味を考えないわけにはいかないと思うのでした。
収録・編集スタッフ側にメンバーへの愛があること。だからこそ、”仕事をしている大人” に、そうした愛を抱かせるほどものが、メンバー側にあるのだということ。
モーニング娘。のDVDマガジンについては、Vol.30 前後を画期として、それこそ9期加入直前の『ライバル サバイバル』ツアーのバックステージを追った辺りから、目に見えて編集の仕方もメンバーへの愛も、劇的に素晴らしいものとなったように思っております。
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さて、そうした具合に意図して編集された結果、これまた “逆に”、いろんな “意図せぬ” あれこれが収録されてしまっていることも、これまたDVDマガジン鑑賞の醍醐味といったところで、ある者は、メンバーの些細な表情の揺れ動きからメンバー同士の関係性を読み取り、ある者は、画面の端の細部から、コンサート運営の細かいノウハウを読み取ったりもします。
今回の記事で述べたいのは、上述のDVDマガジンの素晴らしさ全般ではなく、そこに、ハロプロの ”継承の形” が、意図せず明確に映像に残されているということ、このことを述べたいと。
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前置きばかりが長くなりましたが、その具体的な記述は次のページより。
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