怒涛の52曲全ステージレビュー!『ソロフェス』で示されたハロプロがハロプロたる理由

はじめに 思い出されるエピソード

ソロフェスだから「ソロ」かと思えば、52曲のソロを連ねて示されたのは、まさに圧巻のハロプロだったという次第。52曲の連続で示されたもの、それは「ハロプロの実力」といった、個々の分析的な要素ではなくて、まさに「ハロプロそのもの」といった総合であったかと。

2020年7月4日に、テレ朝チャンネルで『Hello! project presents…「ソロフェス!」』が放送されました。ハロー!プロジェクト所属アーティスト52名が、冠番組を懸けてソロパフォーマンスを競います。事前にSNSを介してファンから募集した「メンバーに歌ってほしい“ハロプロ楽曲”」を “参考” に、メンバー自らが選んだ楽曲をソロでパフォーマンスして、メンバー相互の投票で順位を決めていくという企画です。

いや、本来グループで披露する楽曲なんだから、ソロで歌われても、パワーも弱まるだろうし、メンバー相互で歌割りを割り振ったりもできないから、息切れしちゃて、呼吸も乱れて、だからダンスもヨレヨレだったりするんじゃないの?… …そう思った、そこのあなた! …いや、ぶっちゃけ私もうっすらそう思ってました。

しかし冒頭で述べた通り、52名のメンバーが、次々と繰り広げる52曲には、誰一人として、どの楽曲とて、パフォーマンスに遜色のあるものは一切なく、まさに52曲のソロを連ねて、圧倒的なハロプロの底力が示されたのでした。

と、文字列を連ねることによって、そのパフォーマンスの技の冴え、メンバーの熱量の程を伝えるのは難しく、個々のメンバーの印象をおぼろげに文字に落とし込むことしかできずに悔しいこと甚だしいわけなんですが、それを補うために、ちょっとした挿話を。

こんなことを思い出します。
あれは確か2015年の冬ハローのことです。2014年の夏ハロー、8月2日の中野公演で無期限活動停止をアナウンスしていた Berryz工房にとっては最後のハロコンとなった2015年の冬ハローです。その Berryz工房の 嗣永桃子 さんは、Berryz工房としてだけでなく、Buono! としてのパフォーマンスにも参加していました(2パターンあるハロコンの公演のうち、Buono! の登場は1パターンだけだったはず)。すでにプレイング・マネージャーとして、新生カントリー・ガールズに参加することもお知らせされていましたが、3月の Berryz工房ラストステージまでは、Berryz工房に全力投球したいとの意向から、ハロコンのステージでは、カントリー・ガールズのパフォーマンスには参加しないとされていました。…が、ハロコンの日程中に 小関舞ちゃんが体調不良でお休みしちゃいます。お休みした小関さんのパートを務めたのは、今は Berryz工房に全力投球したいから、まだカントリー・ガールズには参加しないんだと言っていたはずの、ももち先輩でした。このステージを見て、Berryz工房としても、Buono! としても、そして、参加しないはずだったから、そんなにしっかりレッスンもしていなかったであろうカントリー・ガールズとしても、まったく危なげなく余裕でパフォーマンスしている嗣永先輩に大いに感銘を受けまして、わたくし、「ももち、すげぇ」と褒め称えた次第ですが、そこで一緒にハロコンに参戦していたヲタ友に叱られたのです。曰く「確かに凄いが、しかし、ハロプロなら全員、あれが出来る」と。

このエピソードは、ハロプロのステージ、ハロコンに、ひなフェスに、カウントダウンにと、とりわけ夢のようなOGのゲスト参加があった2018年の夏ハローだったり、メロン記念日が復活した2018年のハロフェスだったり、ダブルユーと鞘師さんが降臨した2019年のひなフェスだったりといった、記念碑的なライブに接するたびに、思い出されるエピソードとなりました。すなわち、ハロプロのステージの、その練り上げられたプロフェッショナルな技量と、それを可能にしているメンバーたちのステージに向けられた志が感じられるたびに。

そして、今般のソロフェスを視聴した際にも、このエピソードを思い出すことになったのでした。

総合司会 矢島舞美

この52名の蒼々たる現役ハロプロメンバーの、看板を背負いつつも自分を前に押し出すバチバチした「競演」の、切磋琢磨しながら同時にお互いの背中を押し合う「共演」の、そのマスターオブセレモニーは、元℃-ute リーダーにして、多くの後輩に憧れを供給することで、現在のハロプロを形作った一翼でもある 矢島舞美 さん。偉大な先輩が多いハロプロにあって、その一時代を牽引した “℃-ute の躍進” を現出せしめた、偉大すぎる先輩です。あんまり偉大だから、”矢島・グレート・舞美” あるいは “矢島・ザ・グレート” って呼びたいほど(← すいません、調子にのりました)。

披露する演目は、ファンによるリクエストベースに、メンバー自ら複数候補をチョイスして、最終的に事務所スタッフによる調整を経て決定されたということですが、そんなメンバーの登場順は、グレート舞美さんによる事前の抽選で決定されます。

この抽選会の動画にあっても、舞美ちゃんの一挙手一投足が魅力的過ぎて、言及したいところがたくさんありすぎるんですけど、そこまで延べ始めると、さすがに終わらないので、上掲の動画を永久保存版とすることで、先を急ぎましょう。

そんな舞美ちゃんがMCを勤めたソロフェスでは、メンバー相互の投票によって最優秀メンバーが決められますが、別の観点からは、舞美ちゃんこそ、この企画のMVPではなかったかと。

メンバーがパフォーマンスを終えて舞美ちゃんが登場し、軽くインタビュー風に現役メンバーとやり取りするんですが、なんだか舞美ちゃんが楽しそうで。また、とりわけ℃-ute のコンサートツアーに帯同していて、幼い研修生時代を知っているメンバーに対しては、”大きくなったねぇ” とでも言いたそうに、ほんとに嬉しそうに、しかも、かなりはっきり「うふふふふっ」と声を出して、微笑みかけています。

これこそ絶妙のチョイスであったなと思うのは、偉大なモーニングの初代 中澤裕子 姐さん辺りが司会進行役で登場していたら、それこそ偉大すぎて、2020年現在の現役メンバーからは遠すぎて、現役メンバーのリアクションもぎこちなく、中澤姐さんも、よくわからないメンバーに対しては定型的なトーク以外に展開させようもなく、いろいろ微妙になったかも知れません。あるいは、先だってハロプロを卒業して行った、元モーニングの 工藤遥 さんなり 飯窪春菜 さんなり、Juice=Juice 初代リーダーの 宮崎由加 さんなりがキャストとしてアサインされていたら、今度は現役との距離が近すぎて、近すぎる分だけ、メンバー毎の対応というかインタビューの粒度の差が大きくなってしまったかも知れません。そんなわけで、この舞美ちゃんというチョイスが、いかにも絶妙で、現役から見て、ある程度距離がある偉大な先輩、その背中を追った憧れの先輩でもありながら、研修生帯同組といった具合に、それなりの距離の近さとメンバー毎の個々の反応の違いも、ある程度加味できるという、ちょうど良い具合の “先輩” っぷりです。なんでも、後日放送予定のバックステージでも舞美ちゃんが絡んでくれるらしいですよ(未確定)。

と、こういうことが述べられるくらいに、そのハロプロの積み重ねてきた歴史といったものすら、舞美ちゃんの登場によって可視化されているわけで、司会進行矢島舞美っていう演出は、いかにも「グレート」だったと思う次第です。

って、それでなくとも、ニッコニコな舞美ちゃん、やっぱり、めっちゃ美人で、めっちゃ可愛いですもんね。

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悪い癖ですっかり前置きが長くなっていますが、さて、そんな52名の夢の競演/共演、その個々の印象は次のページから。

けっこうな長文で、同じ記事なのに改ページも多いから、良かったらお気に入りのメンバーのところだけでも読んでくださいな。

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